CD Review ア行

2020年10月18日 13:35

ishikawadenims 1990年9月25日にパイオニアLDCよりシングル「Spirits」でデビューした石川よしひろは今年でデビュー30周年。「二十歳の夜」「明日への卒業」「ENDLESS DREAM」等の代表曲を持つシンガーソングライターとしての音楽活動を軸に、オールナイトニッポンなどのラジオDJ、舞台音楽担当、そして役者としても幅広く活動を続ける彼ですが、ベストアルバムの類は意外と少なく、オリジナル音源を基調にしたベストは全3枚。今回の「CD Review Extra」では、その3枚のベストアルバムを1枚ずつレビュー。「続きを読む」よりご閲覧ください。続きを読む

2020年07月18日 22:14

hzettrioresola 2020年1月1日発売、H ZETTRIO通算5枚目のオリジナルアルバム。本編全12曲に加え、異なるボーナストラックを1曲ずつ収録する「DYNAMIC FLIGHT盤」「EXCITING FLIGHT盤」の2種でのリリース形態。本レビューは「DYNAMIC FLIGHT盤」となります。

 従来の彼らのリリースパターンは「シングル曲を4〜5曲先行配信し、数ヶ月後に未発表の新曲を交えたCDアルバムを発売する」というものでしたが、本作は2019年1月1日の「Journey」を皮切りに、毎月1日に配信シングルをリリース。それが1年分(=12曲)貯まった翌年の1月1日に全曲を網羅し、オリジナルアルバムとして発売、という新しい試みがなされています。「Birds Fly」は再録バージョン、「Z界のテーマ」はハンドクラップを追加したアルバムバージョンというオリジナルとの違いはあるものの、ボーナストラックも含めて全曲が既発曲。

 収録曲は「レソラ」「幻想ノスタルジック」などを筆頭に、基本的にはピアノ+ベース+ドラムスのトリオ編成でのノリの良い曲が多め。曲順は時系列ではなく、アルバムの流れを考えたようで、ほぼベースが主役の「NIRE The Bassman」を序盤に、ミディアムの「Relax Time」を中盤に、途中までは熱量のある演奏なのに最後のほうで緩いラップが入る(苦笑)「Z界のテーマ」を中盤明けに配置。これらはシングル曲ながら「アルバム曲っぽい楽曲」なので、他のキャッチーな曲に挟まれることでアルバムの良い緩衝材になっており、全体のバランスを取るのに一役買っている印象です。元々押しの強い演奏が持ち味(?)の彼らですが、各シングル曲を1枚のアルバムに纏めるにあたって前述の工夫が見られ、緩急の付いた構成で比較的聴きやすいのはポイント高め。
 ちなみに「DYNAMIC FLIGHT盤」のボーナストラックは、1曲目の「レソラ」のライブバージョン。原曲は途中からキーボードが入ってくるのですが、このバージョンは正真正銘のトリオスタイルで演奏の違いを楽しめるトラック。なお「EXCITING FLIGHT盤」には2018年7月の配信シングル「Make My Day」が収録されています。

 …ということでH ZETTRIOの2019年の全音源をCDにまとめて一気に堪能、という点では有意義なアイテム。ただ、せっかくのCDパッケージなのだから新曲を1〜2曲ぐらい入れてくれれば…などと思ってしまうのですが、前述のバージョン違いを考えなければ全曲配信購入済(1曲各200円)の場合の総額とCD1枚の価格はそんなに変わらないし、配信で聴きたい人、CDで欲しい人のどちらかに特別な付加価値を与えるということもなくイーブンで、というのが彼らのスタンスなのかもしれません。
 そんな彼らは2020年に入っても毎月1日の配信シングルリリースを続行。何でも2020年末まで24ヶ月連続配信に挑戦中とのこと。今年は音楽業界でもイレギュラーな出来事が相次ぐ年になってしまっていますが、完遂できることを願っています。

2019年06月15日 18:07

azcook 2019年4月24日発売、通算13枚目を数える東野純直のニューアルバム(セルフカバーを除くオリジナルアルバムでは11作目)。全10曲収録。

 前作から約8年、現在はラーメン屋の店主として厨房に立ちながら音楽活動を継続している東野純直。アルバムタイトルはまさに現在の彼の姿を表したものでしょうか。リリース活動としては昨年8月に3曲入りシングルで久々に再開。本作もシングル同様にキングレコード傘下のインディーズレーベル・Star Radio Recordsから発売されていますが、収録曲にシングル曲は未収録。全10曲とも初出の楽曲となっています。

