CD Review サ行

2020年09月05日 15:20

sakaitouch 2020年3月4日発売、さかいゆうの通算6作目のオリジナルアルバム。全12曲収録。初回限定盤はSHM-CD仕様+昨年10月に日比谷野外大音楽堂で開催されたライブの模様と本作のレコーディングドキュメンタリーやMVを収録したDVDが付属。なお、本作から厳選された9曲をアナログ盤で8月29日にリリース。さらに収録曲「Soul Rain」のピアノ弾き語りバージョンのシングルCDと同梱で本作の全曲のインストトラックを収録した「Soul Rain + Touch The World Instrumentals」も6月に限定生産で発売。本レビューはCDのみの通常盤となります。

 昨年1月の前作リリース後、6月、7月に配信限定のリミックス曲を2作リリースした後、8月からは新曲の配信がスタート。その際の楽曲「Journey」は本作には未収録(MVのみ初回盤のDVDに収録)で、以降の「She's Gettin' Married」(9月)、「Dreaming of You」(10月)、「孤独の天才 (So What) feat.Terrace Martin」(11月)を収録。さらにアルバム発売に先行して「21番目のGrace」(2月頭)「Getting To Love You」(2月末)も先行配信されたので、アルバム発売時の未発表新曲は7曲。なお、「21番目〜」の配信時よりユニバーサルミュージック内のオフィスオーガスタ専用レーベル・newborder recordingsに移籍しています。

 国内・海外問わずのミュージシャンを招いて制作された前作と異なり、本作はさかいが世界を旅しながら海外のミュージシャンとのレコーディング(ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンパウロ)を重ねて作り上げたとのこと。だからというわけではないのでしょうが、英語曲(一部日本語が混じっている曲も含めて)は4曲と多め。どの曲をどこの地域で誰とレコーディングしたのかは歌詞ブックレットのクレジットで詳細に記載されているので判別可能ながら、その地域独特の音が色濃く出ているか?というのところまでは正直分かりませんでしたが、どの曲も日本の(いわゆる世俗的な)ポピュラーミュージックからはかけ離れた音、フルートやサックスなどの金管楽器をフィーチャーしたソロの上質さ、そして全体に漂うきめ細やかなバンド演奏という印象は強く感じました。
 その他、耳を惹いたのは「孤独の天才〜」でのこぶし回しっぽい歌い方や、他の曲でも従来よりもハスキーな歌い方をするなど、表現力が上がっているな、と感じさせる曲が数曲あり、ソングライターやアレンジャー、プロデューサーとして評価されがちな彼の、ボーカリストとしての成長もうかがうことができました。

 ライトリスナーが興味を示しそうなシングル級のナンバーが特になく(強いていれば再録でシングルカットされた「Soul Rain」は結構いい線行ってるような気もしますが)、前作のレビューでも書きましたが、活動を重ねる毎に一般ウケから遠ざかっていくという傾向が更に強まったかな、という感想。所属のオフィスオーガスタの中のみならず、いよいよ日本の音楽界で異色のポジションを築き始めた彼、次の一手はどう出てくるのか期待です。

2020年04月18日 15:15

surfaceon 2019年7月24日発売、通算7作目、復活後としては初となるSURFACEのオリジナルアルバム。全11曲収録。初回限定盤には収録曲「Is life beautiful?」「僕たちの声」のMVとメンバーのインタビューを収録したDVDが付属。また初回限定盤・通常盤(初回プレスのみ)共通でプレイパスが封入。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 1998年にシングル「それじゃあバイバイ」でデビュー、「なにしてんの」「なあなあ」「ゴーイング my 上へ」等々のスマッシュヒットを放ち、90年代末の音楽シーンで存在感を見せていた二人組ユニット・SURFACE。2010年の解散ライブ後は、ボーカルの椎名慶治はソロ活動、ギターの永谷喬夫は楽曲提供やプロデュースなどでそれぞれの道を歩んでいましたが、デビュー20年目の当日を迎えた2018年5月27日のライブで復活。それから約1年を経て、実に11年ぶりとなるオリジナルアルバムのリリースとなりました。なお解散ベストの時はデビューから活動中期までに所属していたユニバーサルからのリリースでしたが、本作は00年代中盤以降に在籍したSONYでのリリースとなっています。

