先月末1月29日に発売になったBEGINの35周年記念2枚組ベストアルバム「BEGIN さにしゃんベスト」。発売直後更新の前編に続き、今回の「CD Review Extra」では後編としてDISC-2の収録曲を全曲レビュー。2006年から2024年までの楽曲の中から選ばれた全17曲の紹介に加えて、最後にアルバム全体の感想も追記して完結とさせていただきます。「BEGIN さにしゃんベスト」全曲レビュー・DISC-2編
1.三線の花
作詞・作曲・編曲:BEGIN/ストリングス編曲:萩田光雄
2006年10月25日発売、29thシングル。
前年に三宅裕司主宰の劇団「スーパー・エキセントリック・シアター(S.E.T)」の舞台公演「ニライカナイ錬金王伝説」の主題歌として書き下ろして提供した楽曲をBEGINバージョンとしてカバー。元々自らは演奏するつもりはなかったようだが、出来上がったバージョンはもはや完全にBEGINのオリジナルと化し、彼らの新たなスタンダードナンバーに。オモトタケオシリーズではないものの、2011年7月の「ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト」には1曲目として堂々選曲。なお、2007年3月には沖縄・八重山出身のミュージシャン達がこの曲をカバーしたコンピレーション「三線の花 歌合戦」がリリース。S.E.Tの女性役者二名が歌うオリジナルバージョンも収録されているとのこと。
2.ミーファイユー
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2007年2月7日発売、30thシングル。
映画「恋しくて」主題歌。生まれ育った故郷を巣立ち、年月を重ねたからこそ伝えられる、両親への「ミーファイユー」(八重山方言で「ありがとう」の意)を綴った、温もりを感じさせるミディアムテンポの感謝ソング。歌詞に出てくる「ふるさと離れて十九年目の春」というのは、高校を卒業し、メンバー三人それぞれの夢を持って東京に上京して以降の当時の年数とほぼ重なるのでこの部分はリアルなBEGINとしての描写だと思うが、他の部分は普遍的な内容となっており、この時の彼らの年齢(三人とも1968年生まれなので40歳手前)だからこそ描けた楽曲だと思う。なお、比嘉栄昇はこの時点で既に沖縄に戻り現在は故郷の石垣島に、島袋優も現在沖縄本島に在住と、東京からは離れている模様(上地等はレギュラーラジオの発言等を鑑みるに今でも東京在住だと思われる)。
3.笑顔のまんま
作詞:明石家さんま・BEGIN/作曲・編曲:BEGIN
2009年1月7日発売、34thシングル。
前年のフジテレビ系「FNS27時間テレビ!! みんな笑顔のひょうきん夢列島!!」にて、総合司会の明石家さんまより番組当日にエンディングテーマを依頼され、さんまの持ちギャグフレーズ(?)を歌詞に散りばめ、番組フィナーレで1コーラスを完成させて演奏。翌年CD化に際してフルコーラスが制作され、レコーディングには吉本芸人がアホナスターズとしてコーラス参加。よって名義としてはBEGIN with アホナスターズでの作品である。話題性も手伝ってかオリコン12位という「恋しくて」に次ぐ最高位を獲得。後年には2015年の企画アルバム「ビギンのマルシャ ショーラ」でショートバージョン、2018年6月には配信シングルとしてフルバージョンが制作。また、2024年10月の「ビギンの盆マルシャ」では盆踊りバージョンが登場。どちらも楽曲のノリを活かしたアナザーアレンジとしてマッチしていた。
4.パーマ屋ゆんた
作詞・作曲:ちゅんなーや/編曲:BEGIN
2010年9月8日発売、企画アルバム「ビギンの島唄 オモトタケオ3」収録曲。
NHKラジオ「ラジオ深夜便」の同年7〜9月の「深夜便のうた」にてオンエア。進学のため明日内地へと旅立つ少女の髪を、幼いころからカットしてきたパーマ屋のおばさんの視点から見送るバラード。「〜オモトタケオ3」は歌詞の解説を掲載しないと歌の意味が難解になる曲が結構多い中で、この曲にはとっつきやすさがあり、実質アルバムのリード曲になっていると思う。なお、深夜便オンエアバージョンはメンバー三人での演奏だったが、アルバムには太鼓や三線を加えたバンドバージョンがオリジナルとして本編に、深夜便バージョンがボーナストラックとしてラストに収録された。個人的にはピアノとギターのみの演奏でしみじみと歌われる深夜便バージョンの方が好みだったりする。ちなみに作詞・作曲のちゅんなーやとは比嘉のペンネーム。
5.国道508号線
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2012年9月7日発売、35thシングル。
