CD Review その他

2020年07月04日 22:36

dj 2020年4月8日発売、DJ和の手により編集されたミックスCD。全32曲収録。

 既存音源を基に曲を繋げるミックスCDの著名ミキサーであるDJ和。そんな氏が本作では長戸大幸が創設した音楽制作集団・ビーイングの楽曲群のノンストップミックスに取り組んだ1枚。ブックレット末のDJ和本人のコメントから察するにビーイング発の企画だったようで、発売元もビーイングから、エンジニアや広報までビーイングのスタッフがクレジットされており、全32曲中実に23曲がビーイング関連の楽曲達。残る9曲は、DJ和がソニー所属のミキサーということもあって(?)か、ソニー関連の楽曲が並んでいます。

 楽曲収録年代は80年代後半から00年代初頭ぐらいまで。ビーイング側からはZARD、WANDS、大黒摩季、T-BOLAN、DEEN、FIELD OF VIEW、織田哲郎といった90年代序盤〜中盤のビーイング全盛期のアーティストの楽曲から、少し時代が下って倉木麻衣、小松未歩、GARNET CROWなどの90年代末以降のいわゆるGIZA勢までをフォロー。一方のソニー側からは、80年代中盤以降にブレイクしたTM NETWORK、渡辺美里、REBECCA、UNICORN、米米CLUBなどの錚々たる面々に加え、90年代末にヒットを飛ばしたSIAM SHADE、TRICERATOPS、the brilliant greenも名を連ねる選曲に。

 内容のほうですがミックスCDということで、どの曲も1コーラス程度が基本でマスターをほとんど弄らず似たようなテンポの曲を繋げて…というのが約1時間という、「往年のヒット曲をオリジナル音源のままダイジェストで聴いている」という感覚が最後まで続くのですが、DJ和については以前広瀬香美のベストでも似たような手腕でノンストップ仕様にしていたのを聴いていたこともあり、「この人のミックスCDってこういう感じだよな」というのは前もって知っていたのですんなりと聴けました。音の抜き差し、クロスフェード、再構築的な技術はほとんど使われていないので、こういったテクニック(というか工夫?)を求めるリスナーには明らかに不向きかもしれません。

 ほぼ原型のままのダイジェストCDを約2,000円…というのはちと厳しい価格設定のような気もしますが、前述の通りビーイングが全面的に制作に携わっており、ビーイングと縁のあるBIRDMAN MASTERINGの島田勝弘の手によるリマスターで昔の音源が迫力のある音質で蘇ったのは秘かな(?)セールスポイントでは。まあ当時も今も現役稼ぎ頭のB'zはこういうところでは呼ばれないとか、ソニーと協力しているならTUBEも入れれば…とか若干思うこともあるのですが(TUBEについては同氏によるミックスCDを単独で2枚同時出したばかりだそうで)ここまでビーイング黄金期の楽曲を取り揃えたミックスCDもなかなかないでしょうから、当時のヒットシーンを思い出しながら聴くという意味では面白いアイテムでした。

2017年07月29日 22:42

tk30 かなり久々、実に今年初となる(苦笑)「今週の1枚」エントリー。今回はCD3枚組のコンピレーションアルバムをご紹介。サブタイトルの通り、TKこと小室哲哉がプロデュースした楽曲を選りすぐった41曲を収録した「AGIGATO 30 MILLION COPIES -BEST OF TK WORKS-」。20世紀末、2000年3月23日にavex traxから発売されました。

 90年代のJ-POPシーンを語るのに欠かせない存在である小室哲哉。これまでに何度も書いてきたことではありますが、筆者はTM NETWORKファンなので、小室を語る時は「TMの〜」と枕詞を付けてしまうわけですが、90年代からの音楽リスナーの方々の認識としては「プロデューサーTK」という肩書きが圧倒的だと思います。小室自身の楽曲提供自体は既に80年代半ばからアイドルシンガーを中心に頻繁に行われてきましたが、楽曲制作はもちろん、trfなどではトータルプロデュースの面でも辣腕を振るうようになり、タイアップや話題性、時代のニーズに応えた作品を矢継ぎ早にリリースしてミリオンヒットを連発した90年代以降の彼は一ミュージシャン、アーティストという立場よりも一段高いところから音楽シーンを見つめていたような気がします。

