


既に15年近く消息不明となっている小松未歩ですが、昨年5月のデビュー25周年の際には、本人不在ながら全楽曲がサブスク配信開始となり話題に。それに続いての本企画は、プレスリリースによると、B ZONE(旧ビーイング)のプロデューサー・長戸大幸が、ZARDをトリビュートしたSARD UNDERGROUNDに続き、小松未歩のトリビュートを構想。メッセンジャー・シンガーとして白羽の矢を立てられたのは、故人である俳優・藤田まことの孫娘である花リナ。昨年夏から彼女がカバーした小松楽曲をYouTube公開するという段取りを経て、今回の配信リリースに踏み切った…ということです。今回は第1弾(First Release)として、デビューシングル「謎」、3rdシングル「願い事ひとつだけ」、6thシングル「氷の上に立つように」の3曲を同時配信。ちなみにこの3曲は全てTVアニメ「名探偵コナン」関連の楽曲でもあります。
ということで久々の小松関連の新展開、早速聴いてみました。3曲とも編曲クレジットはSARD UNDERGROUNDでもお馴染みの鶴澤夢人の単独名義なのですが、どの曲も原曲のアレンジをベーシックに細かいディティールを微変更する程度の、オリジナルの編曲者の古井弘人の名前も連名でクレジットしてもおかしくないくらいの原曲尊重仕様。特に小松作品に関しては、ZARDのように特徴的なエレキギターや、時にはアコースティック感を前面に出す等といった編曲バリエーションが乏しく、基本的には無機質な打ち込みサウンドが中心なので、20年代に現代のテクノロジーで打ち込み直しても明確な違いがないな、と思うのが正直なところ。
一方、小松本人の歌唱力(彼女はシンガーとしてよりソングライターとしての評価や支持を受けていたと思います)と比べると、過去にも覆面シンガーとしてのキャリアがある花リナのボーカルには安定感を感じます。といっても圧倒的な歌唱力で捻じ伏せるというアプローチではなく、「小松未歩」を意識的にトリビュートする歌い方になっていたのは特筆ポイント。それほど小松未歩の曲に馴染みがない層には、このカバーが流れても本人のオリジナルバージョンかと思いこませる力があるかな、と思いました(アレンジもほぼそのままだし)。
日本生まれながら9歳までハワイで暮らしていたという経歴もあってか、花リナの英語の発音はなかなか。といっても「氷の上〜」の「Forever My Destiny」の一節を聴いただけではありますが(笑)。なお、5月1日には第2弾(Second Release)、小松のデビュー日にあたる5月28日には第3弾(Third Release)が控えており、第1弾と同じくそれぞれ3曲ずつ同時配信される模様ですが、その6曲中4曲が歌詞を花リナ本人による英訳に置き換えてのリリースとなるそうです。そちらのほうも配信開始次第また聴いてみようかと思います。
コメント