BEGINと沖縄ファミリーマートがコラボした「結プロジェクト」のテーマソングとしてCMでオンエアされた、架空の国道をタイトルに冠した沖縄限定の1コインシングルで、歌詞はローカルソングらしく三種の沖縄方言で構成されている。軽快なテンポでノリが良く覚えやすく非常にキャッチーな作品。2015年6月の企画アルバム「ビギンのマルシャ ショーラ」ではサンバの要素濃い目でリアレンジされたショートバージョンでセルフカバーして収録。
6.砂糖てんぷら
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2012年10月24日発売、15thアルバム「トロピカルフーズ」収録曲。
タイトルの「砂糖てんぷら」とは、沖縄の郷土菓子であるサーターアンダギーのこと。要約すると美味しいサーターアンダギーを朝一番に買いに行こう、という内容であり、サビでは「アンダギーアンダギー」と連呼されるなど、サーターアンダギーのタイアップソングか?と思えるほどの(違うようですが)徹底ぶり。2022年にはEテレの料理番組「グレーテルのかまど」にてこの曲に因んで「BEGINの砂糖てんぷら」として紹介されたこともある。ライブの人気曲とのことで選曲されたようだが、今回のベストに収録された33曲の中ではマニアックな類ではないだろうか。なお2014年のBEGINの初のハワイ公演の際にハワイ限定で発売された「BEGIN HAWAII BEST」にも並み居る代表曲に混じって選出されていたりする。
7.春にゴンドラ
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2013年3月20日発売、36thシングル。
南大東島を舞台にした映画「旅立ちの島唄 〜十五の春〜」主題歌。映画の内容に即した書き下ろし楽曲(ストーリーの最終盤の内容を聞いて制作したとのこと)で、南大東島での特殊なシチュエーションが舞台ながら、故郷を離れる者、故郷から見送る者それぞれの視点から綴られたテーマには共感性があり、聴き手の心に響くと思う。なお、曲中の「アバヨーイ」とは沖縄で歌い継がれる別れと旅立ちの唄。ちなみにこの曲までが2015年発売の「BEGINシングル大全集 25周年記念盤」の収録範囲である。
8.ウルマメロディー
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2013年3月20日発売、36thシングル「春にゴンドラ」カップリング曲。
前年のアルバム「トロピカルフーズ」にて、ハワイでのライブバージョンが収録されたのが初出。このアレンジを基に、年が明けてからのシングルのカップリング用にスタジオレコーディングが行われたのが本作に収録されたバージョンで、アルバム初収録。2015年の書籍「BEGINぴあ」等で語られているところによると、戦後の沖縄の食糧難に際し、ハワイの沖縄移民から550頭の豚が寄贈され、沖縄とハワイの絆を深めた…というエピソードを基に作られた楽曲で、曲調もこの時期に彼らが取り組んでいたカントリーやハワイアンを島唄と融合させた「ヤファイアン・ミュージック」が反映されている。なおこのシングルの初回限定盤には収録曲2曲にまつわる書き下ろしテキストを芸術学博士の大城盛裕が寄稿したブックレットが封入。
9.ハンドル
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:島尻哲朗・BEGIN
2015年8月26日配信、初のデジタルシングル。
「パーマ屋ゆんた」同様、NHKラジオ「ラジオ深夜便」の同年7〜9月の「深夜便のうた」に採用。経営が傾きがちな居酒屋の夫妻の会話のやり取りを曲にしているのだが、特に説明なく一人称が切り替わるので予備知識無しに曲だけ聴くと「?」になる不思議な楽曲(各Aメロが妻、Bメロとサビが夫…だと思う)。バンドスタイルながら音数を減らしたシンプルな演奏で、ノスタルジックにしみじみと聴かせる味わい深いバラードである。
10.海の声
作詞:篠原誠/作曲:島袋優/編曲:BEGIN
2015年10月28日発売、16thアルバム「Sugar Cane Cable Network」収録曲。
