CD Review マ行

2020年08月15日 21:30

makiharafront 1997年よりデビュー以来在籍したワーナーを離れ、Sony Records(→SME Records)に籍を移した槇原敬之。同時にセルフプロデュースを開始し、ワーナー時代とは少し違った角度からの楽曲が増えてきた時期でした。自身の楽曲制作以外にもカバーアルバム、他者のプロデュース、初のアリーナ級のツアー、変わったところでは菓子パンのプロデュースなど、意欲的な活動が目立っていたのですが、思わぬ形でソニー時代は終わりを告げることに。今回の「Artist Archive」では、そんな彼の1997〜1999年に残した全アルバム、その後にリリースされたソニー関連の非公認的なベストも含めて1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。

第1次ワーナー時代(1990〜1996)の全アルバムレビューはこちら
同時期の全ベストアルバムレビューはこちら

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2020年03月21日 22:34

makiharabestlisten 2019年10月23日発売、槇原敬之のカバーアルバム「Listen To The Music」シリーズの総集編的ベストアルバム。全15曲収録。CDのみの通常盤、収録曲のMV入りDVDを同梱した初回限定盤共々SHM-CD仕様。さらに同年12月4日は2枚組のアナログレコード盤でもリリース。収録曲は全形態同一。本レビューは通常盤のレビューとなります。

 SONY時代の1998年に「1」、東芝EMI時代の2005年に「2」、そして自主レーベルBuppu Labelから2013年にリリースされた「3」、これらの楽曲を対象にセレクトされた12曲に、オリジナルアルバムの初回盤にのみ収録されていた「WHAT A WONDERFUL WORLD」(ルイ・アームストロング)、そして新録曲として「若者のすべて」(フジファブリック)、「聞き間違い」(YUKI)の2曲を収録。曲順は基本的にほぼリリース時系列順に並んでおり、「1」と「3」の両方でセルフカバーされた「Rain」(大江千里)は「3」のバージョンが選ばれています。なお、発売元は現在旧東芝EMIを傘下に加えたユニバーサルミュージックが担当。また、ベスト盤にも関わらず歌詞ブックレットには各楽曲ごとの担当楽器等やミキサーの名前が記してあり、懐かしい名前もチラホラと散見されています。

 既にソングライターとしての地位を獲得していた時期にアレンジやボーカリストとしてのアプローチを試みた「1」、事件後に提唱される「ライフソング」的な思想要素を核にしたと思われる「2」、自身のリスペクトアーティストの曲を楽しく歌っているかのような「3」と、ナンバリング毎に根底のコンセプトが異なるこのシリーズですが、今回はシンプルにこれまでの作品の中から各アーティストの代表曲を1曲ずつ厳選した名曲カバー選集といった趣。どれも一般的に耳馴染のある曲ばかりなので、これまでのシリーズを体感してこなかったライトな層にも手軽に取れるのは好ポイント、と思う一方で、ボーカリストとしては「ヨイトマケの唄」(美輪明宏)や「時代」(中島みゆき)など、オリジナルの歌い手の情念と比べるとどうしても軽いと感じてしまうカバーもあるのが正直なところ。ただ、これは表現力というよりも声質の個性の違いであり、「traveling」(宇多田ヒカル)、「MAGIC TOUCH」(山下達郎)などに関しては軽快なアレンジと相俟ってその声がハマっていると思いますし、特に新録カバーの「若者のすべて 〜Makihara Band Session〜」は楽曲・声質・バンド演奏が上手く噛み合った名カバーで、本アルバムでの一番の聴きどころではないかと思いました。

 このアルバムを皮切りに、デビュー30周年に向けての提供曲セルフカバーアルバム発売やベストアルバム等の企画が動き出した矢先の2020年2月、皆様ご存知の通り、覚醒剤所持の容疑で二度目の逮捕となってしまった彼。個人的には前回1999年の逮捕が「クリーンなイメージの槇原敬之がまさかの…」ということでかなりショックが尾を引いた経験があり(直後の日本武道館のライブに行く予定でした)、それに比べれば今回はショックは少ないのですが、これから盛り上がるはずだったデビュー30周年にかなりのミソを付けてしまった、という点ではとても残念です。

