先日「KAN A面 Collection」発売元のユニバーサルミュージックからアナウンスがあり、本レビューでも話題にしたDISC 1の「言えずのI LOVE YOU」をアルバムバージョンで誤収録した件について修正盤と交換する対応が取られるとのこと。対応期間は2025年2月末までなので、交換したい方はお忘れなく。さて全3回連載のCD Review Extra「KAN A面 Collection」全曲レビューはDISC 3を残すのみとなりました。1998年の「英語でゴメン」から、結果的にラストシングルになった2020年の「ポップミュージック」まで、全11曲を1曲ずつレビューいたします。「KAN A面 Collection」全曲レビュー DISC 3編
※特記のない限り、作詞・作曲:KAN/編曲:KAN・小林信吾。
1.英語でゴメン
1998年9月25日発売、25thシングル。
要約すると「うまく行くことや行かないこと、君の遠慮や不安をちゃんとわかってあげたい。'Cause I love you. 英語でゴメンね」というもどかしさを1曲かけて伝える…という、タイトルがオチ(?)というラブソング。刺激の少ない柔らかなオケにAメロからサビまで無理なく自然に繋がるメロディーが心地良いのだが、ワーナー移籍直後に強烈なインパクトを残した前二作のシングルと比べると物凄く地味だな…という点は否めないか。ワーナー期のシングルはアルバムバージョンが存在したり、後にリメイクやライブバージョンなどが音源化されている曲が多い中、この曲は1バージョンのみ、というのが影の薄さに拍車を掛けている印象も。
2.Happy Time Happy Song
1999年2月5日発売、26thシングル。
二ヶ月後発売の12thアルバム「KREMLINMAN」からの先行シングル。恋を占う街角の占術師目線から悩める人々への軽快なアドバイスソング…と思いきや「迷う背中を3,000円で押す役目です」=つまりCDを購入して聴いてもらい、メッセージを伝える役割=音楽家という職業をメタ的に表現した切り口のナンバー。
「サンクト・ペテルブルグ」同様、本人がメロディ・歌詞共に納得度の高い楽曲のひとつと公言しており、両曲揃って2007年の公認ベスト「IDEAS 〜the very best of KAN〜」、2018年のセルフカバーアルバム「la RiSCOPERTA」に収録されたので、この2曲は常にセットのような感覚を受ける。ライブでもまあまあの頻度で披露されていた。
3.今年もこうして二人でクリスマスを祝う
1999年11月25日発売、27thシングル。本作よりマキシシングル仕様となる。
年の瀬が迫る中、静かにクリスマスを祝う二人の姿が描写されるタイトル通りのクリスマスソング。クリスマスだからといって特別な何かがあるわけでもなく、ただ穏やかに過ぎ行く時間を眺めている…という表現にささやかな幸せを感じさせる。なおKANはこの年の2月に、ライブツアーでの共演をきっかけにバイオリニストの早稲田桜子と結婚。その私生活の変化が作風にもこの後現れるようになっていく。
編曲は約10年振りに松本晃彦との共同名義。弦一徹ストリングスのオーケストラに島健のピアノという組み合わせが実現した。本作がワーナー在籍時最後の発売作品となるが、移籍先での13thアルバム「Gleam & Squeeze」にも収録された(配信ではカット)。KANのピアノと弦楽四重奏によるセルフカバーバージョンが2018年の「la RiSCOPERTA」に、2008年のライブアルバム「LIVE 弾き語りばったり #7 〜ウルトラタブン〜 全会場から全曲収録」にはピアノ弾き語りライブテイクがそれぞれ収録。
4.CLOSE TO ME
2001年1月24日発売、28thシングル。
本作よりBMGファンハウスに移籍。ロッテのグリーンガムのCMソングという久々にメジャーなタイアップが付き、2000年序盤からCMではオンエアされていたがなかなか発売に至らず、翌年明けにようやく発売。もうその頃にはCMオンエアは終わっていた記憶がある(苦笑)。セールス的にも近作とほぼ変わらない程度の平均的な売上で終わった。
編曲は久々にKANの単独名義(次作も同様)。UKロックっぽいザクザクしたサウンドに乗せてサビでは「きらめくGreen」とタイアップ先を考慮したフレーズを入れつつ「君を抱きしめたい」と求めるラブソングの体裁を成しているが、平メロでは結構シビアなフレーズが並んで現実はそう甘くはないけど…というスパイシーなテーマの楽曲だったりする。
公認ベストには選ばれたことはないが、2004年の非公認ベスト「ゴールデン☆ベスト」には選出経歴がある。曲中に絡みつくストリングスのフレーズのインパクトが強く、2017年の弦楽四重奏セルフカバーアルバム「la RINASCENTE」にも3曲目という美味しい位置で収録を果たしている。