 遡ること数年前の1996年に「TK MILLION WORKS」という8曲入りのコンピ盤をリリースしており、本作はその拡大版。「〜MILLION WORKS」に収録されたのはavex所属のアーティストの作品のみでしたが、今回はSME(篠原涼子、鈴木あみ、Kiss Destination)、Pioneer(華原朋美、dos)、PONY CANYON(未来玲可、tohko)、COLUMBIA(観月ありさ)版権作品も偏りなく選曲され、プロデューサーTKが90年代に残したヒット曲+αを大量セレクトした内容になっています。
 3枚のディスクにはそれぞれコンセプトがあり、DISC 1はドラマや映画の主題歌、DISC 2はCMソング、DISC 3は小室が選曲した「TK SELECTION」を、基本的には時系列順に並べてあります。収録範囲で最も古いのは1993年にリリースされ、プロデューサーとしての出世作となったDISC 2の1曲目の「EZ DO DANCE」(trf)。それ以前の曲や、TMメンバーのソロをプロデュースした作品は収録対象外となったようです。ちなみにタイトルの「〜30 MILLION COPIES」とは、収録楽曲のトータルセールスが3,000万枚という実績に引っ掛けたものですが、若干下世話な気も(苦笑)。

 さて、改めて現時点でこのコンピ盤をじっくりと聴いてみて思うことは、各DISC前半、90年代中盤過ぎぐらいまでの楽曲はサビが覚えやすくキャッチー。サウンドもtrfのようなポップス寄りのテクノだったり、安室奈美恵のような聴いていて自然に身体が動くようなダンスチューンだったり、小室自身もメンバーとして参加したglobeの初期ナンバーなどに代表されるような、ヒットシーンに向けて直球を放ったような作品が多数。PRODUCED BY TETSUYA KOMURO表記に箔が付き、怒涛のオファーが相次いだのも納得と言いましょうか。勿論各楽曲の完成度も高く、「時代が求めている音」にぴったりと寄り添った時期だったのだと思います。
 やがて90年代末に向かうDISC後半になるとその様相が変化。この時期に登場した鈴木あみの曲には変わらぬポップなアプローチが続きますが、徐々にR&Bやヒップホップの要素を取り入れ、クール(で一見地味)なナンバーを既に実績のある上記アーティスト達に対してシングル表題曲としてリリースするなど、小室が志向する音楽性が移り変わってきたように感じます。ブームが飽和状態を迎えて収束に向かっていた時期ということもあり、セールス面でも減退が見られ、世間的にも「小室ブームは去った」的なイメージを助長してしまった作品群かもしれませんが、この時期の楽曲は2017年現在においても音的な古臭さ(いわゆる時代性)はそれほど感じさせずに聴けるな、ということを再認識できました。

 そんな中で面白かったのがDISC 3。小室セレクトということもあり、対海外用(だと思われる)EUROGROOVEや、Kiss Destination前夜的なTK PROJECT、TKファミリー大集合の合唱曲「YOU ARE THE ONE」など、この手のコンピではないと収録されないような楽曲が有名曲に混じって収録されているのはポイント高め。さらに小室と浜田雅功とのユニット・H Jungle with tのシングルが3曲とも全て収録されているアルバムは本作だけ、というのも、未だに価値のある作品集だと思います。

 2000年代に入ってからの小室のヒットと呼べる曲は残念ながらごく僅かということで、90年代のTK総括=現時点でのTKヒット代表曲集としても十分通用してしまうのが複雑な心境でもありますが、当時の音楽シーンにおいて一大ムーブメントを巻き起こした小室哲哉の足跡の数々を改めて実感できるコンピ盤でもありました。ここまでレーベルの垣根を越えた小室系コンピもないと思いますので、TKファンは機会があれば(廃盤らしいので中古かレンタルなどで)是非手にしていただきたいですね。
 なお、本作は初回盤と通常盤が存在。筆者所有の通常盤は最大4枚のCDが収納できる厚めのプラケース仕様なのですが、初回盤は横長ケース仕様だそうです。この特殊パッケージ、扱いづらそうなのですが、これは果たしてTKのこだわりなのでしょうかね…?(笑)