 SURFACEと言えば、キャッチーなメロディーの上に乗っかる椎名の手による本音ぶっちゃけ系な歌詞が個性を放っているのが最大の特徴であると思われ、特に上記の代表曲などからコミカルなイメージを抱くリスナーも多いのではないでしょうか。本作でもその路線は継続。数年前に街で出会った大人の態度に今の自分を重ねてみたり(「Is life beautiful?」)、主人公とその彼女の二人なりの愛の形を示してみたり(「死が二人を分かつまでは」)、自分を仲の良い男友達だと思い込んでいる女性への隠れた想いを綴った「また僕はうなずく」など、日常レベルでの出来事で抱いた心理を分かりやすい言葉で掘り下げていく作風は健在。
 対してサウンドの方は解散前までは割とファンキーな要素も持ち込んだ生演奏主体というイメージだったのですが、本作ではそのエッセンスも残しつつ、「やってみようよ」などではエレクトロっぽいシンセの音なども入れてみたりと若干変化が。解散前と変わらないのはサウンド全体のアプローチが(メンバーの永谷がギタリストにも関わらず)必ずしもギター主体ではない曲も多く、ギター以外の楽器や打ち込みとのバランスの平等性が保たれている点。もちろん「切り拓けマイセルフ」などメロディアスなエレキソロを披露する曲もありますが、1枚を通してのアレンジの幅に関するバランス感覚が優れており、アッパーな曲が多めということもあって最後まで聴きやすい曲が並んでいる印象です。

 一度解散し、ソロを経て再結成したバンドやユニットと同様に、彼らもソロ活動を継続しながらSURFACEとしても活動を続けていく模様。なので活動最盛期の時のような定期的なリリースは望めないとは思いますが、これからも各自ソロと並行して自分達のペースで活動していって欲しいな、と思える「復活の1枚」でした。

2020年01月19日 17:47

sardunderground 2019年9月18日発売、SARD UNDERGROUNDのデビューアルバム。全14曲収録。

 ビーイングの長戸大幸プロデュースの元、ZARDのトリビュートアルバムがデビュー作となった彼女らの経緯はこちら。収録曲全曲がZARDのカバーで、「負けないで」「揺れる想い」「マイ フレンド」の三大ミリオン、「君がいない」「あの微笑みを忘れないで」「永遠」といった代表曲、FIELD OF VIEWに提供し自らもセルフカバーした「突然」「DAN DAN 心魅かれてく」など、ZARDの代表曲がこれでもかと1枚にギッシリ。なお、「きっと忘れない」の歌詞部分の1番と2番のAメロの内容が入れ替わっていますが、歌詞ブックレットの注釈によると第1稿の体裁はこうだったとのこと。ちなみにジャケットはZARDの7thアルバム「TODAY IS ANOTHER DAY」のジャケットを模したものになっています。

 さて、周知の通りZARDは実質坂井泉水のソロプロジェクトで、作編曲、演奏参加ミュージシャンは楽曲によってそれぞれ異なっていたわけですが、SARD UNDERGROUNDはボーカル、ギター、ベース、キーボードの四人が固定のバンド編成(楽器陣はコーラスも兼務のクレジット)。どんなバンド演奏でZARDをトリビュートしているのか…と思いきや、シンセのいかにもな電子音主体にキーボード、ギターソロ以外はほぼ存在感のないギター、特に目立つ出番のないベース、そしてバンドっぽさを感じさせない軽いドラムの音…と、これは以前同じアレンジャー(鶴澤夢人と長戸大幸のコンビ)で制作されたDAIGOのビーイングカバーアルバムと似たようなデジャブ感。また、アレンジと言っても原曲を担当した明石昌夫や葉山たけし、池田大介のオリジナルフレーズをそのまま流用、音色をエレクトロ寄りに変更した+α程度であり、これはトリビュート、カバーというよりコピーじゃないか、と思ってしまう要素が端々に感じられてしまいました。

 ボーカル担当の神野友亜は清涼感のある歌声なのですが、終始ダブルボーカルみたいなエディットを施されているのか、どこか感情の乗り切らない無機質なイメージ(同じビーイング系で例えるなら小松未歩みたいな感じ)に仕上がっているのは意図的なものなのでしょうか。坂井泉水もそんなに感情をグッと込めて歌うタイプではありませんでしたが、それでも両者の間の表現方法にかなりの隔たりを感じてしまったのが正直なところ。

