ubelove 週末に間に合った!(笑)今週の1枚は、大黒摩季のミニアルバム「U.Be Love」をピックアップ。

 このアルバムが発売された1993年はまさにビーイングブームの真っ只中。前年からブレイクの兆しを見せはじめていたWANDSやT-BOLANが年をまたいで大ヒットを飛ばし、一気に音楽シーンのトップに踊り出た時期でもありました。大黒摩季も、勢いを増すビーイング勢の一角として、シングル「DA・KA・RA」のヒットをきっかけに躍進していったアーティストの一人。そしてこの時期のビーイング勢は各アーティストがリリースに次ぐリリースで、どのアーティストも2ヶ月に1枚ぐらいはシングルないしアルバムを発表して、働かせすぎじゃないかと思えるぐらいでした(笑)。彼女もこの年は全6点のアイテムを発売。この「U.Be Love」は11月10日にリリースされた、この年5点目の作品にあたります。

 今のBeing/GIZAの体制を見ているとまるで逆なのですが、この頃は男性ヴォーカルバンドが圧倒的にビーイングの中でのシェアを誇っていました。DEENやZYYGがデビューしたのもこの年。そんな中、女性陣ではZARDの坂井泉水、そして大黒摩季が女性ヴォーカリストの2大看板として存在をアピールしていたように思います(他には宇徳敬子とかMANISHもいたけど、セールス的には上記二人が突出していたので)。この二人のアーティストイメージ戦略はまさに真逆で、坂井泉水は少年少女の恋愛を瑞々しく描き、マス的には深窓の令嬢的なピュアなイメージ(言いすぎか?!)を押し出していたのに対し、大黒摩季は、いわゆる女性の本音をぶちまける!とか、下手すりゃ下品スレスレなギラギラしたラブソングを、とりわけシングル作品では強調してアピールしていたような気がしますが、このミニアルバムでは、そんな大黒摩季のイメージによる先入観を持って聴くと、意外な面も見られてちょっと新鮮な気分を味わうことができるでしょう。

 完璧な女性像を持つ理想の「彼女」に羨望の眼差しを向け「彼女になりたい」と憧憬の思いを綴る冒頭の「DELIGHT」、ハードルの高い夢に向かって頑張るボーイフレンドを励ます「アレ・コレ考えたって・・・」、クリスマスの夜に彼を追って旅立つことができなかったことを静かに悔やむ「BLUE CHRISTMAS」など、大黒摩季のぶっちゃけイメージからはやや離れた主人公が登場して、聴いてて「結構かわいいじゃん」とか当時思ってました(笑)。筆者がシングル曲を中心に彼女の曲を聴くからそう思うからなのかもしれませんが。「別れましょう私から消えましょうあなたから」など、いわゆるパブリックイメージ直球の曲もあったりするんですが、それがこのアルバムの全てではなく、色々な側面を持った大黒ワールド(?)を楽しむことができると思います。また、「君に愛されるそのために・・・」で男性目線でのラブソングも登場。しかし彼女の曲に出てくる「彼氏」とか「僕」って、なんか年下っぽくて頼りない感じがするのは、やっぱり大黒本人のアネゴ的なイメージ像から受けるものなんでしょうかね(苦笑)。

 そんな彼女の作品をアレンジするのは葉山たけし。路線としてはキック強めのダンスビートが基本で、ビーイング時代の彼女の作風は葉山氏がほとんどアレンジを担っていることもあってか、ほぼ一貫してこのサウンドが大半を占めていると思います。サウンドプロデュース的な役割も果たしていたと思われ、極端な実験に走ることなく、手堅く攻めている様子がうかがえるのですが、シングル曲の「Harlem Night」(この曲非公式ベストでスルーされまくりなのはなぜ^^;)のサビでベキベキ鳴ってるベースとか、「BLUE CHRISTMAS」の間奏のクワイヤなど、曲によってところどころに遊びのネタを仕込んでいるのは聴いていてなかなか面白いです。
 ところで、「君に愛される〜」では中村キタロー(山崎まさよしのプロデュースなどで有名)がベースを担当。B'zの「FRIENDS供廚妊譽魁璽妊ング参加しているのは知っていましたが、近藤房之助とも交流があるみたいだし、結構ビーイングと繋がりがある人だったんですね。当時のビーイングの人脈の広さには驚かされます。某非公式ベストで「大黒摩季とは彼女を中心として作り上げたプロデュースチーム」とかライナーノーツで書かれているのを目にしたことがありますが、確かに、大黒本人の個性や存在感を前面に押し出し、内外問わずに実力者の力を結集して作った、結晶的なアルバムという意味では、この作品はまさに当てはまるのではないでしょうか。

 余談ですが、この年の大黒摩季とWANDSって、リリースの順序がまったく一緒なんですよね。‥澆縫轡鵐哀襤⊇佞縫▲襯丱爐反袈淵轡鵐哀詁瓜発売→2討縫轡鵐哀襤そにミニアルバム→ヅ澆縫轡鵐哀襪函,離轡鵐哀襪離ップリング曲をい房録するという点まで両者一緒(笑)。ビーイングの売れ方マニュアルを実践しているかのようなこの二組ですが、現在はWANDS(上杉/柴崎/木村)も大黒摩季もビーイングを離れてそれぞれ別々に活動している、という点が興味深いです。ともあれ、今作はそんなビーイングブームの中発売された作品ではありますが、粗製濫造に陥ることなく、一定のクオリティを保持したアルバムとして、今でも評価できる作品だと思っています。