2016年10月02日 23:43

yokohama1998 横浜DeNAベイスターズ、祝・球団史上初のセントラルリーグ・クライマックスシリーズ出場!!長年ベイスターズファンをやっている筆者にとっても2016年シーズンは忘れられない年になりそうです。というわけで(?)今回の「今週の1枚」は番外中の番外編。今から遡ること18年前、ベイスターズが(現時点では最後の)日本一を決めた1998年末、12月2日にリリースの「'98 日本シリーズ優勝記念オフィシャルCD」と銘打たれた、「VIVA!横浜ベイスターズ」をご紹介。

 横浜大洋ホエールズから横浜ベイスターズに球団名を変更して6年目のシーズンを迎えた1998年、数年前から若手生え抜きの戦力がチームを牽引するようになり、バッテリーチーフコーチを経てこの年より監督に就任した権藤博のもと、「マシンガン打線」と「大魔神」の活躍で38年ぶりのリーグ優勝、続く日本シリーズでは西武ライオンズを4勝2敗で下し、本拠地横浜スタジアムで日本一を決めた…というベイスターズ球団史において最高の輝きを放った一年でありました。
 そんな「横浜ブーム」に沸いたこの年、関連商品も数々リリースされたのですが、本作はセ・リーグ優勝記念として選手別応援歌に実況をプラスした「VIVA!YOKOHAMA」に続いての日本一記念盤。なんと日本シリーズ全6戦のニッポン放送でのラジオ実況中継ダイジェストを収録するという驚きの内容(笑)。プロ野球選手が歌を歌ってCDリリース、というのはかつてはシーズンオフでそれなりに見られたのですが、本作のような「試合の中継実況録音」がメインのCD、というのはなかなかないケースだったと思います。正直、この企画よく通ったな…と当時思いましたし(苦笑)。

 さてそんなこんなでようやく本編解説。まずオープニングは現在でも一部歌詞とアレンジを変えて球団歌として受け継がれている「熱き星たちよ」のオリジナルバージョン。ボーカルは個人的には「勇者シリーズ」での熱唱が思い出深い高尾直樹が担当。以降は日本シリーズ第1〜6戦までのダイジェストとなりますが、「完封!炎の連勝」とか、「西武の反撃」とか、「マシンガン打線沈黙」とか、1戦1戦ごとにサブタイトルが付けてあるのが心憎い演出。ダイジェスト部分は主に試合開始直後、得点シーン、最終回の攻防を中心に各4〜5分程度にまとめられていますが、横浜の得点シーンのみならず、西武の得点シーンや、横浜が守備のエラーで失点するシーンなどもピンポイントで挿入されており、「野球の試合を聞いてる」という感覚で聴き進めることができる構成になっています。

 第6戦のサブタイトル「38年ぶり再び頂点へ」で大魔神・佐々木主浩投手が最後のバッターを併殺で打ち取り日本一を勝ち取った瞬間を追体験した後は、既に94年に解散していたアイドルグループ・CoCoが歌うベイスターズ公式応援歌「WINNING」。現在でもアンオフィシャルながら球場での応援団の演奏に使われています。そしてボーナストラックとして1960年の初優勝時の実況をリメイクした「'60 日本シリーズ"V"実況」というオールドファン垂涎の企画を経て、ラストは日浦孝則(元class)が作曲&ボーカルの壮大なバラード「勝利の輝き」でフィナーレ的にまとめられています。

 あれから18年、その後のベイスターズの歴史は聞くも涙語るも涙…という暗黒低迷期になってしまった、という経緯は調べていただくとして、親会社が変わり、横浜DeNAベイスターズにチーム名が変わって5年目にあたる今年、ようやく11年ぶりのAクラス(3位)でシーズン終了、9年前から導入された、Aクラスチームによるポストシーズン「クライマックスシリーズ」に初出場を果たすという快挙(?)を遂げ、今週末より東京ドームにて読売ジャイアンツと戦います。現在、本作発売時に在籍していた選手は三浦大輔投手ただ一人、その三浦も先日引退を表明し、シーズン最終戦でユニフォームを脱ぎました。もう「98年を知るV戦士」は誰もいなくなってしまったという一抹の寂しさと、これからは筒香嘉智ら新しい世代でチームを盛り立てていって欲しいという期待、加えて何となく現在のチームの雰囲気が、かつて石井琢朗や鈴木尚典が台頭してきた96年ぐらいの状況に似ていると感じたりと、色々な感情が渦巻く10月のポストシーズン、ひと試合でも多くファンを楽しませてくれるように願います。

