DVD/Blu-ray Review

2020年09月12日 20:57

tmclips 2020年8月26日発売、TM NETWORKデビュー35周年のフィナーレ企画として「DECADE 2020 HD REMASTER」と同時にリリースされたBlu-ray映像作品。

 元々はデビュー20周年時の2004年末「All the Clips」としてソニー在籍時代(1984〜1994年、1999年)の公式MVを網羅(1曲に複数あるMVは1バージョン)したDVDとして発売。今回はリニューアル盤としてそのDVDの全編をリマスターしたのに加え、特典映像として、1987年にリリースされた映像作品「Self Control and the Scenes from "the Shooting"」をリマスターし収録。「Self〜」も2005年にDVD化されており(現在は廃盤)、本編共々すべてが既発映像。ブックレットは「All the Clips」を踏襲したデザインに加え、3頁に渡る藤井徹貫のライナーノーツ(といっても本作品には全く触れていないからエッセイ?)、そして今回のリマスタースタッフ一覧が詳細に記載されていて僅かながらバージョンアップを感じさせる内容になっています。

 本編の内容に関しては以前に全曲レビューを行っているのでこちらも参照(今回の発売にあたって一部加筆しました)。リニューアル盤の画質ですが、デビュー当時の作品より1985〜1986年の作品のほうが画像がかなり粗かったり、90年代のTMN期以降は画質が向上していたりと、昨年発売のライブBlu-rayボックス同様の感想で、元の映像の保存状態によって大きく左右されている印象。まあ最新のものでも20年以上前の作品だし、現在の家庭用の平均的なテレビの大きさで「ギリギリ観られる」画質になった、というのが正しい表現でしょうか。個人的には「Rhythm Red Beat Black」で宇都宮隆が顔にうっすら白塗りメイク(?)しているように見えたのは新鮮な驚きでしたが。なお、旧DVDと比較すると、画面に出る白い文字(「Kiss You」「Nights Of The Knife」)の明度が少し落ちた=画面に馴染んだかな?という違いを感じました。

 特典映像は、本編でも収録されている「Self Control」のMV制作時に同時進行で撮影されたと思われるショートムービーが約10分、そしてアルバム「Self Control」の収録曲をBGMに、撮影時のメイキングやオフショットを収めた映像が約15分という内容。ショートムービーはストーリー性は一応ありますが、セリフなどは一切なく、メンバー三人の出番よりも出演している子供達のシーンの方が多いという「Self〜」のMVを素材にしたイメージビデオといったところ。むしろエンドロールの木根尚登の妙な動きのほうが気になりました(笑)。メイキング映像も特にメンバーの意外な素顔が!というサプライズもなく普通だな…という感じでしたが、宇都宮が片足を上げて映る映像(後に「Nights Of The Knife」MVで使用)はここからの引用だったのか、という発見が嬉しかったりしました。

 前述の通り、全既発映像のアップコンバーター版なので、旧盤を持っていないリスナー、あるいは筆者のような重度(?)のファン向けで、DVD盤で満足できる層にはわざわざ買う必要はないかな、というのが正直な感想。なおSONY公式では9月末まで、今回の2作品の発売を記念したWebラジオを公開中。旧知の仲であるアナウンサー・上柳昌彦の進行で宇都宮・木根がそれぞれ当時の裏話を語るなかなか面白い内容です。こういうのを副音声にでも入れてくれれば良かったのに(笑)。ファンの方は公開終了前までに是非ご視聴のほどを。

2020年08月30日 14:24

fovextrarare 2020年5月13日発売、FIELD OF VIEWのデビュー25周年(1995年デビュー、2002年解散)を記念してのベストアルバム。CD2枚組全30曲収録+初の商品化映像を収録した約1時間のDVD1枚の計3枚組。

 2002年末の解散までに公認ベストを3枚、解散後はビーイング主導の非公認ベストを3枚リリースしている彼ら。今回のベストはデビュー25周年を迎えたタイミングの2020年にボーカルの浅岡雄也がビーイングに掛け合い実現した(要約)そうで、通算4作目の公認ベスト作品になります。基本的にシングル集だったこれまでのベストと異なり、未発表テイクのシングル曲に加え、アルバム初収録となるカップリング曲4曲、さらに未発表の新曲を5曲収録という大盤振る舞い。リマスターは勿論のこと、歌詞ブックレット内には4頁にわたって収録曲ごとの浅岡本人のライナーノーツも掲載され、かつてないほど気合の入った内容になっています。

