tm40devotion 2024年4月21日発売、TM NETWORKの2023年夏から秋にかけて開催されたライブツアーの模様を収録した映像作品。本編Blu-rayのみの通常盤、加えて同日のライブCD2枚+ライブフォトブックを収めたBOX仕様の初回限定盤の二形態での販売。本レビューは通常盤となります。

 2021年秋の再起動宣言後、有観客ライブツアーとして「FANKS intelligence Days」の名を冠し、2022年7〜9月にかけて第1弾(Day1〜Day9)、2023年9〜11月にかけて第2弾(Day10〜Day25)を開催し全国を回ってきたTM NETWORK。さらに2024年1〜3月にはホールツアーとして第3弾(Day26〜Day34)、4〜5月にはアリーナツアーとして第4弾(Day35〜Day40)を敢行中と、40周年記念プロジェクトの真っ只中の彼らのデビュー40周年記念日である4月21日に発売された本作は、第2弾ツアーの最終日・2023年11月30日に東京国際フォーラム ホールAで開催された「40th FANKS intelligence Day25 〜DEVOTION〜」の模様を全曲収録。なお、発売は近年のCDのリリース元であるSONYからではなく、宇都宮隆の個人事務所であるM-TRES(これは再起動後の映像作品と同様)。ツッコミどころとしてはパッケージの発売日が「24.4.20」に誤植されており、これはご愛嬌…でしょうか。確かにフライングで入手はできましたが…。

 筆者はこのファイナルの1日前である11月29日のDay24に足を運んでおり、その際のライブレポートはこちら。両日共にセットリスト・演出共に共通だったようで、ライブステージを観ての感想はレポートのほうを参照してもらうとして、映像作品としてのレビューを。今回はステージ上はメンバー三人のみ、宇都宮隆のボーカル(1曲ギターも担当)、小室哲哉のキーボード、木根尚登は曲に合わせてギターとキーボードを行ったり来たりする以外は完全にオケを走らせている状態でのライブということで、正直生演奏ならではの醍醐味といった点では物足りなさはあったものの、彼らの後背に設置された三本の縦長LEDプロジェクターを中心として映し出される街並みであったり宇宙的な風景であったり、幾何学文字の羅列だったりとバリエーションに富んだ映像の数々がそれを補って余りある効果を挙げていたのが特徴のステージでした。これは実際ライブを生で見た時も感じたのですが、ここまで映像を活かしきったコラボレーション的なステージは過去のTMライブの中でも最上位ではないかと。カメラのスイッチングもメンバーのみならずプロジェクターを様々な角度で映したり、引きで客席も一緒に映したりと、視覚的に飽きさせない構成になっており、映像作品として非常に見応えのある内容になっていました。

 演奏面での見所はやはり生演奏中心部分、シンフォニックな「Fool on the Planet」や、木根がハーモニカを吹く部分もしっかり再現された「Still Love Her」、中でもほぼ生演奏主体の「TIMEMACHINE」最新アルバム収録のスタジオ音源バージョンよりも今回のライブバージョンのほうが好きかも。また、木根・小室のツインボーカルによる未発表曲「Show my music beat」、個人的には今回のバージョンをスタジオ音源化してほしい「Come On Everybody」「ACTION」「Children of the New Century」のニューアレンジ等の聴きどころもあり。公式の煽り文句では「TM NETWORK×シティーハンター=“都会”をキーワードに、完全シンクロした圧巻の最新ライブ」とあり、確かに新曲の「Whatever Comes」を筆頭に演奏当時未発表だった新曲「Angie」など、シティーハンターの関連曲を多く演奏するライブではありましたが、シティーハンターを知らないと大々的に楽しめないというライブでは決してないので、ライブに行けなかったFANKS達にも一度観てもらいたいお薦め映像作品。難点は…やはり高めのお値段(今回も通常盤税込で1万円超え、初回盤は1万5千円近く…)、でしょうか…。