 …というわけで熱く書いてしまいましたが(?)、次週からはまた通常運転に戻りますので、今後とも本ブログをよろしくお願いいたします(笑)。

2016年08月06日 23:53

nettou2 実に半年ぶりのエントリーとなる「今週の1枚」。前回から季節は二つ過ぎ、早くも真夏を迎えた8月。真夏といえばやはり甲子園!ということで、本日開幕したリオオリンピックに負けじと今年も高校球児達の熱い戦いの季節がやってきたことを踏まえ(?)、今回は2010年7月28日発売のテレ朝(ABC)系列で使用された夏の高校野球の応援ソングコンピレーションアルバム「熱闘甲子園のうた〜夏の高校野球応援ソング〜」をご紹介いたします。

 1981年から現在まで続く、甲子園での夏の高校野球開催期間中に連日オンエアされるその日の試合のダイジェスト番組「熱闘甲子園」。ドキュメンタリータッチを基本に汗と涙の勝ち抜き戦を伴走するJ-POPアーティストによるオープニング、またはエンディングテーマを12曲収めたのが本作。お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この「今週の1枚」では、既に2011年時に「一番熱かった夏〜熱闘甲子園の歌〜」というコンピをご紹介しているのですが、本作はその純然たる続編にあたり、前作以降の2001〜2009年の間に使用されたテーマソングを収録対象(選曲されなかった曲もあり)としています。タイトルが若干被っているので分かりづらい、という声もありそうですが(苦笑)、00年代の「熱闘甲子園」関連楽曲のほとんどが一同に会した作品となっています。

 続編ということで各年ごとの出場校、各大会の簡易的な説明をその年に起用された楽曲の歌詞と並べて記載するという、前作のフォーマットを踏襲しつつ、収録曲順に関しては時系列だった前作とは逆に、2009年から年代を遡っていく構成。聴き進めていけば21世紀のJ-POP史を遡っていくタイムトラベル的な内容になるわけですが、既に多様化に次ぐ多様化が進んでいた2001年時点の楽曲でもそれほど時代性を感じることなく聴くことができるのは前作とは大きく異なるポイント。
 参加アーティストもブレイク直後の森山直太朗、セールス全盛を迎えていたガールズバンドZONE、既に安定した人気基盤を獲得していたBEGIN、一時期毎年のように枠を確保していたこともあった秦基博スキマスイッチスガシカオ福耳といったオーガスタ系アーティスト、そして高校野球中継のテーマソングといえばこの人!という西浦達雄等々…と、若手からベテランまでが集結し、それぞれに彩りを添えています。

 そんな中で個人的にピックアップしたいのは「泣き声のようなサイレン/陽射し吸い込むダイヤモンド/この熱さだけはきっと忘れない」という歌詞から試合の光景が浮かぶ「Halation」(秦基博)、一発逆転への高揚感と試合終了の無常感をそれぞれに感じる「奇跡」「夏陰〜なつかげ〜」(スガシカオ)、選手の父親目線で描かれた「やさしさにかわるまで…」(西浦達雄)、甲子園出場経験のある実弟に材を採ったという、実感が伝わる応援歌「終わらない夏」(我那覇美奈)。直接的であれ間接的であれ、それぞれのフィールド、それぞれの体温で放ったこれらの楽曲は夏の甲子園の映像にピッタリとハマっていました。また、普段はクロスしなそうな面々が一つのテーマで1枚のアルバムに収められる、というのはコンピ盤ならではの大きな魅力。各アーティストのカタログ市、という要素もしっかりと併せ持った作品だと思います。

 筆者も年を重ねて、子供の頃は憧れのお兄さん的な眼差しで見ていた高校球児達の年齢の倍ぐらいを今や生きてきてしまいましたが(笑)、一球に賭ける彼らの全力勝負の姿はいつの時代も輝いて見えるもの。明日より開幕の2016年大会も高校野球史に残る熱戦を期待したいと共に、そのお供に本作(と前作)を傍らに暑い夏を乗り切りたいと思っております。
 なお、本作発売後も毎年様々なアーティストによって「熱闘甲子園」テーマソング史は続いています。いつの日か初代からの全テーマソングを収めた「熱闘甲子園主題歌集・完全版」をCD3枚組ぐらいで出してもらえないかな…と、この季節になるといつも願っています(無理かな・苦笑)。

