CD Review ナ行

2018年07月22日 14:05

keizo1 池田聡のバックコーラス、アイドル歌手への楽曲提供を経て、1991年3月にメジャーデビューを果たした中西圭三。「Choo Choo Train」や「タイミング」など提供作家としてのヒット曲を持つ彼ですが、基本的にはソングライター&ボーカリストとして90年代を通して主体的に活動を続けていました。今回の「Artist Archive」では、そんな中西の活動全盛期にあたる1991〜1994年までの全アルバムをレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2016年10月11日 22:19

keizo25 2016年9月7日発売、中西圭三のデビュー25周年を記念してリリースされた2枚組ベストアルバム。全30曲をリマスターして収録。初回限定盤には初商品化となる全11曲のMVを収録したDVDが付属。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 1991年にデビューし、90年代に男性ポップスシンガーとして活躍、その後は提供作家として地道に活動を続ける中西圭三。ベストアルバム自体はこれまでにシングルコレクション2作、セルフセレクション1作、レーベル主導と思わしきベストが2作と、既に5作がリリースされていますが、本作は彼の25年間の活動をレーベルの垣根を越えて選曲し、基本的に時系列順に並べられたオールタイム・ベスト。各ディスクのラストには新曲が収録されています。なお、これまで彼の作品はパイオニア、ユニバーサル、VAPなどからリリースしてきましたが、今回は今まで個人名義としては一度も関わりのなかったワーナーミュージックからの発売となっています。

 Disc1はデビューから1995年までの楽曲を収録。出世曲「Woman」、代表曲「Ticket To Paradise」「You And I」「眠れぬ想い」「非情階段」など、小西貴雄とタッグを組んでいた活動全盛期の楽曲がズラリ。ダンスビートを基調にしたこの頃が今でも中西のパブリックイメージであると思われますが、「Kiss,Merry X'mas」以降、佐橋佳幸をアレンジャーとして迎え、「SO BAD」などのアコギを前面に押し出した時期の楽曲も収録。この路線、当時はちょっと馴染めなかったのですが、今聴くとこの時期の楽曲も改めて良さを感じられました。

 Disc2は1996年から現在に至るまでのセレクション。小田和正をアレンジャー&コーラスとして迎えた「次の夢」、大御所シンガー、ピーボ・ブライソンとのデュエット「What I Do For Love」、ブレイク前のゴスペラーズをゲストに招いた「WITH」など、コラボレートやバラードシンガー的な側面が目立ってきた時期から、「Choo Choo Train」「タイミング」「ぼよよん行進曲」という提供曲のセルフカバー、AOR要素満載の「Twilight Stream」、死別を歌ったバラード「風雅」など、多種多様な楽曲が選ばれています。後半はリリース時期が飛び飛びになっていることもあり、Disc1ほどの統一感は感じられませんが、彼自身が作詞を手掛けた活動後期の曲も多く含まれており、詞曲を手掛けるソングライターとしての手腕も大いに感じられる内容になっています。

 新曲は全部で3曲。「Goods for you.」「美しい唄」はこれぞ往年の中西節の美メロバラード。「千年の誓い」はケツメイシのRYOをフィーチャリングしたEDMナンバーで現代の音楽シーンに寄せた作品と、ある意味両極端の楽曲を配置。だいぶ待たされた(苦笑)新曲ですが、どの曲も好印象の仕上がりでした。

 欲を言えば車のCMソングに起用された「Precious Love」や、「MUST BE HEAVEN」「HIGHER SELF」などのドラマ関連のシングル曲、現時点での最新アルバム「I'm home」からも選曲して欲しかったところですが、それを言い出すとキリがないので省略(笑)。2000年代突入以降はリリースペースが極端に落ち、かつてのように音楽シーンに頻繁に顔を出す機会も減ってしまいましたが、相変わらずのソウルな歌声やメロディーメイカーぶりの健在を堪能できる、お薦めベストアルバムです。

