lindberglive98 2024年2月22日配信開始、LINDBERGのデジタルライブアルバム。全18曲を14トラックにて配信。

 この度配信されたのは、LINDBERG結成10周年時である1998年6月に開催された全国ツアー「10th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE "SWEET 10 ダイナマイト"」より、中野サンプラザでの公演音源。このツアーは主要各都市を「sweet night」「dynamite night」というセットリストの異なる2dayで回るというスペシャルツアーだったそうで、セットリスト情報サービスサイトによると1998年6月30日のツアーファイナル「dynamite night」の公演の模様のようです。なお、このツアーは当時一部楽曲のみですが映像商品化もされており、今回の音源解禁の少し前、2月11日のテイチクのオンラインイベント「テイチク90祭り」で一部動画公開され、現在も視聴できるようになっています。

 10周年のスペシャルツアーということもあってか、セットリストは当時最新作の「LINDBERG XI」からはシングルの「風」を含めても3曲と少な目の披露にとどめ、「今すぐKiss Me」「胸さわぎのAfter School」「もっと愛しあいましょ」といったヒット曲メドレー、初期の代表曲「JUMP」「10セントの小宇宙」、売上全盛期のアルバム曲「Over The Top」、彼らのテーマソング的な「LITTLE WING」にアンコールラストは「BELIEVE IN LOVE」と、この後9月にリリースされる10周年記念ベストを先取りするかのような歴代著名曲連打の圧巻ラインナップ。ちょうどこの時期は中高生時にLINDBERGを聴いて育った直撃世代が成人し社会人ぐらいになり、自分のお金でチケットを買ってライブに行けるように…という頃だと思うので、そういったリスナー達にとってはLINDBERGに夢中になっていたリアルタイム時の楽曲が次々と連発され、まさに心躍る構成だったのではないでしょうか。
 また、バンド編成は基本的にはメンバー4人+サポートキーボード1人と思われ、ほぼ同期も使わず生演奏主体らしいダイナミズムを感じます。超絶テクニックの演奏とか、聴き手を圧倒するボーカルスタイル、というタイプのバンドではありませんが、長年関係を培ってきた不動のメンバーでしか出せない音、それがロックバンドとしての彼らの最大の魅力なのでしょう。渡瀬マキのボーカルは後半になると結構いっぱいいっぱいで、サビのハイキーになると声が明らかに掠れている…という箇所もあるのですが、このギリギリの危うい感じも楽曲にマッチしているような気がするのがまた持ち味といいますか。全体的にはベストヒットライブであり間口は広めながら、初期のアルバム曲も数曲披露されるなどのコア向けのサービスもあり、あらゆるリスナーに楽しんでもらえるライブアルバムだと感じました。

 なお、公認・非公認を問わず、1998年の演奏と明確に表記したライブ音源が既に歴代ベストアルバムの中で何曲か商品化されているのですが、本作での被りは「星に願いを」のみ。他の曲の音源は恐らく「sweet night」で演奏されたものだと思います。こちらのほうも一本のライブアルバムとして是非配信してもらいたいものです。