2016年06月25日 15:32

d-pro 2016年5月18日発売、Being/GIZAの新規プロジェクト「d-project」始動第1弾作品としてリリースされた、ZARDとのコラボレーションアルバム。全14曲収録。本作のオフィシャルページはこちら。

 「d-project」とは、長戸大幸プロデューサーのもと、GIZAの作家陣や若手クリエイター達が集結して楽曲重視の質の高い作品を送り出そうと始まったプロジェクト、とのこと。本作に関してはZARDの代表曲をオリジナル曲の制作やライブに関わった徳永暁人、大賀好修、岡本仁志らに加え、若手アレンジャー、ミュージシャンの手によってリアレンジ。これに坂井泉水のオリジナル音源のボーカルを加え、「ZARD」の作品として成り立たせた新規録音アルバム、と呼んでもいいでしょう。
 アレンジャーだけでも13名が各曲に参加、コーラスとして起用されたボーカリストも男女問わずに複数クレジットされていますが、中でも目を引くのが「Guest Vocal」とクレジットされた大黒摩季。彼女といえばビーイング離脱時に色々と揉め事があったらしく、その後の非公式アルバムや某ライナーノーツでは散々暴露記事を晒され続けてきましたが、昨年あたりからまたビーイングとは交流が復活し、直近のニュースではビーイング復帰が決定。そんな流れでなのか本作にも14曲中11曲にボーカルとして参加。坂井の主線に寄り添うようにハモったり、時に単独でメインフレーズを歌い上げたりと、積極的に本作に携わっています。そのボーカルはセールス全盛期のシャキシャキ感(?)から少しウェット気味な声に変わっていますが、「ああ、大黒摩季の声」といった感じで、長年の確執を経てビーイング作品に十数年ぶりに登場した彼女のボーカルを聴いて感慨に浸ることしばし。

 作品全体のニューアレンジの方向性としては、坂井泉水逝去後の一連の「ZARDの王道」をベーシックにしたリアレンジとは異なり、四つ打ちビートをメインとした公式ページの文章通り「ダンスロック」寄りのEDMに接近したサウンドで統一。選曲もZARDのヒット曲からノリの良い曲をピックアップしており、特に中盤の「雨に濡れて」「愛が見えない」「こんなにそばに居るのに」辺りは原曲のスピード感を別方向で現代風にパワーアップさせた感がある良アレンジ。他には曲中でラップが登場する「愛は暗闇の中で」、冒頭のピアノ独唱が新鮮な「Don't you see!」など適度なバリエーションもありつつ、かつての「時間の翼」の時の10周年記念リミックスのような長尺アレンジをしてしまった曲もなく、あくまで「ボーカルを重視しメインに据えた歌モノ」の体裁になっていたのにはひと安心(?)。ラストの「かけがえのないもの」は1コーラスが完全にインストでボーカルが2コーラス目から入る、という変則構成になっていますが、エンドロール的なアプローチということで、これはこれでアリかな、とも。

 プロデューサーであり中心人物であった坂井泉水が全くノータッチにも関わらず「ZARD」名義で発表された新作ということでは賛否を呼びそうな本作。筆者としては今年デビュー25周年を迎えての記念プロジェクトのひとつ、としての制作陣からの「トリビュートアルバム」として捉えて素直に楽しむことができました。

2015年01月17日 22:02

LINDBERGTRIBUTE 2014年7月23日発売、同年に二度目の再結成を宣言し、継続的に活動をしていくことを発表したリンドバーグの楽曲を各アーティスト達がカバーした初のトリビュートアルバム。全13曲収録。初回限定盤には代表曲の既発ライブ映像を7曲収録したDVDが付属の2枚組。

 本作の制作にあたって集結したアーティストをざっと紹介しますと、矢野顕子のような大ベテラン、リンドバーグと同時期にヒットシーンを賑わせた森高千里や元PRINCESS PRINCESSの岸谷香といった同世代、彼らの活動晩期の活躍組である花*花、ガガガSP、幼少期に聴いていたという近藤夏子、さらに現役時の記憶がほとんどないであろう90年初頭生まれのLIFriends、さらに下の世代であるRicoなど、実に幅の広い年齢層のメンバーが集結しています。