2014年01月25日 12:54

nagaigold 管理人お薦めの1枚をピックアップするコンテンツとして、ブログ開設当初から続けてきた「今週の1枚」。昨年は1年間で2枚しか紹介できなかったという事態を反省して(苦笑)今年はもうちょっと更新の頻度を上げていきたいと思っております。そんな中、今回は珍しくベストアルバムを選出。2011年8月17日にリリースされた、永井真理子の全シングル34曲をCD2枚組に収めた「GOLDEN☆BEST」をご紹介します。

 永井真理子…と聞けば、80年代後半から90年代の音楽シーンをリアルタイムで体験した方なら「ああ、懐かしいなぁ」と思うことでしょう。一方、2000年代以降の音楽ファンからは「(作詞提供などで)名前は知っているけど…」という反応になってしまうのは仕方のないことでしょうか。彼女は1987年にファンハウス(現アリオラジャパン)よりデビュー、80年代末から90年初頭にかけてブレイクを果たし、当時黎明期だった「ガールポップ」の第一人者として人気を博したシンガーです。1993年に結婚、1997年に東芝EMIに移籍し、2003年にオーストラリアに家族で移住。その後は自主レーベルにて長めのスパンで音楽活動を続けているそうです。本作はそんな彼女がファンハウス〜東芝EMI時代(自主レーベル以降はシングルのリリースなし)に残したシングルA面曲を時系列順に網羅。90年代に活動全盛を迎えたアーティストにありがちな、移籍に伴う非公認ベストも数多く発売されている彼女ですが、今回の「GOLDEN☆BEST」企画にあたっては、どうやら本人公認となっているようで、歌詞ブックレットの最終ページには本人からのメッセージが寄稿されています。そんな彼女の「シングル史」を振り返ってみたいと思います。

 まずDisc1、「Oh,ムーンライト」でデビューを果たし、ポップなサウンドをバックにボーイッシュスタイルで元気に歌い上げる…というのが初期の彼女のパブリックイメージ。「瞳・元気」「Ready Steady Go!」といった佳曲がこの時期に登場していますが、80年代後半のこれらの最初期の曲はシンセ音を重ねまくったアレンジが中心で、今聴くとかなり時代を感じさせる点は否めないでしょう^^;。まあこれは予想の範囲内。予想外だったのは彼女のヴォーカルで、てっきり「元気全開、ファイト一発!」みたいな(←何だそりゃ)背中をバシバシ叩く系のパンチのある歌声が炸裂…と思いきや、張りのあるヴォーカルの中に若干の哀愁のようなものが漂っており、単にガンガン行くぜ!というだけの歌い方をしていなかったのが新鮮な驚きでした。
 サウンド的に垢抜けてくるのが9枚目のシングル「ミラクル・ガール」辺りから。アニメ「YAWARA!」のオープニングテーマに起用され、知名度を一気に上げて以降、佐野元春が詞曲を提供した「White Communication〜新しい絆〜」、シングルでは初めて自身が作詞に名を連ねた「23才」、元気で前向きなキャラクターとして象徴的な「ハートをWASH!」などを次々とヒットさせており、この時期(89〜91年)の楽曲は今聴いてもブレイク直後の勢いを感じることができます。

