去る2023年3月10日にデビュー30周年を迎えたDEEN。
 彼らの5年振りの日本武道館ライブが昨日無事開催されました。
 DEENの歴代の武道館ライブには行ったり行かなかったりで皆勤ではない筆者でしたが、今回は久し振りの武道館ということで足を運んできました。
 その模様を今回の「ライブレポート」でご紹介いたします。

30th Anniversary DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2023
2023年3月12日・日本武道館


 過去にDEENは計10回の武道館公演を開催していますが、筆者が足を運んだのはそのうちの6回。
 2011年(4回目)までは皆勤だったのですが、2013年の2days(5・6回目)は都合で初日しか行けず、2014年(7回目)、2016年(9回目)は用事が重なり断念、2018年(10回目)も日程調整が出来ずに見送ったところ、田川伸治巨匠の在籍ファイナルライブということになってしまい重要なライブに立ち会えなかった苦い経験があります。
 そんなわけで、5年振り11回目の開催となる武道館ライブは何が何でも行く!と決意を固め、今回は日程調整に成功。チケットも無事確保していざ出発。

 夕刻、8年振りの日本武道館に到着。
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 まずは時計台近くの引換所にて、最新ベストに付いていた引換券のプレゼント(ステッカーセット)をゲット。来場者全員プレゼントは会場入りの際にクリアファイル2枚セットをいただきました。
 会場の外には昨年の夏に全国を駆け巡った47都道府県ツアーのトラックの展示が。
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 今回の座席は2階席東の端のほう。上から花道を見下ろす感じで、メインステージからは結構遠く、あまり良い席ではなかったかも。まあ全体が観れればいいんですけどね…。
 なお、座席に暗幕はなし、客を入れてないブロックもありましたが、それでも9割弱ぐらいは埋まっていたような気がします。

 定刻の18時を少し回ったところで会場が暗転し、ライブスタート。
 巨大スクリーン(今回は左右とセンターステージの奥の3枚を使用)に歴代のシングルジャケットが時系列順に映し出される周年恒例のオープニング。ただ、カバーシングルがスルーされたりとか、Classicsシリーズは「夢の蕾」だけとか、「ずっと伝えたかったI love you」が省略されていたりと、微妙に欠けがありました。


1.ひとりじゃない(1996年シングル)
 サポートメンバーによるイントロのイントロ(?)を経て、原曲・原キーアレンジ(細かいフレーズは「DEEN The Best DX」寄りだったかと)での披露。この曲が1曲目というのはかなり珍しいですね。キセキツアーの時以来?
 スクリーンにはCGと一緒に歌詞が映し出されていました(歌詞は他の曲も同様)。キーボード山根公路氏はいきなりショルキーでの登場。
 
2.手ごたえのない愛(1998年シングル)
 原キーで過去の曲を演奏するようになってからフルで演奏される機会がありそうでなかったシングル曲をついに完全披露。個人的にこの日一番の盛り上がりでした(早)。

3.Memories(1993年シングル)
 オリジナル準拠…というか「DEEN The Best DX」バージョンでの演奏。この曲はキーが下がっていたかな?と思います(キセキVersionと同じキーだった気がするので-2?)。
 
 ここでボーカル池森秀一氏による「DEEN LIVE JOY Specialへようこそ!」の挨拶あり。

4.未来のために(1995年シングル)
 この曲もキー下げ(-1)の原曲アレンジ。今回は全曲原キーというわけではなかったのですが、かつてのように下げてもキツそうに絞り出す、という感じではなく、無理なく声を張り上げるためのキーに合わせた、という感じ。
 
5.The Last Journey 〜47の扉〜(2022年シングル)
 ここで最新シングル。スクリーンにはMVが終始流れていました。47ツアーとは異なりフルバンド演奏ということで新鮮。

6.君へのパレード♪(2017年シングル)
7.心から君が好き 〜マリアージュ〜(2012年シングル)
8.Smile Blue(2007年Classicsシングル)
 歴代47ツアーのテーマソングを過去へ遡る形でショートサイズのメドレー演奏。当時のMVも引き続きスクリーンに映し出されていましたが、脱退した田川氏もカットされずしっかりと映っていました。

9.もう泣かないで(2013年シングル)
10.Teenage dream(1995年シングル)
11.君がいない夏(1997年シングル)
12.素顔で笑っていたい(1996年シングル)
 特に明言はされませんでしたがいわゆるバラードメドレータイム。どの曲も1コーラス程度のショートサイズ(サビだけの曲もあった記憶)を当時のMVと共に。画面の中には元ドラマー・宇津本直紀氏の姿もあり。なお、宇津本氏は当日会場で観ていたようです。

13.翼を広げて(1993年シングル)
 この曲は序盤のシメ的にフルサイズで演奏。最後の「翼を広げて〜」のコーラスは池森氏が「皆で!」と久々に煽っていました。

47都道府県ツアーダイジェスト
 先日発売された映像作品と同時に撮影されたと思われる池森・山根両氏の開演前の意気込みと、「The Last Journey 〜47の扉〜」のインストバージョン(一部ボーカル有)を流しての各会場での記念写真を開催順に流した内容。この時間を利用して、今まで未使用だった花道に楽器がセッティングされていきました。

