2024年3月6日発売、辛島美登里の通算16枚目のオリジナルアルバム。SHM-CD仕様、ボーナストラックを含む全11曲収録。
カバーアルバムや周年ベストを挟んで前作から約10年振りという過去最長のインターバルでリリースされたオリジナルアルバムとなった本作は、90年代後半の彼女の作品にアレンジャーとして度々参加していた十川ともじが全編曲とプロデュースを担当。また、辛島美登里は基本的には自身が作詞作曲を手掛けるシンガーソングライターなのですが、発売約1ヶ月前に先行配信された「Favorite Phrase」は槇原敬之が作詞作曲を担当(インタビューによると厳密には槇原に楽曲提供を依頼したところ、辛島に歌って欲しいと思っていたという曲を既に作っており、その曲に辛島が本人に了承を得て一部に手を加えた作品とのこと)。また、かつてのレーベルメイトであり同じ音楽事務所に在籍した時期もあった永井真理子とは辛島単独名義のアルバムで初の協演が実現。こちらは永井に辛島が過去に提供した「Keep On "Keeping On"」の新録、そして書き下ろしの新曲として「シロツメクサ」の2曲をデュエットという形でコラボレーションするなど、辛島としては珍しく著名なゲストを招いてのアルバムとなりました。ちなみに余談ですがアルバムタイトルは今年でデビュー35周年=35=珊瑚=Coralというダジャレ言葉遊びから思いついた仮タイトルがそのまま正式採用になったとのことです(笑)。
さて本編の内容ですが、十川の辛島楽曲の編曲経験値(?)を存分に活かした、ピアノを軸にしつつ打ち込みを交えたアコースティック基調のサウンドはまさに王道の仕上がり。楽曲は軽快なアップテンポの「エスポワール」以外はほぼミディアム〜バラード中心で、彼女が手掛けるメロディーも普遍的なキャッチーさを保ち続けているあたりは安心安定の辛島印といったところ。一方で歌詞のほうは、代表曲である「サイレント・イヴ」や「あなたは知らない」など、失恋だったり成就しない恋を歌ったり…というのが一般的な彼女の作品のイメージなのではないかと思うのですが、本作では2020年に起きたコロナ禍で感じた思いをテーマにした「3months 〜止まった地球(ほし)〜」、デュエット相手の永井真理子を当て書きにしたと思われる「シロツメクサ」、ユニークなところでは離婚の別の呼び方としてある意味ポジティブに捉えた「卒業記念日」など、失恋系の曲のみならずフィクション・ノンフィクションの垣根を越えて幅の広い筆致の作品が多かったのが印象的。
全体としてはいつも通りの作風であり強烈なインパクトのあるメロディーや刺激のあるアレンジ、という楽曲は目立って特にはありませんが、デビュー以来の丁寧で瑞々しい歌声は健在。間に約10年挟みましたし次のオリジナルアルバムは相当先だろうな…とは覚悟していますが(苦笑)、これだけの安定したクオリティの作品をリリースしてくれたのは嬉しい限り。地道ながら継続的な活動を重ねてくれている彼女、今後も末永く歌い続けて欲しいと思います。
ラストにボーナストラックとして収められたのは「最後の手紙(Studio Live Version)」。デビューシングルのカップリング曲が初出で、その後「Zinc White」でのリミックスバージョン、「EVER GREEN」での新録バージョン、「Smile and Tears」でのピアノ独唱バージョンを経て今回はピアノ弾き語り一発録音バージョンという通算5バージョン目が登場。どのバージョンもピアノがメインで他のバッキングの楽器がバージョンによって異なるのが特徴だったのですが、今回は辛島本人の弾き語りということでリズムの揺れ、ボーカルの感情具合などが良い意味で計算無しの剥き出しのライブ感を醸し出しており、改めて良い曲だと感じました。最近、ファンハウス時代の音源もサブスクで配信されるようになったので、過去のバージョンと聴き比べてみるのも一興かと。
カバーアルバムや周年ベストを挟んで前作から約10年振りという過去最長のインターバルでリリースされたオリジナルアルバムとなった本作は、90年代後半の彼女の作品にアレンジャーとして度々参加していた十川ともじが全編曲とプロデュースを担当。また、辛島美登里は基本的には自身が作詞作曲を手掛けるシンガーソングライターなのですが、発売約1ヶ月前に先行配信された「Favorite Phrase」は槇原敬之が作詞作曲を担当(インタビューによると厳密には槇原に楽曲提供を依頼したところ、辛島に歌って欲しいと思っていたという曲を既に作っており、その曲に辛島が本人に了承を得て一部に手を加えた作品とのこと)。また、かつてのレーベルメイトであり同じ音楽事務所に在籍した時期もあった永井真理子とは辛島単独名義のアルバムで初の協演が実現。こちらは永井に辛島が過去に提供した「Keep On "Keeping On"」の新録、そして書き下ろしの新曲として「シロツメクサ」の2曲をデュエットという形でコラボレーションするなど、辛島としては珍しく著名なゲストを招いてのアルバムとなりました。ちなみに余談ですがアルバムタイトルは今年でデビュー35周年=35=珊瑚=Coralという
さて本編の内容ですが、十川の辛島楽曲の編曲経験値(?)を存分に活かした、ピアノを軸にしつつ打ち込みを交えたアコースティック基調のサウンドはまさに王道の仕上がり。楽曲は軽快なアップテンポの「エスポワール」以外はほぼミディアム〜バラード中心で、彼女が手掛けるメロディーも普遍的なキャッチーさを保ち続けているあたりは安心安定の辛島印といったところ。一方で歌詞のほうは、代表曲である「サイレント・イヴ」や「あなたは知らない」など、失恋だったり成就しない恋を歌ったり…というのが一般的な彼女の作品のイメージなのではないかと思うのですが、本作では2020年に起きたコロナ禍で感じた思いをテーマにした「3months 〜止まった地球(ほし)〜」、デュエット相手の永井真理子を当て書きにしたと思われる「シロツメクサ」、ユニークなところでは離婚の別の呼び方としてある意味ポジティブに捉えた「卒業記念日」など、失恋系の曲のみならずフィクション・ノンフィクションの垣根を越えて幅の広い筆致の作品が多かったのが印象的。
全体としてはいつも通りの作風であり強烈なインパクトのあるメロディーや刺激のあるアレンジ、という楽曲は目立って特にはありませんが、デビュー以来の丁寧で瑞々しい歌声は健在。間に約10年挟みましたし次のオリジナルアルバムは相当先だろうな…とは覚悟していますが(苦笑)、これだけの安定したクオリティの作品をリリースしてくれたのは嬉しい限り。地道ながら継続的な活動を重ねてくれている彼女、今後も末永く歌い続けて欲しいと思います。
ラストにボーナストラックとして収められたのは「最後の手紙(Studio Live Version)」。デビューシングルのカップリング曲が初出で、その後「Zinc White」でのリミックスバージョン、「EVER GREEN」での新録バージョン、「Smile and Tears」でのピアノ独唱バージョンを経て今回はピアノ弾き語り一発録音バージョンという通算5バージョン目が登場。どのバージョンもピアノがメインで他のバッキングの楽器がバージョンによって異なるのが特徴だったのですが、今回は辛島本人の弾き語りということでリズムの揺れ、ボーカルの感情具合などが良い意味で計算無しの剥き出しのライブ感を醸し出しており、改めて良い曲だと感じました。最近、ファンハウス時代の音源もサブスクで配信されるようになったので、過去のバージョンと聴き比べてみるのも一興かと。
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