goingep 2024年6月16日販売開始、GOING UNDER GROUND通算28枚目(メジャーデビュー後通算)となるニューシングル。全4曲収録。

 近年は時代の流れもありシングルリリースは配信オンリーの作品が続いていた彼らとしては実に6年振りとなるフィジカルシングル。ライブ開催日であった6月16日にまずライブ会場である新代田FEVERで販売され、翌17日より公式オンラインショップに加え配信でも販売開始という経緯を辿った模様。約2年前のアルバムリリースの際同様、オフィシャルサイトにて松本素生によるセルフライナーノーツが公開されています。なお今回は共同プロデューサーに元The Cigavettesのギタリスト・山本幹宗を迎え制作されていますが、山本はレコーディングにはコーラスで参加。楽器演奏自体はメンバー三人+ライブサポートメンバーのドラムス冨田政彦を招いてのフォーピースが基本になっているようです。

 表題曲「爆音ノ四半世紀」「この瞬間のためにちゃんと負けてきた」という松本らしい強気なフレーズをサビ頭に冠したギターサウンド全開のナンバー。サビ以外のメロディーがあまり動かず焦らして焦らしてサビで爆発するタイプのパワーチューンで、ここまでロック全開の表題曲は結構久々の気が。かつての彼らの定番であった情感のある歌詞やキャッチーなメロディーとは距離を置き、ここ数年の彼らが掲げている「本心からやりたい音楽をバンドという形で表現した」といったところでしょうか。

 カップリング「サワイ・ヘブン」「火星」も制作時期が近いこともあり、今の彼らのモードを顕している楽曲(と思う)に対し、最後に収録された「屋根の上のSSW」は河野丈洋在籍末期の2014年にレコーディングされ、河野の脱退最終公演のDVDの先着特典でCD化されていた楽曲の新録音で二度目の音源化。公式では当時のライブ動画も以前からアップされており、今回の再録音ではそれをベーシックに、ピアノ(当時のサポートキーボードの橋口靖正)の音をエレピ系に変更したマイナーチェンジ版といったところ。何度も繰り返し発言しているように、当時は本当に辛くて忘れたいことばかりという頃に制作された、松本本人のドキュメント的な楽曲だと思われ、今回の録音の経緯もライナーノーツに記されていますが、苦悩の中で身を削り絞り出したと思われるフレーズには心に刺さるものがありました。

 なお、リリース後に刊行された音楽系雑誌のネット版に、本作に関する最新のインタビューが掲載。四人時代末期の赤裸々な状況が語られているのには衝撃を受けましたが、本題はそこではなく、家内工業的な方針で上手くいっている現状に甘んずることなく、再び広がりを求めての活動への段取りに向かい始めた(大意)という発言は素直に嬉しいです。時間はかかるかもしれませんが、めざす目標の実現に期待しています。