 そんな各アーティスト達のリンドバーグへの「愛情」が感じられるのは、歌詞やメロディーを尊重した上で、自分達の持ち味で再構築している点。原曲をベーシックにしつつも男声ボーカルが新鮮な10-FEETの「LITTLE WING」、ベスト盤にも収録されていないコアな曲を引っ張り出してきたN'夙川BOYSの「DESTINATION」、自分達の世界観に原曲を引き寄せたガガガSPの「大キライ!」、そして飛び道具ここに極まる的な(笑)バンドじゃないもん!の「もっと愛しあいましょ」等々、とにかく個性がバラバラ、でも何だか聴いていて楽しいナンバーが並びます。そんな中、個人的にベストだと思ったのは近藤夏子の「GAMBAらなくちゃね」。原曲のビートロックから、テンポを落としたアコースティックセッション的なアレンジにガラリと変わっているのですが、これが意外と歌詞の世界とハマって好印象でした。

 元々リンドバーグは中高生を中心に支持を得ていたバンドだったこともあり、その支持層が大人になると卒業していく…というパターンで人気が頭打ちになってしまった、と筆者は思っているのですが、上記のように若いアーティスト達がリアルタイムで聴いて育ち、時を経てトリビュートアルバムに参加するというのは何だか感慨深いものがあります。さて、時代は2015年。再結成宣言から一年、ライブなどは行っているものの、新たな楽曲はまだリリースされていないリンドバーグ、彼らの今後の活動は如何に?!

2014年04月12日 21:17

90bestmix 2013年9月11日発売、先々週のエントリーでご紹介した「90's BEST MIX Platinum 1990〜1994」と同時発売の、90年代中盤から後半にかけてヒットシーンを賑わせた名曲の数々をDJ MAGIC DRAGONの手によりノンストップメドレーで仕立てたMIX CDシリーズの1枚。

 いわゆる前編、「1990〜1994」の後を引き継いで、90年代の残り5年間を時系列ランダムにEDMアレンジを施し、時に強引に(笑)メドレーで繋いでいく構成は全く同じ。選曲を見渡してみるとやはり、と思うのは、94年から始まった小室哲哉プロデュース全盛期の年代にあたる、ということもあり、「I'm proud」「CRAZY GONNA CRAZY」「BE TOGETHER」「WOW WAR TONIGHT」など、小室関連の曲が29曲中7曲を占める、というのは妥当といえば妥当(なぜ「Departures」と「Can You Celebrate?」は英語バージョンなの?という疑問はさておき)。
 TKブームが過ぎ去った後は、ジャンルはより細分化されて何がヒットするかも分からない多様化の時代になるわけですが、本作ではアレンジの方向性もあり、選曲は割とダンスビート中心のような気がします。また、前作同様、洋楽のヒット曲が不意に挿入される箇所もあるのですが、「1990〜1994」よりも全体を洋楽が占める率はわずかながら上昇したような印象です。なお、「Livin' la Vida Loca」は同年に郷ひろみが「GOLDFINGER'99」としてカバーしていますが、本作では原曲のほうがピックアップされたようです(笑)。

 「タイミング」(Black Biscuits)や「叫び」(野猿)といった90年代末に一世を風靡した「バラエティ番組発ユニット」の曲も選出されており、ASAYAN組からはモー娘。の大ヒット曲「LOVEマシーン」も選ばれている一方で、この時期にブレイクを果たしたMr.Childrenやスピッツ、ラルク・アン・シエルや宇多田ヒカルといった、今や日本の音楽シーンの重鎮たるアーティストがミリオンセールスを達成した曲が一曲も選ばれていないのは、まあぶっちゃけ版権の壁なりアーティストの意向なり、ということなのでしょうが、ちょっと残念なポイント。同じ意味では以前にも書きましたが純ビーイング関連も「1990〜1994」に続いてゼロなのですが、メドレー中にB'zの某曲の間奏のフレーズが突然2小節出てくるあたりは故意犯的で意表を突かれました。やるな!DJ MAGIC DRAGON。

 前々回の「1990〜1994」、今回の「1995〜1999」、結論から言うと感想はどちらも同じ、なのですが、完全とは言わないまでも、両作あわせて約2時間で、90年代の大ヒット曲を矢継ぎ早に聴けてしまうのはなかなか面白い試みだと思います。もちろん、オリジナル音源あってのカバーでありメドレーですから、原曲に勝ることはありませんが、リアルタイムで学生時代を過ごしてきた身としてはこの2作品、楽しんで聴けました。なお、DJ MAGIC DRAGONは洋邦問わずに様々なMIX CDを手がけているようなので、ご興味のある方はこの辺りからどうぞ。

