今年8月から9月にかけて2都市5公演という形で開催されたDEENのライブツアー「DEEN THE BEST DX 〜KYOTO & ROPPONGI〜」
 筆者は先日ファイナルを迎えた、9月14日の六本木公演に参加。3月の日本武道館公演以来、6ヶ月ぶりにDEENのライブを鑑賞いたしました。
 既にツアーは終了していますので、完全ネタバレでライブレポートいたします。


DEEN THE BEST DX 〜KYOTO & ROPPONGI〜
2023年9月14日 EX THEATER ROPPONGI


 デビュー30周年記念ライブを今年の3月、日本武道館にて開催したDEEN。
 この次はLIVE JOYでアニバーサリーツアーかな、と思いきや、6月には埼玉・大阪の2箇所で初のオーケストラとのコラボレーションコンサートを敢行。次いで今回のツアーである、8〜9月にかけての京都2公演、東京・六本木3公演という「DEEN THE BEST DX 〜KYOTO & ROPPONGI〜」がアナウンスされ、公演のコンセプトを明らかにしないままチケット販売を開始。
 最初に告知された時点では、何を演奏するのか不明だったし、何故か東京は平日(火・水・木)だし、あまり行く気が…という感じだったのですが、後に今年3月の最新ベストアルバム「DEEN The Best DX」を引っ提げた30周年の記念公演であり、定番曲中心の公演日と、カバー曲中心の公演日でセットリストが異なるというアナウンスがされました。この時点でも定番曲とカバーか…ということで二の足を踏んでいましたが、さらに東京は3公演のうち1公演がマニアックな楽曲を演奏するセットリストになる、という情報を得て、マニアック公演やるなら行こうか!と決意(わかりやすい)
 ただ、東京の3公演のうち、どの日がどの公演かは明確に発表されていなかったので、結構直前までどの日に行くのかは粘り、paris matchが東京最終日にゲストで出演という告知を聞いて、この日だろうなと予測し最終日のチケットをギリギリでようやく購入しました。

 DEENにとって初の会場となるEX THEATER ROPPONGIは、地下鉄大江戸線・日比谷線出口から歩いて約5分程度、六本木通りに面した多目的シアター。
 名前は知っていましたが行くのは初めてでした(というか、六本木に行くこと自体が20年振りぐらい…)。全席シッティングにすると収容人数は1,000人弱と、今のDEENのライブキャパ的にはちょうど良さげかも。この日はファイナルということもあり、大入り満員(メンバー談)とのことでした。
 なお、筆者はB1Fスタンド(B2Fにステージがあるので実質2階席)で鑑賞。座席はホール用の据え付けになっており、前後の席との段差もあり、ステージ全体をバッチリ俯瞰できる観やすい席でした。

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 入り口のリボンビジョンに当日の公演タイトルが表示されるのは良いですね

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 Zepp系のライブハウスではこういう大型ビジョンが建物外にないから新鮮


 開演はほぼ定刻通りの18時30分。
 オープニングSEに「雨の六本木」のインストが流れる中でサポートメンバーが登場。今回も侑音(G)、石田純(Ba)、北村望(Dr)、ヒロムーチョ(Sax)という、昨年のBreak24や今年の武道館公演と同じメンバー。そしてそのまま「雨の六本木」へ…と思いきや、ちょっと演奏しただけで終了。いきなりフライングかまされました(笑)。

1.そばにいるだけで(2020年配信シングル)
 同年のBreak22でアンコールに演奏されて以来でしょうか。マニアックナイトらしく意外なオープニング。今回の間奏はギター(侑音)とサックス(ヒロムーチョ)の掛け合いバトル。

2.FOR MY LIFE(1994年1stアルバム「DEEN」)
3.恋が突然よみがえる(同上)
 デビューアルバムから2曲連打。どちらもキー下げだったと思います。
 「FOR MY〜」は2020年のBreak20のマニアックday以来?「恋が〜」は2011年の武道館のメドレー以来でしょうか。

 ここでボーカルの池森秀一氏より軽いご挨拶。
 「DEEN THE BEST DX マニアックナイトへようこそ!」と言っていた気が。

4.Birthday eve 〜誰よりも早い愛の歌〜(2003年シングル)
 これは久々!筆者も観に行った2014年のBreak18の最終日のWアンコール以来のはず。シングル曲ですが2002年のBreak6、2003年のBreak8の年内公演以降全くといっていいほどフルで披露しないAOR期のマニアック枠?

