pieceofmysoul ゴールデンウィーク真っ只中、そんな中でご紹介する「今週の1枚」。今回はWANDSのオリジナル4thアルバム「PIECE OF MY SOUL」(1995年4月24日発売)をピックアップしてお届けしたいと思います。

 ご存知の方も多いかと思いますが、WANDSはその10年間に渡る活動の中、メンバーが脱退、あるいは加入し、構成メンバーが変わった時期を区切りとして第機銑郡とオフィシャルでも呼ばれており、今回採りあげる「PIECE OF MY SOUL」がリリースされたのは上杉昇(Vo)、柴崎浩(G)、木村真也(Key)の三人による第挟(1992年〜1997年)。この第挟は王道のビーイングサウンドが聴ける1994年まで(便宜上「第挟前半」)と、オルタナロックやグランジ系にサウンドが傾倒していった1995年以降(同「第挟後半」)と、音楽性の違いで2つに分割できると思います。今作は、先行シングルの「Secret Night〜It's My Treat〜」から始まる、過渡期にあたる前年の「世界は終るまでは・・・」も含めたWANDS第挟後半のいわば第一歩。今までとは違う彼らを発見することができる作品となっています。

 このアルバム、第挟前半で見せたビーイングサウンドから一変、リズム隊が生音になり、今まで前面に出ていたキーボードは、ギターの後ろに隠れて奥で薄く鳴っている(木村真也の立場が^^;)など、全体的にサウンドもハードになり、今までのWANDSとはかなり違った印象を受けます。従来のスタジオワークの結晶としての楽曲スタイルというよりも、ライブで演奏することを意識したようなスタイルで制作が進行されていったのではないでしょうか。第挟前半時代でアルバム未収録だった「Jumpin' Jack Boy」も収録されていますが、アレンジを大幅変更して全く違うテイストに仕立てていて、シングルバージョンと聴き比べると、大胆に変化したのがよく分かると思います(メロディー自体はキャッチーなので少々後半のサウンドとは相性が悪いような気がしますが・・・)。
 サウンドの変化に合わせてか、それとも歌いたいことが変わったのか、上杉昇による歌詞の変化にも目を引きます。「僕をごらん そしていくらでも 笑いとばして」と、1曲目からいきなり自嘲気味に自らを語り出す「FLOWER」からインパクト大。続く「Love & Hate」では、自分の本心に怯えるような表現を使ってみたり、アルバムタイトル曲「PIECE OF MY SOUL」では「少しづつ 消えるくらいなら ひと思いに散ればいい?」と自問自答を繰り返してみたり。これ以前にも世を拗ねたような作風もあった彼の詞の世界ですが、このアルバムでは内省的な部分が大幅にパワーアップ。一年ぐらい前までは「Just a Lonely Boy♪」と明るく歌っていた姿からは想像できないというか・・・。聴きようによってはかつて「愛を語るより口づけをかわそう」とか「恋せよ乙女」などのキャッチーなラブソングでヒット街道を邁進していた自分自身、そしてそれを書かせていた(と思われる)ビーイング自体を揶揄しているという受け取り方も出来るでしょう。

 ・・・と、こう書くとこのアルバムはヘビーな曲ばかり?と思われそうですが、確かに大半はその作風で占めているという点は否めません。とはいえ、10曲中9曲の編曲を担当しているのが葉山たけし(「Secret Night」のみ池田大介)ということもあり、完全にハードな世界に突入というわけではなく、今作でのロック志向のサウンドに、かつてのWANDSのキャッチーなスパイスを加味することで、基本はハードなんだけども重すぎない、胃もたれのしないロックサウンド(っていう表現も変か)になっています。また、歌詞のほうも「Foolish OK」では「最上階の柵を越えて 自由を探すには まだ君は若い」と、少年少女の自殺に対してのメッセージを歌ったり、しがらみのある世の中、先は茨の道かもしれないけれど進もう、という決意表明のうかがえる「MILLION MILES AWAY」など、力強い曲もラインナップ。これらのおかげでアルバム自体が大分救われているというか、全編通してヘビーなのは間違いないですが、聴き終えての後味は悪くないと思います。

 このアルバムをリリース後、ライブツアーを経た彼らは、WANDSや柴崎浩名義による編曲のグランジ系サウンドに完全に移行し、歌詞も内省度をより濃くしたシングル「Same Side」、「WORST CRIME」を次々と発表。「以前とは全く異なる、新しい形としてのWANDS」をリスナーに示した形となりました。今までのファンを一気にふるいにかけたような状態になったわけですが、上記の2枚のシングルをもって上杉、柴崎両氏はWANDSを脱退。「Same Side」以降の作風でもう1枚オリジナルアルバムを作ってもらいたかっただけに、この脱退劇は今でもちょっと残念。

 その後、木村真也が新メンバー二人を抜擢して第郡WANDSがスタート。プロモーション方面で色々とあったことなど語りたいことはありますが(苦笑)、第挟とは別世界となり、切り離して考えるべきだと思うのでここでは詳しくは触れません。ただ、筆者は第機銑郡のどのWANDSのサウンドも好きな節操なしだったりするので^^;、期ごとの優劣を付けることはできませんが、いわゆる「ビーイング」という枠から一歩踏み出して、新たなサウンドを模索しつつ完成したこの「PIECE OF MY SOUL」が、WANDSのオリジナルアルバムの中では一番のお気に入りなのはこれからも変わることはないでしょう。