元々はauのCMシリーズ「au三太郎」のCMソングとして、2015年7月に浦島太郎役の桐谷健太に島袋が作曲提供した楽曲のBEGINバージョン。制作にあたり、リードボーカルは比嘉ではなく島袋が担当するという異色の作品になった。従来メインの比嘉、デビュー初期から時々アルバムで1曲喉を披露していた上地とは異なり、島袋がボーカルを取り出すのはかなり後になってからであり、ボーカリストとしてはまずまず…という印象なのだが、不器用ながらピュアな恋心を歌ったこの楽曲との相性は良好。翌年6月にはオルゴールバージョンとカラオケをバンドルした配信シングルとしてもカットされた。なお島袋は2024年2月に初のソロアルバム「55rpm」をリリース。その中にはレゲエアレンジの新バージョン(Mighty Crown Reggae Remix ver.)が収録されている。
11.ソウセイ
作詞・作曲:ちゅんなー屋/編曲:BEGIN
2018年1月13日発売、39thシングル(配信を含めると通算41st)。表記はないが本作には同年12月12日発売の17thアルバム「PotLuck Songs」のアルバム・バージョンで収録された。
オリオンビール創業60周年記念のCMソングとして沖縄限定で販売されたシングルが初出。「オジー自慢のオリオンビール」「アンマー我慢のオリオンビール」に続くBEGINのオリオンビールソング第3弾だが、過去作の焼き直しにはせず、10年代中盤より取り組みはじめたブラジル発祥のマルシャアレンジにブラスセクション、三線や太鼓の音が絡み、中間パートや間奏ではラップや沖縄古典芸能の役者である�盖楙觴多�による口説の掛け合いが繰り広げられるなど、国境・音楽ジャンル・世代を超えた賑やかなナンバーに仕上がった。ちなみにタイトルの「ソウセイ」とは、オリオンビール創業者の具志堅宗精と「創世」等に因んだもの。なお、シングルバージョンではラップパートは地元沖縄のラッパーRITTOが担当していたが、「PotLuck Songs」ではHorookiesの津波俊之介に差し替わっている。本作には後者が収録されたので、シングルバージョンはアルバム未収録のままである。
12.君の名はワルツ
作詞:比嘉栄昇/作曲:島袋優/編曲:大友良英・BEGIN
2018年12月12日発売、17thアルバム「PotLuck Songs」収録曲。
映画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」主題歌。レコーディングには主演の安田顕がコーラスとトライアングルを、松下奈緒がピアノとコーラスを、監督の大森立嗣がパーカッションとコーラスをそれぞれ担当するなど、映画スタッフとのコラボを経て作り上げられた書き下ろしワルツ。全曲がタイアップ曲という触れ込みの「PotLuck Songs」の中でも存在感が大きく、アルバムのリード曲的な風格を備えた楽曲。
13.24-7のブルース
作詞・作曲:島袋優/編曲:BEGIN
2020年8月19日配信、6thデジタル(通算45th)シングル。アルバム初収録。
前年からBEGINがCMに出演していたオリオンビールの新商品、オリオンプレミアムクラフト「75BEER」の2020年のCMソングに起用。これまでのオリオンビールCMソングのような陽気なノリとは真逆の渋いロックブルースが展開。メンバー三人がそれぞれリードボーカルを務め、島袋がAメロを、上地がBメロを、比嘉はサビの英語フレーズを歌うという、彼らとしては異色のパート割りになっているのも特徴。なおタイトルの「24-7」とは24時間・7日間、「年中無休」という意味とのこと。
14.粛々楽々
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2020年12月9日配信、7thデジタル(通算46th)シングル。アルバム初収録。
毎年12月にハワイで行われる「ホノルルマラソン」の2020年オフィシャルソングとして書き下ろされた楽曲。「楽しむマラソン大会」という大会のコンセプトに即したのか、ランナーを鼓舞するのではなく、のんびりと走る汽車のように「歩くように走れ」と背中をそっと押すタイプの軽やかなハワイアン風ナンバー。レコーディングには地元出身のジェイク・シマブクロがウクレレで参加。なお、この年の大会自体は新型コロナウイルスの蔓延によって開催延期となり、年明けに正式に中止となった模様。
15.黄昏
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2021年1月1日配信、8thデジタル(通算47th)シングル。アルバム初収録。
「粛々楽々」から一ヶ月足らずでの積極的リリースとなった本作は、富山常備薬グループ10周年タイアップソングとしてCMでオンエア。タイアップ先とは直接関係のない歌詞だが、コロナ禍真っ只中での年末年始を迎え、世の中が最も不安に陥っていた時期の人々の思いを切り取ったような「間違い探しだけの日々を繰り返し傷つき疲れて」というフレーズが印象的。儚さの中にも温もりを感じさせるバラード。
16.ユガフ島(2021Ver.)