 ZARDの楽曲ではあるものの、「従来のZARD像」という先入観があればあるほど違和感を感じる今回のトリビュート作品。ただ、「負けないで」ぐらいは知ってるけど、ZARDについて詳しく知らない、拘りは特にない、という若い世代が先入観なしで聴いてみるには代表曲が揃っているし興味が沸けば手に取ってもらうのもいいかも。筆者ぐらいのビーイングブームど真ん中世代になるとどうにも…という感じでした。最後にあと一つ、「少女の頃に戻ったみたいに」のピアノの印象的なイントロフレーズをエレクトロどころかスーパーファミコンの初期のサウンドみたいな音で鳴らすのはやめて欲しかった、と、これだけは主張させてください(苦笑)。

2019年09月08日 15:41

yuaresomething 2019年1月23日発売、さかいゆうの通算5枚目のオリジナルアルバム。EP「Fight & Kiss」の表題曲のアルバムバージョン、本作に先行してストリーミング配信された「確信MAYBE」「Brooklyn Sky」「You’re Something」を含む全13曲収録。初回限定盤にはMVやドキュメント映像を収録したDVDが同梱。本レビューはCDのみの通常盤です。

 オフィスオーガスタの若手アーティスト…と思っていたさかいゆうも気がつけば今年の10月でメジャーデビュー10年目。オリジナルアルバムは2年に1枚ペースと比較的ゆったりとしたリリース活動をしながら、楽曲提供やコラボレーション作品への参加、福耳プロデュースなど、ソロシンガーとして以外の活動も盛んに行われた10年だったような気がします。本作は前作より約3年振りのオリジナル。今までも度々あったタイトルに「feat.〜」を表記し、ゲストアーティストと作り上げるコラボ楽曲が、今回の収録曲では全13曲中何と9曲。コラボ相手もギタリスト、トランぺッター、リズム隊からラッパー、作詞家までと幅広く、これまでに培った彼の人脈がフルに活かされたアルバムになっています。

 さてようやく本編に入りますが(笑)、これまでのさかいゆうの、特に初期のポップなイメージを頭に置いて聴き始めると、冒頭「Get it together」のまったり具合から予想外という感じ。特に中盤までの流れは表現するならばミドル&メロウ路線連発、完全英詞の「I'm A Sin Loving Man」や、歌モノの伴奏とは言い難いアプローチの演奏陣が腕を揮っている「桜の闇のシナトラ」など、さかいがこれまで出してきたようなジャパニーズ・ポップスの範疇を超えている曲がたっぷり。これらを経過してやがてラッパーとのコラボ(「SoDaRaw」「Tokyo Loves」)や「Magic Waltz」、先行配信楽曲が出てくる後半はようやく「彼らしい」という雰囲気になってくる感じでしょうか。国内外の名うてのゲストに囲まれていてもさかい自身の個性はボーカルと楽曲プロデュース(編曲)面でしっかり存在感を見せています。

 さかいゆうファンとしては今回も楽しめた、と思う一方、メジャーデビュー時が一番キャッチーで、活動を重ねる毎に一般ウケから遠ざかっていく(=ライトなリスナーが入りにくい)ような懸念もあるのですが、このスタンスのままずっと活動を続けていくことが彼の個性になってくるのかも。なお楽曲ごとにコラボ相手に触れているセルフライナーノーツが掲載の公式特設ページはこちら。今回はとにかくコラボ相手が多数なので聴きながらこれを読むと一層アルバムを楽しめると思います。

2019年05月26日 13:17

sukimahanataba 2018年9月19日発売、スキマスイッチ初のセレクションアルバム。全13曲収録。初回限定盤は収録曲のMVやライブ映像入りのDVD付属+上製本パッケージ仕様。通常盤はカスタムジャケット仕様(CDの収録内容は同一)。本レビューは通常盤となります。

 3〜4年おきにオリジナルアルバムをリリースする傍ら、ライブアルバムや周年ベスト、セルフカバーや外注プロデュースアルバムなど様々なコンセプトでオリジナルアルバム「以外」の作品にも力を注ぐ彼ら。今回はデビュー15周年ということもあってのアニバーサリーアルバムという意味もあるのでしょうか、表題の通り、既発音源の中からラブソングをメンバー自らがセレクトした企画盤として、装丁も含めて豪華仕様でのリリースとなりました。