 レーベルの紹介ページでは「自身の飲食店経営を通して感じた事を楽曲制作に反映し、毎日に活力のスパイスを!愛には甘い言葉を!不条理には怒りの火力を!自身の毎日を音楽に反映した、今までとは全く違うアプローチになっている。」と結構大仰なことが書いてあるのですが、実際聴いてみると従来の路線から大きく転換、ということは正直感じられず、良い意味で安定の東野ポップスが並びます。序盤の「ネガイ」「Mr.cook」は、彼らしいキャッチーなメロディーが魅力的な曲だし、この度初音源化され4曲目に配置された「大地のように」はデビュー当時からテイチク時代あたりまでのライブで演奏されていた曲ということもあり初期の爽やかさを感じさせるロッカバラード。終盤にかけては2000年代以降の作品で顕著だったハスキーボイスを絡めたミディアム〜スローナンバーを並べるなど、これまで辿ってきた彼の音楽性の変遷史をCD1枚にコンパクトに収めた構成で、過去の作品を聴き続けてきたファンには「この曲はあの時期っぽい」的な、何らかの引っかかりを感じることができるアルバム、という印象です。

 筆者としては前述の序盤の楽曲、中盤のロックテイストの「僕が自分であるために」などが特に一押し。一方で制作環境によるものかもしれませんが、昨年のシングル同様、ギター(とベース)以外はバンド風の打ち込みサウンドなので、ピアノトリオ期のコアなファンの我が身としては「このドラムが生だったらもっと良いのになぁ…」と思ってしまう曲もあるにはありますが、これが現在の彼のやり方、ということで納得(?)しています。8年間待たされただけのことはある良盤でした。

2019年05月12日 17:23

inotopia 2018年10月10日発売、同年に結成10周年を迎えた井乃頭蓄音団通算5枚目のオリジナルアルバム。全10曲収録。

 日本のフォークの大御所達からは結構な評価を得ていながらも基本的にはアングラ界隈で活動をし続ける彼らの約2年ぶりの新作オリジナル。ここ数作は松尾、佐藤、加藤の三人が共作を含めてほぼ均等の割合で楽曲作りに名を連ねていましたが、本作では初めてベースの大貫真也が1曲作詞で参加。これによりバンド史上初のメンバー全員が作詞作曲に関わった作品となりました。

 かつてのイノチクといえば歌詞の世界において下世話なエロ路線、自虐路線、電波っぽいユニークな歌詞路線(にカッコ良い演奏が付随する)がセールスポイント(?)だったわけですが、近作ではそれらがすっかりと陰を潜め、例えるならば車でBGMで流しても同乗者がドン引きしない、誤解を恐れずに書くならばマトモな音楽(苦笑)路線を推し進めてきて、特に前作は2作目の「アンゴルモア」、3作目の「タスマニアエンジェル」といった飛び道具的な楽曲がとうとう無くなり正直残念に思っていたのですが、本作ではMVも制作された「THE財閥」で久々のノリが再び。その他の曲では普遍的なテーマを歌う「愛」、声をかけられた相手を思い出せない葛藤をユニークに描いた「佐々木です」、幼い我が子の初恋を朗らかに歌った「息子の恋」など、抒情的であったりユーモラスであったり基本的には近作の延長線上、といった歌詞が並ぶ中、インパクトのある「〜財閥」が良いアクセントになっており、前作よりも各曲一聴して印象に残る曲が多かったです。

 一方、サウンド的には久々にイノチクのストレートなバンドっぽさを感じた1枚でした。これは前作がアメリカーナサウンドを全面的に導入していたので特にそう思ったのですが、本作ではバンドサウンドを軸に、装飾的な要素は加えつつも、各担当楽器でのアンサンブルを重視している感じ。カントリー調の「違う次元に行こうよ」、佐藤・加藤の両ギタリストが長尺のギターバトルを繰り広げる「ナミダナミダ」のような曲もありますが、各曲の演奏分数も3分弱〜4分台の曲が多いなど結構あっさり気味。表出したテクニックよりも歌モノとしての演奏を大事にした、ということなのかも。この辺りはCDデビュー当時の面影を感じました。

 ここまで積み重ねてきた部分に初期の特徴をバランス良くブレンドした、「1周回った感」がある本作。イノチクもすっかり中堅バンドといったところでしょうか。個人的にはここ数作で感じた物足りなさから一歩抜け出した作品だと思います。