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2021年11月3日配信、9thデジタル(通算48th)シングル。アルバム初収録。
オリジナルは2004年2月発売の26thシングル「いつまでも」の両A面曲。おきなわフィナンシャルグループのCMソングとしてリアレンジされたセルフカバーバージョンがこちら。基本的なアレンジは変わらないが、流麗なストリングスがメインだったオリジナルから、生のバンド演奏を前面に出し、楽器の配置も含めてライブ空間を意識したバージョンとして生まれ変わった。派手さや覚えやすさはないが、曲から流れるマイナスイオンのような聴き心地が個人的に心惹かれる楽曲。
17.渋谷百年総踊り
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2024年8月14日配信、12thデジタル(通算51st)シングル。
オリジナルとしては「黄昏」以来約3年半振りの新曲で、現時点での最新作である2024年10月の企画アルバム「ビギンの盆マルシャ」からの先行シングル。2023年夏の渋谷盆踊りにサプライズ出演したBEGINが、2000年以降縁の深くなった渋谷の街をテーマにした盆踊りとマルシャをミックスさせた楽曲を制作。まさにザ・盆踊りとしか形容しようのない楽曲で、2024年8月の渋谷盆踊りにて初披露。翌月には入場無料の「渋谷金王八幡宮例大祭」(歌詞にも登場)にも出演している。彼らにとっては「BEGINの曲というより渋谷の曲」という心づもりで作った曲で、「その土地の歌として歌い継がれていくような歌」になったらいいなとの願いが込められている、とのこと。同年10月末には渋谷出身の演歌歌手・伍代夏子によるカバーバージョンがCDリリースされている。
…以上、前編と合わせて全33曲の収録曲の全曲レビューでした。
BEGINはこれまでも節目ごとにベストをリリースしてきており、「BEGINシングル大全集」のようなディスクを増やしてのアップデート盤なども過去にあったのですが、本作は2019年に発売されたCD1枚モノベスト「BEGIN ガジュマルベスト」の拡大版といった趣で、実際「ガジュマルベスト」収録の全16曲中14曲が重複。加えて本作には初フィジカル化のシングルも4曲収録してあるので、ブックレットでの詳細な解説も含めてBEGINの35年間の活動を一纏めにした総括アルバムとしては最上級のベストだと思います…が、「BEGINに興味あるので代表曲を聴いてみたい」というリスナーへの入門編としては曲目が多すぎて重いと思いますので、そういった意味では代表曲をほぼ収めた「ガジュマルベスト」(「声のおまもりください」は入ってないけどな!」←執着)が初心者向けのBEGIN入門編というポジションは今後も変わらないのではないかな、と思います。本ベストは「ガジュマルベスト」を聴いてより深くBEGINの音楽に踏み込みたい、という方にお薦めしたいアルバムだと思いました。
来月3月21日にはデビュー35周年を迎えるBEGIN。基本はホールツアーやビルボードライブの多い彼らが大会場である大阪城ホールや日本武道館での記念ライブも開催されるとのこと。近年はバンドとしての活動はライブツアー中心で、各メンバーのソロ活動が続いていますが、いちファンとしての希望としてはやはり2018年末の「PotLuck Songs」以来のオリジナルアルバムの発売をお願いしたいところ…(10年前にも似たようなことを書いた気が…苦笑)と記して、今回の「CD Review Extra」を締めさせていただきます。
1.三線の花
作詞・作曲・編曲:BEGIN/ストリングス編曲:萩田光雄
2006年10月25日発売、29thシングル。
前年に三宅裕司主宰の劇団「スーパー・エキセントリック・シアター(S.E.T)」の舞台公演「ニライカナイ錬金王伝説」の主題歌として書き下ろして提供した楽曲をBEGINバージョンとしてカバー。元々自らは演奏するつもりはなかったようだが、出来上がったバージョンはもはや完全にBEGINのオリジナルと化し、彼らの新たなスタンダードナンバーに。オモトタケオシリーズではないものの、2011年7月の「ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト」には1曲目として堂々選曲。なお、2007年3月には沖縄・八重山出身のミュージシャン達がこの曲をカバーしたコンピレーション「三線の花 歌合戦」がリリース。S.E.Tの女性役者二名が歌うオリジナルバージョンも収録されているとのこと。