 選曲は名刺代わりの「奏」「ボクノート」、後にベストにも収録されたことのある3rdアルバムのリード曲的な「藍」、最新アルバムからは某ドラマの主題歌に起用された「Revival」、デビューシングルのカップリング「小さな手」など、リリース年代を問わず幅広く選曲。加えてピアノとボーカルだけの演奏でアルバムに収録され、後にアビイ・ロード・スタジオにてバンドバージョンでレコーディングされ配信された「未来花 for Anniversary」、2008年の大橋卓弥のソロ作品をピアノ+オーケストラ仕様で新録した「ありがとう re:produced by 常田真太郎」の2曲が初CD化。これまでの音源を大体所持しているようなコアファンにも所有欲をそそる嬉しいポイントと言えるかも。

 「パラボラヴァ」「アイスクリーム シンドローム」「ラストシーン」といったシングル曲も適度に散りばめられているのでライトリスナーにもセルフセレクションでよくありがちな「知らない曲が圧倒的に多い」ということはないと思われバランスは良好でしょうか。ただ、ラブソング選集というお題目上仕方がないことかもしれませんが、ミディアム〜バラードの曲に偏り気味で、彼らの音楽的魅力の一部分のみを抽出したアルバムになっているので、スキマスイッチ最初の1枚にこれ、というのはあまりお薦めできないかも、と思いました。

2018年11月18日 11:56

sakaifight 2018年6月20日発売、さかいゆうの通算2枚目のEP盤。全5曲収録。販売形態はCD盤の他に、表題曲のリミックスをプラスしたiTunes Store限定ボーナストラック付きアルバムとしてもリリースされています。

 表題曲「Fight & Kiss」は、さかいのピアノとボーカルに、現在十代後半のリズム隊ユニット・京陸を迎えてのトリオ編成でのファンクチューン。ギターレスですがかなりファンキー、特にうねるベースの自己主張が耳を惹きつけるナンバー。続く「SLOW DISCO」は発売同時期にオンエアされたドラマの主題歌で、タイトル通りスロー、というよりミディアム寄りな四つ打ち曲調。エレクトリックタムらしき音をリフで使用している箇所がインパクトがあり、打ち込みっぽい雰囲気も漂いますが、ベーシックなドラムの部分は沼澤尚が担当しているなど生演奏。かなり淡々としたフレーズを叩いており、何か贅沢な使い方をしているような気も(笑)。

 さかいのアルバムによく入っているような一人多重演奏のバラード「YAORA」に続いては、今年の春にNHKみんなのうたに採用された「父さんの汽笛」。父親が漁師、というさかいのプライベートな部分を、みんなのうた仕様なのかストレートな言葉で綴った暖かいナンバー。汽笛を意識したかのようなサックスやホルンなどの管も交えてのアレンジが光ります。ラストは往年のヒット曲「SWEET MEMORIES」のカバーを通常バンド編成でのスタジオライブで収録。他の曲がだいたい4分前後なのに対し、この曲は何と8分半、という長尺もいいところなのですが、一発録音ならではの緊張感がみなぎる良カバーでした。

 ピアノトリオ、ディスコサウンド、バラードからカバーまで、幅広いさかいゆうのポップスセンスを改めて実感できる1枚。お薦めです。

2018年10月27日 21:24

SUKIMASHINKU 2018年3月14日発売、スキマスイッチ通算7枚目のオリジナルアルバム。シングル「LINE」「ミスターカイト」(以上shinku-kan mix)「リチェルカ」を含む全10曲収録。CDのみの通常盤、シングル曲のMVやインタビューを収録したDVD付初回限定盤、豪華ボックス仕様にライブ映像を収録したDVD付のファンクラブ盤の3種形態での発売。さらに同年11月3日には収録曲「未来花」の配信限定バンドバージョンを追加収録したアナログレコード盤でもリリース。本エントリーでは通常盤のレビューとなります。

 カップリングベストリプロデュースアルバムを挟み、セルフタイトルを冠した前作から早くも3年3ヶ月が経過。発売時のインタビューでは今回は原点回帰を目指した、と語っており、常田のピアノと大橋のボーカルのみでレコーディングされた「未来花」を中盤に据え、ポップで明るい「パーリー!パーリー!」、ミディアムながらアンニュイな空気漂う「ミスランドリー」、詞曲共に切なさ満載の「Revival」など、これまでの彼らの持ち球を改めて繰り出してきたような、良く言えば盤石、悪く言ってしまえば尖った面がほとんどない割と保守的な内容。昨年のリプロデュースアルバムで外部アーティストに自分達の曲を全面的に「スキマ色」を払拭した楽曲に仕上げてもらった反動なのか、本作ではいつもながらの緻密なサウンドメイクで、「安定のスキマブランド」をいま一度作り上げている印象を受けました。