2020年02月29日 17:49

magokorotorantan 2019年9月4日発売、真心ブラザーズ初のセルフカバーアルバム。全12曲収録。CDのみの通常盤、CD+MV他を収録のDVD付きの初回限定盤、CD+ドキュメントDVD+Tシャツをセットにした特別生産限定盤の3種販売(CDの内容は同一)。本レビューで扱うのは通常盤となります。

 デビュー30周年の企画として、公式サイトでこれまで彼らが発表してきた全268曲を対象とした「真心全曲総選挙」が行われ、投票結果のTOP10楽曲、加えてボーナストラックとして代表曲「どか〜ん」もセルフカバー、さらに新曲「はなうた」を収録。セルフカバーにあたっては近年演奏を共にするLow Down Roulettesを中心に、東京スカパラダイスオーケストラ、奥田民生、サンボマスターなど、彼らと縁のある面々がフィーチャリングアーティストとして招かれ、それぞれの個性で真心30周年を彩っています。

 今回の選曲の中で一番古いのはデビューシングルの「うみ」(とそのc/wの「恋する二人の浮き沈み」)、一番新しいのは活動休止前の2001年のシングル「この愛は始まってもいない」。2005年の活動再開の後の曲は一切選ばれない投票結果に。これは昔の曲ほどセルフカバーで聴いてみたいというファン心理なのかも。更にこれまでに数点リリースされてきたベストアルバムに収録されているような曲は全体の半分程度。シングル曲がチラホラと入りつつも、「拝啓、ジョン・レノン」や「サマーヌード」などの名刺代わりの楽曲は選ばれず、全体的にコアなファン寄りのラインナップ。それだけ熱心なファンが多数投票に参加したのかもしれませんが、ライト層への敷居はかなり高めで、セルフカバー=一般的なベスト選曲的な要素はあまり感じられないのが正直なところ。

 とは言え、過去の彼らの楽曲を現在の彼ら+ゲストの感性によって再構築された演奏は素晴らしいの一言。スカパラ参加の「愛」ではゴージャスに、奥田民生がドラムとアコギのみならずボーカルでも参加した「素晴らしきこの世界」では熱いスリーピースロックを、古くから彼らを支える真心バンド・MB'sを迎えた「JUMP」のバンド感など、原曲よりもパワーアップしたナンバーが目白押し。極めつけはデビュー曲の「うみ」。この曲はメンバー二人のみの演奏で、その点では原曲と一緒なのですが、演奏、ボーカル共に「30年経過した良い意味での枯れ方」が良く分かるセルフカバーになっていました。ちなみに個人的なベストトラックはより一層の暖かみ(寂しい曲なんですが・笑)が増した「この愛は始まってもいない」

 歌詞ブックレットの中には、1曲1頁構成でYO-KING、桜井秀俊が座談会的に楽曲の当時の制作裏話、セルフカバーにあたってのコラボ相手の選出経緯などを語っている読み応えのあるライナーノーツが掲載。これも含めて「これまで真心を応援してくれたファンへの贈り物」的な要素が濃い目の作品。彼らの昔の楽曲にあまり詳しくないリスナーへは、既発のベスト盤を聴いて気に入った曲がこちらにも収録されていたら是非どうぞ、という感じでしょうか。

2019年10月19日 22:57

gundamsongcovers 2019年8月7日発売、「機動戦士ガンダム」シリーズ生誕40周年を記念して企画された森口博子のカバーアルバム。全11曲収録。初回プレス盤はスリーブケース付き。またLPダブルジャケット仕様の数量限定生産盤も同時発売。キングレコードによる本作の特設サイトはこちら。