2.ミーファイユー
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2007年2月7日発売、30thシングル。
映画「恋しくて」主題歌。生まれ育った故郷を巣立ち、年月を重ねたからこそ伝えられる、両親への「ミーファイユー」(八重山方言で「ありがとう」の意)を綴った、温もりを感じさせるミディアムテンポの感謝ソング。歌詞に出てくる「ふるさと離れて十九年目の春」というのは、高校を卒業し、メンバー三人それぞれの夢を持って東京に上京して以降の当時の年数とほぼ重なるのでこの部分はリアルなBEGINとしての描写だと思うが、他の部分は普遍的な内容となっており、この時の彼らの年齢(三人とも1968年生まれなので40歳手前)だからこそ描けた楽曲だと思う。なお、比嘉栄昇はこの時点で既に沖縄に戻り現在は故郷の石垣島に、島袋優も現在沖縄本島に在住と、東京からは離れている模様(上地等はレギュラーラジオの発言等を鑑みるに今でも東京在住だと思われる)。
3.笑顔のまんま
作詞:明石家さんま・BEGIN/作曲・編曲:BEGIN
2009年1月7日発売、34thシングル。
前年のフジテレビ系「FNS27時間テレビ!! みんな笑顔のひょうきん夢列島!!」にて、総合司会の明石家さんまより番組当日にエンディングテーマを依頼され、さんまの持ちギャグフレーズ(?)を歌詞に散りばめ、番組フィナーレで1コーラスを完成させて演奏。翌年CD化に際してフルコーラスが制作され、レコーディングには吉本芸人がアホナスターズとしてコーラス参加。よって名義としてはBEGIN with アホナスターズでの作品である。話題性も手伝ってかオリコン12位という「恋しくて」に次ぐ最高位を獲得。後年には2015年の企画アルバム「ビギンのマルシャ ショーラ」でショートバージョン、2018年6月には配信シングルとしてフルバージョンが制作。また、2024年10月の「ビギンの盆マルシャ」では盆踊りバージョンが登場。どちらも楽曲のノリを活かしたアナザーアレンジとしてマッチしていた。
4.パーマ屋ゆんた
作詞・作曲:ちゅんなーや/編曲:BEGIN
2010年9月8日発売、企画アルバム「ビギンの島唄 オモトタケオ3」収録曲。
NHKラジオ「ラジオ深夜便」の同年7〜9月の「深夜便のうた」にてオンエア。進学のため明日内地へと旅立つ少女の髪を、幼いころからカットしてきたパーマ屋のおばさんの視点から見送るバラード。「〜オモトタケオ3」は歌詞の解説を掲載しないと歌の意味が難解になる曲が結構多い中で、この曲にはとっつきやすさがあり、実質アルバムのリード曲になっていると思う。なお、深夜便オンエアバージョンはメンバー三人での演奏だったが、アルバムには太鼓や三線を加えたバンドバージョンがオリジナルとして本編に、深夜便バージョンがボーナストラックとしてラストに収録された。個人的にはピアノとギターのみの演奏でしみじみと歌われる深夜便バージョンの方が好みだったりする。ちなみに作詞・作曲のちゅんなーやとは比嘉のペンネーム。
5.国道508号線
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2012年9月7日発売、35thシングル。
BEGINと沖縄ファミリーマートがコラボした「結プロジェクト」のテーマソングとしてCMでオンエアされた、架空の国道をタイトルに冠した沖縄限定の1コインシングルで、歌詞はローカルソングらしく三種の沖縄方言で構成されている。軽快なテンポでノリが良く覚えやすく非常にキャッチーな作品。2015年6月の企画アルバム「ビギンのマルシャ ショーラ」ではサンバの要素濃い目でリアレンジされたショートバージョンでセルフカバーして収録。
6.砂糖てんぷら
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2012年10月24日発売、15thアルバム「トロピカルフーズ」収録曲。
