1988年4月30日より放送開始となったプロテクトヒーローアニメ「鎧伝サムライトルーパー」。約1年間のTVシリーズ終了後もOVAで1991年まで継続展開された人気アニメの記念すべき第1話放送から本日でちょうど35周年。これを記念して、今回の「CD Review Extra」では、TVシリーズ放送時にリリースされた関連音楽作品を1作ずつレビューいたします。
俺の心をYOROIが走る!(次回予告風)
俺の心をYOROIが走る!(次回予告風)
放送開始35周年記念・鎧伝サムライトルーパー TVシリーズ関連音楽作品レビュー
【鎧伝サムライトルーパーとは】
1988年4月30日〜1989年3月4日まで全39話放映されたサンライズ制作のアニメーション。
人間の怨念をエネルギーとする異世界・妖邪帝国の帝王・阿羅醐が現代の人間界に侵攻。東京・新宿に出現した妖邪軍の侵略を食い止めるべく、先祖代々に伝わる鎧(鎧擬亜)を継承した5人の少年達・サムライトルーパーが日本各地から集結。妖邪四大魔将との戦いを中心に、彼らが纏う鎧擬亜に秘められた事実や、それにより戦いに苦悩する戦士たちの成長を描く…というのが大まかなストーリー。
当時週刊少年ジャンプで連載され人気を博し、アニメ化でも大成功を収めていた「聖闘士星矢」を多分に意識した作風であり、タカラがスポンサーになり、メインターゲットの小学生に向けて鎧の着脱ができるフィギュア「超弾動シリーズ」が商品化されたが売上は芳しくなかった一方、物語後半にかけて本来のターゲットではなかった女子中高生を中心に各キャラクターへの人気に火が着き、ビデオやキャラクターグッズなどの売上が好調のままTVシリーズは終了。その後「外伝」(1989年・全2話)、「輝煌帝伝説」(1989〜1990年・全4話)、「MESSAGE」(1991年・全5話)と全3作のOVAシリーズを展開して物語は完結。
以降時代が下るに伴ってDVDボックスやBlu-rayボックスがリリースされ、近年ではキャラクターフィギュアが「アーマープラス」、「千値練」にてそれぞれシリーズ化。変わり種としては御朱印帳なども制作されているが、1991年までかなりの数が展開された音楽作品(1990年半ばまでは基本的にレコード/CD/カセット同時発売だったのでこの表記)に関しては1993年に一部CDでの再発はあったものの、ベスト盤的なリリースやリマスター盤などの商品展開は一切行われていない。
スターダストアイズ
1988年5月21日発売、浦西真理子歌唱による前期(1〜19話)主題歌シングル。
表題曲「スターダストアイズ」は作詞は三浦徳子、作曲は茂村泰彦が担当したオープニングテーマ。80年代後半、既に直球の王道アニメ主題歌に代わりイメージソング的な主題歌が増えてきた時期であり、本曲も「心のYOROIは温かくはないさ」「心はソルジャー 優しさ隠してる」等のそれっぽいワードが含まれているものの、全体的に雰囲気重視な歌詞である。
カップリングの「Faraway」はエンディングテーマ。作詞・作曲は公式デビュー前にキングレコードのアニソンを多く手掛けていた辛島美登里が担当。夢に向かって旅立って行く「君」を見送る別れの曲で、アニメ本編とはほとんど関係のない内容なのだが、アレンジを大人しくして辛島本人が歌えば完全に彼女の色に染まりそうな佳曲。
群狼篇
1988年7月5日発売、戸塚修によるサウンドトラック第1弾。「スターダストアイズ」「Faraway」を含む全17曲収録。
本編で頻繁に使用されたBGMを中心に収録。「(仁)烈火のテーマ」等、主人公側の名前を冠したタイトルの曲が多いが、本編ではそのキャラ専用に使用されていたわけではなかったので若干違和感がある。一方で「阿羅醐のテーマ」はまさに阿羅醐本人のシーンでよく使われていたので納得。全体的には生音中心の躍動感あるロック〜フュージョン系の楽曲が多い中、ジャズっぽいアプローチの「逃避行」は異色。これは本編で使用されたかちょっと記憶に怪しい。
