1992年秋よりレコード会社をファンハウスに移籍して再スタートを切ったBEGIN。CDセールス的には引き続き苦戦の時代が続くものの、メンバーによる楽曲制作・楽器演奏はこの時期に磨かれてゆき、1995年には初のセルフプロデュースアルバムもリリース。翌年夏にはシングル「声のおまもりください」が久し振りのスマッシュヒットとなったところでファンハウス時代は終了し、古巣テイチクに復帰する運びに。今回の「Artist Archive」はそんな彼らのファンハウス在籍時にリリースされた4枚のオリジナルアルバムを1枚ずつレビューいたします。
※イカ天レーベル→テイチク初期にリリースされた各アルバム(1989-1991)のレビューはこちら。
※イカ天レーベル→テイチク初期にリリースされた各アルバム(1989-1991)のレビューはこちら。
BEGIN ファンハウス時代(1992-1996)全オリジナルアルバムレビュー
THE ROOTS
1992年12月2日発売、通算4枚目のオリジナルアルバム。全12曲収録。初回限定盤には特製ピックが封入。
シングル「あふれる涙」収録。プロデュースは元甲斐バンドの大森信和と共同(次作も同様)。カバー曲「悲しき街角〜Runaway」を除く全曲がBEGINの単独作曲名義となるなど、楽曲制作面でのメンバーの存在感が一気に増してきた。サウンド面では前作までのポップ寄りのサウンド的な煌めきを落とし、過剰な装飾を取り除いた、この時期の彼らの嗜好が窺い知れる音像に。
これまでのアルバムに比べるとパッと聴き「地味になった」という面は否めないが、「Bourbon & Pineapple Pizza」のようなコール&レスポンスのある曲、アコギメインのインスト「100% cotton」等、様々なアイデアを駆使した楽曲によりバンドとしての演奏の幅も出てきたある意味第2のデビュー作と呼んでもいいかも。仕切り直しの旅立ちに寄せた「この街はなれて」、まだ戻れない故郷を想う「あの空の下で」は心に沁みる佳曲。
MY HOME TOWN
1993年9月22日発売、通算5枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
直近の最新シングル「誰かが君を呼ぶ声が」とカップリング「Trust Me」がアルバムバージョン(ミックス違い)で収録。アメリカ・ナッシュビルに飛んで制作された力作(レコーディングクレジットを見る感じでは東京とナッシュビルでそれぞれ録音された模様?)。パーカッションやラテン的音色、オーガニック的なサウンドで全体を統一しており、前作よりもカラフルな印象を受ける。また、比嘉栄昇のボーカルがかつてないほど瑞々しいのも特徴。艶めかしいエレキギターが終始リードする「MOON BEACH」や、ゴスペル調コーラスが耳を惹く「NASHVILLE」等、ブルース色は薄めだが洋楽っぽい聴き心地がある作品となった。
今回もカバーが収録されたが、「青い瞳のステラ、1962年 夏…」(柳ジョージ&レイニーウッドのカバー)はメンバーのみの演奏による完全にBEGIN色に染め上げた名カバーであり必聴。また、かつて彼らをイカ天グランドキングに導いた楽曲「LONELY NIGHT」が初レコーディングされラストに収録されるなど、これまでのBEGINの歩みを総括した感がある、初期BEGINの到達点的なアルバム。
Chhaban Night
1994年9月1日発売、通算6枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
プロデュースは松崎澄夫。先行シングル「OKINAWAN SHOUT」は歌詞を沖縄言語に差し替えたウチナーグチ・ヴァージョンで収録、タイトル曲の「Chhaban Night」の由来も沖縄言葉(「もっと盛り上がろう」という意味)から採られるなど、これまで音楽面では見せてこなかったメンバーの出自を取り入れ始めた記念すべき1作。
一気に沖縄色を出してきたわけではないが、これが後々のブレイクに繋がる一歩だったと思うと感慨深い。また、原付免許取得の際の苦戦をコミカルに描いた「50cc Rider -Licence rug-」、喜納昌吉の「花」のカバー等、将来的にBEGINの音楽性の原点となったような要素の楽曲もあり、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ前に進んでいる感のある作品である。一方で後にメンバーが恥ずかしがったという(笑)「幸せのBLUES」での間奏セリフなど、以降の彼らが多分やらなそうなアプローチも試みられているのはある意味レアか(?)。
USED
1995年10月25日発売、通算7枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
同年3月のベスト「FAN -LITTLE PIECES-」を挟んでの初となる単独セルフプロデュースアルバム。先行シングルは無く全曲が新録作品。翌年のシングル「声のおまもりください」のカップリングとして「満天の星」がリカットされた。
これまではアルバム作品ごとに大まかな音楽性の統一があったが、本作はラテン調の「マリーナ」、大島保克と共作したオリジナル島唄「イラヨイ月夜浜」のBEGINバージョン、ロッカバラード的な「ON THE ROAD」、ハワイアン歌謡(?)の「夢の小路」、ハイスピードナンバー「ひかりExpress Blues」等、良く言えば幕の内弁当状態、悪く言えば掴みどころのないごった煮的な内容で、初のセルフプロデュース作らしい何でもやってみよう感に溢れた楽曲集となった。そういった意味ではBEGINファン上級者向けの1枚か。