 CD2枚は時系列ではなく、DISC 1は「君がいたから」、DISC 2は「突然」という大ヒットシングルから始まり、シングル曲の合間にカップリングやアルバム曲、そして新曲を適度に配置し、最後はバラードナンバーで締めるという、1枚ずつ完結している流れのある構成。シングルの未発表テイクはデビューシングルの「君がいたから」から「ドキッ」までの5作のシングルになりますが、どの曲も正式採用されたテイクの微妙なミックス違いといった感じで、よほどのコアなファンでなければ違いがすぐには分からないようなバージョンなので、正式テイクとの差異を気にしなくても特に問題ないと思います。むしろテイク違いが公言されなかった「青い傘で」のほうが冒頭から明らかに各楽器のバランスが異なる未発表バージョンだったというのがサプライズではありました(笑)。

 新曲5曲は前述のライナーノーツによると制作時期がそれぞれ異なるようで、浅岡が令和の時代になってから歌詞を書きおろしたと公言している曲あり、編曲クレジットに当時ビーイング在籍だった明石昌夫の名前があったり、録音メンバーのクレジットに新旧ミュージシャンの参加表記があったり…と、どこまで作っていてどこからが今回用に再録音したのかは曖昧。曲調は幅があり、彼らのパブリックイメージ的なバンドサウンドから、活動末期の打ち込みを全面的に使用したナンバーまで様々ですが、歌詞は基本的にひとつのテーマを様々な角度から描いているという意味で統一感がありました。ただ、浅岡以外のメンバーで今回の録音に明確に参加していたのはドラムスの小橋琢人が1曲だけ、しかも担当パートはドラムの打ち込みだったというのが少し残念。彼の生ドラムが響く新曲ももう数曲録音して欲しかったな、と思います。

 DVDは「FIELD OF VIEW 〜the Extra Reflections〜」。各オリジナルアルバムから1コーラス程度のプロモーション映像39曲、さらに「Still」「青い傘で」のライブ映像(2000年開催のライブツアーの映像のようです)を収録。プロモーション映像はこの時代のビーイングにありがちだった「スタジオで作業中のついでに素材的に撮る」というものではなく、ちゃんとロケ地やステージセットで撮影用の衣装も着て演奏している本格的なもの。当時のビーイング情報番組「NO.」あたりで流れた映像ではないかと推測しますが、アルバムの曲までこんなに沢山撮影してたんだ…というのが驚き。「CAPSULE MONSTER」だけは謎のモノクロアニメで1曲のみというのが残念でしたが、解散時のMV集「VIEW CLIPS」との被りも全くといっていいほど無しでコアなファンも満足できそうな内容。あとはメニュー画面と曲目表記があれば完璧でした。そして今回は2曲だけだったライブ映像もまだまだ眠っていそうで、今後何かの機会にでも放出してくれたらな、とも思いました(笑)。

 …ということで結構なボリュームのコアファン向けベストであり、代表曲もほぼ網羅されているとはいえ、いきなり初心者がこれを聴くのはちょっと重ため。これまでのベストを1作聴いて、更に彼らの音楽世界を体験したい、というライトリスナーへ「2作目のベスト」として聴く流れがお薦めです。それにしても解散から約18年、まさかこの時点でここまで凝ったベストが制作されるとは思ってもみなかったし、カップリングの名曲達も長い時を経てようやくアルバムに収録され、さらに新曲多数と、ファンとしては「予想さえしてないギフト」を有難く受け取らせてもらいました。

2020年06月13日 21:50

TUTUDTC 2020年4月21日発売、TM NETWORKのボーカル・宇都宮隆がソロ活動として昨年の秋に開催した「Tour 2019 Dragon The Carnival」のツアーファイナルとなるZepp Tokyoでの11月10日の公演の模様を全曲収録したライブBlu-ray。一般発売とは別に、特典映像等を加えたファンクラブ限定盤も期間限定での受注生産として同時期にリリース。本レビューは一般発売盤(通常盤)となります。

 2019年はTMデビュー35周年…というのは本ブログに来訪されている方は重々ご承知だと思いますが(笑)、現状ではメンバー三人のうち、リーダーである小室哲哉が芸能界を引退しているということもあり、メモリアルイヤーの展開は過去の映像作品集やファン投票のベストアルバムぐらいに留まり、ユニットとしての稼働は無しのまま終わってしまいました。そのフォロー…という言い方も変ですが、宇都宮が「僕なりの35周年」として、ソロ名義でTMの楽曲を取り揃えたライブツアーを敢行。サポートミュージシャンはかなり珍しい編成(前回のツアーからのようです)で、キーボードが土橋安騎夫浅倉大介nishi-kenの3名、ギターが北島健二という、それぞれTMや宇都宮ソロに関わった経験のあるメンバーが集結し、全国7都市12公演(+翌年2月の追加公演)を回ったそうです。

