
表題曲「卒業式」は作詞がボーカルの神野友亜、作曲・編曲はZARD後半期の主力作家だった徳永暁人がシングル表題曲としては初起用。楽曲は穏やかなミディアムバンド調で、これまでの彼女達のレパートリーと比べてもインパクト的に突出したところはないかな、という印象。歌詞はそのものズバリの人生の旅立ちの心境を描いた時節ソング。テーマもあって若干の翳りがあるものの初々しい青春感が出ており、また坂井泉水は年齢的にこの手の卒業ソングを手掛けたことはないと思うので、「一般的なイメージのZARD」らしくない分、ある意味SARD UNDERGROUND独自の世界観で作られた楽曲と言えるかも。
初回限定盤Aのカップリングは1993年に坂井がDEENに作詞提供した「翼を広げて」。坂井没後の翌年2008年にお蔵入りのZARDバージョンがシングルリリースされており、今回のアレンジは新たにサビでコーラスが挿入されているものの、DEENバージョンのように大々的には盛り上がらず、淡々と終わっていくZARDバージョン準拠の再録的な雰囲気に終始。
初回限定盤Bのカップリング「Teenage dream」も1995年に坂井がDEENに作詞提供した楽曲。この曲は同年のシングル「愛が見えない」のカップリングとしてZARDバージョンも世に出ており、こちらもZARDバージョンを基にしていますが、イントロから流れるフレーズをエレピからピアノ系の音色に変更し、ZARDバージョンで流れていた機械的なパーカッションをカット、本格的なギターソロが新たに追加されるなど、バンド寄り(打ち込みですが)な要素を強めており、DEENバージョンと折衷したような仕上がりに。
通常盤のカップリングは2003年にシングルリリースされた「瞳閉じて」のカバー。ピアノ独唱から始まり2コーラス目からバンドインしてテンポアップ、最後のサビではリズム隊の譜割りが細かくなって終わるというトリッキーな楽曲構成で、今回のカバーでもその構成を忠実に再現していますが、こちらは原曲の熱量に比べると若干抑えめで、原曲の情熱的な部分(?)に慣れていると特に終盤はちょっと物足りないかも。
以上のカバー3曲中、DEEN関連の2曲は卒業シーズンに向けてのチョイスだと思われますが、ZARD的には正直マイナーな知名度の「瞳閉じて」のチョイスは結構意外。この曲を含めてこれまであまりカバー対象になってこなかったZARD第2章のSARD UNDERGROUNDカバーも今後制作されれば面白いかな、と思います。
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