2019年02月03日 11:45

askasceneaskascene2
 2018年11月21日同時発売、1988年、1991年にそれぞれ発売されたASKAのソロアルバムをリミックス・リマスター、高音質UHQ-CD仕様で再発したある意味「新譜」の2枚のオリジナルアルバムを今回は1エントリーでご紹介。

 チャゲアスの活動と並行しながらソロ活動を行っていた当時のASKAが、先行シングルを含む新曲+過去に作家として提供した楽曲をセルフカバー、という形でアルバムとしてリリースしていた2枚の「SCENE」シリーズ(シリーズとしては2005年に第3弾がリリースされましたがそちらは純粋なASKAのソロアルバム)。どちらも何度か再発されましたが、リマスター「だけ」をされたのは2005年の1回のみ。今回は「Producer for Remix」という肩書きでASKAの名前が、そしてリミックスエンジニア(2枚とも担当者が別)、マスタリングエンジニア(こちらは同一)の名前がそれぞれ表記。ASKAが監修して各エンジニアが作業を行った、という行程だったようです。ジャケット写真も新撮、遡ること一ケ月前の2枚のベストアルバムと同じデジパックジャケットと、2作品とも体裁は同一。なお、「SCENE」には今回ボーナストラックとして、アルバム未収録だったカップリング曲「大人じゃなくていい」がリミックスされてラストに追加収録で、こちらはCD音源化としては初収録になります。

 そのリミックスに関しては、原盤の演奏を抜き差ししたり、演奏時間を増やしたりするわけではなく、曲のサイズは原型のまま各楽器の鳴り具合や聴こえ方のバランスを変更、一番分かりやすいところではボーカル、ドラムにかかっていたリバーブをだいぶ薄くし、現代風に調整した、といったところ。例えば「SCENE」では「MIDNIGHT 2 CALL」では冒頭の秒針の音をカット、サビのハモリコーラスの音量を上げ、途中から入ってくるエレキギターの音も強めに。「SCENE II」では「けれど空は青〜close friend〜」で全体的にかけられた重厚なリバーブをほぼカットして各楽器の分離をはっきりさせた、などの違いがあります。リミックスといっても極端な変更は一切なく、原盤から時代性を取り除いた、という意味で純粋に音の違いを楽しむアルバムと言えるでしょう。

 ただ、どちらの作品も収録楽曲は全曲ほぼバラード尽くし…という、チャゲアス本体とASKAソロとの一線を引いていた時期らしいアルバムで、これ以降のASKAソロでの「ひとりチャゲアス」状態のアルバムと比べると敷居が高め。「SCENE」では6曲目のタイトル曲あたりで、「SCENE II」では「けれど空は青〜」が2曲目にしてクライマックス感が満載なので、両アルバムとも1枚通して聴くのがちょっと辛い、という感想は原盤もリミックス盤も同様(苦笑)。元々コア向けだったと思われるアルバムなので、直近のベスト等を聴いてASKAソロに興味を持ったライトリスナーが次にこれを聴くのはあまりお薦めできないかも、と思いました。

2019年01月19日 17:40

access8 TMNのサポートメンバーとして実績を重ねていたキーボーディスト・浅倉大介と、彼のソロアルバムでのゲストボーカルでの参加をきっかけに知り合ったシンガー・貴水博之。この二人がユニット・accessを1992年に結成。その後、活動休止、各ソロ活動を経て再始動し、現在は断続的に活動を続けて今年で結成27年目を迎えます。今回の「Artist Archive」では、彼らが最も精力的に活動していたファンハウス在籍期(1992〜1995年、非公認作はそれ以降も)にリリースした全アルバムを一気にレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

2018年11月11日 11:24

ASKAFELLOWS ASKAMADEIN
 2018年10月17日より一般発売が開始されたASKAの2枚のベストアルバムを今回は1エントリーにてご紹介。発売に際してASKA自身が語ったインタビュー記事はこちらから。

 「We are the Fellows」はソロデビューして30年経ったのをきっかけにASKAが直接関与する初のベスト盤として企画され、2018年初頭に行われた公式サイトでのアンケートの上位1位〜13位をランキング順にそのまま収録した全13曲。当初は2018年3月12日より同サイトでの受注のみの販売でしたが、後に一般流通で販売されることもこの時点で言及されており、約半年後の10月17日にチャゲアスの2000年までの音源を販売しているYAMAHAより発売。その際に同時発売として、ASKAが選曲を担当し、提供曲のセルフカバー、新曲を含めた全15曲収録の「Made in ASKA」がこちらもYAMAHAよりリリース。両方とも黒を基調にしたデジパックジャケットに貼り付けられた白い歌詞カード、冒頭に詩の掲載、マスタリングエンジニアを含めて制作スタッフも完全に同一という、一対のプロジェクトの様相を呈しています。

