lovers 今週の1枚は、解散からもう12年!あっという間に干支が一周していたことに驚かされる(笑)、プリプリことPRINCESS PRINCESSの4thアルバム「LOVERS」をピックアップ。

 このアルバムが発売された1989年は、シングル「DIAMONDS」、続くリカットシングル「世界でいちばん熱い夏」が立て続けに大ヒットを飛ばして、プリプリがブレイクを果たした年でもありました。そんな上昇気流の中、同年11月17日にリリースされたこのアルバムは、なんと前述のシングル曲を一切収録しない(まあ「世界でいちばん〜」は1stアルバムからのリカットでしたが)、全10曲完全新曲という驚きのラインナップ。この後の活動でもアルバムリリースの際は基本的にシングル曲は先行シングルとして切ったものしか収録しない姿勢を解散まで貫いていたプリプリではありましたが、シングル曲ゼロというオリジナルアルバムはこのアルバムのみ。求心力のあるヒットシングルを入れないでどういったアルバム構成になるのか?とファンも関係者(?)も発売前は結構不安だったんじゃないかと思うんですが、フタを開けてみれば、「友達のまま」「DING DONG」「恋に落ちたら」といった、アルバムの核になる名曲が数多く収録されて、逆に、これらの曲をシングルで切れば良かったんじゃないの?!と思わせてしまうほど、ドラマチックかつ親しみやすいメロディーのナンバーが楽しめる一枚になっています。

 今回のアルバムのテーマはズバリ「恋愛」ということらしく、色々な形のラブソングが散りばめられているのも特徴。名曲「パパ」もある意味ラブソングだと思いますよ>全国のお父さん方(笑)。それに合わせてか、奥居香のヴォーカルも気合全開という感じではなく、適度に力が抜けていたり、時に切なかったりと様々な表情を見せています。また、後にスピッツやコブクロのプロデュースを手がけることになる笹路正徳氏のサウンドプロデュースもロックサウンドをベースにしながらも、どこか耳当たり良く仕上げているという具合に、アルバム全編を通して非常に聴きやすい空気が感じられます。お気に入りの曲を挙げるとすると「GO AWAY BOY」を彷彿とさせる痛快ロックナンバー「シェイク イット オフ」あたりでしょうか。あと、シャッフル系の「パレードしようよ」も好きですね。
 彼女達の魅力のひとつに、メンバー自身がすべて手がけている作詞・作曲で見せる個性というのがあると思いますが、今作も含めて、ブレイク後も安定した良い詞曲を世の中に送り出していけたという点が、寿命が短いと言われるガールズバンドの中で、実にデビューから10年間近くも一線で活躍し続けることができた秘訣だったのではないでしょうか。

 1996年の解散後は、公式・非公式含めてベストアルバムが乱発されたおかげで、アルバム収録曲もそれなりにベストで聴けることができるようになった反面、オリジナルアルバム一枚単位で評価されにくくなっている彼女達。まあ筆者もこのアルバムのレビューを書くために「プリンセス・プリンセス大全集」からピックアップしてMDに曲順並べて聴いてたりするわけですが^^;、プリプリにヒットシングルは確かに数多くあれど、アルバムの名曲にもより多く触れてもらう機会があればいいなぁ、と思っています。まあブッ○オフとかに行けば250円ぐらいで買えるし(汗)、それぐらいの値段で購入できれば、聴いてもお釣りが来る名アルバムだと思いますよ♪