TMANGIE 2023年12月6日配信開始、TM NETWORKのデジタルシングル。

 本作は2023年9月8日に公開されたアニメ映画「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」用に書き下ろされた新曲。公開直前にフィジカルリリースされた映画のオープニングテーマとは異なり、この曲についての事前情報は特になく、筆者も映画を鑑賞した際のエンドロールの挿入歌クレジットにこのタイトルがあったことで楽曲の存在を知り、「劇中で流れたっけ…?」と思ったのですが、使用場面はクライマックス付近にインストバージョンで流れるという使い方をされていた模様。直後にスタートしたTMの全国ツアーでも最初はインストでの演奏だったようなのですが、途中の公演から宇都宮隆のボーカル入りバージョンとして披露されていたようで、筆者が観に行った公演でも歌詞入りバージョンでの演奏でした。そしてツアー最終日である11月30日から数日後の12月6日にスタジオ録音バージョンが配信解禁。ということで映画でインストによる新曲公開→ライブで演奏→歌詞入りの完全版を披露→その後スタジオ音源配信という、彼らとしては異例の段取りでの楽曲公開がなされた作品となりました。

 作詞・作曲・編曲は小室哲哉。タイトルは本映画に登場するヒロインキャラクターの名前。構成はピアノでしんみりと始まってストリングスが重なり、オーケストレーションで高まったところで短いメロディーに乗せた単語の羅列的な英詞が宇都宮と女性コーラスによって歌われるというバラード。オケはドラマチックですがメロディー自体は淡々としていて、映画の展開を考えるとそれがより一層の悲しみを引き立てるという印象。ライブではもう少し音色が派手になっていたような記憶があります。
 近年のTMのEDM的な作風とは一線を画すアンプラグド風(実際は打ち込み音源なのでしょうが、生っぽく仕立ててあります)のサウンドで、演奏時間も約3分と、ここまでまさに劇伴用という使いどころがはっきりしているTM名義の楽曲は史上初かも。ツアー終了直後に配信解禁してくれたのは嬉しいところでしたが、TMの中ではかなりイレギュラーな楽曲なので、将来的にフィジカルメディアのリリースが実現するのかどうかは分からない(オリジナルアルバムとかにボーナストラックで入っても浮くだろうし…)といったところでしょうか。

 なお余談ですが、本映画の音楽を担当した岩崎琢によるサントラにも同名の曲があるのですが、両曲に関連はなく全く別の曲(こちらは45秒の曲)なのでお間違えなく(?)。