
2015年発売の織田哲郎楽曲をカバーした前作に続く通算2作目のカバーアルバム。制作にあたっては「歌は最強のタイムマシーン。歌は時を遡り、超え、世代を繋いでいく。相川がROCK MONSTERとなりタイムマシーンに乗って時空を旅する」をテーマに、相川自身が「ライブでノレる曲」を選曲したという経緯がゲストで登場したラジオ番組で語られています。
全8曲中、最も古い曲はサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」(1974年)、最も新しい曲はOfficial髭男dismの「Cry Baby」(2021年)と選曲範囲の年代は広いものの、相川のデビュー前後にあたる90年代中盤の楽曲からのセレクトが半分の4曲を占めており、個人的にはリアルタイムで一度は聴いたことのある曲がほとんど。X、LUNA SEA、THE YELLOW MONKEY等々、彼女と同じ時代に音楽シーンを賑わせた著名なバンドの有名な楽曲から多く選ばれるなど、現在筆者同様の40代中盤ぐらいの世代には懐かしさをもって聴くきっかけになりそうなラインナップといったところ。
演奏的には生のラウドなエレキギター、ベースにロックバンド的な打ち込み、曲によっては生ドラムを入れたり、先輩シンガーをコーラスとしてゲストに招いて…といったトラックが並んでいますが、原曲のバンドとしての体裁はそのままに、曲全体にかけられたエフェクトが若干深めという90年代っぽい響きを含めつつも現代的なエッセンスも取り入れた音像になっており、極端に打ち込みと生演奏の差は感じない内容に仕上がっています。アレンジ面については、前作の織田哲郎カバーに関してはこんな風に変えちゃっていいの?的な大胆な変更はほぼなく、原曲(男性ボーカル曲が多め)のアレンジを土台とし展開にメリハリをつけつつ、相川七瀬がライブでカバーしたらこうなるよね、という予想通りといえば予想通りの正統派なものが出来上がってきた印象でした。
前述の選考理由もあってか、アップテンポナンバーが多いので、結構聴いている方の消費カロリーも高く、全8曲でコンパクトにまとめてきたのはアルバムとしては適度な案配で良かったかも。まさにロック向けな声質を活かした相川七瀬のボーカル力を感じられる1枚。少し懐かしく、そして楽しく聴けました。
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