 選曲は各サポート陣のソロコーナーを除くと、全曲がTM楽曲。ツアータイトルの原型でもある「Dragon The Festival」を筆頭に、SONY、Rojam、R&C、そしてavexという全活動年代からの楽曲を万遍なくチョイス。TMのライブでの定番の「Be Together」「Love Train」「Seven Days War」「I am」といったヒット曲・代表曲を要所に配置しながらも、「クロコダイル・ラップ」「Fantastic Vision」などの初期曲、宇都宮も鍵盤演奏に参加したマイナーキネバラ「We Are Starting Over」、更にさわりの部分だけとは言え「WELCOME BACK 2」等々、コアなTMファンが喜びそうなマニアックな曲も披露され、全時代のファンが楽しめるような内容になっているのが好ポイント。

 バンドとしての形態は前述の通り特殊であり、必要に応じて舞台中央後方にある簡易的なドラムセットで主に北島が演奏する曲もあるのですが、基本的にはリズム隊は打ち込み+三人のキーボーディストのプログラミングを含めた音+生ギターという編成で、生バンドでの演奏を体感するのに慣れた身からすると最初のうちは違和感は否めなかったのですが、鑑賞しているうちに「こういうのもアリかもな」と思えるほどの各鍵盤奏者の熱演が見所。ライブ全体としてはカーニバル小屋(?)に見立てたテントや、神出鬼没のパントマイマーのパフォーマンスなど、ストイックだったTM30周年の演出とは異なる賑やかな雰囲気で進行していく「宇都宮隆 feat. TM NETWORKというお祭り」といった印象を受けました。

 映像の最後には「Message from Tetsuya Komuro & Naoto Kine」というチャプターが。この公演に訪れた小室と木根尚登のそれぞれのライブ感想のコメントが短いですが収録されています。特に表舞台から姿を消した小室の最近の様子が見られるのは嬉しい(髪型の変貌が凄かったですけど・笑)一方、本来であればこの三人で集まって何かやってくれたんだろうなぁ…と思うと複雑な心境。ただ、コメントを聞く限りではまだ次の一手を考えてるんじゃないかな?と思える発言もあったりで、ファンとしては気長に待つしかないですね。TMの代替…というと失礼な発言になるかもしれませんが、ウツには本当に感謝の35周年でした。

2020年05月03日 18:13

deennightcruisin 2020年3月25日発売、昨年夏に行われたDEENのビルボードライブを全曲収録したライブ映像作品。初回生産限定盤はBlu-ray+ライブ音源を抜粋したCDが付属。通常盤はDVDのみ(映像収録内容は同一)。本レビューは通常盤のものとなります。

 かつて2002〜2004年の間にDEEN's AORとして展開しリリースされた3枚のオリジナルアルバムからのナンバーをメインに、各ステージ10曲程度の楽曲を演奏する「AOR NIGHT CRUISIN'」シリーズ。2012年のスタート以降、数年に1回程度のペースでの公演が続き、2019年7〜8月には東京・大阪・愛知にて第4回目(4th Groove)を開催。過去の開催ではシングルやアルバムの初回特典ディスクという形でCD音源やDVD映像としてリリースされていましたが、今回はシリーズ初の単独タイトルでの映像作品として、7月27日のBillboard Live TOKYOでの夕方からの1st、夜からの2ndステージの両公演を、各ステージ1時間程度の尺で全曲完全収録。カットされている部分もあるとは思いますが、曲間のMCも随所に残され、自然な形での2ステージを1枚で観ることができるようになっています。

 今回は初の試みとして、1st、2ndステージの演目が完全に異なる内容。この日は1stが「AOR NIGHT」、2ndが「NEWJOURNEY NIGHT」と冠されています。まず「AOR NIGHT」、これはDEEN's AOR楽曲を中心に披露していく従来通りの内容。さすがに4回目となると既にこのシリーズで披露済みの曲も多く、初映像化となった「雨上がりの空、この道を行こう」以外は結構定番だな…という感じで、DEENの二人以外の演奏メンバーが変わった以外は特に目新しい面はなし。
 一方の「NEWJOURNEY NIGHT」は、この年に発売されたニューアルバム「NEWJOURNEY」の実質レコ発ライブとなっており、中盤のソロコーナーでのカバーを除けば完全な新曲として初披露の曲が多く、この年の始めのライブツアーも合わせると本アルバムからの新曲は全曲ライブ映像化されたという快挙(?)を達成。特に終盤での熱唱バラード「五番街のセレナーデ」、ラストの大団円的な「VIVA LA CARNIVAL」はかなりライブ映えのする曲だと実感したので、これっきりの披露ではなく、後のライブツアーなどでもまた演奏して欲しい、と思いました。