 そういった点では、近作のオリジナルアルバムと比べるとちょっと大人しいかな?とも思うのですが、デビュー時から続く「耐久性の高いポップミュージック」は健在。特にラストに配置された長尺バラードナンバー「リアライズ」を何度か聴いた後に漂ってくるジワジワ感(?)は彼らならでは。前掲のインタビューの発言を読むと、またしばらく当分はオリジナルアルバムはとても出そうにない(苦笑)のですが、一過性の流行に流されず芯を通した活動を続けている彼らのこと、今後ともマイペースに進んでいってほしいものです。

2018年10月20日 20:55

kickupep 2018年5月23日発売、四人組バンドShiggy Jr.の通算2枚目のEP(ミニアルバム)盤。全5曲収録。初回限定盤にはリード曲「お手上げサイキクス」のMVに加え、タイアップ先のアニメ「斉木楠雄のΨ難」第2期の後半オープニングアニメのノンテロップバージョンを収録したDVDが同梱。本エントリーは通常盤でのレビューとなります(曲目は同じ)。

 2012年末より活動を開始し、メンバーの変遷を経て2015年にユニバーサルよりメジャーデビュー、現在はビクターにレーベルを移し、当初の事務所からも移籍しているなど、略歴だけでもこの短い間に色々と動きのあるShiggy Jr.。筆者はこれまで名前は知っていたものの、楽曲は聴いたことがなかったのですが、視聴していた前述のアニメ「斉木楠雄のΨ難」のオープニングで初めて彼らの曲に興味を持ち、この曲がリードの本作を手に取ってみました。

 さて聴いてみた感想なのですが、リード曲(にして筆者目当ての)「お手上げサイキクス」のようなハイテンションなバンドナンバーが目白押し、と思いきや、この路線は本作ではこの曲だけ、というのにまず驚き(笑)。全5曲中、冒頭の「お手上げ〜」と、ライブでの盛り上げナンバー的なラストの「Beat goes on」に挟まれた3曲に関してはミディアム寄りのファンク(エレピの音などは70年代的フュージョンっぽさも)ナンバーで、かなり耳当たりの良い楽曲だったのには意表を突かれました。何だかネットの記事を巡回していると当初は「シティポップ」というカテゴリに括られてそれは本意ではない云々…というインタビューも出てきて筆者は混乱気味なのですが(苦笑)、要はジャンルやカテゴリーに捉われず、自由に音楽を制作しているバンドなのかな、という印象を本作発売時のインタビューを読んで抱いた次第。

 リード曲以上に強烈なインパクトを放つ曲はありませんでしたが、収録曲はどれも個性を感じることのできる楽曲ばかり。ジャンルレスな彼らの音楽を適度な収録時間(20分超)で手軽に楽しめる1枚でした。

2018年01月21日 15:42

lovepeaceandfire 2017年12月20日発売、同年4月にリリースされたファン投票による3枚組オールタイムベスト「Superfly 10th Anniversary Greatest Hits LOVE,PEACE & FIRE」の中から10曲をセレクト+新録の「愛をこめて花束を -Orchestra Ver.-」を収録した全11曲のベストアルバム。

 昨年末の紅白歌合戦での熱唱が記憶に新しいSuperfly。その紅白発表直後にリリースが告知された本作は、大ボリュームの3枚組ベストから代表曲のみを厳選。「愛をこめて花束を」「Alright!!」「タマシイレボリューション」「輝く月のように」などのヒット曲を収録時間50分に凝縮し、Superflyに初めて触れる、あるいはオールタイムベストは重過ぎるけどCD1枚なら…というリスナー向けのライトな内容。上記曲以外にも選ばれたのは大半がシングル(配信シングル含む)曲で、メロディアスなミディアム〜アップテンポという彼女の歌唱力が活きるナンバーが取り揃えられており、コンパクトにSuperflyの魅力を味わえる「腹七分」(?)なベストになっています。

