odagoldenbest 2024年3月20日発売、レコード会社合同企画「ゴールデン☆ベスト」シリーズとしてリリースされた織田裕二の最新ベストアルバム。全16曲収録。

 1987年より本業である俳優業と並行して長らくシンガーとしての音楽活動を継続的に続けてきた織田裕二。2008年にリリースされた周年オールタイム・ベスト「BEST OF BEST 〜20th Anniversary〜」を最後に、表立った音楽活動は行わなくなり今日に至る中、本作は「ゴールデン☆ベスト」というレコード会社主導の形ながら約16年振りのアルバムリリース。ワーナー、東芝EMI、マーキュリー、ユニバーサル(今回の発売元)とレーベルを渡り歩いてきた彼の全30作のシングル(共同名義・別名義含む)の中から16曲を選抜し、基本的に時系列で並べている構成になっています。

 デビュー曲「Boom Boom Boom」を冒頭に配置し、1991年の出世作ドラマ「東京ラブストーリー」オンエアと同時期にリリースされヒットした「歌えなかったラヴ・ソング」、本人主演ドラマ「お金がない!」で初の主題歌を担当した1994年の「OVER THE TROUBLE」、今や自身の代名詞的なドラマになった1997年の「踊る大捜査線」主題歌「Love Somebody」といった代表曲はもちろん収録。また今回の選曲はある程度各シングルのセールスの結果を反映したものになっているようで、売上の高かった東芝EMI時代(1991〜1994年)のシングルA面1曲目は全て収録。前述の「BEST OF BEST」とは9曲が重複していますが、あちらはマーキュリー、ユニバーサルに移籍した1995年以降のドラマや映画タイアップ楽曲からの選曲が多かったので、その他のタイアップ曲を潤沢に収録した本作と2枚あわせて織田裕二のシングルヒストリーをある程度さらえる内容になっているかと。
 こうしてざっと並べられた楽曲を聴いていくと、良い意味でシングルらしいキャッチーな曲から渋いバラードまでを幅広く提供されている中、初期の曲は結構頑張っている…というか、気合を入れて歌っている箇所が散見しているのが若さを感じました。後半になると曲調に合わせてリラックス気味に歌う曲もあるなど慣れてきた感もあるあたり、歌唱力は正直物凄く上手いとかではないのですが、シンガーとしての成長を味わえる1枚になっていると思います。個人的には「Happy Birthday」「あの夏が聴こえる」等、リアルタイムで聴いて好きだった曲が久々にベストに収録されたところが嬉しいポイント。また最後に大団円的な「All my treasures」で締めるのも良い構成だと思いました。

 前述の通りレコード会社主導のベストということもあってか、織田の写真は表ジャケットのみ、ブックレットも歌詞を羅列しているだけ、裏ジャケもシリーズの汎用モノ…と、簡易的な体裁になっているものの、音質のほうは問題ないし、活動後期メインの「BEST OF BEST」と役割のあまり被らない活動前期メインのベストとして、1995年発売の東芝EMI時代のみのベスト「THE BEST」に代わる新たなベストという立ち位置の役割も果たしていると思います。聴き応えもあり、満足な1枚でした。