 今回のサポートメンバーは池森・山根体制になってからの三人(侑音・石田純・矢野顕太郎)に加え、同じEPICレーベルのシンガーソングライター・ダイスケ(「Aloha」のレコーディングにもゲスト参加経験有り)をスペシャルゲスト枠のアコースティックギター担当として招いた六人編成。普段とは別のリズム隊や外国人ミュージシャンを起用した過去のビルボードライブとは異なり、現在のLIVE-JOYの延長+α的な演奏陣ではありますが、ギタリストがステージに二人いて役割分担をしながら演奏している、というのは見映えのみならず、一部オケも使用してはいますが、LIVE-JOYよりも生演奏の比率が上がってアンサンブル面でも聴きごたえあり…と、通常ライブとはまた違う楽しみどころのあったライブ作品でした。

2019年08月25日 21:09

deensunandmoon 2019年8月21日発売、2017年初春に行われた東名阪ツアー「LIVE JOY-Break20 〜Sun and Moon〜」の最終2公演、3月10日、11日のZepp Osaka Baysideでの2daysを全曲収録した2枚組映像作品。Blu-ray、DVDの2形態での発売ですが収録内容は同一。本レビューはDVD盤となります。

 昨年末リリースの2017年末カウントダウンライブの映像を発売して三人時代のDEENのリリースは完全終了…と思いきや、ここに来てそれよりも前のツアー作品を開催後2年以上も過ぎてからリリースしてくるとは…と完全に意表を突かれた形(?)。それはさておき、本ツアーは各都市2days(+翌日に田川のソロライブ)での開催となっており、1日目はカウントダウンライブで三年続けて行われていたマニアックナイトからのベスト選曲の「Best of マニアックナイト」、2日目は定番のヒット曲をこれでもかと演奏しまくる「ヒット曲満載のLIVE JOYの集大成」の二本立てで重複する曲は1曲も無し。本作品では前者をDisc 1「Day 1」、後者をDisc 2「Day 2」として収録してあります。

 まず「Day 1」、筆者が東京公演初日に観に行った当時の感想はこちら。まさに選曲は文字通りマニアックな全22曲。ただし、マニアックナイトは全公演が過去のアルバムの初回盤付属の特典としてBlu-ray化されており、初映像化は「大きな空 小さな僕」と田川ソロの「DANGER ZONE」ぐらい。あとはレア曲「I Promise You」の久々の映像収録が見所といったところ。むしろ見せ場は開催日が3月10日というDEEN24歳の誕生日当日ということでのハッピーバースデー歌唱→サプライズケーキ登場→池森が「このまま〜」のサビをアカペラで歌うという流れがハイライトかも。これにはちょっと感動しました。

 「Day 2」は前述の通りのヒットシングルを中心に演奏した全23曲(最終日なのでダブルアンコールで「Burning my soul」有り)。DEENのライブは絶対に外せないとされる鉄板曲がやたら多く、それ故にいつ行っても同じ曲ばかり…ということは過去に何度か書いていますが、今回はコンセプト上まさに開き直ったかのようなセットリストでここまで王道を極めてくれると清々しくもあります(笑)。こちらは何度も映像化された曲がたっぷり、この曲の後でこの曲を入れる展開は何度目だ…というマンネリ感満載(まあ狙ってやったんでしょうけど)の中、アコースティックコーナーでの「海の見える街 〜Indigo days〜」、初映像化の「君のいないholiday」、そしてBreak4 styleから始まる「JUST ONE」が貴重。
 なお、この時点では初期の曲はキー下げ前提演奏だったので当時観れば特に何も感じなかったのでしょうが、翌年の武道館、さらに田川脱退後の年末のカウントダウンライブではこれらのヒット曲を原キーに戻して歌っている…という経緯を踏んだ今となっては違和感が。今回の映像を観ていても全体的に池森の声の調子は高音を中心に良く、翌年にキーを戻せたきっかけになる公演だったのかもしれません。

 現在ではもう使用されていない当時のDEENのロゴが使用されたり、DVD盤の初回限定特典としてポストカードサイズの三人の印刷サイン入りメモリアルカードが封入されたり、随分遠くなってしまったライブの思い出を追体験できる仕様ではあります。装丁・メニュー画面も通常通りに作られており、VTRも他の映像作品同様のカメラワークで構成されていて、「何故これをこの時点までお蔵入りにしていたのか?」と疑問に思ってしまうほど。公式には「映像化問合せ殺到!」ということでの発売を謳っていますが、要望が通るのならば是非四人時代のお蔵入り映像の発売も期待したいところです(存在していても時期的にビーイングの権利物みたいだから無理かな?)。