 別々に見ていきますと、ファン投票ベストの「We are〜」は前述の通り順位がそのまま曲順ということで、いきなり冒頭に「けれど空は青 〜close friend〜」「月が近づけば少しはましだろう」という、激重バラードナンバーがワンツーを占めるという事態に(苦笑)。「はじまりはいつも雨」「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」といったASKAソロの二大代表曲、根強い人気の提供曲カバー「伝わりますか」、アッパーな「HELLO」、昨年の復帰第1弾アルバムからも「東京」「と、いう話さ」「しゃぼん」と、タイプの異なる3曲が選出されるなど、ファン投票とはいえマニアックな曲は選ばれず、ASKAのパブリックイメージ(音楽に関しての、です)に沿った選曲が成された模様。ただ、こちらのアルバム制作時にはユニバーサル在籍時の楽曲は使用の許可が下りなかったようで、もし収録範囲の13位内に選ばれていたら本作の発売はできなかったとのこと。また、シングル曲に関しては本アルバムにはシングルバージョンが収録され、「君が愛を語れ」のシングルバージョンはアルバムバージョンに慣れた身としては音の抜き差しの違いには新鮮な驚きがありました。たぶんオリジナルバージョンで聴いたのは25年ぐらいぶりなもので(笑)。

 対する「Made in〜」は、「We are〜」収録曲以外の楽曲からのASKAセレクト。時系列順に並んでいますが、冒頭の「MIDNIGHT 2 CALL」2010年のセルフカバーアルバムバージョンで収録というサプライズが。シングル曲では「ID」「ONE」といった「We are〜」未収録楽曲、またユニバーサル時代の「心に花の咲く方へ」(ファン投票15位)「UNI-VERSE」(同18位)の2枚のシングルもこちらでは無事に(?)収録。その他はASKAが選んだだけあって、世相を描いた「はるかな国から」、やさぐれ感満載の「Now」、スピリチュアル系(?)の「いろんな人が歌ってきたように」など、自身の主張が並んだ楽曲が集められた雰囲気を感じます。とはいえこちらもサウンド的には実験している等のアプローチはないので、詞のテーマの割りには結構ライトに聴けるかな、という感じ。コアなファン向けには新録として1995年に黒田有紀に提供した楽曲のセルフカバー「cry」、新曲の「メリーゴーランド」が聴きどころ。特に地元の友人達との思い出を描いた後者は筆者の心に響くものがありました。

 リマスター、高音質UHQ-CD仕様ということもあり、両方とも定価で買うと合計7,500円を超える…という規格外の価格はちょっといただけないのですが(苦笑)、かつての「ASKA the BEST」を近年の作品までフォローしたオールタイム決定盤ベスト、という意味では理想的な2枚。これからASKAに触れるリスナーには…まずはレンタルなどでお試しあれ。

2018年09月02日 12:40

azashita 2018年8月22日発売、東野純直の通算19枚目となるニューシングル。全3曲収録。

 先日のエントリーでも書きましたが、筆者も参加したデビュー25周年記念ライブの直前に発売された本作。メジャー(1993〜2000年)では15枚のシングルをリリースし、インディーに移ってからはリミックスシングルや会場販売限定シングル、ワンショットでの企画シングルへの参加などがあり正式なカウントはもはや不明なのですが、ここでは公式のカウントに倣って19枚目と表記。2010年のアルバム以来となる久々の音源リリース(CD帯に記載の「8年ぶり」というのは2009年の前作シングルのことではなく、このアルバムのことでしょう)で、インディー以降は決まったレーベルからの発売ではなく色々な発売元を転々としていた感がありましたが、本作は東野がラジオ番組を持つコミュニティ・八王子FMが立ち上げた「スターレディオレコーズ」というキングレコードに販売を委託する新レーベルからのリリースとなりました。

 タイトル曲「明日のシルシ」は地に足を着けたメッセージが綴られたアップテンポでキャッチーなナンバー。楽曲的には王道ポップス路線ですが、意外と彼のシングルタイトル曲ではこういった曲がなかったので結構新鮮。ただし録音は生バンドではなく、ギターのみが生というクレジットがあるプログラミング主体の疑似バンドなので、ライブで披露されていたような音圧を期待して聴いてしまうともう少し迫力が欲しかったところ。
 2曲目の「Master plan」は、CD帯では「キャッチーなメロディーに〜」とありますが、アレンジ的にはどこか「Human Noise」(2000年)の頃を彷彿とさせる尖ったテイスト。歌詞は自らの決意表明のような印象。
 3曲目の「エメラルド」はピアノがアコースティック編成のバンドを引っ張るラブバラード。旧くからのファンにとっては一番耳馴染みのあるサウンドではないでしょうか。間奏のアコギソロが良い味を出しています。

