
3月21日のデビュー35周年記念日を一週間後に控えたタイミングで突如告知され、即日配信となったのが本作。近年の彼らは時流に合わせてフィジカルでのシングルリリースは行わず、配信という形でシングルを切っており、新曲としては昨年8月の「渋谷百年総踊り」以来7か月振り。「渋谷〜」が盆踊り用の企画ソングだと考えると、純粋なオリジナルの新曲では2021年元旦リリースの「黄昏」以来というリリーススパンの長さとなりました。なお、両曲とも直後の月末にかけて大阪・東京で行われた35周年記念ライブにて早速初披露されており、筆者もU-NEXTの生中継にて3月30日開催の日本武道館公演での生演奏を拝見することができました。
表題曲「太陽」は、前述の記念ライブでのボーカル比嘉栄昇の曲解説によると、ツアーを回る途中にスタッフが、また弟分だと思っていた東北の知り合いがここ数年で相次いで亡くなってしまい、悲しみと憤りの中で曲作りに苦しむ中、先に逝った彼らを太陽になぞらえてようやく作り上げた曲(大意)とのこと。やさぐれとも開き直りともとれそうな歌詞ながら、どこか吹っ切れたような前向きなメッセージが胸に響く楽曲。BEGINと言えば泣きのバラードか楽しく盛り上がれる曲の二択、という一般的イメージがあるのではと思いますが、本作は彼らのシングルとしては結構珍しい、エレキギターやベースがズンズン鳴り響く直球のロックンロールナンバーとなっており、ダイナミックな演奏が耳を惹く仕上がりに。
一方のカップリング曲「ほなバイバイ 〜大阪マドロス女〜」は、大阪から短期バイトで沖縄の小浜島で過ごした女性が帰阪する間際の心情をコミカルに綴った、歌謡曲とケルト音楽と盆踊りをミックスしたかのような、昨年の企画アルバムを彷彿とさせる、表題曲とは一転の明るいノリの楽曲。余談ですがこの曲は既に昨年の時点で比嘉率いるY.A.B.ことヤエヤマ(ヤファイアンより改名)・アッチャーズ・バンドのレパートリーとしてライブで演奏されていたので、Y.A.B.より先にBEGINバージョンとして世に出たということに。かつてBEGIN名義でライブ披露していた「歌津さきてけさい」がY.A.B.名義でスタジオ録音されたのと逆のパターンでの音源化と相成りました。
武道館公演の最後に7月にオリジナルアルバムを発売というサプライズ告知を行った彼ら。前作から約6年半振り(公式では7年と書いていますが)となる待望のリリースとなり、嬉しさと同時にやっとか〜…という気持ちが沸き上がったことをここに白状いたしますが(苦笑)、この2曲もアルバムに収録される模様。発売が今から非常に楽しみです。
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