 意外にも(?)最大ヒットであるバラード曲「ZUTTO」「やさしくなりたい」「泣きたい日もある」と、ミディアムも歌いこなし、徐々にシンガーとしての幅を広げてきた感のある彼女が、デビュー当時から続いていた金子文枝のプロデュース、根岸貴幸のアレンジから突如路線を変更し、セルフプロデュースに踏み切ったのは1992年、18枚目のシングル「Chu-Chu」から。シンセを中心とした旧スタイルから、エレキギターを中心に据えたロックスタイルへと劇的に変化し、ロングヘアーに70年代的ファッションという出で立ちでCDジャケットに登場するなど、ファンの間でも賛否両論が渦巻きまくった時期にDisc2では本格的に突入。永井真理子本人が作詞し、作曲は彼女とバックバンドのギタリスト・廣田コージ(=COZZi、後の旦那で編曲も担当、さらに後にYUIに楽曲提供)の共作、というクレジットがファンハウス末期の1995年まで続きます。
 この時期のシングル曲は、明らかに今までの「ポップでポジティブ、ボーイッシュな永井真理子像」を破壊しようとするアプローチが続き、「HYSTERIC GLAMOUR 2」「Cherry Revolution」なんて絶対ヒット狙ってないだろ!と思うような(苦笑)一般受けを無視した作品が次々とリリースされていったのですが、これが彼女の本当にやりたいことだったのか、新たにやりたくなったことだったのか…というのは判断に困るところで、個人的にもこれらの楽曲を今聴き返しても「う〜ん…」と頭を抱えてしまうのですが、そんな中でも「日曜日が足りない」「飛べないBig Bird」のような佳曲も聴けますし、セルフプロデュース自体のすべてが筆者の肌に合わなかった、とは思いたくないところです。

 その後、出産を経て東芝EMIに移籍した1997年以降になると、ドリカムの中村正人の作曲編曲となった移籍第1弾(29枚目)の「真夏のイヴ」を皮切りに、UKロックへの影響が見受けられる「私を探しにゆこう」、「泣きたい日もある」以来、久々に遠藤響子が登板した「あなたのそばにいて」「同じ時代」など、初期のシンセポップとも、セルフプロデュース期のロックともまた違った一面が新たに見えてきました。自作、提供に拘らずに、アレンジャーを含めて幅広く「音楽」を追求し始めた90年代終盤から2000年代序盤までの作品は、主婦業との兼任もあるのかリリース間隔が飛び飛びになり、セールス的には伸び悩み続けた時期ではありますが、母親になったからなのか母性を増したヴォーカルと相俟って、包み込まれるような柔らかさと強さを感じさせる楽曲が多い印象です。この後は前述の通り渡豪し、更にリリースタームも大きく開いてしまうようになるのですが、このまま日本で活動を続けていたら次はどんなシングルが制作されたのだろうか…と思うことしばしです。

 さて、改めて永井真理子の全シングルを聴いてみて、やっぱり彼女の曲の中で一番好きなのは「YOU AND I」(1992年・16枚目)だな、ということを再確認しました(笑)。この曲、初期とセルフプロデュース期の狭間にリリースされた曲で、オリジナルアルバムにも収録されず(ベストに収録されるのは今回で2回目)ヒット曲にも関わらず不遇な扱いを受けている曲なので、本人もスタッフもこの曲をもっと大切にしてもらいたいです^^;。と、冗談(?)はさておき、全シングル曲を収めた本作は、デビュー、ブレイク、路線変更、試行錯誤、そしてより幅広い音楽性へと徐々に変化していく「永井真理子の15年間」を成長アルバムのように楽しめる作品です。コアなファンならお薦めはオリジナルアルバムから、になるのでしょうが、私はライトリスナーなので、本作で十分お腹いっぱい(笑)。また、Disc2(特に後半)には世間的にはマイナーな曲ながら聴きどころの多い曲が揃っていますので、路線変更で離れてしまったかつてのファンの方にも、機会があれば是非チェックして欲しいベストアルバムですね。

 ちなみに、彼女の近況ですが、昨年、オーストラリアから日本へ帰国したそうです。アーティスト活動としては長年のブランクもあり、家庭のこともあるでしょうし、いきなり活動再開!というわけにはいかないでしょうが、12年振りに35枚目のシングルでもリリースしてくれれば面白いな、と思いつつ、久々の「今週の1枚」を締めさせていただきたいと思います。