 2018年にNHK-BSで放送された「全ガンダム大投票」の「ガンダムソングス」投票で、彼女のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」(「機動戦士Zガンダム」後期OP)が第1位を獲得。本作はこの投票結果第1位から第10位までの楽曲をカバーし、順番に並べた10曲+ボーナストラックとして「宇宙の彼方で」(「機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV」ED)をオリジナル音源で収録した構成。なお、特に発売前に公表などはされていませんでしたが、本作のサウンドプロデュースはDEENの元プロデューサー・時乗浩一郎が担当。氏自身がアレンジを務めていたり、恐らく彼の人脈と思われるストリングスチームやリズム隊の起用がチラホラ見受けられるのを歌詞ブックレットの各曲のクレジットで確認。ここで彼の名前を目にするとはちょっと驚き。

 各楽曲の演奏には押尾コータロー、塩谷哲、TSUKEMENなど、音楽ファンには名の知れた面々が参加。押尾のギター一本で歌う「哀 戦士」、原曲のテクノポップを別の解釈で蘇らせた「JUST COMMUNICATION」、森口の多重コーラスによるアカペラ録音「めぐりあい」などが特に出色。森口の持ち歌である「水の星へ〜」、「ETERNAL WIND 〜ほほ笑みは光る風の中〜」はセルフカバーになりますが原曲を尊重し、現代風に生音中心に進化させた感じ。総じて比較的アコースティック色があり、バンドスタイルの曲でもそんなにガンガン鳴らさないアレンジになっているので落ち着いて聴ける1枚。森口のボーカルも安心安定で、特に前述のセルフカバー2曲に関しては原曲と比較しても歌の表現力に磨きがかかっているような印象を受けました。

 歌詞ブックレットには森口のガンダム作品との関わり、各楽曲ごとの詳細なセルフライナーノーツなどがびっしりと掲載。いちガンダムファンにとりましては単なるカバーアルバムで終わらすのではなく、制作の秘話(?)まで語ってくれるサービスぶりには感服。人気投票の結果ということもあり各楽曲の良さも折り紙付きということもあり、新旧ガンダムファンに一度手に取ってもらいたい佳作でした。

2019年07月20日 17:21

mrchildrenjyuuryoku 2018年10月3日発売、Mr.Children通算17枚目のオリジナルアルバム(ライブアルバム、カップリング集を含めると通算19枚目)。前年リリースのシングル「himawari」、2018年年明けリリースの配信シングル「here comes my love」を含む全10曲収録。販売形態はCD1種のみ、初回生産分の封入特典として収録曲のMVが視聴できるプレイパスが封入(視聴期限は2019年4月末まで)。

 3年半前の前作ではデビュー以来常にプロデューサーとして楽曲制作に携わってきた小林武史から離れた曲を既にリリースしていた彼ら。迎えた本作のクレジットはProduced by Mr.Childrenと冠され、初の完全セルフプロデュースアルバムということに。演奏クレジットにも小林の名前はなく、鍵盤演奏やストリングスといったメンバー以外のバンド演奏の担当楽器の顔触れは新旧入り混じっている状態に。本作でも多数のミュージシャンが参加していますが、特に00年代後半から10年代初頭にかけての「バンドを覆ってしまう過剰なまでのキーボードやストリングスの多用」は前作同様抑えられ、ピアノがメインで始まる曲でもバンド演奏を食わない程度、ストリングスも時折奏でられる印象的なフレーズが耳に残る程度、と長年懸念(?)されていた不満要素もセルフプロデュースになったことで分かりやすく解消された印象。

 ということで新たな一歩を進む彼らですが、今回の楽曲群はというと、これまでに比べるとかなり普通…と言いますか、リード曲としてMVも制作された「Your Song」を筆頭に、一般認識的なミスチルらしさの枠からはみ出さない優等生っぽい曲が続くなぁ、という感想。これまでの彼らと言えばブレイク以降、陰鬱で内省的な雰囲気だったり、ダーツでコード進行を決めるなど混沌とした要素を注入したり、かと思えば消費音楽と呼ばれることを逆手にとったようなカラフルなアルバムをリリースしたりと、膨大なセールスをあげるが故に大勢のファンの間で色々と賛否両論を巻き起こしてきたと思うのですが、そこからは一歩退いて、「まずは完全新体制のミスチルで10曲作ってアルバムにしてみました」といったところでしょうか。もちろん楽曲制作のレベルが前作より劣っているということはないのですが、アルバム紹介文などでの熱い煽り文と比べるとアレ?思ってたより地味…という点は否めませんでした。