2014年03月29日 11:08

90sbestmix 2013年9月11日発売、DJ MAGIC DRAGONの手による、90年代にヒットシーンを彩った名曲の数々をノンストップメドレーで繋いだMIX CDシリーズの1枚。今回ご紹介するのは、90年代序盤から中盤が選曲対象の「Platinum」盤。95年以降の選曲を対象にした「90's BEST MIX Premium 1995〜1999」も同時発売。

 1トラック目、ダイジェスト的な「Intro Megamix」が終わると、約1時間にわたって全29曲のヒットソングが数珠繋ぎの如くEDMアレンジを軸に時系列ランダムで展開されていく本作。「YAH YAH YAH」「ロマンスの神様」「どんなときも。」「恋しさとせつなさと心強さと」「愛は勝つ」「涙のキッス」…等々、ミリオンセラーとして輝かしい記録を残した楽曲をはじめ、現在30代中盤辺りの当時リアルタイムでこの時代の音楽を聴いていた中高生にとっては懐かしい曲のオンパレード、といったところ。当時のポップスリスナーならばほとんど全て知っている曲ばかりではないでしょうか。てっきりJ-POPオンリーと思いきや、中盤では突如「Trouble」や「Smells Like Teen Sprit」などの洋楽がちょいちょいと紛れ込んできたのには意表を突かれましたが、「接吻」や「浪漫飛行」もなぜか英詞になっていたのが謎。
 選曲自体はまあ妥当な線だと思いますが、当時ブームだったビーイング勢の曲が「世界中の誰よりきっと」(版権は中山美穂側の模様)しかなく、B'zの各代表曲やZARDの「負けないで」ぐらいは収録してもいいような気もするのですが、「1995〜1999」でも同様だったので、これはビーイングとの版権問題が関わっているのかもしれません。

 アレンジは基本的には原曲のエッセンスを残してEDM化を施した、という印象の曲が多く、バラード曲でも少しテンポを上げる程度で驚愕のリアレンジ、という曲は無かったような。歌い手はオリジナルではなく、本作用に新たに数人のヴォーカル担当を起用しており(VOCALOIDもいる?)、男性ヴォーカルの曲なのに女性が歌っていたり、その逆もあったり。男女混声だった「DA.YO.NE」のラップが女性のみになっているのもそれはそれでアリかと思いました。が、曲によってヴォーカルの出来不出来が激しく、正直な話、音程を取れていないテイクを採用している曲もあり、原曲のアーティストのファンが聴いたら怒るんじゃないかな…という箇所もチラホラありました。

 90年代を二つに分けてヒットメドレーを作る、というアイデアは面白いと思います。ただ、こういうMIX CDって自宅でじっくり聴くものではないですね^^;。聴き続けると耐性がない人には辛い、というバキバキタイプなEDMサウンドではないので、ドライブ中の盛り上がりのアイテムとしてや、チェーンの居酒屋あたりで薄くBGMで流すには最適かな、といったところ。個人的には本作選曲の中でも結構マニアックな「It's My JAL」をピックアップしてくれたことを嬉しく思います(笑)。

2013年09月21日 12:31

AMAUTA 2013年8月28日発売、今月末に最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の劇中歌を収録したコンピレーションアルバム。オリジナルカラオケ5曲を含む、全15曲収録。初回生産分には着せかえジャケットとステッカーが同封。

 文字通りのヴォーカルアルバムということで、劇中で重要な位置を与えられ、既に同年7月末にシングルリリースされた80年代アイドル歌謡風「潮騒のメモリー」(天野春子)や、同じく6月よりDL配信されていた00年代末のアイドルポップス「暦の上ではディセンバー」(アメ横女学園芸能コース)に加え、「地元に帰ろう」(GMT)、「潮騒のメモリー(お座敷列車バージョン)」(潮騒のメモリーズ)など、ドラマ視聴者には馴染みの曲が序盤〜前半にかけて収録されています。個人的には実際の岩手の高校の潜水土木科で歌われているという唱歌「南部ダイバー」が2バージョン収録されたのが嬉しいサービス(笑)。

