sweetandbitter 今週の1枚は、1998年7月29日にリリースされた、四人組バンド・CURIO(キュリオ)のセカンドアルバム「Sweet & Bitter」をチョイス。

 デビュー当時から佐久間正英、白井良明といった大御所プロデューサーによる強力なサポートと緻密なアレンジで、音楽ファンの間で注目されていた彼らですが、この年は「粉雪」、「君に触れるだけで」という2枚のシングルがスマッシュヒットを飛ばし、世間一般的にもCURIOの名前が知れ渡りはじめた時期。セールス的にも勢いを得た中で発売されたこのアルバムは、上り調子を感じさせる、勢いのある内容になっていました。

 もともと、彼らがリリースするシングルはこれ以前にも「ときめき」「ひまわり」など、いわゆる売れ線のメロディーにポップなアレンジを施した楽曲が多く、このアルバムも前半は「ブランコ」「Sweet & Bitter」といった、「ああ、CURIOってこんな感じだよね」という曲が並んでいるのですが、そんな「CURIO=ポップなバンド」という先入観のまま聴き続けると、途中から「?」となるかも(笑)。
 具体的には5曲目の「欲望のはじまり」あたりから、シングル群では見せなかったハードな面が徐々に顔を出してきます。やけにドラムがハードな音の「クルージン」、ギターとサックスのバトルが聴ける(?)「素晴らしき世界」、そして曲順は前後しますが、パンクロックと呼んでもいいであろう「BIG TODAY」に至っては、ヴォーカルをデジタル処理していて、何を歌っているのかあまり聞き取れないという^^;。ラスト曲を流麗なストリングスで聴かせる「粉雪」で締めているので鑑賞後は後味スッキリといった感じなのですが、中盤から後半への流れはCURIOの音楽の多様性を感じることのできる構成。それでいてアルバム全体を見渡してみると、楽曲のカラーがバラバラにならず、ある種の抑制が取れているのは、全作曲を手がけるAJAのマニアックになり過ぎないメロディーのおかげかも。この辺のバランスが絶妙です。
 シングルでポップな曲を出して、アルバムでバンドの引き出しを見せていくという手法は、実はすでにデビューアルバムから始まっていたのですが、このアルバムで特にその傾向が顕著。遊び心とチャレンジ精神が溢れる一枚に仕上がっています。彼らのディスコグラフィの中でも、最もバラエティに富んでいる内容ではないでしょうか。この時期を総括したベストアルバムも数年後に出ていますが、CURIOのオリジナルアルバムでのお勧めはこの作品ですね。

 このアルバムが出た1998年当時は、ヴィジュアル系アーティストがヒットチャートを席巻していて、彼らのようなポップ/ロックなバンドが影に隠れて目立たなかった時期だったので、CURIOのブレイクは「こういうバンドが音楽シーンの前面に出てきてくれて嬉しい!」と思っていたのですが、彼ら自身はこの後1作アルバムを出した後、ヴォーカルのNOBが覚醒剤所持で逮捕され活動停止。そしてメインコンポーザーだったAJAが脱退して三人となり、音楽性をガラリと変えて活動再開するも、2003年に解散、という経緯をたどっていきました。
 正直、メジャーのフィールドで活躍する姿をもっと見たかったとは思いますが、彼らが残した音楽は世の中に残るし、(そういえばレミオロメンが「粉雪」出した時に一部で話題になりませんでした?)今は、各メンバーがそれぞれの活動で頑張っているようだし、悲観的にならずに、今後の彼らにエールを送りたいと思います。ありがとう、CURIO!