2024年4月15日発売、小泉今日子の「コイズミクロニクル 〜コンプリートシングルベスト 1982-2017〜」をCD1枚に再編集したベストアルバム。全16曲収録。「コイズミクロニクル 〜コンプリートシングルベスト 1982-2017〜」(以下「原盤」)は、彼女のデビュー35周年を記念した2017年5月にSHM-CD3枚にわたり歴代のシングルタイトル曲を時系列順に全50曲網羅したベストアルバム。本作は原盤の中から16曲を時系列順に選曲し、通常CD仕様で発売された再編集盤。ビクターエンタテインメントの公式ページには本作はラインナップに加わっておらず、商品コードもNSC-10299と通常のビクター品番ではないものの、発売表記はビクターからと明記。調べたところ、エスエスソフトプランニングという東京の会社への委託販売商品のようで、一般流通は店頭のみでネット通販などは行っていない模様。ちなみに筆者は旅行先の福島県のホームセンターの催事場で入手いたしました。
原盤でCD3枚、35年間(当時の最新シングルは2014年の「T字路」なので実質は約32年間)に及ぶキョンキョンのシングル史の中からピックアップされた本作の選曲基準はシンプルに有名曲を抜き出しました、といった趣で、デビューシングル「私の16才」から始まり、「艶姿ナミダ娘」「渚のはいから人魚」「ヤマトナデシコ七変化」、そして代表曲たる「なんてったってアイドル」と、インパクトのある80年代の楽曲が中盤にかけて連打。これら80年代の曲が全体の2/3にあたる12曲と圧倒的に多いものの、セールス上位のTOP16というわけでもなさそう(「月ひとしずく」入ってないし…)で、特に7分半に及ぶ無機質なハウスナンバー「Fade Out」の選曲にはよくこの曲調でシングル切ったな…とも思いましたが、アイドルポップスが並ぶ中で良いアクセントに。そして90年代に突入し、最大セールスの「あなたに会えてよかった」、「優しい雨」「My Sweet Home」と、ガールポップ的な路線にシフトしたヒット曲達は、アイドルというよりも、女優とシンガーを両立している(作詞もするし)アーティスト、というイメージでリアルタイムで聴いていた身としては大変懐かしく、そしてやはり名曲だなぁ…と思うことしばし。改めて聴いてみると歌唱力的には結構危なげな箇所もありますが、この一度聴いたらこの声キョンキョン、という生まれ持った声質を生かした楽曲を松本隆や筒美京平、康珍化といった専業作家達や、秋元康や高見沢俊彦、小林武史といったクリエイター陣も含めて作り上げていったんだなぁ、と。さすがに80年代の楽曲は今聴くとアレンジに時代性が…という点は無きにしも非ずですが、それも含めて彼女の歴史が垣間見える1枚だと感じました。
彼女の1枚モノのオールタイムベストとしては、デビュー25周年(2007年)の際のファン投票ベスト「K25 〜KOIZUMI KYOKO ALL TIME BEST〜」(全20曲収録)が存在しており、本作とは13曲が重複。曲の数では「K25」のほうが多く先述の「月ひとしずく」も収録されているものの、曲順の時系列がバラけているのでシングル史的な追い方が出来ないのと、発売時期的に仕方ないのですが「潮騒のメモリー」が収録されていない…ということもあり個人的な軍配は本作かと。彼女ぐらいのキャリアになるとなかなか全需要に応えるような1枚モノのベストは作れない…という証でもあるでしょうか。とはいえ、本作は16曲ながら曲自体は結構短い曲が多く、収録時間66分と聴き疲れせず、中弛みもないまま最後まで一気に聴けるベストだと思うので、入手手段は限られてはいますが、彼女の代表作を凝縮したベストを求める層にはお薦めな一品です。
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