
小島とは、Vo.のヒッチャメンを中心とした名古屋出身のスカ・パンク・バンド。よってメンバーにはアコーディオンやトランペット、サックスまで含まれる大所帯。J-POP好きの筆者としては本来の音楽的嗜好とはやや離れているジャンルなわけですが、この当時、バンド活動を通じて「バンドアンサンブルの楽しさ」に目覚めつつあった頃であり、今まで聴いたことのないジャンルを開拓していくべく、手広く色々な音楽を聴いていた時期でもありました。そんな中、某ローカルテレビのPVリクエスト番組で、彼らのシングル「plastic on the dogman」がオンエアされて興味を持ち、その曲が入ったアルバムに手を出してみたら、これが結構ハマりまして、この年はこのアルバムをかなりヘビーローテーションで聴いていた思い出があります。通学中にウォークマンで聴きながら自転車を爆走させていたっけなぁ(苦笑)。
さて、彼らの音楽性は基本的にコアっぽいサウンドを軸にして、その上にブラス隊が乗っかっているという感じ。ただ、あまり重い印象は受けず、抜けの良い音でまとまっています。「back step information」や「Dr.skulls」のように少々構成が凝っている曲も中にはありますが、基本的には最初から最後までイケイケドンドン的に突っ走っていて、ライブでかなり威力を発揮しそうな曲が揃っています。そして、メロディーラインはその風体に反して(?)かなりキャッチー。この辺りが(筆者的に)敬遠しがちなこの手のサウンドにもすんなり入っていけた要因だったのかもしれません。
また、ヒッチャメンによる独特の散文的かつ哲学的な歌詞はなかなかに個性的。興味を持った方は是非歌詞検索などをしてみてください(笑)。彼らの曲のほとんど、特にこのアルバムに関しては、歌詞にストーリー性は感じられない作風になっていて、溢れる衝動をそのまま詞にしたかのような攻撃的な歌詞が多い一方で、意外なほどにヴォーカルの滑舌が良く、聴き取りやすいというのもポイント高いです。そういった意味ではこの手のジャンルへの入門編というアルバムと呼んでもいいのかも。
あと、このアルバムの前に彼らはインディーズから1枚アルバムを出していて、筆者も後追いで聴いてみたのですが、その作品と比較して、今作の演奏レベルの格段の上昇ぶりには驚きました。発売当時、音楽雑誌のインタビューで相当根を詰めてレコーディングした、という話を語っていた記憶があるのですが、その成果が見事に出ていて、両作品に収録されている「bad time rolling」などは、聴き比べるとその差が一目瞭然。当時、メジャーとインディーズの間にあった高い垣根が徐々に取り払われはじめようとしていた時期だったと思いますが、そんな中、メジャーデビューへの意気込みを音で示したかのような勢いのある熱いアルバムを生み出した、彼らの情熱には感服することしきりです。
あれから9年経った今、改めてこのアルバムを聴いてみると・・・全11曲、ほとんど同じアプローチで駆け抜けていくのは今聴くと少々ツラい^^;(年取ったせいでしょうか?)とか、また違う感想を抱いたものの、当時の自分自身のことも色々と思い出されて妙に懐かしく感じました。
なお、この作品で足場をしっかりと固めた彼らは、この後も、何作かシングル、アルバムをリリースして2003年に解散。メンバーの一部は別のバンドを結成して現在も活動しているそうです。
ところで、最後に余談。最初におっかないジャケットについて語りましたが、実はこのCDの裏のジャケットのほうがある意味怖いかもしれません^^;そして、なぜかこのアルバムのCD盤面は裏(読み取り部分)が真っ赤。でもちゃんと正規格のCDなので、ご安心してCDプレイヤーにセットして下さい(笑)。
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