
2023年にソロ名義でのデビュー25周年を迎えたChageがリリースした本作は、まず発売二ヶ月前の6月30日にCDリリースを公表。その際にソロデビューシングル「トウキョータワー」の25周年バージョンの収録の発表と、7月30日に新曲「幸せな不条理」の先行配信を告知。同曲配信翌々日の8月1日には第2弾の新曲として「青い空だけじゃない」の8月15日の配信を発表し、翌8月16日にCDの詳細内容を公表するという、段階を踏んだ情報解禁がされていました。なお、本作はボーナストラックも含めて全曲の編曲を十川ともじが担当。Chageとして十川とタッグを組むのは、チャゲアスの2007年のシングル「Here & There」以来、実に16年振りとのことです。
先行配信第2弾兼アルバムタイトル曲「青い空だけじゃない」は、作詞・作曲共にChageと河野健太郎(theSoul)による共作。なお先行配信されたのはアウトロがほぼ無いバージョンで6トラック目にボーナストラックとして収録。3トラック目に収録されているのはドラマチックなアウトロが追加されたロングバージョンでこちらは 「Album Ver.」の表記あり。発売時のインタビューによるとA・BメロをChage、サビを河野がそれぞれ打ち合わせなしで作ったとのこと。本来は陽の雰囲気が多めの彼の作品としては久々のシリアスな楽曲で、インタビューでは深くは触れていないものの、タイトルも歌詞も世情であったりその他の要素も鑑みると意味深…という気もしますが、Chageの内面を書き起こしたような胸を打つバラードとなっています。一方の先行配信第1弾にしてアルバムでもトップを飾る「幸せな不条理」は、エレキギターのリフが効果的に鳴り響く攻撃的な打ち込みロックナンバー。アナザーバージョンとして「Acoustic Ver.」が4トラック目に収録。こちらはキーを上げ、アコギとピアノによる緊張感の漂うアコーステイックセッション的なアレンジという全くの別テイク。個人的にはこちらのバージョンのほうが好みかも。
そして25周年の記念作「トウキョータワー -25th Ver.-」は、原曲のオケやボーカルはそのままに、イントロの追加や各楽器のバランスの変更、新たな楽器の演奏も加えたブラッシュアップタイプのリミックスバージョン。原曲はインダストリアル系(?)のザクザクした音を強調したミックスになっており、聴いてて何か耳に引っ掛かるなぁ…と思っていたのですが、今回のリミックスではその響きをマイルドに変更し、詞やメロディーが素直に耳に入ってくる形になっており、個人的にはこっちのほうが圧倒的に好み。なお、7トラック目のボーナストラックとして収録された「Radio Edit」は、オリジナルの尺に新バージョンを合わせたエディットとなっており、新旧バージョンの音の鳴りの違いがより分かりやすくなっていると思います(原曲バージョンはベスト盤やサブスクでも配信済)。
7曲中もう1曲の軽快で賑やかなアップテンポの新曲「笑顔みせて」を含めて都合4曲+アナザーバージョン3曲というシングルともミニアルバムとも判別し難い内容ゆえに、本作の告知は「NEW EP」という呼び方を採用したのかも。メモリアルな楽曲、現在のChageからのメッセージ的な楽曲と、25周年を迎えた過去と現在が一つの作品に収まった好作品となりました。
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