 …とはいえ、ちゃんとした歌モノは上記の実質4曲+劇中で使用された「いつでも夢を」(橋幸夫&吉永小百合)以外は、元々商品化する予定はなかったんじゃないか?と思わせる曲が目白押し。「潮騒のメモリー」と「地元に帰ろう」の「太巻デモバージョン」(古田新太が朴訥な声で歌っています・笑)はサビの直前で強制終了の簡易なものだったり、CMソングということで30秒にも満たない「いらないバイク買い取るぞう!」など、マニア垂涎の音源であることは間違いないのですが(苦笑)これらを収録してフルアルバムに仕立てる必要はあったのかなぁ…などと思ってしまうことしばし。かと思えばラストの「潮騒のメモリー」のカラオケは原曲のオケではなく、わざわざカラオケ仕様のプログラミングで収録され、劇中のカラオケシーンで使われた「スナック梨明日カラオケ」バージョンという、妙なところで凝っているのが不思議です^^;。

 既発売の「オリジナル・サウンドトラック」は劇伴集ということでかなり聴きどころのある1枚だったのですが、本作はちょっとコアなファン向けという感じで、フルアルバム並みの値段の割に内容は…という感は否めないのが正直なところ。あとは本作発売直後の展開だったので、主人公・天野アキ(能年玲奈)が歌う最新リアレンジ版の「潮騒のメモリー」が収録されなかったのが残念。結構良いリアレンジだったと思うので、このバージョンも何らかの形で公開してもらえることを願っています。

2013年08月24日 12:25

06552355 2013年8月21日発売、Eテレ(旧NHK教育)にて平日の朝と夜の5分間にオンエア中のミニ番組「0655」「2355」で使用されている楽曲のコンピレーションアルバム。全30曲収録。

 「0655」「2355」は、共に2010年の春から放送開始され、5分間という適度に短い(?)時間の中で、我が家の犬猫紹介VTRや日めくりカレンダーをアニメにしたもの、前衛トリックアート、そして「おはようソング」「おやすみソング」などで構成された、ちょっとした息抜きにピッタリの番組。本作は、ここまでの約3年半の間に数々制作され、オンエアされてきた楽曲の数々の中からの選りすぐった内容で、前半は「0655」、後半は「2355」で使用された曲で構成。既に真心ブラザーズや小泉今日子など、歌い手が本人名義でリリースしたアルバムに収録された曲も何曲かはありますが、基本的にはほとんどの曲が本CDで初の音源化となります。

 さて、収録された全30曲、どの曲も1〜2分程度の小品的な作品ではあるのですが、短いながらも、日常生活に即したユニークな楽曲が満載。「0655」のほうの「忘れもの撲滅委員会」「2度寝注意報発令中!」「電車で化粧はやめなはれ」などは、タイトルからまさにその極致という感じです(笑)。犬猫紹介のBGMの「おれ、ねこ」「わたし、犬、いぬ」は動物目線のシンプルな歌詞が良いですし、海外の首都をメロディーに乗せて次々と歌い上げる「これを知ってるといばれるの唄」は覚えるだけで知識になりそう。「2355」のほうは、穏やかな「三日月ストレッチ」「プカプカたこ」「眠れ ねこ ねこ」などリラックスムードの曲が多く、就寝前のひと時に流れる曲として最適。そして「のりこえるの歌」を聴くと明日も頑張ろう、という気持ちになるのは筆者だけではないでしょう。歌詞カードも、ただ歌詞が書いてあるのではなく、写真やイラストなどを使ったオンエア時を彷彿とさせるレイアウトになっており、眺めているだけでもちょっとした楽しさがあります。

 …それにしても両番組に参加した歌い手の顔ぶれは先述の真心ブラザーズや小泉今日子をはじめ、GOING UNDER GROUNDの松本素生、木村カエラ、中尾ミエ、デーモン閣下、細野晴臣などのベテランや、ブラックマヨネーズやナイツの土屋伸之といったお笑い界の芸人までと本当に豪華。それ故に、これだけの曲を作りながら、おそらく各歌い手の権利関係などもあり、これらが一堂に会するコンピ盤のリリースは無理かな…とずっと思っていただけに、本作のリリース実現には驚きましたが、それだけに発売元の日本コロムビアをはじめ、権利の調整に関わった方々には深く御礼を申し上げたいですね。タイトルにもありますように「Best」であり「全曲集」ではないので、今回収録されなかった曲もあるのですが、個人的にはこのボリュームでもう満足です(笑)。

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