zard35th 2025年2月10日発売、ZARDの通算6作目となるCD3枚組のベストアルバム。3CDのみの通常盤(初回生産分のみ三方背BOX仕様)、3CD+メモリアルアクリルフォトブロックをBOXに封入した完全生産限定盤、通常盤+歌詞が刻まれた「メモリアルアクリル詞-ことば-ブロック」(35種類の中から購入者選択)付きのMusing限定販売の3形態。収録曲はどの形態も同一の全35曲を収録。

 本作は2026年のデビュー35周年に向けた「ZARD35周年YEAR」の第1弾として企画されたリクエストベストアルバム。特設サイトにて2024年5月27日から中間発表を挟んで4ヶ月の投票期間を経て、11月中旬に公式YouTubeで収録上位35曲の結果発表と共に発売日と各販売形態が公開。投票1位の「心を開いて」からdisc 1(1〜10位)、disc 2(11〜22位)、disc 3(23〜35位)とランキング順に収録。また、各CDは高音質Blu-spec CD2仕様。ちなみに発売日はデビュー34周年当日となっています。

 ZARDのリクエストベストはこれで3回目。前回(2008年)の「ZARD Request Best 〜beautiful memory〜」では2006年の15周年ベストや2007年の追悼盤に収録された曲ばかりに投票が集まらず、比較的マイナーな曲が多く選出された結果となっていたのですが、本当の意味での縛りなしオールタイム投票となった今回の結果ならびに収録曲の35曲中、2016年発売のプロデューサー&スタッフによる王道選曲ベスト「ZARD Forever Best 〜25th Anniversary〜」とは32曲が重複という想定外(?)の展開に。被らなかった3曲も「遠い日のNostalgia」「止まっていた時計が今動き出した」は過去にもベスト/セレクション系のアルバムに収録機会があり、純粋なベスト初選出は「好きなように踊りたいの」1曲という全く新鮮味のない収録内容。90年代のヒットシングルはほぼ収録、アルバム表題曲や人気曲もぼちぼち入ってバランスが良いといえば良いですが、コアなファンならもっとマニアックな曲に票を入れそうなものの結果はこの通りということで、4枚組だった「Forever Best」を3枚組に圧縮したような内容となってしまったのは残念。

 投票結果としては、disc 1は「息もできない」(7位)や「遠い日の〜」(10位)がセールスや知名度の割にここまで食い込んでくるとは予想外でしたが、他はまあこうなるよな、という超無難な感じ。流れで聴いていて面白くなるのはアルバム曲がチラホラ出てくるdisc 2の後半辺りからで、この3枚で一番どれを聴きたいかと問われればカップリング曲や提供曲のセルフカバーが登場するdisc 3ですかねぇ…という感想。投票上位順に収録されたので、全盛期の作品でも圏外になったシングル曲もあったり(「Just believe in love」は毎回不遇でもう忘れられてるんじゃないかと思うぐらい)、00年代以降の楽曲選出はリクエスト投票でも極端に弾かれてしまうなどの結果や、活動が実質終了して15年以上を経過した現在における人気曲の順ってこんな感じなんだ…と把握する材料の一つと考えればそれなりに存在意義もあるかな、と。

 なお今回も20周年時のシングル・アルバムコレクション、25周年時の「Forever Best」、30周年時のオリジナルアルバム再発に引き続きリマスターはBIRDMAN MASTERING代表の島田勝弘が担当。今回はAIを駆使してかなり気合の入ったリマスタリング作業を行ったことがインタビューで語られており、リップノイズや微弱な空調の音などを除去するなどの拘りが反映された模様。まあ20周年時のリマスター時点で綺麗に整音されており、それと比べると(筆者のリスニング環境では)劇的に音質が変わった!という印象は受けなかったのですが、2025年時点でのZARDの最高音質アルバムということになるのでしょう。そういった意味では前述の通り真新しさは正直全く感じないラインナップではありましたが、「Forever Best」を所持していなくて代表曲満載の最新ベストが欲しい、という方にはお薦めかな、と思いました。