tmstand3final 2024年7月10日発売、TM NETWORKの2024年冬から春にかけて開催されたライブツアーの模様を収録した映像作品。本編+特典映像入りのBlu-rayのみの通常盤、加えて当日のライブCD2枚+オリジナルポーチ、クリアファイル、ブックレットを収めたBOX仕様の初回限定盤の二形態での販売。本レビューは通常盤となります。

 2022年7月から2024年5月までの約二年間、「FANKS intelligence Days」のタイトルを冠し、全4シーズン、計40公演のライブを完遂したTM NETWORK。今回映像化されたのは、2024年1月から3月まで全9公演の日程で北海道・新潟・埼玉・愛知・兵庫・山口、そして東京と、全国を回った第3シーズン「40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜」より、3月8日最終日の東京・TACHIKAWA STAGE GARDENでの模様を全曲収録。なお再起動後の各映像作品同様、宇都宮隆の個人事務所であるM-TRESからの発売となっています。

 今回のツアーの見所は何といっても選曲面。実質1曲目となった1994年のTMN「終了」シングル「Nights of the Knife」の披露から始まり、かつて80年代のライブでの定番楽曲だった「You Can Dance」「Nervous」、人気楽曲ながらあまり演奏機会に恵まれない「Electric Prophet」「Human System」、YOSHIMOTO R&C在籍末期の「DIVING」「N43」、これって何十年振りの演奏?と驚愕させられた超レア曲「Come Back to Asia」などが、「DEVOTION」「Love Train」「I am」といった代表曲に混ざって潤沢に繰り出されている点。これまでは大きめの会場でのライブが多かったこともあり、歴代の代表曲を入れ替えた、ある程度予想できたセットリストだったのですが、今回は(彼らにしては)比較的キャパの少ない会場でのライブということもあってか、チケット争奪戦に勝ち残るような熱心なFANKS向けのコア寄りの選曲中心でステージを組み上げてきており、意外…そして観に行きたかった、と改めて感じました(まあ関東は平日公演だったので最初から諦めていたのですが)。これなら最後のアリーナツアーである第4シーズンは締めくくりということで活動最盛期の楽曲中心になった…という段取りにも納得といったところ。

 演奏面に関しては「STAND 3〜」のタイトル通り、メンバー三人+終始オケを走らせての演奏、その背後で様々な情報を映し出す背後の巨大スクリーンがステージを補強する…ということで、マニアックな曲もある関係か曲が始まるとスクリーンに曲名が映し出されるなどの親切演出(?)が加わった他は基本的な演出フォーマットは前回のツアーとほぼ同じ。ステージの見映え的にはグランドピアノが設置され、木根尚登や小室哲哉が弾く曲がある点、そして小室がそのグランドピアノで歴代のTM曲をメドレー的に即興で演奏する「TK Solo」が個人的には熱かったです。というのも、小室の近年のソロタイムはオケに合わせて電子音でアドリブフレーズを弾いたり、延々とツマミを弄ったり…と、メロディー以外の部分でのパフォーマンスがメインで正直あまり面白味を感じられなかったのですが、今回のこういうTMメドレーは大歓迎。観客の反応も結構良かったようですし、また次にライブをする時はこういうソロをお願いしたいものです。なお、今回は超鉄板楽曲の「Get Wild」が演奏されない珍しいツアーでしたが、この曲がなくても問題なく盛り上がれることが証明できた、総じて良いライブだったなと思いました。

 なお、特典映像は宇都宮、木根、小室のそれぞれのマルチアングル映像を4曲(「DEVOTION」「君がいてよかった」「Nervous」「I am」)収録。要は各メンバーをほぼ1台のカメラで終始収めたクローズアップ映像で、4曲×3パターンということで全73分収録。それぞれ特定のメンバーのファンはじっくりとご覧下さいという感じで、Blu-rayの容量を活かしたサービス(定価は本編のみの前作と同様)といったところですが、まあ一回観ておけばいいかな…と。