なお、ファンハウスでのリリースは翌年10月のベスト「CM COMPILATION Twelve Steps」をもって終了し、1997年よりテイチクに復帰して現在に至る。ファンハウスはその後ビクターの子会社となりBMGファンハウス→BMG JAPANと名称変更を経てソニーに吸収されており、この時期の作品の原盤権は現在Ariola Japanが所持している模様。ソニーのサイトにアーティストページも存在している。
THE ROOTS
1992年12月2日発売、通算4枚目のオリジナルアルバム。全12曲収録。初回限定盤には特製ピックが封入。
シングル「あふれる涙」収録。プロデュースは元甲斐バンドの大森信和と共同(次作も同様)。カバー曲「悲しき街角〜Runaway」を除く全曲がBEGINの単独作曲名義となるなど、楽曲制作面でのメンバーの存在感が一気に増してきた。サウンド面では前作までのポップ寄りのサウンド的な煌めきを落とし、過剰な装飾を取り除いた、この時期の彼らの嗜好が窺い知れる音像に。
これまでのアルバムに比べるとパッと聴き「地味になった」という面は否めないが、「Bourbon & Pineapple Pizza」のようなコール&レスポンスのある曲、アコギメインのインスト「100% cotton」等、様々なアイデアを駆使した楽曲によりバンドとしての演奏の幅も出てきたある意味第2のデビュー作と呼んでもいいかも。仕切り直しの旅立ちに寄せた「この街はなれて」、まだ戻れない故郷を想う「あの空の下で」は心に沁みる佳曲。
MY HOME TOWN
1993年9月22日発売、通算5枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
直近の最新シングル「誰かが君を呼ぶ声が」とカップリング「Trust Me」がアルバムバージョン(ミックス違い)で収録。アメリカ・ナッシュビルに飛んで制作された力作(レコーディングクレジットを見る感じでは東京とナッシュビルでそれぞれ録音された模様?)。パーカッションやラテン的音色、オーガニック的なサウンドで全体を統一しており、前作よりもカラフルな印象を受ける。また、比嘉栄昇のボーカルがかつてないほど瑞々しいのも特徴。艶めかしいエレキギターが終始リードする「MOON BEACH」や、ゴスペル調コーラスが耳を惹く「NASHVILLE」等、ブルース色は薄めだが洋楽っぽい聴き心地がある作品となった。
今回もカバーが収録されたが、「青い瞳のステラ、1962年 夏…」(柳ジョージ&レイニーウッドのカバー)はメンバーのみの演奏による完全にBEGIN色に染め上げた名カバーであり必聴。また、かつて彼らをイカ天グランドキングに導いた楽曲「LONELY NIGHT」が初レコーディングされラストに収録されるなど、これまでのBEGINの歩みを総括した感がある、初期BEGINの到達点的なアルバム。
Chhaban Night
1994年9月1日発売、通算6枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
プロデュースは松崎澄夫。先行シングル「OKINAWAN SHOUT」は歌詞を沖縄言語に差し替えたウチナーグチ・ヴァージョンで収録、タイトル曲の「Chhaban Night」の由来も沖縄言葉(「もっと盛り上がろう」という意味)から採られるなど、これまで音楽面では見せてこなかったメンバーの出自を取り入れ始めた記念すべき1作。
一気に沖縄色を出してきたわけではないが、これが後々のブレイクに繋がる一歩だったと思うと感慨深い。また、原付免許取得の際の苦戦をコミカルに描いた「50cc Rider -Licence rug-」、喜納昌吉の「花」のカバー等、将来的にBEGINの音楽性の原点となったような要素の楽曲もあり、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ前に進んでいる感のある作品である。一方で後にメンバーが恥ずかしがったという(笑)「幸せのBLUES」での間奏セリフなど、以降の彼らが多分やらなそうなアプローチも試みられているのはある意味レアか(?)。
USED
1995年10月25日発売、通算7枚目のオリジナルアルバム。全11曲収録。
同年3月のベスト「FAN -LITTLE PIECES-」を挟んでの初となる単独セルフプロデュースアルバム。先行シングルは無く全曲が新録作品。翌年のシングル「声のおまもりください」のカップリングとして「満天の星」がリカットされた。
これまではアルバム作品ごとに大まかな音楽性の統一があったが、本作はラテン調の「マリーナ」、大島保克と共作したオリジナル島唄「イラヨイ月夜浜」のBEGINバージョン、ロッカバラード的な「ON THE ROAD」、ハワイアン歌謡(?)の「夢の小路」、ハイスピードナンバー「ひかりExpress Blues」等、良く言えば幕の内弁当状態、悪く言えば掴みどころのないごった煮的な内容で、初のセルフプロデュース作らしい何でもやってみよう感に溢れた楽曲集となった。そういった意味ではBEGINファン上級者向けの1枚か。
なお、ファンハウスでのリリースは翌年10月のベスト「CM COMPILATION Twelve Steps」をもって終了し、1997年よりテイチクに復帰して現在に至る。ファンハウスはその後ビクターの子会社となりBMGファンハウス→BMG JAPANと名称変更を経てソニーに吸収されており、この時期の作品の原盤権は現在Ariola Japanが所持している模様。ソニーのサイトにアーティストページも存在している。
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