タイトルの「砂糖てんぷら」とは、沖縄の郷土菓子であるサーターアンダギーのこと。要約すると美味しいサーターアンダギーを朝一番に買いに行こう、という内容であり、サビでは「アンダギーアンダギー」と連呼されるなど、サーターアンダギーのタイアップソングか?と思えるほどの(違うようですが)徹底ぶり。2022年にはEテレの料理番組「グレーテルのかまど」にてこの曲に因んで「BEGINの砂糖てんぷら」として紹介されたこともある。ライブの人気曲とのことで選曲されたようだが、今回のベストに収録された33曲の中ではマニアックな類ではないだろうか。なお2014年のBEGINの初のハワイ公演の際にハワイ限定で発売された「BEGIN HAWAII BEST」にも並み居る代表曲に混じって選出されていたりする。
7.春にゴンドラ
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2013年3月20日発売、36thシングル。
南大東島を舞台にした映画「旅立ちの島唄 〜十五の春〜」主題歌。映画の内容に即した書き下ろし楽曲(ストーリーの最終盤の内容を聞いて制作したとのこと)で、南大東島での特殊なシチュエーションが舞台ながら、故郷を離れる者、故郷から見送る者それぞれの視点から綴られたテーマには共感性があり、聴き手の心に響くと思う。なお、曲中の「アバヨーイ」とは沖縄で歌い継がれる別れと旅立ちの唄。ちなみにこの曲までが2015年発売の「BEGINシングル大全集 25周年記念盤」の収録範囲である。
8.ウルマメロディー
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2013年3月20日発売、36thシングル「春にゴンドラ」カップリング曲。
前年のアルバム「トロピカルフーズ」にて、ハワイでのライブバージョンが収録されたのが初出。このアレンジを基に、年が明けてからのシングルのカップリング用にスタジオレコーディングが行われたのが本作に収録されたバージョンで、アルバム初収録。2015年の書籍「BEGINぴあ」等で語られているところによると、戦後の沖縄の食糧難に際し、ハワイの沖縄移民から550頭の豚が寄贈され、沖縄とハワイの絆を深めた…というエピソードを基に作られた楽曲で、曲調もこの時期に彼らが取り組んでいたカントリーやハワイアンを島唄と融合させた「ヤファイアン・ミュージック」が反映されている。なおこのシングルの初回限定盤には収録曲2曲にまつわる書き下ろしテキストを芸術学博士の大城盛裕が寄稿したブックレットが封入。
9.ハンドル
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:島尻哲朗・BEGIN
2015年8月26日配信、初のデジタルシングル。
「パーマ屋ゆんた」同様、NHKラジオ「ラジオ深夜便」の同年7〜9月の「深夜便のうた」に採用。経営が傾きがちな居酒屋の夫妻の会話のやり取りを曲にしているのだが、特に説明なく一人称が切り替わるので予備知識無しに曲だけ聴くと「?」になる不思議な楽曲(各Aメロが妻、Bメロとサビが夫…だと思う)。バンドスタイルながら音数を減らしたシンプルな演奏で、ノスタルジックにしみじみと聴かせる味わい深いバラードである。
10.海の声
作詞:篠原誠/作曲:島袋優/編曲:BEGIN
2015年10月28日発売、16thアルバム「Sugar Cane Cable Network」収録曲。
元々はauのCMシリーズ「au三太郎」のCMソングとして、2015年7月に浦島太郎役の桐谷健太に島袋が作曲提供した楽曲のBEGINバージョン。制作にあたり、リードボーカルは比嘉ではなく島袋が担当するという異色の作品になった。従来メインの比嘉、デビュー初期から時々アルバムで1曲喉を披露していた上地とは異なり、島袋がボーカルを取り出すのはかなり後になってからであり、ボーカリストとしてはまずまず…という印象なのだが、不器用ながらピュアな恋心を歌ったこの楽曲との相性は良好。翌年6月にはオルゴールバージョンとカラオケをバンドルした配信シングルとしてもカットされた。なお島袋は2024年2月に初のソロアルバム「55rpm」をリリース。その中にはレゲエアレンジの新バージョン(Mighty Crown Reggae Remix ver.)が収録されている。
