hzettriodynamics 2024年6月12日発売、H ZETTRIO通算9作目となるオリジナルアルバム。本編12曲+ボーナストラック3曲の全15曲収録。これまで継続してきたボーナストラック違いの2種形態での販売方法は行われず、1種類のみでのフィジカルリリースとなっています。

 前作以降カバーアルバムを挟みつつ、9ヶ月ぶりと比較的短いスパンでリリースされた本作。といっても、毎月1曲配信されているデジタルシングルを1年分集めてCD用にリマスタリングし、曲順を構成してフィジカルリリースというのが実態で、今回は前作のような(一応の)新曲もなく、ボーナストラックも既発曲の別音源(後述)ということで、オリジナルアルバムと謳っていいものか…とは彼らのアルバムのレビューを書こうとする度に毎回思うことなのですが(苦笑)、その毎月1曲配信を2019年から途切れることなく現在も継続しているというその姿勢は素直に凄いと思います。なお今回の収録は2023年の1〜12月までにリリースされた楽曲が該当。

 今回は三位一体の演奏からアグレッシブなエネルギーを感じさせる曲…というよりも、ファンク寄り、ジャズ寄りのナンバーが集中して収められている印象。技巧満載のタイトル曲「Dynamics」を筆頭に、重ためのリズムが特徴のボサノヴァ調「ゾウ」、ちょっと彼らの前身バンドの某曲を彷彿とさせる「Sky」、レトロなエレピの音とシェイカーの刻みによるシンプルなサウンドがメインのジャズのクロスオーバー的な「9 P.M.」等々、中盤まではバラード調の曲が登場しないこともあって適度に乗れる感じ。後半に登場する歌謡曲 meets ピアノトリオといった趣で和の雰囲気を醸し出す「宵宵雪花」のインパクトはかなり異彩を放っており、アルバムの良いアクセントになっている気もしますが、全体としてはトリオ編成的にはエレピやリードシンセを曲によって入れる以外には大きな変化がなく、さすがにこれだけの曲を作り続けているとマンネリ的な要素も強くなってきており、正直本作の3ヶ月後ににリリースされたユッコ・ミラーとのコラボアルバムのほうが個人的な評価は高いのですが、途中でアジテーションを入れるギミックがある曲もあったりと、聴いていて飽きさせない、リスナーを楽しませる、特にライブでの生演奏で聴いたら盛り上がるだろうなぁ…と思わせる作風は本作でも鉄板でした。

 ボーナストラックは「Dynamics」ステム音源(ピアノとベース、ベースとドラム、ピアノとドラムの3パターン)を収録。特にベースとドラムの音源は、基本的にメインとなるピアノがいないとこんなことを演奏しているのか!という新鮮さがありました。いわゆる各パートマイナスワン音源でもあるので、腕におぼえのある方は抜けた楽器を音源と合わせてセッションしてみるのは如何でしょうか(難易度が…)