5.Superfaker
2001年9月26日発売、29thシングル。
13thアルバム「Gleam & Squeeze」と同時発売。高速で連打されるピアノを軸にした疾走感溢れるハイテンポナンバー…なのだが、歌詞はブロックごとにSuperfaker(ごまかし人間?)の姿が描写されるパンチの効いた内容。ラストブロックの描写は締め切りに追われるKAN本人による心の叫びだと思われ、「ダムも私もすでに渇水」という追い詰められ感満載のフレーズはかなりインパクトがある。ライブでは平メロは演奏するバンドメンバーと共にハンドマイクでステージを駆け回り、サビではピアノを弾きながら熱唱するという多忙なスタイルでの披露が面白かった。
6.カレーライス
2006年2月22日発売、30thシングル。
2002年2月から約2年半滞在したフランスから帰国。弾き語りライブや本名名義での弾き語りアルバムのリリースを経ての本格活動再開第1作。所属のアップフロントグループ傘下のレーベル・zetimaへ移籍し、以降は生涯このレーベルの所属となった。
同じ家で暮らす二人の些細な喧嘩と仲直りを作り過ぎたカレーライスの喩えを織り交ぜて綴る穏やかなミディアム。インパクトはないがこのほのぼの感や曲中で爪弾かれるアコギの音が心地良く、同年8月発売の14thアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」のブックレットでサウンドイメージとして表記された「Healing J-Pop」という言葉が相応しい楽曲だと思う。同事務所所属の矢口真里主演のTBS系昼間の帯ドラマ「銭湯の娘!?」主題歌。
2018年の「la RiSCOPERTA」では、アコギのフレーズをピアノに置き換えたセルフカバーバージョンが収録されている。
7.世界でいちばん好きな人
2006年11月29日発売、31stシングル。
「遥かなるまわり道の向こうで」からのシングルカット。アルバム復帰作の1曲目に配置されたこともあり、タイトル曲よりもリード曲っぽい風格の楽曲。「今このふつうの日々を大切に生きる」と、不安な世相の中でも許し合い生きて行こう、という最愛の人物に向けたある意味究極のラブバラード。KANの作るラブソングが、90年代の作品のような成就されない恋愛への悩み苦しみから、特定の人物(=奥様)に向けられた内容へと明確に切り替わった時期でもあると思う。その反動でスケベ系ソングやレジ打ち店員やアイドルブログに夢中になる主人公が描かれる割合が増えたような気がするのは気のせいでしょうか
直近のシングルということもあってか、「カレーライス」と共に2007年の公認ベスト「IDEAS 〜the very best of KAN〜」に選曲された。また、2017年のセルフカバーアルバム「la RINASCENTE」に収録。非公認ベストでは2009年の「ザ・プレミアムベスト」にも選出されている。
8.よければ一緒に
2010年2月10日発売、32ndシングル。本作以降のアレンジはKANの単独名義となる。
BSフジの朝の子供向け番組「Beポンキッキ」テーマというタイアップ曲。だからなのか16小節で1つの覚えやすいメロディーを基本的に繰り返し、最後は必ず「よければ一緒に そのほうが楽しい」で締めるという、唱歌風の楽曲。結構良いことを言っているし、ピアノだけからバンドインして盛り上がり、最後のほうで転調し、シンガロングタイムも設けられているなど構成も工夫されているのだが、演奏時間が6分50秒台という長さが個人的にネック。それでもフェードアウトで終わるのだが、一ヶ月後に発売された15thアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」ではfull sizeと表記され8分を突破する完奏バージョンで収録されるという更なる超大作に。
なお、本作以降のシングルバージョンがオリジナルアルバム未収録だった楽曲群は、2024年10月の公認ベスト「IDEAS�� 〜the very best of KAN〜」のDISC 2にてアルバム初収録された。
9.Listen to the Music
2011年12月7日発売、33rdシングル。
散歩するようなテンポのビートに乗せて「Listen to the Music どんなとき?」といきなり問いかけで始まる問答系(?)楽曲。特に意識もしないし気にもかけない…というある程度の回答を見せつつ、これからも秀逸なMusicを探し続ける…という「Songwriter」のテーマを緩くしたかのような朗らかなナンバー。