なおトルーパー関連のCDは同時発売のLPとの兼ね合いか、1枚ペラの歌詞カード封入が主だったのだが、本作では珍しく中綴じのブックレット仕様だった。ブックレットには前期のシリーズ構成を務めた高橋良輔のメッセージや、キャラクターデザインを務めた塩山紀生のイラスト等が掲載。
サムライハート
1988年9月21日発売、森口博子歌唱による後期(20〜39話)主題歌シングル。
表題曲「サムライハート」は作詞は三浦徳子、作曲は茂村泰彦が担当したオープニングテーマ。「心はサムライ」等の関連ワードを盛り込みつつ、主人公達が戦いに悩み始める中盤以降の展開を1コーラス目は比較的なぞった印象で、前期よりは作品に沿っていると思う(2コーラス以降はラブソングっぽくなっているが…)。タイトルもありサムライトルーパーの看板楽曲といえばこの曲か。
カップリング曲「BE FREE」はエンディングテーマでオープニングと作詞作曲担当は同様。こちらは本編とは全く関係なさそうな歌詞なので内容は割愛。余談であるが森口博子は昨年「サムライハート」を34年振りにカバーして配信、受注生産でCDリリースも行っている。
異神篇
1988年10月21日発売、サウンドトラック第2弾。「サムライハート」「BE FREE」に加え、前期主題歌のTVサイズバージョンの収録も含む全20曲収録。
今回は敵側の四魔将、物語中盤から登場した女妖邪・迦遊羅のテーマも収録。こちらはダイナミックな「勇〜朱天童子」、オリエンタルな「舞〜女戦士迦遊羅」等、各キャラにマッチした楽曲が振られている。また、新たに出現した白い鎧(後に輝煌帝と名称が判明)の装着シーンの際のキメに流れる「転〜武装烈火改」も収録された。
前作の延長上の路線の曲もあるが、ピアノインストの「起〜新たな予感」を筆頭に、哀しみを表現した曲や不穏な雰囲気の曲が増えており、全3作のTVシリーズの中では最もバリエーションに富んだ1枚だと思う。なお歌詞カードには「サムライハート」の歌詞の一部と共に鎧デザインを手掛けた岡本英郎による劇画タッチのイラストがコミック調のコマ割りで掲載。なかなかインパクトがある。
君を眠らせない
1988年12月21日発売、デビュー・アルバムと銘打たれたボーカルアルバム。新旧オープニングテーマ「スターダストアイズ」「サムライハート」も含む全10曲収録。森口博子がスペシャルゲストとして新たに1曲参加している。
作中、主に主役側のキャラクターボイスを担当する声優陣が集まってのボーカル集。基本的には1キャラクター1曲の持ち歌(2人でデュエットの曲も有り)となっている。本業ではないので歌唱力にはそれぞれ…という感があるが、主人公・烈火のリョウを演じた草尾毅の「炎のソルジャー」、既にシンガーソングライターとして他作品のイメージソングも手掛けていた金剛のシュウ役の西村智博による「Lonely Blood」で見られる歌唱力の高さは特筆モノ。
この手のアルバムによく収録されるオールキャストの歌唱曲として、コミカルな「ミッドナイト・パーティー」、シリアスな「地図のない旅へ」の2曲が収録。「地図の〜」には、敵である阿羅醐役の笹岡繁蔵、主人公側の迦雄須役の若本規夫も参加している。肝心の歌声はコーラス扱いでほとんど聴こえないのだが、笹岡氏(1998年に逝去)の歌唱参加はかなりレアでは。
青嵐篇
1989年2月21日発売、サウンドトラック第3弾。後期主題歌のTVサイズバージョンの収録も含む全17曲収録。
物語最終盤でリリースされたTVシリーズサントラ完結作。各キャラクターが鎧擬亜に武装する際のBGMがついに収録(「武装・鎧擬亜」)されたのが最大のトピックか。本作での新たな試みとしては、主人公5人のキャラのセリフが楽曲の前に配置されている曲がある点(主人公の烈火のリョウは2種類、他のキャラは1種類)。聴いた感じではアフレコと同じテイクを再利用したように思えるのだが、各キャラのファンとしては嬉しかったのではないだろうか。
