2025年6月18日発売(同年7月16日配信開始)、森口博子によるガンダム関連楽曲カバーアルバムシリーズのスピンオフ作品。全10曲収録。本編CD1枚の通常盤、本編のInstrumental Versionを収録したDISC-2と、MVとメイキングを収録したBlu-ray付属のイラストスリーブケース仕様の初回限定盤の2形態での販売。本レビューは通常盤となります。2019年から2022年にかけて展開された「GUNDAM SONG COVERS」シリーズを全3作で完結させ、アニソンカバーアルバム2作を経て、スピンオフ作品として3年振りに復活したガンダムカバーアルバムの実質第4弾作品となった本作。これまでは歴代のガンダム楽曲を日本の音楽シーンで活躍するミュージシャンをゲストに招きつつ、生演奏主体での丁寧なアレンジでナンバリングを重ねてきましたが、今回は「森口博子×ガンダム×フルオーケストラ」というコンセプトを掲げ、全収録曲を発売元のキングレコードと業務提携しているJapan Pops Orchestra(タクティカートオーケストラ)との共演でレコーディング。また、収録曲の1曲である森口自身のオリジナルの持ち歌「ETERNAL WIND 〜ほほ笑みは光る風の中〜」は今回のオーケストラバージョンが初のMVとして発売日前に公開。この映像が初回限定盤のBlu-rayの収録内容の一部となっているようです。
選ばれた曲は「ETERNAL〜」を始めとして過去のシリーズでリリースされてきた楽曲とはコンセプトが異なることもあってか再度取り上げられた曲が多く、6曲が重複。4曲がカバーシリーズ初登場になりますが、あれだけ選曲してもまだ結構著名な曲が残っていたんだなぁ…というラインナップで、さすがに初代から45年以上を経過しても形を変えて継続するガンダムシリーズの積み重ねを感じたりも。また、発売時のインタビューでも語られているように、オーケストラ映えのする曲が主に選ばれている印象で、ほぼ原曲のアレンジを基にストリングスアンサンブルを融合させた「FIND NEW WAY」や「遠い記憶」といったバラード曲のみならず、「10 YEARS AFTER」や「FLYING IN THE SKY」といったアップテンポの曲も、生ドラムを使いつつ流麗なストリングスで軽快にアレンジされており、これまでのGUNDAM SONG COVERSのようなこの曲をこんな楽器やアレンジで?というような驚きはこれといって特になし。相対的に、オーケストラをバックに歌い上げる森口博子のボーカリストとしての表現力に注目できる曲が多いかなと。アイドル歌手としてデビューしたものの、一般知名度を上げたのはバラエティタレントとして大成したのがきっかけ…という紆余曲折を経てきた彼女でしたが、長年歌い続けてきただけあって、歌詞のフレーズを自分なりに解釈して「考えながら歌う」という意味での表現力はピカイチ。圧倒的なボーカル力で聴き手を捻じ伏せる…とは異なるタイプの「上手いシンガー」に成長したなぁ、ということを強く感じさせられました。
森口いわく「アンコールの声」に応えた本作は、これまでのシリーズとは毛色は異なりますが、過去作同様に新旧のガンダムシリーズファンに幅広く聴いてもらいたい、そんな作品に仕上がっていました。
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