2019年05月06日 16:37

deennj 2019年3月13日発売、DEEN通算18枚目のオリジナルアルバム。配信シングル「Aloha」のアルバムバージョン、シングル「ミライからの光」を含む全12曲収録。初回生産限定盤AはライブBlu-ray付き、同BはMV収録のDVD付き、通常盤CDには昨年夏の配信限定シングル「瞳そらさないで」「Power of Love」のリメイクバージョン(Jawaiian Style)をボーナストラックで収録。本エントリーでは初回生産限定盤Aのレビューとなります。

 池森・山根の二人体制による初のオリジナルアルバムは、「DEENと旅する世界の音楽集」がコンセプト。冒頭とラストのトラックで航空機風のアナウンスが収録されているなど雰囲気を出しています。実質10曲の中、ウェストコースト風の「1985」、スパニッシュ+エレクトロの「君が欲しい〜Solo te quiero a tl.〜」、エスニックな「コリカンチャの祈り」、三線やお囃子を導入した「古里」、カリプソの「VIVA LA CARNIVAL」等々、確かに世界各地の音楽テイストを盛り込んだ曲が多数。思い切りワールドミュージックにどっぷり傾倒、というわけではなく、DEENのパブリックイメージに注入した、という感じなので、マニアック感はなく各曲どれも聴きやすいのが特徴でしょうか。先行シングルの「ミライからの光」ほどインパクトのあるドラマチックな曲は見当たらないものの、「DEENがワールドミュージックやるならこうだよね」という予想通りのアルバムではありました。

 なお本作の制作は基本的に池森作詞、山根作曲、アレンジは外注。田川伸治が抜けた分、作曲面でフル回転になった山根はこれまで相当数の楽曲を手掛けてきているので、さすがにメロディーに既視感がある曲もチラホラ見受けられるのですが、その点をアレンジが補っている印象。一方の池森の歌詞は近年の若者恋愛路線(?)からは離れたようで、ラブソングもそれ以外もストレートで普遍的な作風に。発売時のインタビューでは池森本人は自作曲での実績があるにも関わらず、過去に自分が作曲していたことに全く触れないのは現在は作曲から完全に撤退したという意味なのかもしれませんが、山根の作業量を考えると、たまには自作曲を…とも思ってしまいました。

 Blu-rayは昨年末から年頭にかけて行われたライブツアー「DEEN LIVE JOY-Break21 〜Best Songs 25 years〜」の初日、2018年12月31日(カウントダウンライブ)Zepp Tokyoでの公演を全曲収録。25周年記念のライブツアーであり、昨年のリゾートライブからサポートメンバーを一新した初のLIVE JOYとなった本公演は、「夢であるように」で幕を開けた後は、続く「このまま君だけを奪い去りたい」以降、リリース順に歴代シングル曲をフルサイズ・原キーで「遠い空で」まで演奏するという異色な時系列セットリストに。後半はアルバムの新曲4曲の先行披露や盛り上がり系のロックナンバーで構成されるなど、LIVE JOYの定番編成(アコースティックコーナー、長尺MC、1コーラスメドレーなど)を一旦リセットした新たな試みのライブだったようです。
 曲目を眺めるといつもの曲の数々…という感じですが、「果てない世界へ」以外はすべて原キー・原曲アレンジでの演奏というのはここにきてかなり新鮮。一新されたバンドメンバー(ギター:侑音、ベース:石田純、ドラムス:矢野顕太郎)の演奏も原曲を忠実に再現するという点では特に気になる箇所もなく…という感想。まあこれまで15年以上同じバンドメンバー5人で続けてきたのが一気に3人変わった、というのはDEEN史の中でも大きな出来事ですし、特に田川の後任を務める侑音のギタープレイにはファンからの厳しい目も向けられるとは思いますが、新生ライブバンドとしてのDEENもこのメンバーで長らく続けていって欲しいですね。

2019年01月14日 18:10

deensolo 2018年12月26日発売、2017年大晦日から2018年元旦にかけてZEPP TOKYOにて行われたDEENのカウントダウンライブの模様を全曲収録した映像作品。通常盤DVDと完全生産限定盤Blu-rayの2種で発売され、Blu-ray盤には各ソロステージで演奏された楽曲のスタジオレコーディング版を収録したプレミアムCDが付属。本エントリーはBlu-ray盤のレビューとなります。

 前年まで三年連続でマイナーな曲に光を当てるマニアックナイトが続いていたDEENのカウントダウンライブ。この年は趣向を変え、池森・山根・田川の三人のソロステージ(形態は常時のサポートメンバーを固定し、池森と山根のステージには+αのゲストを加えて各5曲ずつ)+DEENのライブを一公演で行うというこれまでにない試み(DEENのライブの前座に山根や田川のソロステージがあったカウントダウンライブは過去にありましたが、ここまで本格的な各ソロステージは初めて)。更に2018年の年明け早々に田川が脱退を表明したため、本商品のキャッチコピーの通り「二度と再現できない一夜限りのプレミアムナイト」に。先に田川ラストステージの武道館公演が映像化されたので、本公演の商品化は幻か…と思われましたが、ここへ来てようやくリリースの運びとなりました(なぜこのタイミングで?という気持ちはありますが・苦笑)。