 なお、本作は50分足らずという、ミスチル史上稀な総演奏時間の短さですが、今回の作風で従来通りにもう3〜4曲いかれると正直しんどかったかもしれないのでこの路線だとこれぐらいの案配がちょうどいいのかも。日本の音楽界的にも大御所的ポジションを得て落ち着いた…という表現は相応しくないかもしれませんが、そんな感じのアルバムではありました。次回作(何年後になるか分かりませんが)はもう少しリスナーをハッとさせるような要素を期待したいところです。

2019年06月23日 22:36

mllcover 1995年5月1日、シングル「Man & Woman」でデビューしたMy Little Lover。最初期はakko(Vo)と藤井謙二(G)の二人編成、同年末にプロデューサーの小林武史(Key)が加わり三人組で活動を続けていましたが、2002年に藤井が、2006年に小林が脱退して現在はakkoのソロプロジェクトになりマイペースに活動中。今回の「CD Review Extra」ではこれまでにリリースされたベストアルバムを1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2019年06月01日 18:23

magokoroinner 2018年9月5日発売、真心ブラザーズ通算16枚目のオリジナルアルバム。初回限定盤は全11曲+MV、ライブ映像を収録のDVDが同梱。通常盤はボーナストラックとして2曲を追加した全13曲。なお、本編11曲を収録したLPアナログ盤も同年9月26日に発売されています。本レビューは通常盤を。

 前作と同様、真心の二人+岡部晴彦+伊藤大地の4人編成によるLow Down Roulettesでスタジオ一発録りのモノラル録音制作を本作でも踏襲。前作は完全に4人の音のみで構成されていましたが、今回は録音後に奥野真哉のキーボードを重ねた曲や、「バンドワゴン」ではトランぺッターを招くなど変化があり、これらの音色により適度にバンドサウンドに色が加わり楽曲に彩りが備わったという効果を上げています(特に序盤の曲でのピアノの音がかなり効果的)。インタビューによると、今回は一発録音の部分はほぼ打ち合わせなしのぶっつけ本番録音だったらしく、演奏者のスキルがかなり問われるライブ感溢れる現場だったようで、多少演奏は粗いと感じられる部分はあるものの、良い意味で「真心らしい整ってなさ」を感じさせるのはプラスポイント。

 本編の11曲中、飛び抜けてインパクトのある曲は冒頭に配置され、彼らにしては珍しい6分を超える曲で、トーキングロックの体裁で語るように歌う「メロディー」。MVも制作されリード曲扱いのこの曲にいきなり感動を覚えた後は、適度に力を抜いたナンバーが続いて、「ああ、いつも通りの真心」と思うわけですが(笑)、長年行動を共にしている愛車への想いを綴った桜井歌唱の「Z」、「木がそこにある」と繰り返すのがメインのYO-KING歌唱の、その名も「木」、桜井のエレキギターソロが炸裂する4人編成でのインストロックナンバー「ギター小僧」など、バリエーションも結構豊か。アルバムタイトルを訳すと「内なる声」ということですが、特に重たい風刺や世の中への不安を叫ぶ手段としての歌詞ではなく、「心に思ったことを思うままにちょっと書き出してみた」というカジュアルさが好印象でした。

 通常盤のボーナストラックには桜井・YO-KINGがそれぞれ詞曲を書いてリードボーカルを取った「みみ」「ズル」が収録。とはいえ通常のバンド演奏ナンバーで演奏時間も3分半前後という体裁なのですが、どちらもちょっと何を考えて書いたのか分からない謎の歌詞が乗る不可解なナンバー(笑)。言葉の反復がクセになりそうな一品で面白いといえば面白いのですが、本編でスッキリ終わっていたほうが収まりが良かったと思うのでファンサービス…にしても初回盤に入れておけばよかったのでは、と思ってしまいました(苦笑)。

