tmdevotion 2023年6月14日発売、TM NETWORK通算13枚目となるオリジナルアルバム。ボーナストラックを含む全11曲収録。CDのみの通常盤、オリジナルハンドストラップをCDと共に三方背ボックスの中に収め、今秋よりスタートする全国ツアーの先行抽選申し込みエントリーシートも封入された初回生産限定盤の二種発売(曲目は同一、どちらもBlu-spec CD2仕様)。本レビューは初回生産限定盤となります。

 2021年10月の再起動宣言後の無観客配信三部作ライブ、2022年の夏から秋にかけては有観客での全国ツアー開催と、段階を追って活動を続けてきたTM NETWORK。デビュー39周年目を迎えた2023年4月21日にオフィシャル情報総合サイトがオープンし、同日に本作の発売が発表されました。なお発売元は1984年のデビューから10年間、そして再結成後の1999〜2000年に所属していたSONYから。正しくはかつて所属のEpic/Sony Records(現Epic Record Japan)からではなく、他レーベル移籍後に濫発されたTMのベストや、メンバーである木根尚登のオールタイムセレクションのリリース実績のあるSony Music Labelsからになっていますが、メンバー稼働でのSONYからの新作としては1999年12月のシングル以来、実に23年半振りのリリースとなりました。

 オリジナルアルバムとしても前作から約9年振りとなった本編の内容を見ていくと、純粋な新曲は2曲のみ。他は昨年のライブBlu-rayの初回限定盤のみに付属していたシングル「How Crash?」、過去のシングルタイトルを近年のライブでのニューアレンジバージョンとしてボーカルも含めて新録したセルフカバー4曲(TK Remix)、昨年の全国ツアーでのオープニングで演奏された「Please Heal The World」、中盤で披露された「End Theme Of How Do You Crash It?」、エンドロールで流れた「intelligence Days」の準インスト、インストという構成で、再起動後のこれまでの活動をここでまとめた…という良く言えば集大成、悪く言えばオリジナルアルバムらしくない…というのが正直なところ。
 とはいえ、中毒性のあるメロディーの繰り返しが小室哲哉らしいタイトル曲「DEVOTION」、木根尚登ならではの穏やかなミディアムの「君の空を見ている」と、新曲2曲に関してはTMの両側面を改めて感じる佳曲。セルフカバー4曲はオリジナルアレンジのEDM進化版的な「RESISTANCE」「KISS YOU」の安心感に対してアレンジを大胆に変更した「WE LOVE THE EARTH」「TIME TO COUNT DOWN」はスリル満点。インスト系もライブ用に作られたということはあり、山あり谷ありの曲構成でオーディエンスに高揚感を与える役割を果たした楽曲だと思います。そしてラストにボーナストラックとして収録された「TIMEMACHINE」は、デビュー当時から存在していたにも関わらず、長らくライブバージョンのみが公開されていた楽曲の待望のスタジオ録音版。アコースティック基調ながらクワイヤ部分がいかにもシンセっぽい…というミスマッチは感じましたが、待ち続けてきたFANKSへのサービスといったところで、ようやくの音源化は嬉しい限りでした。

 というわけで「オリジナルアルバム」と呼ぶには微妙…なのですが、来年の40周年を前に近年の活動の総ざらいという意味ではアリな一作だと思います。ただ、曲順がタイトル曲、セルフカバー4曲、シングル曲、新曲、インスト系3曲、ボーナストラックという固め打ちな並びなので、そのまま通しで聴くよりもリスナーそれぞれが考えた曲順で再生したほうが流れが良くなるかも。実際筆者もランダムで聴いてみたら各楽曲の印象が上がりましたので、是非お試しのほどを。
 ちなみに初回生産限定盤付属のハンドストラップは、スマホケースの底面の穴にフォンタブを通して使用するタイプで、ケースの底面が特殊な形状の場合は非対応のようなのでご注意。まあ筆者は例によって勿体なくて使うかどうかを躊躇っています(苦笑)。