11.ソウセイ
作詞・作曲:ちゅんなー屋/編曲:BEGIN
2018年1月13日発売、39thシングル(配信を含めると通算41st)。表記はないが本作には同年12月12日発売の17thアルバム「PotLuck Songs」のアルバム・バージョンで収録された。
オリオンビール創業60周年記念のCMソングとして沖縄限定で販売されたシングルが初出。「オジー自慢のオリオンビール」「アンマー我慢のオリオンビール」に続くBEGINのオリオンビールソング第3弾だが、過去作の焼き直しにはせず、10年代中盤より取り組みはじめたブラジル発祥のマルシャアレンジにブラスセクション、三線や太鼓の音が絡み、中間パートや間奏ではラップや沖縄古典芸能の役者である�盖楙觴多�による口説の掛け合いが繰り広げられるなど、国境・音楽ジャンル・世代を超えた賑やかなナンバーに仕上がった。ちなみにタイトルの「ソウセイ」とは、オリオンビール創業者の具志堅宗精と「創世」等に因んだもの。なお、シングルバージョンではラップパートは地元沖縄のラッパーRITTOが担当していたが、「PotLuck Songs」ではHorookiesの津波俊之介に差し替わっている。本作には後者が収録されたので、シングルバージョンはアルバム未収録のままである。
12.君の名はワルツ
作詞:比嘉栄昇/作曲:島袋優/編曲:大友良英・BEGIN
2018年12月12日発売、17thアルバム「PotLuck Songs」収録曲。
映画「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」主題歌。レコーディングには主演の安田顕がコーラスとトライアングルを、松下奈緒がピアノとコーラスを、監督の大森立嗣がパーカッションとコーラスをそれぞれ担当するなど、映画スタッフとのコラボを経て作り上げられた書き下ろしワルツ。全曲がタイアップ曲という触れ込みの「PotLuck Songs」の中でも存在感が大きく、アルバムのリード曲的な風格を備えた楽曲。
13.24-7のブルース
作詞・作曲:島袋優/編曲:BEGIN
2020年8月19日配信、6thデジタル(通算45th)シングル。アルバム初収録。
前年からBEGINがCMに出演していたオリオンビールの新商品、オリオンプレミアムクラフト「75BEER」の2020年のCMソングに起用。これまでのオリオンビールCMソングのような陽気なノリとは真逆の渋いロックブルースが展開。メンバー三人がそれぞれリードボーカルを務め、島袋がAメロを、上地がBメロを、比嘉はサビの英語フレーズを歌うという、彼らとしては異色のパート割りになっているのも特徴。なおタイトルの「24-7」とは24時間・7日間、「年中無休」という意味とのこと。
14.粛々楽々
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2020年12月9日配信、7thデジタル(通算46th)シングル。アルバム初収録。
毎年12月にハワイで行われる「ホノルルマラソン」の2020年オフィシャルソングとして書き下ろされた楽曲。「楽しむマラソン大会」という大会のコンセプトに即したのか、ランナーを鼓舞するのではなく、のんびりと走る汽車のように「歩くように走れ」と背中をそっと押すタイプの軽やかなハワイアン風ナンバー。レコーディングには地元出身のジェイク・シマブクロがウクレレで参加。なお、この年の大会自体は新型コロナウイルスの蔓延によって開催延期となり、年明けに正式に中止となった模様。
15.黄昏
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2021年1月1日配信、8thデジタル(通算47th)シングル。アルバム初収録。
「粛々楽々」から一ヶ月足らずでの積極的リリースとなった本作は、富山常備薬グループ10周年タイアップソングとしてCMでオンエア。タイアップ先とは直接関係のない歌詞だが、コロナ禍真っ只中での年末年始を迎え、世の中が最も不安に陥っていた時期の人々の思いを切り取ったような「間違い探しだけの日々を繰り返し傷つき疲れて」というフレーズが印象的。儚さの中にも温もりを感じさせるバラード。
16.ユガフ島(2021Ver.)