2019年02月11日 15:28

moriguchibest 今年初の「今週の1枚」は、本ブログではちょっと珍しいタイプのシンガーの作品で始めたいと思います。1995年11月22日発売、当時も今も歌手としてよりもバラエティタレントとしての露出で有名(?)な、森口博子の通算4枚目のベストアルバム「Best of My life -Moriguchi Hiroko Single Selection-」をご紹介。

 90年代前半から中盤にかけて、バラドル(=バラエティアイドル)としての活動全盛期を迎えていた森口博子ですが、元々は純粋なアイドルシンガーとして、1985年にアニメ・機動戦士Zガンダムの主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。この曲はアニメ人気と相俟ってヒットになったのですが、その後の作品はセールス的に低迷していたこともあり、徐々に歌手としてではなく、バラエティもこなせるアイドルタレントとしての活動にシフトし、一定の知名度を上げてきた1991年、再びガンダムシリーズの映画主題歌として「ETERNAL WIND 〜ほほ笑みは光る風の中〜」が起用され、現在に至るまでの本人の最高売上を記録。この時は曲の良さも勿論ありますが、ガンダム人気+森口の知名度との相乗効果もあったロングセラーだったと記憶しています。その後は90年代中盤を過ぎる頃までは大きなヒットはないものの、シングルで10万枚程度をコンスタントに売り上げ、「夢がMORI MORI」という看板番組を持つなど、歌手としてもタレントとしてもバランスの良い活動を続けてきました。そして満を持してリリースされた本ベストは、彼女がこの時点まででリリースしてきた全20枚のシングルの中から15曲を選曲し、リマスターを施した、タイトル通りのシングルセレクションとなっています。

 ざっと内容を紹介すると、収録順は時系列ではなく、緩急の流れを感じさせる曲順。冒頭に車のCMソングとしてオンエアされ自身の2番手ヒットとなった「もっとうまく好きと言えたなら」を配置、続いてDual Dreamとのコラボシングル「Let's Go」広瀬香美からの楽曲提供で広瀬自身もカバーした「LUCKY GIRL 〜信じる者は救われる〜」と、まずはアッパーチューンで攻め。前述の「水の星〜」を通過した後はミディアム〜バラードゾーンへ。1986年作品なのでやたら声が若い「Still Love You」、80年代末リリースにしてアーリー90'sサウンドを予感させる(?)「夢の合鍵」などでしっとりと聴かせた後、当時PRINCESS PRICESSの奥居香が提供した「スピード」から曲名通りに加速。現在は日本を代表するアレンジャーとして名を馳せる本間昭光のほぼ無名時代の編曲作品「誘惑してよね夏だから」(ラテン風)「あなたのそばにいるだけで」(アロハ風)を経由し、最大ヒットのバラード「ETERNAL〜」、最後に当時の最新シングル「あなたといた時間」で締めるという、ライブを意識した構成が光っています。

 さて、このベストを聴いて思うことですが、森口博子はデビュー時から当時に至るまで、かなり良質の楽曲を提供してもらっている…というか、制作スタッフにかなり恵まれているのが、上述の提供関係者を挙げるだけで一目瞭然。まあDual Dreamも広瀬香美もかなり自身の作品に寄せている感じだし、奥居香提供の「スピード」「ホイッスル」の2曲に至っては生バンドアレンジということもあり、ボーカルを奥居にすればまんまプリプリじゃん、という感じで(笑)提供者寄りの楽曲カラーになっている点は否めないのですが、森口のボーカルはあまり特徴的な声質ではないものの、当時のアイドルの中では上手い部類に入り、与えられた曲にはバンドサウンドから打ち込みバラードまで、順応性をもって対応できているところは好印象。秋元康が作詞を手掛けた「夢がMORI MORI」などは今回改めて聴いて何なんだこの歌詞?!と思ったのですが(苦笑)彼女が元気気味に歌うと許せてしまう雰囲気を作っていけるのは築いたキャラクターのおかげでしょうか。また、同じレコード会社繋がりなのでしょうが、「ETERNAL〜」を提供し、93年には正式に歌手デビューを果たした西脇唯が関わった楽曲(本作では5曲収録)は秀逸なものが多く、提供作家としての西脇の実力もしっかりと見せつけられました。