 まず池森ソロ。AOR期に深く関わっていた大平勉(Key)や、Gary Scott(Sax)らを演奏陣に迎え、ライブ冒頭出演ということもあって小洒落たインストで幕を開けるなど、健全一直線だった近年とは一線を画した大人っぽいステージ。池森もこの時だけはなぜか髪を金髪にし、SHU名義だった「SHA LA LA LOVE YOU」「ANOTHER LIFE」を生バンドで演奏するなどライブハウスというよりもビルボードっぽい雰囲気でなかなかに新鮮。この路線、今後のDEENにも少し持ち込んだらいいのに…と思うのは筆者だけでしょうか。

 続く山根ソロは、かつて山根と同じバンドに在籍し、近年ではDEENの編曲にも携わっている古井弘人(元GARNET CROW)が鍵盤を担当し、全体的には山根 feat.古井といった感じのステージを展開。何度か映像化されている「空色ソーダ」以外はファンクラブ限定のミニアルバムからの曲や、この時点では未CD化の曲を披露するなど、マニアックナイト以上にマニアックな内容(笑)。長尺のソロステージには慣れていないのか最初は歌唱に若干のバタつきはありましたが、山根独自のカラーが良く出ていたライブでした。

 田川ソロは特にゲストを迎えず、宮野和也(Ba)、HIDE(Dr)+同期というDEENの通常ライブでのソロコーナーと同じ編成。THE SONIC TRICK名義でのナンバーも披露されましたが、選曲がバラードの「MEMORIES OF THE PAST」だったり、DEENのアルバム収録のソロ楽曲の中でも「Emerald Ocean」などの比較的ロック色の薄い曲を今回はセレクトしており、全編ハードな曲が来ると思っていたので意表を突かれました。田川のギター演奏は普段のライブよりもワイルド…というか、心のままに弾きまくっている感じで、この直後に脱退宣言することを思うと何やら複雑な気持ちになってしまうのはファンの性ゆえかも。

 大トリのDEENは日付を挟んでの実質の二部構成。年内は最新アルバム「PARADE」からの楽曲を5曲、バンドスタイルでの演奏。このアルバムを引っ提げた47都道府県ツアーではアルバム曲のほとんどは演奏されなかったらしいので、ここでの映像は今後のことも考えるとかなり貴重。年が明けると旧作からのロックメドレー。シングルは「千回恋心!」ぐらいで歴代のアルバム盛り上げ曲からの選曲がメイン。アンコールでは出演者がほぼ集合しての「Dance with my Music」で締めと、皆で盛り上がってワイワイ騒ぐLIVE-JOYの陽の部分が前面に出されたセットリストでまあ満足といったところ。

 特典のプレミアムCDは前述の通り、各ソロでの演奏曲のスタジオ版全15曲を収録。NEW MIXを含む全曲リマスタリングとのことですが、山根の3曲が新たに手を加えられた表記がある以外は詳細なクレジットがなく、どの曲がMIX変更されたのかは不明。基本的には既存音源になりますが、後日リリースの25周年ベストのファンクラブ限定盤のみの特典アルバム「DEEN The LAST」からの抜粋もあるので買い逃したリスナーには嬉しい配慮かも。

 構成・選曲共にマニアックナイトとはまた違った、完全コアファン向けの映像作品。今回は特典も同内容のライブCDではないので、CD付きのBlu-ray盤をお薦めいたします。

2018年10月08日 15:04

fankscrymax 2018年10月3日発売、1987年6月24日に開催されたTM NETWORK初の日本武道館公演「FANKS CRY-MAX」の模様を既発売の映像作品(後述)からリマスター、追加楽曲を収録してDVD/Blu-rayで同時発売。本エントリーはDVD版のレビューとなります。

 1989年夏から秋にかけてリリースされた「FANKS the LIVE」全3作のうちの第1作でもある本公演。当時はVHS/LDで発売され、DVD化されたのはTMデビュー20周年時の2004年。この時は映像フォーマットが変更になっただけで内容は全く同一のものでした。そして今回のリニューアル版ですが、ジャケットは一部を加工したのみでオリジナル版とほぼ同じ。対して内容は映像・音声をリマスター、さらに「Dragon the Festival」「Nervous」を新たに追加して全9曲収録に。インナーは厚紙一枚のみの封入ですが、リニューアルに際してのスタッフクレジットも結構細かく記載されています。

