2024年3月20日発売、SARD UNDERGROUNDの「5th Anniversary Album」。配信シングル「揺れる想い [tribute 2023]」「マイ フレンド [tribute 2024]」を含む全14曲収録。初回限定盤には過去数年間のライブ映像をピックアップしたBlu-ray+カレンダーが付属。本レビューはCDのみの通常盤となります。
ビーイング(現B ZONE)の長戸大幸に見出され、ZARDの楽曲を後世に受け継いで行く…というコンセプトで結成されたSARD UNDERGROUND。2019年9月にZARDのカバーアルバム「ZARD tribute」でデビュー後は、オリジナル曲も発表しながら2020年10月の第2作、2022年2月の第3作とトリビュート作はナンバリングを重ね、今年2024年で結成5周年を迎えたのを記念して制作されたのが本作。といっても、タイトル通り単純に過去のトリビュート作からのベストセレクション…というわけではなく、第1作にて既発の代表曲的なカバー楽曲を改めて7曲再トリビュート(前述の配信2曲を含めれば計9曲)、さらに未発表の「Just believe in love」「GOOD DAY」のカバーも収録されるなど、収録曲の大半を新たに制作した、気合の入ったトリビュートベストとなっています。
新録に関しては「デビュー時にカバーした楽曲を改めてオリジナルアレンジに近い形でリレコーディング」というコンセプトがあったようで、確かに第1作は軽めに打ち込んだオケにレトロにも程がある電子音がフレーズを奏でたり…というある意味衝撃的なアレンジであり、それに比べると本作での再録音バージョンは原曲を忠実にトレース(編曲名義は麻井寛史)した完コピバージョンとでも呼べる仕上がり。第2作以降は原曲のアレンジ重視が基本となっていたので、今回選ばれた第2・3作目からの楽曲と並んで収められても違和感のない構成になっている…のですが、ここまで原曲重視にされるとSARD UNDERGROUNDとしてのZARDトリビュートの意義って何?という疑問も湧いてきてしまうわけで。実質坂井泉水のソロプロジェクトであったZARDとは異なり、バンドメンバーに演奏陣もいるわけですし、結成して5年、コピーバンド的な制作から脱して彼女達ならではのアプローチでZARD楽曲を演奏しても良いのでは、という時期にも来てもおかしくはないと思うのですが、まあこれは事務所(=長戸大幸)的には許されないことなのかも。むしろ今改めて第1作を聴き直してみると、音色のチープさはさておき、当時は全く感じなかったのですが結構攻めたカバーから始まったんだな…と思ってしまうほどで、以降のトリビュートが無難過ぎる…というのを改めて今回の新規音源で実感してしまいました。
…とは言え、第1作と比べるとボーカル担当の神野友亜の技量は長足の進歩と呼んでよいほど。本人も活動当初の評価が悔しくて努力を重ねてきた(大意)ということをインタビューで語っていますし、その辺りの成長が記録できた、というのが本作の最大の存在意義かもしれません。とりあえず「SARD UNDERGROUNDが演奏するZARDの代表曲を揃えたアルバム」が聴きたい、というニーズにはまずはこの1枚をどうぞ、と応えられる作品にはなっていると思います。
ビーイング(現B ZONE)の長戸大幸に見出され、ZARDの楽曲を後世に受け継いで行く…というコンセプトで結成されたSARD UNDERGROUND。2019年9月にZARDのカバーアルバム「ZARD tribute」でデビュー後は、オリジナル曲も発表しながら2020年10月の第2作、2022年2月の第3作とトリビュート作はナンバリングを重ね、今年2024年で結成5周年を迎えたのを記念して制作されたのが本作。といっても、タイトル通り単純に過去のトリビュート作からのベストセレクション…というわけではなく、第1作にて既発の代表曲的なカバー楽曲を改めて7曲再トリビュート(前述の配信2曲を含めれば計9曲)、さらに未発表の「Just believe in love」「GOOD DAY」のカバーも収録されるなど、収録曲の大半を新たに制作した、気合の入ったトリビュートベストとなっています。
新録に関しては「デビュー時にカバーした楽曲を改めてオリジナルアレンジに近い形でリレコーディング」というコンセプトがあったようで、確かに第1作は軽めに打ち込んだオケにレトロにも程がある電子音がフレーズを奏でたり…というある意味衝撃的なアレンジであり、それに比べると本作での再録音バージョンは原曲を忠実にトレース(編曲名義は麻井寛史)した完コピバージョンとでも呼べる仕上がり。第2作以降は原曲のアレンジ重視が基本となっていたので、今回選ばれた第2・3作目からの楽曲と並んで収められても違和感のない構成になっている…のですが、ここまで原曲重視にされるとSARD UNDERGROUNDとしてのZARDトリビュートの意義って何?という疑問も湧いてきてしまうわけで。実質坂井泉水のソロプロジェクトであったZARDとは異なり、バンドメンバーに演奏陣もいるわけですし、結成して5年、コピーバンド的な制作から脱して彼女達ならではのアプローチでZARD楽曲を演奏しても良いのでは、という時期にも来てもおかしくはないと思うのですが、まあこれは事務所(=長戸大幸)的には許されないことなのかも。むしろ今改めて第1作を聴き直してみると、音色のチープさはさておき、当時は全く感じなかったのですが結構攻めたカバーから始まったんだな…と思ってしまうほどで、以降のトリビュートが無難過ぎる…というのを改めて今回の新規音源で実感してしまいました。
…とは言え、第1作と比べるとボーカル担当の神野友亜の技量は長足の進歩と呼んでよいほど。本人も活動当初の評価が悔しくて努力を重ねてきた(大意)ということをインタビューで語っていますし、その辺りの成長が記録できた、というのが本作の最大の存在意義かもしれません。とりあえず「SARD UNDERGROUNDが演奏するZARDの代表曲を揃えたアルバム」が聴きたい、というニーズにはまずはこの1枚をどうぞ、と応えられる作品にはなっていると思います。
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