 全20枚のシングルのうち、漏れた5曲はいずれも90年までの作品(91〜95年のシングルはすべて収録)ということもあり、良い意味での「90年代中盤までのJ-POP(ガールポップ)の幕の内弁当」的な本作品。ちょうど「夢MORI」終了直後のリリースということもあって、彼女の活動全盛期のひと区切り、という感じだったのでしょうか、以降はシングル・アルバムリリースとも落ち着き、アニバーサリー的なベストアルバムを連発するようになってしまうので歌手活動としては第一線を退いた感があり、森口が歌手としてコンスタントに活動していた、というのをリアルタイムで知る世代というのも筆者ぐらいの年代がもしやギリギリ…?という感覚に時代の流れを感じてしまいますが、数ある彼女のベストアルバムでどれか1枚、と言われれば、現在中古屋で結構安く買えるということもありますが(汗)、良質のポップスが約70分にわたってぎっちり詰め込まれた本作を強くお薦めいたします。

2018年09月30日 17:48

smiling1 1990年にデビューし、今年で活動28年目を迎えた現在も日本のミュージックシーンに確固たる地位を築いている槇原敬之。定期的にレーベル移籍を繰り返していることもあり、移籍後に非公認とは言わないまでも、レコード会社主導のベストアルバムがかなりの数リリースされている、というのは実績あるベテランとしてはかなり異色だと思うのですが、今回の「CD Review Extra」では、彼がデビューから1996年末まで所属したワーナーミュージックからソニーに移籍した後、ワーナーからリリースされた全ベストアルバムをレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2017年11月12日 18:01

magokoroflow 2017年9月13日発売、前作から2年10ヶ月ぶりとなる真心ブラザーズの通算15枚目のオリジナルアルバム。2015年に渡辺美里に提供した「鼓動」のセルフカバーを含む全12曲収録。初回盤にはリード曲「レコードのブツブツ」のMVに加え、今年の5月に開催された真心企画イベント「マゴーソニック2017」のライブ映像から3曲を収録したDVDが付属。またタワーレコード限定でLP盤も同時発売されています。

 前作、そして本作との間にリリースされたカバーアルバム同様、レコーディングはLow Down Roulettes(真心二人+ベース岡部晴彦+ドラムス伊藤大地)の四人で行われており、今回はゲストミュージシャンは入れずに完全に四人のみで作り上げられた一発録音モノだそうです。インタビューによると60年代ロックの雰囲気を出したい、ということで全曲モノラルでのミックスを行った、とのこと。

 収録楽曲はミディアム〜バラードの曲がほとんどで、アップテンポの曲はカントリー調の「アイアンホース」ぐらい。前作でのロックバンドとしてのダイナミズムに溢れた「バンドやってるぜ!」的な演奏はほぼ皆無。曲調もYO-KINGがボーカルをとる朗々とした曲が大半を占めているので、前作路線とは一転して一気に地味な雰囲気になったわけですが、モノラル録音ということで入れる音を意図的に減らし、勢いよりもアンサンブル部分の熟成を意識した聴き心地は悪くないです。歌詞のほうは「光るひと」「黒い夜」のような抽象的なモノローグだったり、「雲の形が変化をした」「その分だけ死に近づいた」のような深い意味ありげな歌詞だったりと難解度がアップしていて、失礼ながら「真心ってこんな文学的だったっけ?」と思ってしまうほど(笑)。

 総じて全体像としては内省的。パブリックイメージとはちょっと異なる真心が聴ける1枚。筆者としては桜井秀俊ボーカルによる鉄道をテーマにした「アイアンホース」のようなコミカル&アッパーな曲がもう1〜2曲あればエンタメ的なバランスが良かったかな、とも思いました。

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