 この時期のTMは冒頭の「Get Wild」がヒットを飛ばし、まさにブレイク真っ只中での初武道館。抜粋収録された収録曲は当時の最新4thアルバムからの曲が中心ですが、デビュー期の「Ipanema'87」や、追加収録された盛り上げナンバー「Nervous」など、ライブ映えのする過去楽曲のチョイスも嬉しいところ。「Get〜」以外でのこの時点の代表曲は「Self Control」ぐらいしか収録されていないのですが、開催から30年以上経った今観返してもこのTM二大看板曲はやはりライブでも「華」があるな、という印象。
 バンド編成にも触れておきますと、TMメンバー三人+松本孝弘(EG)、日詰昭一郎(Ba)、山田亘(Dr)いうオーソドックスなバンド編成。TMのライブでは翌年夏ぐらいから生ベースが抜けて打ち込みになってしまい、若干バンド感が後退するのですが、この時期は日詰昭一郎がかなり存在感のあるベースを弾いており、「TMのロックバンド感」という意味ではこの辺り(か、翌年春のアリーナツアー)が絶頂のような気がしました。

 リマスターに関しては現在のスタンダードであるレターボックスサイズに画面比も変わるのだろうか、と思いましたが、4:3のままで特に映像引き延ばしなどはなし。さすがにフィルムに焼き付いた文字は消せなかったようで、初っ端で旧版の「FANKS the LIVE 1」のテロップが出てしまうところはアチャーと思いましたが(苦笑)、映像はそれなりに、音声はかなり迫力を増して良くなっています。どうせなら完全版でリリースして欲しかったのが正直な気持ちですが、特設サイトの記述を信じるならば、それはもう叶わぬ夢のよう。これで数年後に「奇跡的に発掘!」みたいな後出し商法をやられたらさすがにキレますが(ありそうなんだよな・笑)、これからこのライブの映像作品を購入するなら2004年版よりもこちらが遥かにお薦めです。

2018年08月19日 21:17

deen20142017 2018年7月18日発売、DEENのMV集「THE GREATEST CLIPS」シリーズ第5弾。前作同様にBlu-ray、DVDの同時発売で内容は同一。本エントリーはBlu-ray盤のレビューとなります。

 約5〜6年ごとにシングルのMVをメインにした映像集をリリースしてきたDEEN。本作はサブタイトル通りに2014年から2017年までの4年間という、従来よりもやや短いスパンでの5作目となりましたが、これは今年の春に田川伸治が脱退したのを受けて、三人体制時代最後のクリップ集を出すタイミングは今しかない、といったところでしょう。これまでこのシリーズで使い続けてきた三人の顔を並べたパッケージのアートワークもおそらく今回が見納め。フォーマットも従来同様に「SINGLE CLIPS」「OTHER CLIPS」「特典映像」の三本立てで構成されています。

 「SINGLE CLIPS」は4年間でリリースされた両A面を含むシングルタイトル曲を7曲収録(「君へのパレード♪」は2パターン収録されているので実質6曲)。ありそうでなかったライブシューティングの「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」、往年の歌番組風の「千回恋心!」、KYADEEN名義で映像的なチープさをわざと狙った(?)「遊びにいこう!」が観ていて面白いクリップ。一方で1台のカメラのみで延々と歩道橋の上で池森秀一が歌う姿だけを映した「記憶の影」のようなびっくりな(苦笑)クリップもありましたが、それ以外は既に商品化されていることもあり、それなりに時間と制作費をかけて作られた映像が楽しめます。なお、「君への〜」のバージョン違いですが、エキストラの登場シーンの変更以外でも、メンバー三人の出番のカット割りも結構差し替えられているので、間違い探し的に2パターンを見比べてみるのも一興かと。

 「OTHER CLIPS」は「君がいる夏」「バタフライ」という2枚のサマーアルバム関連からのショートMVの詰め合わせ7曲と、昨年の3種発売のシングルのカップリング用に制作された各ソロのクリップを3曲。前者は各アルバムの発売時期に公式サイトでの公開用に撮影されたと思われる簡易的なもので、特に「バタフライ」は池森一人が出演、海の近くでまとめて撮影しました感アリアリ。カップリング用の3曲は池森>山根>田川の順でカメラの動きがなくなっていく(まあ田川のはギターソロのみの曲だからこうするしかなかった、という気も)出来など、前作に収録されたアルバム曲のMVと比較しても数段落ちる印象は否めませんでした。