前2作に未収録だった定番BGMも何曲か収録され、加えてタイトル画面のBGM、アイキャッチ、次回予告等の短めの音楽に、各主題歌のインストアレンジバージョンを収録するなど、最後ということで大判振る舞いでサントラ的にも大団円といったところ。歌詞カードには本作で原画を務めた柳沢まさひでのイラストが掲載。サンライズスタッフの井上幸一によるコラムも作品の(ひとまずの)締めくくりとして秀逸。
【鎧伝サムライトルーパーとは】
1988年4月30日〜1989年3月4日まで全39話放映されたサンライズ制作のアニメーション。
人間の怨念をエネルギーとする異世界・妖邪帝国の帝王・阿羅醐が現代の人間界に侵攻。東京・新宿に出現した妖邪軍の侵略を食い止めるべく、先祖代々に伝わる鎧(鎧擬亜)を継承した5人の少年達・サムライトルーパーが日本各地から集結。妖邪四大魔将との戦いを中心に、彼らが纏う鎧擬亜に秘められた事実や、それにより戦いに苦悩する戦士たちの成長を描く…というのが大まかなストーリー。
当時週刊少年ジャンプで連載され人気を博し、アニメ化でも大成功を収めていた「聖闘士星矢」を多分に意識した作風であり、タカラがスポンサーになり、メインターゲットの小学生に向けて鎧の着脱ができるフィギュア「超弾動シリーズ」が商品化されたが売上は芳しくなかった一方、物語後半にかけて本来のターゲットではなかった女子中高生を中心に各キャラクターへの人気に火が着き、ビデオやキャラクターグッズなどの売上が好調のままTVシリーズは終了。その後「外伝」(1989年・全2話)、「輝煌帝伝説」(1989〜1990年・全4話)、「MESSAGE」(1991年・全5話)と全3作のOVAシリーズを展開して物語は完結。
以降時代が下るに伴ってDVDボックスやBlu-rayボックスがリリースされ、近年ではキャラクターフィギュアが「アーマープラス」、「千値練」にてそれぞれシリーズ化。変わり種としては御朱印帳なども制作されているが、1991年までかなりの数が展開された音楽作品(1990年半ばまでは基本的にレコード/CD/カセット同時発売だったのでこの表記)に関しては1993年に一部CDでの再発はあったものの、ベスト盤的なリリースやリマスター盤などの商品展開は一切行われていない。
スターダストアイズ
1988年5月21日発売、浦西真理子歌唱による前期(1〜19話)主題歌シングル。
表題曲「スターダストアイズ」は作詞は三浦徳子、作曲は茂村泰彦が担当したオープニングテーマ。80年代後半、既に直球の王道アニメ主題歌に代わりイメージソング的な主題歌が増えてきた時期であり、本曲も「心のYOROIは温かくはないさ」「心はソルジャー 優しさ隠してる」等のそれっぽいワードが含まれているものの、全体的に雰囲気重視な歌詞である。
カップリングの「Faraway」はエンディングテーマ。作詞・作曲は公式デビュー前にキングレコードのアニソンを多く手掛けていた辛島美登里が担当。夢に向かって旅立って行く「君」を見送る別れの曲で、アニメ本編とはほとんど関係のない内容なのだが、アレンジを大人しくして辛島本人が歌えば完全に彼女の色に染まりそうな佳曲。
群狼篇
1988年7月5日発売、戸塚修によるサウンドトラック第1弾。「スターダストアイズ」「Faraway」を含む全17曲収録。
本編で頻繁に使用されたBGMを中心に収録。「(仁)烈火のテーマ」等、主人公側の名前を冠したタイトルの曲が多いが、本編ではそのキャラ専用に使用されていたわけではなかったので若干違和感がある。一方で「阿羅醐のテーマ」はまさに阿羅醐本人のシーンでよく使われていたので納得。全体的には生音中心の躍動感あるロック〜フュージョン系の楽曲が多い中、ジャズっぽいアプローチの「逃避行」は異色。これは本編で使用されたかちょっと記憶に怪しい。
なおトルーパー関連のCDは同時発売のLPとの兼ね合いか、1枚ペラの歌詞カード封入が主だったのだが、本作では珍しく中綴じのブックレット仕様だった。ブックレットには前期のシリーズ構成を務めた高橋良輔のメッセージや、キャラクターデザインを務めた塩山紀生のイラスト等が掲載。
サムライハート
1988年9月21日発売、森口博子歌唱による後期(20〜39話)主題歌シングル。