2012年03月10日 00:43

keizosteps 「今週の1枚」カテゴリも、いよいよ60回目に向けてリーチです。ここまで来るのに4年3ヶ月かかったのはさておき(笑)、通算59回目も引き続き、J-POP史に足跡を残したアーティストの名盤をご紹介。今回は中西圭三の3rdアルバム「Steps」。1993年3月3日発売。

 中西圭三といえば、かつてブラックビスケッツに「Timing」を、もっと遡るとZOOに「Choo Choo Train」をそれぞれ楽曲提供してミリオンセラーを達成した作曲家、という点で著名ではあると思うのですが、本業はシンガーソングライター。1991年にデビューし、翌年、カメリアダイヤモンドのCMソングとして夜中のテレビで大量オンエアされた「Woman」でブレイク。2ndアルバム「Yell」もヒットして、以降90年代の音楽シーンで活躍、という経歴の持ち主です。後年になると比較的バラードシンガーとしての姿が強いイメージもあるのですが、ブレイク期における彼の音楽的特徴は基本的にブラックミュージック的なアプローチの曲が多く挙げられると思います。路線の近い他のアーティストの名前を挙げるならば、先輩格である久保田利伸の音楽性を、もっと歌謡曲的というか、日本のミュージックシーン向けに特化させた、ポップス寄りの作風といったところでしょうか。例えば前述のアルバム「Yell」は、ギンギンのダンスナンバーが多く、バラードもソウル系でまとめていて、一貫性のある作品ながら、あくまでフロア向けではなく、例えばカーステレオなどでBGMとして聴くのに適したアルバムでした。そういえば、デビュー当時「踊れない人のダンスミュージック」なんていうキャッチコピーが付いたシングルもあったような…(笑)。それほど、耳当たりの良いダンサブルな楽曲が当時は多かったわけです。

 1992年春、「Yell」で一定の評価を得た彼は、その年の夏以降、シングルを立て続けにリリースする戦略をとることになるのですが、ここで切られたシングルは従来の路線とはやや異なり、ダンスミュージックのエッセンスを残しながらもブラスポップに挑戦した「Ticket To Paradise」、ピアノとストリングスで盛り上げるバラード「あの空を忘れない」、一転して親ポップスの「君のいる星」と、音楽性を一気に拡大。そして翌年、再びカメリアダイヤモンドのCMとしてオンエアされたダンスナンバー「You And I」をリリースして、これがまたヒット。以上4枚のシングルを収録した全12曲入りのアルバムが本作「Steps」です。

 筆者は当時、収録シングル曲の予備知識があったので、アルバムの内容もかなりポップな路線が来るのではないか…と予想していたのですが、これが見事に(?)的中。1曲目の「素敵なことは変わらない」から爽やかなポップナンバーが全開で、「Woman」や「You And I」の路線が多く入ったアルバムを期待していたリスナーにとっては意外な内容だったかもしれません。中西圭三のデビューから全面的に作曲、編曲の面で組んできた小西貴雄(今ではすっかりハロプロのアレンジャー陣の一人として有名ですね)とのタッグも脂が乗りまくっていた時期で、ゴスペル風のイントロから気持ちが高まる「Precious Love」や、徹底的なアッパーさが心地良い「みあげてごらん」、翳りを感じさせるミディアム「青い影」など、音域の広さを生かした中西圭三のハイトーンボイスが映えるドラマチックなメロディーラインを核にした、ダンスビートとポップスを上手い具合に融合させた楽曲が満載の1枚です。

 小西貴雄以外のアレンジャーもピンポイントで参加していますが、中でも服部隆之をコンダクターに迎え、壮大なオーケストラの中で歌い上げるラブバラード「手のひら」は白眉。後に「眠れぬ想い」や「次の夢」といった名バラードを生み出した原点がここにあるのかも。この「手のひら」以外の曲は、前作同様リズム隊が打ち込みで、特有の「機械っぽさ」を残した音になっているのですが、それがアルバム全体の音として統一されているのと、中西圭三の「声」のおかげで、カラフルな曲が揃っているものの、散漫な印象は受けません。また、ゲストミュージシャンとして、カシオペアの野呂一生と向谷実、斎藤誠や麗美といった実力派が参加しているのも何気に豪華。特に筆者は斎藤誠のファンでもあるのですが、「夜に火をつけて」では「こんなところで参加しているのか!」という職人的アコギソロを短いながらも聴かせてくれて、この曲を聴く度、その部分になるとニヤニヤしてしまうのです(←おい)。

