
1990年〜1994年までにリリースされ、ミリオンセラーをはじめとして大ヒットを記録したラブソングを選抜して収録しているこのアルバム。コンセプト的にはこの楽曲が発売された当時、大学生〜新社会人だった人たちにターゲットを絞ってのいわば「懐かしのヒット曲集」。「もう一度、妻を口説こう。」というキャッチコピーにもその年齢層へのアピールが表れていると思います。では、その年齢層以外のリスナーにとっては、単に「過去の曲」ということで済まされてしまうのか?というと、少なくとも筆者はそうは思わないわけで。
当時中学から高校にかけてのいわゆる青春時代(懐かしい響きだな・・・)を過ごしていた私にとって、この時ほど熱心に音楽を聴きかじった時期はなかったんじゃないかと思います。ラジオ番組のエアプレイをカセットテープに編集したりとか、ヒットチャートを熱心にチェックしてみたりとか、友達と音楽の情報交換をしたりとか・・・そうやっていくつもアンテナを張り巡らせて、現在にいたる音楽バカの自分が形成されていった重要な時期であり、今回このコンピ盤に収録されている曲をはじめとして、この頃に出会った曲たちは、無意識に身体の中に染み込んでいて、当時の思い出と共に深く心に刻まれているものとなっていることに、このアルバム聴いて改めて気づかされました。
記憶の一部を断片的に拾ってみると、ドラマの主題歌として起用された「SAY YES」(CHAGE and ASKA)、「君がいるだけで」(米米CLUB)、「TRUE LOVE」(藤井フミヤ)、「サボテンの花」(財津和夫)などはこれらの曲を聴くと各ドラマのワンシーンを思い出します。いわゆる「月9」ですね。結構ドラマ観てたんだなぁ、と思ったり。
あとは、音楽番組。あの頃はバラエティ要素の少ないスタジオライブ重視の番組が多かったんですね。G-STAGEとか知ってる人っているのかな^^;「何も言えなくて・・・夏」(JAY-WALK)はMステで生演奏で披露されてカッコいい!と思った記憶が。そして「世界中の誰よりきっと」(中山美穂&WANDS)は、暮れの紅白で中山美穂が単独名義で出場して、ステージでは後ろの上杉氏たち三人が曲の途中で「演奏:WANDS」とクレジットされていてオイオイと思ったとか(苦笑)。
個人的な回想としては、「夏の日の1993」(class)はこの年の夏に京都に旅行に行った出来事を思い出したり、「もう恋なんてしない」(槇原敬之)の発売日は月曜日で、その前の週の金曜日にすでにCDショップに入荷されていることを知って喜びいさんで買いに行った事とか(いわゆるフラゲ初体験)、「Get Along Together〜愛を贈りたいから〜」(山根康弘)を聴くとなぜか秋の学園祭を思い起こしたり(カラオケ喫茶が出店で出ていてこの曲を歌っていた人がいたからかな^^;)。喜怒哀楽含めて(笑)思い出は他にも尽きません。
こういう些細で他愛ない思い出が、当時の曲を聴くことによって記憶として甦る。全部良い思い出ではないにしても、こういうことって多分皆さんあるんじゃないでしょうか。マーケティング的なターゲットの年齢に関わらず、リアルタイムでこの時の音楽やドラマに触れていた人なら、その当時を回想するキッカケとして、この手のコンピは結構効果があると思います。また、この時代の音楽シーンを体験していない若い世代の方にも、今のように音楽業界が多様化される前夜、当時の流行したサウンドはこういう曲が中心だったとか、また現在でも現役で活躍しているアーティスト達のカタログ的なものとしても、広い用途で楽しめるんじゃないかな、と思います。
これでまた数年経ったら、1995〜1999年あたりのコンピも出てくるんじゃないんでしょうか。その時はどんな曲が収録されるんでしょうかね。その時はまた思い出に浸ってしまいそうです(笑)。
コメント