ashitanokaze
 今週の1枚は、2004年9月22日ユニバーサルミュージックより発売のcuneの3rdアルバム。

 メジャーデビュー以来、佐久間正英、亀田誠治といった大物プロデューサー達によって手がけられた1st、2ndアルバムから一転、今作はメンバーによる初のセルフプロデュース作品。
 レコーディングはほぼ一発録りに近い形で行われたため、キーボード系の音色は使用せず、メンバー四人が出した音だけで構成されています。彼らの作品の中で最もライブに近いサウンドが聴けるのがこの1枚でしょう。かつての「クローバー」や「Butterfly」などの曲で見られたポップ感は今回は陰をひそめ、全体的にギターサウンドが強調された、良い意味で「荒っぽい」仕上がりになっています。

 歌詞の面では、前半は「Hello,Mr.Pain」や「葛藤」といった、どこかトゲトゲしい歌詞が目を引きます。なんでも、このアルバム製作前にバンド解散の危機があったそうで、その辺が歌詞に表れているんでしょうか。ある意味上記2曲は小林亮三氏の新境地だったような気が。かと思えば、中盤の「Love is all in my life」「ほほえみ」といった穏やかな曲を経て、ラスト前の「ホライズン」のような視界の開けた前向きなナンバーもあり、様々なタイプの曲が楽しめます。歌詞面は新たな引き出しを広げ、サウンド面ではライブバンドとしての実力を存分に発揮した感があり、今後の活動も大いに期待できる!と当時思っていました。

 ・・・残念ながらこの後cuneの活動は停滞し、2006年末のミニアルバムの発売をもって活動休止になってしまいました。現在はメンバーは各々で活動を行っているようですが、いつか活動再開となった時には、また彼らのサウンドに耳を傾けてみたいですね。