 また、中西圭三自身が作詞を手がけるのは90年代末以降からなので、本作での作詞は売野雅勇をメインライターに、湯川れい子、川村真澄、佐藤ありす、朝水彼方といったベテランから若手まで幅広い作家陣が担当。どのライターも突出した個性よりも、「中西圭三」のパブリックイメージから逸脱しない範囲での作風でまとめられているのが特徴でしょうか。卒業シーズンを彷彿とさせる「Glory Days」、叙情的な「青い影」が当時から好きな歌詞でしたが、本作のレビューを書くにあたって改めて聴き返したところ、雰囲気重視の「夜に火をつけて」にも当時分からなかった魅力を感じました。まああの頃は筆者は中学生だったし、それだけ年を取った、ということなのでしょうかね(苦笑)。

 4曲のシングルを収めているお得感、ということも手伝ってなのかもしれませんが、本作は彼自身初のオリコンチャート1位を獲得、その後もロングセラーを続け、トップセールスを残したアルバムとなりました。現在では某中古CD屋チェーンで安価で見かけてしまうのが何だか淋しいのですが、多彩なジャンルを収録した本作は、彼の数あるオリジナルアルバムの中でも、特に間口の広いアルバムなのではないかと思います。
 この後は数作を経て小西貴雄とのタッグを解消し、AOR的な方向に向かっていった中西圭三。近年ではNHK「みんなのうた」に楽曲提供を行ったり、「R35」関連の派生イベントライブに出演したりといった活動がメインのようで、新曲リリース等などは控えめの様子。そんな彼の最近の動画を拝見したのですが、かなり横幅が広がってビックリしましたが(汗)ソウルフルな歌声は健在でした。現時点での最新シングル「風雅」も良い曲。今後も地道に活動していってもらいたいものです。

2008年06月11日 22:16

isingnotact 色々あって3日遅れとなりました「今週の1枚」。久々に1980年代のアルバムをご紹介しようと思います。今回のピックアップは西村智博(現・西村朋紘)のファーストアルバム「i sing〜not act〜」。1989年10月5日発売。

 シンガーソングライター、舞台演出、声優、音響監督などなど、マルチな分野で活躍している西村氏。筆者は当時のアニメ作品に出演していた声優として西村氏の声を知ったクチです。その時は別にファンとかそういうわけではなかったのですが(おい)、その後、某ラジオ番組にて流れた彼の歌を聴き、「ああ、あの人シンガーソングライターなんだ・・・」と認識。その時聴いたのがこのアルバムにも収録されている「Step by Step」、そして「リフレイン」という2曲で、何気に気に入りまして、その年の暮れ、これらの曲が入ったアルバムをクリスマスに親に買ってもらったという記憶があります(当時小学生だったんで、ホイホイとアルバム買えるだけのお金などなかった^^;)。

