tmintelligence 2022年12月28日発売、同年夏に開催されたTM NETWORKのライブツアーの模様を収録した映像作品。本編Blu-rayのみの通常盤、加えて同日のライブCD2枚、クリアファイルや缶バッジを同梱したBOX仕様の初回限定盤の二形態での販売。本レビューは通常盤となります。

 2021年10月の再起動宣言と共に、無観客ライブ三部作配信をアナウンスして復活したTM NETWORK。翌年4月、その三部作を映像作品化した際に、約7年振りの有観客全国ライブツアー「TM NETWORK TOUR 2022 "FANKS intelligence Days"」の開催を発表。7月から8月にかけて埼玉・東京・大阪・愛知を回る全7公演に加え、追加公演として9月に神奈川・ぴあアリーナMMでの2daysの開催も追って告知されました。本作はその最終日・9月4日(Day9)の模様を全編にわたって収録。なお、発売に先立ってWOWOWでも同日のライブが10月にオンエアされており、本作のスタッフクレジットにもLIVE SHOOTING CREWとしてWOWOWの関係者の名前が多数記載されています。

 2015年の30周年ライブ以来の有観客ライブツアーということで、筆者は2daysの初日・9月3日(Day8)のライブに足を運んでおり、その日のライブレポートはこちら。両日共にセットリストや映像演出も含めてライブの流れは全く同一と言ってよく、受ける印象も同じで当日の追体験が味わえる内容。30周年の際は大病を患った直後で、ライブ中に退場する時間を設けるなど体調万全とは言い難かった宇都宮隆も今回はフルライブの内容をしっかりこなし元気そう。木根尚登は今回はサポートギタリストが不在ということもあり、「Get Wild」ではエレキギターでリフを弾いたりキーボードも担当、さらにルーパーを使ったソロパフォーマンスを見せたりと大活躍。そして小室哲哉も「I am」では数十年振り(?)にショルダーキーボードを携えてステージを動き回ったりと、一時期はもう二度と実現しないかもと思われていた、TM三人がオーディエンスの前に集って演奏している、という喜びを改めて実感できる映像になっています。
 また、カメラワークもTM以外のサポートメンバーや観客席、スクリーンの映像も含めてバランス良く映されており、当日二階席の左端で鑑賞していた筆者としては「正面から観るとこういう感じだったんだ」という意味でとても有難い編集でした。あとはライブレポートにも書きましたが「We are starting over」の今回の曲構成はオリジナルを超える完成度だったと思うので、繰り返しますがスタジオレコーディングで再録してくれないかなぁ…という思いをより強くしました(笑)。

 2010年代からのTMのライブはSF的なコンセプト重視で、映像にもスクリプトが盛り込まれるなど演奏以外の部分が結構目立っていたのですが、今回はそういった演出はごく僅か。選曲も基本的には代表曲を連打しているなどベスト的な内容で、かなり久しい「普通のフルライブ」だったな、というのが総合的な印象。最新のTMの姿をベスト選曲で楽しめるライブ作品としては近年では髄一だと思うのですが、前作同様に通常盤でもお値段は定価9,800円+税となかなか高め(発売も前作と同じく宇都宮の個人事務所M-TRES)なので、熱心なFANKS以外は購入に踏み切れなさそうなのが唯一の欠点でしょうか(ライブのチケットも10,000円超えてたしなぁ…)。本編ラストの映像にあった2024年に開催されると匂わせている「Day10」については、願わくばもう少しカジュアルな価格で提供していただければと思います。