seiya6 祝・リマスター盤復刻!!…と、いきなりの出だしで始まる久々の「今週の1枚」。何をそんなに盛り上がっているかと申しますと、先日、長年復刻を熱望していたサウンドトラックがついに再プレスで入手可能な形になった、と知って昂る気持ちのままに綴ってしまいました(笑)。そのサントラ、「聖闘士星矢 音楽集VI 〜黄金の指輪篇〜」を当時の思い出も含めましてご紹介してみようと思いますので、しばしお付き合いを。

 本ブログでも何度か音楽作品として紹介しています「聖闘士星矢」。今更説明の必要もないとは思いますが簡単に解説すると、「週刊少年ジャンプ」にて連載された車田正美原作のプロテクトヒーローバトル漫画。1985年末に連載開始、1986年10月よりアニメがスタートし、1989年4月に物語の区切りでアニメは一旦終了。その翌年に原作も完結し、00年代になって原作未消化分のTVアニメが制作されて2008年にアニメとしても完結。その後もスピンオフや次世代を描いた続編が作られ、連載開始から約40年を経過した現在でも根強いファンを持つ人気作品です。音楽は横山菁児が担当、アンドロメダ・ハーモニック・オーケストラによる演奏で、アニメシリーズとしては当時でも異例の全8作のサウンドトラックが1987〜1989年にかけてリリース(TV・劇場版用作品含む)。放送終了後は入手困難なアイテムとなっていましたが、2003年からスタートしたコロムビアレコードのアニメ関連LP/CDの廉価復刻リマスター企画「ANIMEX1200」シリーズに第6作までがラインナップ。こちらは各5,000枚限定生産ということで生産終了以降は激レアCDと化し、中古市場やネットオークション等ではオリジナル盤と共に高額の取引となっていましたが、ディスクユニオン限定で2023年の秋に第1作、2024年の春に第2・3作、そして今年5月にはタワーレコード限定で2005年3月23日に発売された第4〜6作が再プレス(正しくはオリジナル盤をリマスター再発した「ANIMEX1200」盤の復刻)と相成りました。今回ご紹介するのはその第6作、オリジナル盤は1988年10月1日発売、全11トラック27曲入りのサントラとなります。

 本作は、1988年春から秋にかけてのTVシリーズ第74〜99話、約半年間オンエアされた完全アニメオリジナルシリーズ「黄金の指輪篇(通称:アスガルド編)」のために制作された劇伴集。北欧・アスガルドを舞台に、オーディンの地上代行者である女性・ヒルダが何らかの力により黄金の指輪を嵌められ人格が一変、北斗七星を守護星座に持つ7人の神闘士(ゴッドウォリアー)を率いて地上に異変を起こそうとするのを主人公・ペガサス星矢たち聖闘士が阻止するためにアスガルドに赴く…というのが大まかなストーリー。基本的にはバトルものではあるのですが、このシリーズは突如人格の変わったヒルダに戸惑いながらも忠誠を貫く側近の神闘士や、不幸な生い立ちを背負って生きる神闘士の過去が語られる等、ドラマ性はむしろ敵キャラクター側にあり、今回のサントラもその悲壮感・悲劇性を反映してか影を感じる楽曲が多く、北国であるアスガルドの厳しい寒さを粛々としたバイオリンやピアニカで表現している「北極星のヒルダ」を筆頭に、不穏な雰囲気の演奏による新たな戦いを告げる「ニーベルンゲン・リング」「呪われた女神」等、基本的にはオーケストラを主軸に置いたスローの曲がメイン、というのが全編聴いての印象であり特徴であると思います。毎週冒頭のアバンタイトルで流れる「ワルハラ宮殿をめざせ」といった若干テンポ速めの曲や、戦闘シーンで使用されたアップテンポの「伝説の神闘士」も他の「星矢」のサントラで見受けられる勇壮なテイストではなく、フュージョン寄りのマイナーロック的なアプローチが見受けられるなど、全体的にシリアスで重たく、もっと言ってしまえば暗い…と思わせる、異色の作風であると感じます。

 では、数ある「星矢」のサントラの中から、なぜ「黄金の指輪篇」を今回セレクトしたのかと言いますと、当時小学生だった筆者が初めて購入した(正しくは親に買ってもらった)「星矢」のサントラだったから…というのが理由。ちなみに当時はカセットテープでしたが。なぜ本作品をねだったかと言うと、アニメ後半主題歌「聖闘士神話」「夢旅人」が入っているから…という単純な理由。ところが実際には確かに曲目には記載されていたものの本作に入っていたのは同曲のインストバージョンだった…というオチ(笑)がついて、テープを聴いて最初のうちはガッカリしていたのですが、でもこのインスト主題歌も悪くなく、また一番個人的に「星矢」のアニメに毎週夢中になっていた時期だったこともあり、この曲よく作中で聴いたことあるな、とか、他の収録曲の重厚な感じも良いな…と繰り返し聴いていくうちに思うようになり、やがて「星矢」のみならず劇伴モノに興味を持ち、以降は好きになったアニメはサントラもマメにチェックするようなオタクなサントラファンになったきっかけの作品なのです。本作よりも内容的に好きな「星矢」のサントラはありますが、思い入れという点では個人的に本作が随一という、「思い出の1枚(カセットテープだったから1本?)」ということを今回37年ぶり(ぐらい)にじっくりと聴いてみたことで、改めてその原点を再確認することができました。

 2005年の初復刻時には金銭的な事情で「また今度買えばいいや…」と思っていたら完売してしまい、苦い思い出になってしまった本作。今回の復刻は二度と過ちは繰り返さないという強い信念(?)のもと、即断で購入。おかげで我が家には第1〜6作までの復刻盤が揃いました。今回も数量限定生産とアナウンスされており、既に在庫の有無が行ったり来たりという状態になっているようなので、欲しい!と思った方は今すぐの購入をお勧めします。なお、「ANIMEX1200」シリーズ自体は2015年の200作目をもってナンバリングが止まってしまっているのですが、残された第7・8作のサントラは相変わらず放映当時のオリジナル盤が中古市場で価格高騰している状況のまま。こちらもできれば復刻して欲しいなぁ〜、という願いを最後に記して、今回の「今週の1枚」はこれにて。