5.いつかきっと…(1994年1stアルバム「DEEN」)
 またまたデビューアルバムから。こちらは原キーだったかと。2015年のマニアックナイトVol.2以来ですかね。この時はアコースティックでしたが、今回は原曲スタイルで。

 池森氏、キーボードの山根公路氏の挨拶と、サポートミュージシャンの紹介。
 サポート陣が紹介に合わせて短めのフレーズを演奏するのですが、ヒロムーチョ氏が「ありのまま抱きしめよう」のサビを吹いた際に、池森氏はこの曲をなかなか思い出せず。氏いわく「自分で(詞を)書いたくせに何の曲だったか思い出せなかった!」とのこと(苦笑)。ええ…。
 あとここでだったか、「今夜はマニアックナイトなので「このまま君だけを奪い去りたい」は演奏しません…もしかしたらやるかも」と池森氏が横を向いて早口に喋っていた気が。これは後々の伏線になります(笑)。

6.GRAVITY(1998年3rdアルバム「The DAY」)
7.東京(2006年8thアルバム「Diamonds」)
 「GRAVITY」は2013年のBreak17以来。当時と違って原キーでの熱唱。「東京」はマニアックナイトVol.2以来、フルでは2006〜2007年のBreak11以来(日替わりだったので映像作品未収録だったかと)でしょうか。平メロがかなり低くて今の池森氏にはちょっと出しにくそう。前傾姿勢で歌っていました。

8.海の見える街 〜Indigo days〜(「夢であるように」c/w)
 椅子が用意され着席して熱唱する池森氏。
 1999年の横浜アリーナでのアコースティックメドレーや、2008年のBreak13で披露され音源も世に出ているのですが、原キーのバンド演奏で披露するのは初めてでは。まさにオリジナルに忠実な生演奏で感動しました。本公演で一番良かったのはこの曲かも。

 「久々のアコースティックコーナーです」という池森氏の発言からちょっとしたMCコーナーに。DEENはデビューしてから10年間(=ビーイング離脱時期まで?)六本木のリハーサルスタジオでお世話になったという話や、北海道出身の池森氏が生まれて初めて博多豚骨ラーメンを食べてビックリした話(笑)などの他、「初めて生でDEENを観る人!」とか「3日間全部来た人!」とか挙手をさせる流れがあり。こういったMCコーナーは三人時代以来でしょうか。懐かしかったです。
 
 ある程度会話も弾んだところで(?)スペシャルゲストとしてparis matchのお二人を呼び込み。ミズノマリ嬢は真紅のドレスで登場。杉山洋介氏は腰が低そうな感じでした(笑)。

9.夢で逢えたら(2021年カバーアルバム「POP IN CITY」通常盤収録曲)
 2002年のカバーアルバム「和音」のバージョンをベーシックに、paris matchらしいお洒落さを散りばめたコラボ。最後にサビを観客に歌わせるという段取りあり。声出し解禁以降ならではの演出かと。ただ、マニアック公演だったら「harukaze」も…。

10.ふたりだけのダンスフロア(2023年ベストアルバム「DEEN The Best DX」初回限定盤)
 照明が暗転してSEが流れ、ミラーボールが天井から降りてきた…ということで、paris matchとの新作コラボナンバーを披露。武道館では演奏されなかったのでこれが初演奏のはずです。以前にも書きましたが初回盤のみの収録曲というのが非常に勿体ないと思うんですよねぇ…サブスクにも配信されていないようだし。

 ここでparis matchのお二人は退場。間髪入れずに後半戦スタート。

11.Sha・la・la・la 〜I wish〜(1996年2ndアルバム「I wish」)
 発売直後はメドレーを中心に盛り上げゾーンの準定番曲的扱いだったのが、他の同系列の楽曲が増えたのに伴い段々と影が薄くなり、やがてマニアックナイトで披露されるようになった…という経緯を辿った曲。2017年のBreak20(この時もマニアックday)以来の披露でしょうか。原キー演奏。

12.ひとりぼっちのAnniversary(2000年4thアルバム「'need love」)
 せっかくサックスがいるんだからこの曲は演るかも…?と事前予想していた曲がここで登場。常に原キー披露で2009年の武道館や2014年のBreak18で映像化はされていますがメドレー枠の扱いとなっており、最後まで演奏したバージョンは2004年末のカウントダウンライブ以来でしょうか。こういった経緯もあり、いつ別の曲に切り替わるのかと戦々恐々でしたが、無事完奏!!

13.広い世界で君と出逢った(1994年1stアルバム「DEEN」)
 直近では2020年のBreak22でリクエスト20位以内に入って演奏された人気曲。人気の割に演奏機会がないマニアック曲といったところでしょうか(ひと昔前の「君がいない夏」的ポジション?)。原キーでの演奏。山根氏がショルキーに持ち替えたのはこの曲からだったような。

14.瞳そらさないで(1994年シングル)
15.ひとりじゃない(1996年シングル)
 ライブのド定番楽曲がここで連投。全くマニアックではありませんが、客席が最も盛り上がったのはこの2曲だったような…やはりヒット曲は大きな武器ですね。なお「瞳〜」は武道館同様キー下げでした。この曲の各サビの前の「look in your eyes」「look in my eyes」のところで照明が暗転してピンスポットが演奏者全員にそれぞれ当たるところが格好良かったです。