 このアルバムは、西村氏のソロ名義ではあるものの、以前にアニメ作品のイメージソングとして提供した曲の再録や、セルフカヴァーも収録。メインは男女の機微を中心にしたラブソングですが、励まし系の曲や友情をモチーフにした曲もあったりと様々。すべての楽曲を作曲、作詞も「ベスト・フレンズ」以外は彼の手によるものですが、作品の方向性はけっこうバラけています。また、ライブビデオを見る限りではロックスピリッツが根底にあると思われる西村氏ですが、今作では歌を聴かせることを打ち出したのか、曲調やアレンジはフォーク・・・とまではいかないものの、フォークとポップロックの中間のような路線。「時間(とき)」といったどフォーク(?)的なアプローチもあったりします。
 どの曲も音数は全体的に少なく、歌を邪魔しない程度のミックスで、音質的には80年代末期的な、ちょっと時代を感じさせる点は今聴くと否めませんが、西村氏の一度聞いたら忘れられないような独特のハスキーヴォイスと、歌メロの良さもあり、各楽曲とも耳に残る仕上がり。もともとこの人はシンガーからキャリアをスタートさせたそうなので、やはり「曲を作る、歌を歌う」ということは、彼の中ではホームグラウンド的な位置付けにあるのではないでしょうか。今作のアルバムタイトルからも、「役を演じるのではなく、歌を伝えたい」という意気込みが感じられます。セールスはそこそこだったようですが、歌い手としての西村智博の存在を世に示せたアルバムだったと思います。

 ところで、当時筆者は小学生。そんな頃の自分に「夜の祖師谷であなたと〜♪」(「ペ・ペ・ペのペ」)なんていう歌の本当の意味が理解できるはずもなく(笑)、意味も分からず口ずさんでたことを思い出して今、このCD聴きながら苦笑いを浮かべてしまいました(←つーか小学生が買う内容のアルバムでもないような気が^^;)。それとは逆に、「ラブソングはお前に」「フリーディア」といった、失恋の痛手や恋愛がテーマの曲ならば今ならより深く理解できるような、そんな気がします。古いフォトアルバムをめくるような懐かしい気持ちに浸ってしまう自分がここに(苦笑)。

 2008年現在、この「i sing〜」は彼の作品中で最も、当時の音楽シーンを感じる作りになっていて、世相を懐かしみながら聴くのも一つの楽しみ方かと。その後、2枚のオリジナルアルバムと、1枚のライブベストアルバム(←これお勧め)を発売していて、これらの作品群からは少しづつ叙情的にシフトしながらも、音楽的に垢抜けていく西村氏の足跡を確認することができます。90年代中盤以降はソロ名義作品のアルバムリリースを行っていないようなのが残念であり(ライブは時々やっているらしい・・・)、シンガー・西村智博の存在をもっと色々な人に知ってもらいたい気はしますが、あまり宣伝するよりも個人的にマニアックに応援していられたらいいかな、とも思います(二律背反的な心^^;)。またリリース活動が再開したら、ぜひCDを手に取ってみたいアーティストの一人ですね。

2008年04月21日 22:12

imhome 2008年3月19日発売。「ぶらり途中下車の旅」のエンディングとして一年間流れたエンディングテーマ4曲に、新曲1曲をプラスした中西圭三久々のニューアルバム。

 近年では「みんなのうた」に楽曲提供をしたりと、マルチに活動していたらしい圭三氏。オリジナルアルバムとしては「Sunshine Groove」以来約9年ぶり(!)。本当に久しぶりのリリースなわけですが、相変わらずのハスキーボイスは今でも健在。ちょっと見た目ふっくらしてきた感じですが(苦笑)、表現力に衰えは見られません。むしろ中音域の芯に当たる部分が90年代よりも太くなってきて、より優しさが増したような気がしました。
 楽曲面では、作曲のみならず、歌詞も共作を含めて本人がすべて担当。「エンディングテーマ」という枠にこだわらない、軽快なアップテンポあり、ノスタルジックなバラードありの幕の内弁当的な内容。良い意味で「中西圭三らしさ」が良く出ている作品です。
 驚いたのは、2曲のアレンジをZAIN PRODUCTSの池田大介氏が担当しているところ。ビーイングに外注頼んだのかな?思わぬコラボでしたが、相性はなかなかだと思います。

 「R35」コンピのヒットで、彼が活躍していた90年代のヒット曲が再注目されている今、中西圭三を聴いてあの時代を過ごした人達にも、ぜひ聴いてもらいたい1枚です。

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