シングルバージョンはフェードアウトなのだが、4年半後の16thアルバム「6×9=53」には、冒頭でのストリングスによるプレ・イントロや、曲中でもグロッケンや多数のストリングスを追加録音し完奏する、その名もDeco☆Versionで収録。アウトロではストリングスがサックスソロに多重に覆いかぶさるという、徹底したデコり過剰アレンジが炸裂しており、聴いていて戦慄すら覚えた(苦笑)。
10.桜ナイトフィーバー
2015年2月25日発売、34thシングル。
前年のバンドライブツアーで未発表の新曲として披露され、同ライブDVDにも先行して収録されていた楽曲のスタジオ音源。文字通りのいわゆる桜ソングであるが、主人公が桜の木であり、一年中同じ場所に立っているのになぜ日本人は桜が咲く季節だけ周りで大騒ぎするのか…という気持ちを桜の木の目線から表現するという、ディスコ調のコミカルな風刺ソング。KANの数ある楽曲の中でも、歌詞の流れが非常に分かりやすく覚えやすいという特徴を感じる。16thアルバム「6×9=53」には間奏のギターソロ(TRICERATOPSの和田唱が担当)が別テイクに変更されたAlbum Versionで収録された。
なお、発売翌年には同じ事務所所属であるハロプロのアイドルグループ・こぶしファクトリーがカバー。トリプルA面シングルの1曲目としてリリースし、オリコンチャートで初登場首位を獲得。KANの楽曲が首位を獲得するのは「愛は勝つ」以来約25年振りの快挙となった。
11.ポップミュージック
2020年2月26日発売、35thシングル。
「桜ナイトフィーバー」に続き、前年のバンドライブツアーで先行披露した新曲のスタジオ音源。「ポップ(ミュージック)ってどんな意味?」という、明確な答えが誰にも出せないような問いをサビで投げかける「Listen to the Music」以来の問答ソング(?)なのだが、平メロはサビとはほとんど関係ないようなエピソードが畳みかけられており、ノリが良いけど何だかよくわからないテーマの曲、この雑多さこそがポップミュージックなのだ、という解釈…で良いのだろうか?(たぶん違う)歌詞の中に「スマホ」はともかく「タピオカミルクティ」といった当時のトレンドワードが出てくるあたり、今振り返ると2020年前後の流行を思い出す曲である。
フィジカルリリースはCD+DVDの1形態。DVDには本曲のMVが収録されているのだが、KANがほぼ全編に渡ってダンサー達と90年代以来の本格的なダンスを繰り広げるという非常に弾けた内容。また、この曲も同年4月にハロプロ所属のアイドルグループ・Juice=Juiceによってカバーされている。
本作発売直後にコロナ禍の世の中となり、緊急事態宣言の最中にレコーディングされた2020年11月発売の17thアルバム「23歳」にも収録。以降、コロナの間を縫ってのライブや他アーティストとのコラボ音源を制作する活動が続く中、2023年3月にメッケル憩室癌と診断されて活動を休止。闘病を続けるも2023年11月12日に逝去。KAN単独名義では最後のシングル曲となった。
※特記のない限り、作詞・作曲:KAN/編曲:KAN・小林信吾。
1.英語でゴメン
1998年9月25日発売、25thシングル。
要約すると「うまく行くことや行かないこと、君の遠慮や不安をちゃんとわかってあげたい。'Cause I love you. 英語でゴメンね」というもどかしさを1曲かけて伝える…という、タイトルがオチ(?)というラブソング。刺激の少ない柔らかなオケにAメロからサビまで無理なく自然に繋がるメロディーが心地良いのだが、ワーナー移籍直後に強烈なインパクトを残した前二作のシングルと比べると物凄く地味だな…という点は否めないか。ワーナー期のシングルはアルバムバージョンが存在したり、後にリメイクやライブバージョンなどが音源化されている曲が多い中、この曲は1バージョンのみ、というのが影の薄さに拍車を掛けている印象も。
2.Happy Time Happy Song
1999年2月5日発売、26thシングル。
二ヶ月後発売の12thアルバム「KREMLINMAN」からの先行シングル。恋を占う街角の占術師目線から悩める人々への軽快なアドバイスソング…と思いきや「迷う背中を3,000円で押す役目です」=つまりCDを購入して聴いてもらい、メッセージを伝える役割=音楽家という職業をメタ的に表現した切り口のナンバー。
「サンクト・ペテルブルグ」同様、本人がメロディ・歌詞共に納得度の高い楽曲のひとつと公言しており、両曲揃って2007年の公認ベスト「IDEAS 〜the very best of KAN〜」、2018年のセルフカバーアルバム「la RiSCOPERTA」に収録されたので、この2曲は常にセットのような感覚を受ける。ライブでもまあまあの頻度で披露されていた。
3.今年もこうして二人でクリスマスを祝う
1999年11月25日発売、27thシングル。本作よりマキシシングル仕様となる。