 「特典映像」は毎度お馴染みのTV SPOTに加え、2015年にBSで二週にわたり放映された沖縄リゾートライブの模様を再編集した<SPECIAL EDIT>。オンエアでは観光案内や直近にはじまる次のツアー(Break19)へのメンバーの意気込みなども交えて構成されていましたがこれらの箇所はカットされ、基本的にはライブパートのみを収録。サポートメンバーは参加せずに三人+同期でのライブですが、「千回恋心!」「Crossroad」など当時の最新曲たちはアコアレンジもされずにオリジナル音源のオケを使用しているようで、青空の下で派手に同期が鳴り響いているライブ…というのは毎度書きますが(笑)違和感が。とはいえ約35分の特典映像、としてはまあ十分かな、という気も。

 既発映像の多さは相変わらずこのシリーズの特徴ではあり(去年の3パターンc/wシングルを全部買った方の心境お察しいたします…)、購入を見送るコアファンも多そうな気はしますが、5年毎に同じような内容のオールタイムベストを繰り返すCD作品とは異なり、基本的にシリーズ中で楽曲の被りがないのは良心的と言えるかも。先日の武道館DVDとは逆に、コア中のコアファン向けのコレクターズアイテム寄りの映像集ですかね。

2018年06月24日 22:07

deenbd25 2018年6月20日発売、DEENのデビュー25周年記念日の3月10日に日本武道館で開催された「25th Anniversary DEEN LIVE-JOY Special 日本武道館2018」の模様を全曲ノーカットで収録した2枚組ライブDVD。同内容に本公演のライブCD同梱+フォトブック付属仕様の完全限定生産盤Blu-rayも同時発売。本エントリーはDVD盤となります。

 本来であれば前年の47都道府県ツアーからの流れで25年目のDEENの誕生日を祝うライブ…だったはずが、今年1月にギターの田川伸治が本公演をもって脱退を発表。この公演が「三人での最後のDEENのライブ」という色々な意味で特殊な状況に。筆者はこの日に武道館に足を運べなかった一人なので、公演後約4ヶ月という早い期間で映像商品化してもらえたのはかなり有難いところ。SONY公式でも発売一週間前からライブ映像を小出しに10日連続でCM仕立てで配信するなど、DEENにしては異例の(?)気合の入ったプロモーションが行われました。

 そんな本公演は田川がラストだからか、25周年のメモリアルだからか、通常のツアーや武道館でもテンプレート化していたライブ構成を一切排除。具体的には花道でのアコースティックコーナー、田川・山根(上海ロックスター)ソロ、長尺のMCコーナー、ゲストミュージシャンやダンサーを加えてのコラボレーション…等々をばっさりカットし、サポートメンバーも通常ライブのリズム隊の2人のみ、全5人(+同期)で最初から最後までほぼ連続でギターソロなども含め原曲に忠実に演奏(メドレー含めて全40曲)。MCも序盤と終盤に一言二言、アンコールで少し長めに話すだけ、というストイックさが徹底されており、従来のDEENのLIVE-JOYなどで見せるエンターテイメント路線とは全く異なる(=DEENのライブはこれがすべてではない)ものの、あくまで演奏で魅せる、という点においては「ロックバンドらしい」ライブであったと思います。

 そして何といっても今回の最大のトピックは、2002年以降一部の例外を除いてキーを下げていた曲がすべてオリジナルキーで披露された、という点。公演の二週間前のテレビ出演や、一週間前のインストアライブではいつも通りのキー下げでも何とか出していた…という池森秀一のボーカルでしたがここにきて伸びやかに復活。声質自体が元に戻ったというわけでなく、現行の声色を駆使して「翼を広げて」から始まり「瞳そらさないで」「ひとりじゃない」、そして「このまま君だけを奪い去りたい」を高らかに原キーフル尺で歌い切る姿は、これまでずっとDEENのライブを観続けていればいるほど感動すること間違いなし。このキーでの披露が今回限りなのかは分かりませんが、今後もオリジナルアレンジで演奏される際には是非今回のようにお願いしたいものです。

 特典映像「DEENが歩んだ25年」は、DEENと20年来の付き合いであるライター・伊藤博伸と一人ずつ向かい合っての対談を繋げて約30分に編集。武道館公演後の収録なので田川は既にDEENを脱退している時点での対談であり、これがDEEN関連での最後の仕事かも。対談の内容はデビュー当時の話から徐々に武道館公演の話へとシフトしていく構成になっており、過去のインタビューでも話してきたようなことも語られてはいましたが、池森・山根の新生DEEN、そして田川のソロプロジェクト共々、今後についての前向きな発言も見受けられる内容。本編と合わせて「三人のDEEN」はここで一区切り、というのが寂しくはありますが、ある種の記念碑として、新旧ファンには是非手にとってもらいたい映像作品。基本的に筆者はライブDVDは入手後1、2回観てとりあえず終了みたいな鑑賞方法なのですが、本作に関しては何度も繰り返して観たい、と思える充実の一作でした。

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