表題曲「サムライハート」は作詞は三浦徳子、作曲は茂村泰彦が担当したオープニングテーマ。「心はサムライ」等の関連ワードを盛り込みつつ、主人公達が戦いに悩み始める中盤以降の展開を1コーラス目は比較的なぞった印象で、前期よりは作品に沿っていると思う(2コーラス以降はラブソングっぽくなっているが…)。タイトルもありサムライトルーパーの看板楽曲といえばこの曲か。
カップリング曲「BE FREE」はエンディングテーマでオープニングと作詞作曲担当は同様。こちらは本編とは全く関係なさそうな歌詞なので内容は割愛。余談であるが森口博子は昨年「サムライハート」を34年振りにカバーして配信、受注生産でCDリリースも行っている。
異神篇
1988年10月21日発売、サウンドトラック第2弾。「サムライハート」「BE FREE」に加え、前期主題歌のTVサイズバージョンの収録も含む全20曲収録。
今回は敵側の四魔将、物語中盤から登場した女妖邪・迦遊羅のテーマも収録。こちらはダイナミックな「勇〜朱天童子」、オリエンタルな「舞〜女戦士迦遊羅」等、各キャラにマッチした楽曲が振られている。また、新たに出現した白い鎧(後に輝煌帝と名称が判明)の装着シーンの際のキメに流れる「転〜武装烈火改」も収録された。
前作の延長上の路線の曲もあるが、ピアノインストの「起〜新たな予感」を筆頭に、哀しみを表現した曲や不穏な雰囲気の曲が増えており、全3作のTVシリーズの中では最もバリエーションに富んだ1枚だと思う。なお歌詞カードには「サムライハート」の歌詞の一部と共に鎧デザインを手掛けた岡本英郎による劇画タッチのイラストがコミック調のコマ割りで掲載。なかなかインパクトがある。
君を眠らせない
1988年12月21日発売、デビュー・アルバムと銘打たれたボーカルアルバム。新旧オープニングテーマ「スターダストアイズ」「サムライハート」も含む全10曲収録。森口博子がスペシャルゲストとして新たに1曲参加している。
作中、主に主役側のキャラクターボイスを担当する声優陣が集まってのボーカル集。基本的には1キャラクター1曲の持ち歌(2人でデュエットの曲も有り)となっている。本業ではないので歌唱力にはそれぞれ…という感があるが、主人公・烈火のリョウを演じた草尾毅の「炎のソルジャー」、既にシンガーソングライターとして他作品のイメージソングも手掛けていた金剛のシュウ役の西村智博による「Lonely Blood」で見られる歌唱力の高さは特筆モノ。
この手のアルバムによく収録されるオールキャストの歌唱曲として、コミカルな「ミッドナイト・パーティー」、シリアスな「地図のない旅へ」の2曲が収録。「地図の〜」には、敵である阿羅醐役の笹岡繁蔵、主人公側の迦雄須役の若本規夫も参加している。肝心の歌声はコーラス扱いでほとんど聴こえないのだが、笹岡氏(1998年に逝去)の歌唱参加はかなりレアでは。
青嵐篇
1989年2月21日発売、サウンドトラック第3弾。後期主題歌のTVサイズバージョンの収録も含む全17曲収録。
物語最終盤でリリースされたTVシリーズサントラ完結作。各キャラクターが鎧擬亜に武装する際のBGMがついに収録(「武装・鎧擬亜」)されたのが最大のトピックか。本作での新たな試みとしては、主人公5人のキャラのセリフが楽曲の前に配置されている曲がある点(主人公の烈火のリョウは2種類、他のキャラは1種類)。聴いた感じではアフレコと同じテイクを再利用したように思えるのだが、各キャラのファンとしては嬉しかったのではないだろうか。
前2作に未収録だった定番BGMも何曲か収録され、加えてタイトル画面のBGM、アイキャッチ、次回予告等の短めの音楽に、各主題歌のインストアレンジバージョンを収録するなど、最後ということで大判振る舞いでサントラ的にも大団円といったところ。歌詞カードには本作で原画を務めた柳沢まさひでのイラストが掲載。サンライズスタッフの井上幸一によるコラムも作品の(ひとまずの)締めくくりとして秀逸。
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