年の瀬が迫る中、静かにクリスマスを祝う二人の姿が描写されるタイトル通りのクリスマスソング。クリスマスだからといって特別な何かがあるわけでもなく、ただ穏やかに過ぎ行く時間を眺めている…という表現にささやかな幸せを感じさせる。なおKANはこの年の2月に、ライブツアーでの共演をきっかけにバイオリニストの早稲田桜子と結婚。その私生活の変化が作風にもこの後現れるようになっていく。
編曲は約10年振りに松本晃彦との共同名義。弦一徹ストリングスのオーケストラに島健のピアノという組み合わせが実現した。本作がワーナー在籍時最後の発売作品となるが、移籍先での13thアルバム「Gleam & Squeeze」にも収録された(配信ではカット)。KANのピアノと弦楽四重奏によるセルフカバーバージョンが2018年の「la RiSCOPERTA」に、2008年のライブアルバム「LIVE 弾き語りばったり #7 〜ウルトラタブン〜 全会場から全曲収録」にはピアノ弾き語りライブテイクがそれぞれ収録。
4.CLOSE TO ME
2001年1月24日発売、28thシングル。
本作よりBMGファンハウスに移籍。ロッテのグリーンガムのCMソングという久々にメジャーなタイアップが付き、2000年序盤からCMではオンエアされていたがなかなか発売に至らず、翌年明けにようやく発売。もうその頃にはCMオンエアは終わっていた記憶がある(苦笑)。セールス的にも近作とほぼ変わらない程度の平均的な売上で終わった。
編曲は久々にKANの単独名義(次作も同様)。UKロックっぽいザクザクしたサウンドに乗せてサビでは「きらめくGreen」とタイアップ先を考慮したフレーズを入れつつ「君を抱きしめたい」と求めるラブソングの体裁を成しているが、平メロでは結構シビアなフレーズが並んで現実はそう甘くはないけど…というスパイシーなテーマの楽曲だったりする。
公認ベストには選ばれたことはないが、2004年の非公認ベスト「ゴールデン☆ベスト」には選出経歴がある。曲中に絡みつくストリングスのフレーズのインパクトが強く、2017年の弦楽四重奏セルフカバーアルバム「la RINASCENTE」にも3曲目という美味しい位置で収録を果たしている。
5.Superfaker
2001年9月26日発売、29thシングル。
13thアルバム「Gleam & Squeeze」と同時発売。高速で連打されるピアノを軸にした疾走感溢れるハイテンポナンバー…なのだが、歌詞はブロックごとにSuperfaker(ごまかし人間?)の姿が描写されるパンチの効いた内容。ラストブロックの描写は締め切りに追われるKAN本人による心の叫びだと思われ、「ダムも私もすでに渇水」という追い詰められ感満載のフレーズはかなりインパクトがある。ライブでは平メロは演奏するバンドメンバーと共にハンドマイクでステージを駆け回り、サビではピアノを弾きながら熱唱するという多忙なスタイルでの披露が面白かった。
6.カレーライス
2006年2月22日発売、30thシングル。
2002年2月から約2年半滞在したフランスから帰国。弾き語りライブや本名名義での弾き語りアルバムのリリースを経ての本格活動再開第1作。所属のアップフロントグループ傘下のレーベル・zetimaへ移籍し、以降は生涯このレーベルの所属となった。
同じ家で暮らす二人の些細な喧嘩と仲直りを作り過ぎたカレーライスの喩えを織り交ぜて綴る穏やかなミディアム。インパクトはないがこのほのぼの感や曲中で爪弾かれるアコギの音が心地良く、同年8月発売の14thアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」のブックレットでサウンドイメージとして表記された「Healing J-Pop」という言葉が相応しい楽曲だと思う。同事務所所属の矢口真里主演のTBS系昼間の帯ドラマ「銭湯の娘!?」主題歌。
2018年の「la RiSCOPERTA」では、アコギのフレーズをピアノに置き換えたセルフカバーバージョンが収録されている。
7.世界でいちばん好きな人
2006年11月29日発売、31stシングル。
「遥かなるまわり道の向こうで」からのシングルカット。アルバム復帰作の1曲目に配置されたこともあり、タイトル曲よりもリード曲っぽい風格の楽曲。「今このふつうの日々を大切に生きる」と、不安な世相の中でも許し合い生きて行こう、という最愛の人物に向けたある意味究極のラブバラード。KANの作るラブソングが、90年代の作品のような成就されない恋愛への悩み苦しみから、特定の人物(=奥様)に向けられた内容へと明確に切り替わった時期でもあると思う。
直近のシングルということもあってか、「カレーライス」と共に2007年の公認ベスト「IDEAS 〜the very best of KAN〜」に選曲された。また、2017年のセルフカバーアルバム「la RINASCENTE」に収録。非公認ベストでは2009年の「ザ・プレミアムベスト」にも選出されている。