 そんな押し押しナンバーの後でラストに収められた「愛をこめて花束を -Orchestra Ver.-」。表記からてっきりオーケストレーションによるバラードバージョンか?と思いましたが、テンポはほとんど変わらず、ストリングスももちろん入っていますが、トランペットやトロンボーンのような管楽器、クラリネット、オーボエといった吹奏楽器をふんだんに取り入れた編成で、かなり聴きどころのあるアナザーバージョンで、これも一聴の価値あり。

 コアなファンにとっては今回のリリースに関しては、新録の「愛をこめて〜」のオーケストラバージョンが単品で配信購入できるというフォローはあるものの、紅白出場効果での商業的な戦略という意味では賛否両論あったようで。ですが、Superflyは曲単位では知っているけどアルバムまでは…という感じの筆者にとりましては、本作のようなベストはまさに入門編にうってつけ。商業戦略はさておき、ニーズは確実にある作品ではあるな、と思います。

2017年07月23日 18:40

sukimareaction 2017年2月15日発売、スキマスイッチのリプロデュースアルバム。昨年秋に先行的にリリースされた「全力少年 produced by 奥田民生」を含む全13曲収録。メンバーによる全曲解説のセルフライナーノーツが付属。初回生産限定盤はBlu-spec CD2仕様に加え、収録楽曲のオリジナル音源入りのボーナスCDを同梱の2枚組。

 企画盤としては2012年のセルフカバーアルバム「DOUBLES BEST」以来。完全にメンバー二人で作り上げた「DOUBLES〜」とは対照的に、今回は著名なアーティスト達に1曲ずつ原曲を委ね、外部からリプロデュースを行ってもらう、というコンセプトで作り上げられた作品。制作に参加したのは小田和正やORIGINAL LOVEの田島貴男などのベテラン、GRAPEVINEやフラワーカンパニーズなどのスキマスイッチよりも少し上の世代、同世代のTRICERATOPSやSPECIAL OTHERSなど、日本の音楽シーンで活躍する名前が目白押し。なお、アレンジのみならず演奏も基本的にはプロデュースサイドの人選のようですが、当然ながらボーカルを務めるのは大橋卓弥。一方の常田真太郎も楽器演奏に名を連ねている曲もありますが、全13曲中4曲は見ているだけ=watchとクレジットされているのが微笑みを誘います(笑)。

 デビュー当時からサウンドプロデュースユニットとして一部の例外を除き常にセルフプロデュースだった彼らの楽曲を委ねられた外部プロデューサー達は、ほぼ「自分(達)の音」として再構築。TRICERATOPSの「マリンスノウ」はコード進行や一部メロディーを変更。澤野弘之の「Ah Yeah!!」はテンポをぐっと落として地を這うような打ち込みサウンドに生まれ変わらせたり。中でも一番インパクトがあったのは原曲も含めてラップパートを大々的に導入したRHYMESTERの「ゴールデンタイムラバー」。各楽曲をそれぞれのプロデューサーの個性に染め上げた、スキマスイッチ本人達も参加しているトリビュートアルバムのよう。
 また、先述の「全力少年」や、フラカンの「フィクション」、真心ブラザーズの「ふれて未来を」などを聴いてしまうと、「一曲のためにスタジオミュージシャンが集って録音した曲」とは異なる、「バンドマンとして培われた積み重ねのアンサンブル」を良い意味で感じました。確かにこれまでスキマスイッチでもバンドサウンドを鳴らした曲はもちろんありましたが、あくまで彼らは打ち込みや生バンド演奏も含めて自在に動き回れる「ユニット」なんだなぁ、ということも改めて認識させられました。

 ラストに収録されたKANプロデュースの「回奏パズル」は新曲。といってもこの曲は既存の彼らの詞・曲・アレンジの20曲以上の断片的なフレーズをKANが再構築し、一つの物語を持つ曲にまとめてしまった、という意欲作。KANはかつて槇原敬之や浜田省吾の曲を研究したパロディーソングを発表していたのでその手腕を買われた(?)のでしょうか。制作は半年(!)にも及んだそうなのですが、かなりの力作で感動すら覚えるほど。両者のファンでもある筆者にとってはとても嬉しい一曲となりました。
 基本的にはリアレンジ・ベストアルバムという趣で、シングル曲も多くピックアップされており代表曲も多く聴けますが、やはり原曲との聴き比べをする、というのが大方の楽しみ方だと思います。聴き応えのある好盤です。

記事検索
Recent Comments
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Archives
Profile

SASA

  • ライブドアブログ