 歌詞ブックレット裏の東野の手書きメッセージもファンにとっては嬉しいポイント。今世紀に入ってからは活動に長期のブランクがあったり、どうにも燻っている感のあった彼がまた本格的に再始動するきっかけになるシングルであれば、と心から思います。

2018年06月02日 22:02

utsumilestones 2018年2月28日発売、宇都宮隆の通算11枚目となるオリジナルアルバム。昨年秋に先行配信された「GET WILD PANDEMIC」のアルバムバージョンを含む全6曲のDISC1、過去の作品からのセルフセレクションを10曲収めたDISC2のCD2枚組。販売はDISC1+DISC2+Blu-ray+フォトブックレットのmu-moショップ/ライブ会場数量限定盤、DISC1+DVD、そして今回レビューのDISC1+DISC2の3形態での販売となっています。

 TMN活動休止直後の1992年にソロデビューを果たしたウツこと宇都宮隆。現在はソロデビュー25周年メモリアルイヤーの真っ最中。前作は2012年にリリース、その間にTM本体の30周年、ユニットU_WAVEのツアー、T.UTU with The BANDを率いてのバンドツアー、歌謡曲カバーライブなどを経て、本作はオリジナルアルバムとしては約6年ぶりとなる作品。なお今回の発売元はTMが現在所属のavexから。これによりSONY系列→Rojam→R&C→KING RECORDSと変遷してきた彼の移籍ヒストリーにまた新たな1ページが加わりました(笑)。

 DISC1の内容は新曲とカバー曲が3曲ずつ。前者はポップロックテイストの「未来へ」をつんく♂が、ミディアムバラードの「境界線を引いたのは僕だ」を尾崎亜美がそれぞれ初提供。録音メンバーも提供者お抱え(?)のミュージシャンが起用されているようで、1曲ずつの完全プロデュース作品の集合体といったところ。後者は「思秋期」「どうにもとまらない」という70年代の歌謡曲をかねてから親交のあるnishi-kenがプロデュース。そして先行配信の「GET WILD PANDEMIC」はTMの代表曲「Get Wild」をT.UTU with The BANDのメンバーの手によるロックアレンジで収録。
 対してDISC2はデビューからこれまでにリリースした宇都宮隆関連(T.UTU、U_WAVE名義含む)の楽曲の中から本人が10曲を選曲したベスト的な内容。とはいってもシングルタイトル曲は「Dance Dance Dance」「FLUSH」「道 〜walk with you〜」「Love chase 〜夢を越えて〜」の4曲と少な目な上に、ソロの代表曲ポジションの「少年」や「discovery」などは選曲されないなど、自選らしいプライベート色の濃い内容のようです。こちらは時系列ではなく緩急をつけた曲順で約50分と、オリジナルアルバム寄りなベスト、という印象。

 さて、本作で改めて感じたことではありますが、曲によってロック調であったり、EDMであったり、アコースティックであったり、ストリングスバラードだったりとバラエティ豊かなサウンドに乗って歌うウツですが、彼の歌声は「そのボーカル力で楽曲を支配する」という声ではなく、「サウンドに合わせて最適なボーカルディレクションを行い、自らの声をサウンドに融合させていく」という声なのではないかと思います。図抜けて高い歌唱力や圧倒的な表現力で勝負するわけではないので、名だたる著名ボーカリスト達と比較すると目立った特徴のない歌声でありますが、故にTMでも様々なタイプの曲を歌い続けてこられたのではないかと。何と昨年で還暦(!)を迎えたウツですが、これからもどうか身体には気をつけて(これは結構ファンにとって切実なので…)独自のスタンスでの活動を続けていってほしいな、と。

2018年05月12日 14:38

az-a ブログ開設10周年を記念して…ということではありませんが、久し振りに新コンテンツを立ち上げました。筆者お薦めの新旧アーティストのカタログアルバム作品を年代を区切ってご紹介する「Artist Archive」。第1弾は今年デビュー25周年を迎えたシンガーソングライター・東野純直のデビューから3年間在籍したテイチクレコード時代の全アルバムをレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。続きを読む

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