8.よければ一緒に
2010年2月10日発売、32ndシングル。本作以降のアレンジはKANの単独名義となる。
BSフジの朝の子供向け番組「Beポンキッキ」テーマというタイアップ曲。だからなのか16小節で1つの覚えやすいメロディーを基本的に繰り返し、最後は必ず「よければ一緒に そのほうが楽しい」で締めるという、唱歌風の楽曲。結構良いことを言っているし、ピアノだけからバンドインして盛り上がり、最後のほうで転調し、シンガロングタイムも設けられているなど構成も工夫されているのだが、演奏時間が6分50秒台という長さが個人的にネック。それでもフェードアウトで終わるのだが、一ヶ月後に発売された15thアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」ではfull sizeと表記され8分を突破する完奏バージョンで収録されるという更なる超大作に。
なお、本作以降のシングルバージョンがオリジナルアルバム未収録だった楽曲群は、2024年10月の公認ベスト「IDEAS�� 〜the very best of KAN〜」のDISC 2にてアルバム初収録された。
9.Listen to the Music
2011年12月7日発売、33rdシングル。
散歩するようなテンポのビートに乗せて「Listen to the Music どんなとき?」といきなり問いかけで始まる問答系(?)楽曲。特に意識もしないし気にもかけない…というある程度の回答を見せつつ、これからも秀逸なMusicを探し続ける…という「Songwriter」のテーマを緩くしたかのような朗らかなナンバー。
シングルバージョンはフェードアウトなのだが、4年半後の16thアルバム「6×9=53」には、冒頭でのストリングスによるプレ・イントロや、曲中でもグロッケンや多数のストリングスを追加録音し完奏する、その名もDeco☆Versionで収録。アウトロではストリングスがサックスソロに多重に覆いかぶさるという、徹底したデコり過剰アレンジが炸裂しており、聴いていて戦慄すら覚えた(苦笑)。
10.桜ナイトフィーバー
2015年2月25日発売、34thシングル。
前年のバンドライブツアーで未発表の新曲として披露され、同ライブDVDにも先行して収録されていた楽曲のスタジオ音源。文字通りのいわゆる桜ソングであるが、主人公が桜の木であり、一年中同じ場所に立っているのになぜ日本人は桜が咲く季節だけ周りで大騒ぎするのか…という気持ちを桜の木の目線から表現するという、ディスコ調のコミカルな風刺ソング。KANの数ある楽曲の中でも、歌詞の流れが非常に分かりやすく覚えやすいという特徴を感じる。16thアルバム「6×9=53」には間奏のギターソロ(TRICERATOPSの和田唱が担当)が別テイクに変更されたAlbum Versionで収録された。
なお、発売翌年には同じ事務所所属であるハロプロのアイドルグループ・こぶしファクトリーがカバー。トリプルA面シングルの1曲目としてリリースし、オリコンチャートで初登場首位を獲得。KANの楽曲が首位を獲得するのは「愛は勝つ」以来約25年振りの快挙となった。
11.ポップミュージック
2020年2月26日発売、35thシングル。
「桜ナイトフィーバー」に続き、前年のバンドライブツアーで先行披露した新曲のスタジオ音源。「ポップ(ミュージック)ってどんな意味?」という、明確な答えが誰にも出せないような問いをサビで投げかける「Listen to the Music」以来の問答ソング(?)なのだが、平メロはサビとはほとんど関係ないようなエピソードが畳みかけられており、ノリが良いけど何だかよくわからないテーマの曲、この雑多さこそがポップミュージックなのだ、という解釈…で良いのだろうか?
フィジカルリリースはCD+DVDの1形態。DVDには本曲のMVが収録されているのだが、KANがほぼ全編に渡ってダンサー達と90年代以来の本格的なダンスを繰り広げるという非常に弾けた内容。また、この曲も同年4月にハロプロ所属のアイドルグループ・Juice=Juiceによってカバーされている。
本作発売直後にコロナ禍の世の中となり、緊急事態宣言の最中にレコーディングされた2020年11月発売の17thアルバム「23歳」にも収録。以降、コロナの間を縫ってのライブや他アーティストとのコラボ音源を制作する活動が続く中、2023年3月にメッケル憩室癌と診断されて活動を休止。闘病を続けるも2023年11月12日に逝去。KAN単独名義では最後のシングル曲となった。
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