deenbudokandx 2023年8月23日発売、DEENのデビュー30周年記念の日本武道館公演を収録した映像作品。DVD2枚組の通常盤、Blu-ray1枚+同公演のライブCD2枚に加え、歴代の武道館公演の写真とセットリストをまとめたヒストリーブックが付属の完全初回限定盤の2形態での販売(映像内容は同一)。本レビューは通常盤となります。

 デビュー15周年時の2008年より、基本的に1年に1回のペースで行われていたDEENの日本武道館公演(開催のない年や年2回の開催の年もあり)。2018年のデビュー25周年時の第10回目の公演がメンバーである田川伸治の脱退公演となり、今回の公演はDEENにとっては5年振り、二人体制になってからは初の武道館公演。その2023年3月12日の公演「30th Anniversary DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2023」の模様を全曲収録。なお、従来の武道館公演はDVDで2枚に分割される場合はDISC 1が本編、DISC 2がアンコール+特典映像という分け方が定型だったのですが、本作ではDISC 1は本編中盤のバラード系メドレーまで(約1時間強)で終了、DISC 2は本編後半からアンコールまで(約1時間半弱)+特典映像のライブ当日中心のリハーサルドキュメンタリー(約17分)となっており、従来の公演と比べて特に本編がディスクを分断されるほど長かったわけではないと思うのですが、この今までにない分割が少々謎でした。

 2015年以来久し振りにDEENの武道館公演に足を運んだ筆者の当日のライブレポートはここに詳細に書きましたので、公演の詳細はそちらを参照していただくとして、ここでは映像を鑑賞しての全体的な印象などを。前述の通りの5年振りの大会場での記念公演、バンドメンバーも前回までから一新され、DEEN2人+リズム隊にギター、サックスという、近年場数を積み重ねてきた現時点でのレギュラーバンドでの初武道館。キーも長丁場のライブを完走できるコンディションを考慮したのか、原キーを基本に曲によっては下げ、本編ラストの「このまま君だけを奪い去りたい」では池森秀一が圧巻の原キーパフォーマンスを披露するなど、この5年の試行錯誤で辿り着いた現在地、「今のDEEN」を演奏で魅せる約3時間。前回は田川脱退ということでかなりストイックな感があり、LIVE JOYの「JOY」部分があまり感じられなかったのですが、今回は完全に30周年というお祭りムードの中でMCや上海ロックスターの登場も含めての「JOY」要素が復活しており、最後まで楽しく観られる公演となっています。現地で鑑賞した時よりも良いな、と思ったのは中盤のストリングスカルテットを迎えてのバラード系メドレーコーナー。また、大会場でほぼ満員の公演ということもあり会場全体を見渡すアングルも多く、ステージ中央の巨大スクリーンで流れる歴代MVなども結構な割合で映されており、当日の模様を俯瞰的に味わうことのできる映像に仕上がっています。

 MC部分はグッズ紹介コーナー以外もちょいちょい削られている箇所はあるかと思いますが、本編ラスト前のようやくマスクが…等や、アンコールでの歓声は何年振り…等の発言はカットされず。ここを削っても公演自体の印象に影響はない(と思う)のですが、これは2020年から続くコロナ禍を経験してのリアルな発言をドキュメントとして残しておこう…ということなのかも。数年後に本作を観返した時にあの頃は大変だったよな…ということを振り返れる世の中になることを祈るばかりです。
 というわけで当日のライブレポートと感想自体は変わらず。現地に来られなかったリスナーも、この作品で当日の熱気を存分に堪能可能な映像になっていると思います。現状、毎年武道館はないでしょうし、仮にそうなっても毎年同じようなセットリストでまた筆者の足が遠のく…ということになりかねないので(苦笑)、次回はまた5年後の35周年あたりの実現を目指して、これらも地道に活動していって欲しいと思います。