16.Family(2006年8thアルバム「Diamonds」)
 この曲も「Sha・la・la・la〜」同様の経緯を辿った元準定番曲枠?この曲はかつてはLIVE JOYでも武道館でも頻繁に演奏されていて、正直食傷気味だったのですが、二人体制になってからはパッタリ演奏されなくなったので久々。この曲では山根氏はエレキギターに持ち替え、間奏でソロらしきフレーズを弾いていました。
 なお、演奏が一度終わった後、サポートメンバーによるこの曲のインストバージョンの演奏をバックに池森・山根両氏が手を振って退場…という斬新な流れでした。「最後の曲です!」とも特に言わずに本編終了。


アンコール

 池森・山根両氏がツアーグッズ着用で登場して恒例のグッズ紹介コーナー。ただしファイナルということもあり、まだ売っているグッズ(山根珈琲セット、トートバッグ、ハンディファン)のみの紹介。なお山根氏はステージで実際にハンディファンを持ち歩いていました(笑)。

17.空色ソーダ(山根公路ソロアルバム「COZZY」収録曲)
 今回のアンコールは「上海ロックスターではなくリーダー(山根)にこの曲を歌って欲しかった!」ということで池森リクエストだった模様。バンドを率いての山根ソロでは2017年末のカウントダウンライブでの披露があり。DEEN名義だといつ以来でしょうか…。

18.Burning my soul(「JUST ONE」c/w)
 Break22以来3年振りの原キー披露。何曲かあるラテン調ナンバーの中でそこそこ演奏される機会もありそれほどマニアックではないような…。なお間奏はサポートメンバーが順番にソロでの見せ場を競い合う熱い展開に。

 「ふたりだけのダンスフロア」のオフボーカルバージョンが流れる中、サポートメンバー紹介、ヤマネッチコール、池森氏の感謝の挨拶、ゲストで参加したparis matchもステージに呼び込んでのラインナップに、ステージ側から観客と一緒に記念撮影…という定番メニューをこなしてアンコール終了。ただ、ステージから全員が去っても会場の照明は点灯せず…ということで自然とダブルアンコールの流れに。


ダブルアンコール

19.このまま君だけを奪い去りたい(1993年シングル)
 「マニアックナイトとは言えども、最後はやはりこの曲をやらないと!」(大意)ということで、序盤のMCの伏線を回収(笑)。もはや定番の原キーオリジナルアレンジ、1サビの「信じて〜」の「て〜」のみ裏声の武道館と同様の仕様で最後の演奏楽曲となりました。

 「このまま〜」のBallads in LoveのオフボーカルバージョンをBGMに、再び各演奏陣の挨拶。サビの途中から池森氏が歌い出し、会場全体にも歌うことを煽って観客大合唱…という絵になる展開を経て、終演は20時50分頃。約2時間半弱、Break24と同じぐらいというスタンダードな形での公演時間でした。


全体の感想
 通常のLIVE JOYや武道館公演では演奏されないレア曲を一挙に披露する「マニアックナイト」が始まったのは2014年末のZepp Tokyoでのカウントダウンライブから。以降3年連続でカウントダウンライブはマニアック公演、2017年にはLIVE JOYの日替わり公演として集大成的なマニアックライブ「Best of マニアックナイト」が東名阪で開催。それ以来のマニアックと銘打った公演でしたが、本当に超レアな、一度ぐらいしか演奏したことのない曲がガンガン演奏されていった過去のマニアック公演とは異なり、ご無沙汰だったかつての準定番曲や、通常ライブでも忘れた頃にたまに演奏される曲の再演、「このまま〜」に代表されるヒット曲も若干盛り込んだ、一般的にはマニアックな領域だけどファンにとってはまあまあな程度のマニアックな公演だった、というのが全体の感想になります。

 選曲はデビューアルバム「DEEN」から6曲と全体の3分の1を占め、他にも90年代の楽曲を多めにピックアップしてきており、90's懐古色高め。最新曲「ふたりだけのダンスフロア」、配信シングル「そばにいるだけで」を除けば一番新しい曲は2006年の「Diamonds」からの2曲と、DEEN30年の歴史の中の前半部分を重視したセットリストで、全年代対象のかつてのマニアックナイトとは趣を変えてきたな、と思いました。「マニアックだけどコアファン以外はついて行けないほどディープな内容ではない」という案配は、ライト層はほぼ来場しないと思われるカウントダウンライブとは異なるから、という配慮かもしれません。正直2010年代以降のアルバムの曲は(聴いた回数がそれ以前のアルバムよりも少ないということもあり)ちょっと聴いただけではなかなか思い出せない筆者としては、イントロを聴けばあの曲!とすぐ分かる、身体に沁みついている年代の楽曲を多く演奏してくれたのは嬉しかったですね。

 今後のDEENの活動としては「アルバムを制作中」という話がMCで出ましたが詳細はまだ非公開。12月末の幕張でのディナーコンサートぐらいしか表向きのスケジュールがないようで、特に新情報などは得られませんでしたが、なんとなく年明け以降に何か動きがあるんじゃないかな…というのが筆者の希望的観測。また、この日はステージの最前列を潰してVTR班が陣取っており、映像収録が行われていた模様。他の日はどうだったか分かりませんが、せっかくのマニアックライブでしたから、是非完全版での映像化実現に期待して、今回のライブレポートを締めさせていただきます。