作詞・作曲・編曲:BEGIN
2021年11月3日配信、9thデジタル(通算48th)シングル。アルバム初収録。
オリジナルは2004年2月発売の26thシングル「いつまでも」の両A面曲。おきなわフィナンシャルグループのCMソングとしてリアレンジされたセルフカバーバージョンがこちら。基本的なアレンジは変わらないが、流麗なストリングスがメインだったオリジナルから、生のバンド演奏を前面に出し、楽器の配置も含めてライブ空間を意識したバージョンとして生まれ変わった。派手さや覚えやすさはないが、曲から流れるマイナスイオンのような聴き心地が個人的に心惹かれる楽曲。
17.渋谷百年総踊り
作詞・作曲:比嘉栄昇/編曲:BEGIN
2024年8月14日配信、12thデジタル(通算51st)シングル。
オリジナルとしては「黄昏」以来約3年半振りの新曲で、現時点での最新作である2024年10月の企画アルバム「ビギンの盆マルシャ」からの先行シングル。2023年夏の渋谷盆踊りにサプライズ出演したBEGINが、2000年以降縁の深くなった渋谷の街をテーマにした盆踊りとマルシャをミックスさせた楽曲を制作。まさにザ・盆踊りとしか形容しようのない楽曲で、2024年8月の渋谷盆踊りにて初披露。翌月には入場無料の「渋谷金王八幡宮例大祭」(歌詞にも登場)にも出演している。彼らにとっては「BEGINの曲というより渋谷の曲」という心づもりで作った曲で、「その土地の歌として歌い継がれていくような歌」になったらいいなとの願いが込められている、とのこと。同年10月末には渋谷出身の演歌歌手・伍代夏子によるカバーバージョンがCDリリースされている。
…以上、前編と合わせて全33曲の収録曲の全曲レビューでした。
BEGINはこれまでも節目ごとにベストをリリースしてきており、「BEGINシングル大全集」のようなディスクを増やしてのアップデート盤なども過去にあったのですが、本作は2019年に発売されたCD1枚モノベスト「BEGIN ガジュマルベスト」の拡大版といった趣で、実際「ガジュマルベスト」収録の全16曲中14曲が重複。加えて本作には初フィジカル化のシングルも4曲収録してあるので、ブックレットでの詳細な解説も含めてBEGINの35年間の活動を一纏めにした総括アルバムとしては最上級のベストだと思います…が、「BEGINに興味あるので代表曲を聴いてみたい」というリスナーへの入門編としては曲目が多すぎて重いと思いますので、そういった意味では代表曲をほぼ収めた「ガジュマルベスト」
来月3月21日にはデビュー35周年を迎えるBEGIN。基本はホールツアーやビルボードライブの多い彼らが大会場である大阪城ホールや日本武道館での記念ライブも開催されるとのこと。近年はバンドとしての活動はライブツアー中心で、各メンバーのソロ活動が続いていますが、いちファンとしての希望としてはやはり2018年末の「PotLuck Songs」以来のオリジナルアルバムの発売をお願いしたいところ…(10年前にも似たようなことを書いた気が…苦笑)と記して、今回の「CD Review Extra」を締めさせていただきます。
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