14.永遠の明日(2008年シングル)
15.日曜日(「ひとりじゃない」c/w)
16.少年(1995年シングル)
17.いつか僕の腕の中で(「瞳そらさないで」c/w)
18.逢いにゆくよ(1998年3rdアルバム「The DAY」)
19.Blue eyes(2001年バラードベスト「Ballads in Blue」)
 久々にアコースティックコーナー復活か?と思いきや、花道には池森・山根両氏に加えてストリングスカルテットの女性陣、そしてメインステージでもサポートメンバーが全員残って演奏している…という、バンド+ストリングスによる、普段よりも生音を増やしたバラード系コーナーとでも形容するべきでしょうか。全て1コーラス程度で曲によってはキー下げ有のショートバージョン。Ballad Versionに寄せた「永遠の明日」、「日曜日」「いつか僕の〜」は「Ballads in Blue」準拠、「Blue eyes」は「クロール」のバージョン(Strings Style)に近かったかと。割とまあまあ披露される曲の中に混じって「逢いにゆくよ」がいきなりぶちこまれたのは超レア。

 演奏終了後、暗転の間に花道にいた出演者がメインステージに戻り、池森氏によるストリングスカルテット紹介。アンコール辺りにも出てくるかと思いきや、彼女達の演奏の出番自体はこのセクションのみでした。

20.夢であるように(1997年シングル)
 ミディアムテンポのSEの後で後半戦の始まりの定番といえば…ということでこの曲。スクリーンはMVではなく、「テイルズ オブ デスティニー」のゲーム用のアニメMV(?)を流すという、20周年時の武道館での演出の再現。

21.love me(「君がいない夏」c/w)
22.君さえいれば(1998年シングル)
23.mirror ball(2022年配信シングル)
24.coconuts feat.butterfly(2016年16thアルバム「バタフライ」)
25.STRONG SOUL(2004年シングル)
26.果てない世界へ(1996年2ndアルバム「I wish」)
 これまた特に説明なく始まりましたが、メンバーが花道を行ったり来たりするいわゆるアップテンポ系ショートサイズメドレー。MVは「mirror ball」のみ使用、MVの存在しない「love me」や、MVはあるものの「果てない世界へ」は1999年の横浜アリーナの映像とシンク。その他の曲はMVが存在する曲も既存のライブ映像を流していた記憶が。披露は1コーラス程度で、例外的に「coconuts」はラストサビ前の間奏まで。「STRONG SOUL」で金色の紙テープが飛び、「果てない世界へ」は1コーラス+間奏+サビ+アウトロ(「Hey! Down to Earth」有)までの演奏でした。

27.瞳そらさないで(1994年シングル)
 こちらはフル。原曲アレンジでしたがキーは-1だった気が。確かに前回のLIVE JOYだと決死な感じだったので、伸び伸び歌えるこちらのほうが安定感はあるかも。

28.このまま君だけを奪い去りたい(1993年シングル)
 池森氏の「デビュー30周年を迎えました。感謝の思いを込めて」(要約)という振りで本編のシメはこの曲。2018年武道館以降続く原曲アレンジによる、神々しささえ漂うド安定の原キー歌唱バージョン。1コーラスの最後の「信じて〜」の「て〜」のみ裏声。しかしこの曲を安心して聴ける日が来ることになろうとは…。


 この時点で時刻は20時あたり。暗転してステージから去る出演者一同。特に「最後の曲です」みたいなことを言わなかったので数秒間会場が微妙に沈黙していたのですが(苦笑)、自然発生的に手拍子が発生し、アンコールへ。
 相変わらずのふざけたVTRに続き(笑)上海ロックスターのご登場。6年振りの武道館出演…とか仰っていましたが、シャン様が最後に武道館に登場したのって2015年じゃなかったでしたっけ…まあいいか。

29.上海ロックスター(2006年8thアルバム「Diamonds」)
 シャン様の最初期ナンバーを久々にフルサイズで。特筆すべきは池森氏の歌うAメロ(「上海ロックスター♪」の部分)をオクターブ上で裏声なしで歌唱していた点。まさに絶好調。

 この後は武道館グッズ紹介を兼ねたMCコーナー。
 武道館限定販売の二八蕎麦「DEEN SOBA」の紹介の際に、池森プロデュースの蕎麦はダブルミリオンを突破したとのことで、池森氏による「CDでもミリオン、蕎麦でもミリオン」という名言が出ました(笑)。また、山根プロデュースの珈琲セットは何と完売だったそうで。あと、マフラータオル紹介の際に「この後で振り回す曲がありますが…」と何気に曲をばらす池森氏でした(笑)。
 引き続き今回のスポンサーであるスマホケの宣伝コーナー。この辺りは映像化の際にはカットされると思われますが、山根氏がスマホの修理に関してそれ言っていいの?みたいなことを発言していました(笑)。

 続いてここでサポートメンバーの紹介があり。各メンバーが紹介されるとそれぞれがDEENの楽曲のワンフレーズを演奏という粋な演出が。なお、演奏曲は以下。
 北村望(Dr):「Memories」の2コーラス前のドラムソロ
 石田純(Ba):「広い世界で君と出逢った」のベースライン(これは言われるまで気づかなかった…)
 ヒロムーチョ(Sax):「キズナ」のサビ
 侑音(G):「SUNSHINE ON SUMMER TIME」のギターソロの導入部分

30.RUN RUN RUN(2023年ベストアルバム「DEEN The Best DX」)
 発売されたばかりの最新ベストの新曲。レコーディングではTUBEの春畑道哉氏が参加していますが、今回はレギュラー6人での披露。5年前の新曲「Journey」が切ない別れの曲だったのに対し、この曲は時には向かい風もあるけど進んでいくぜ!という決意表明が感じられる、明るく前向きなナンバーでライブ映えしていました。

31.君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている(2014年シングル)
32.千回恋心!(2015年シングル)
 どちらもMVを流しながらの1コーラス+間奏+ラストサビのショートサイズでの演奏。なんかこの曲順に既視感があるのは、去年のLIVE JOYと同じ並びだからでしょうか。

33.歌になろう(2008年「DEEN LIVE JOY COMPLETE 2007-2008」)
 ラストは当然「武道館の歌」で大団円。最後にやるならこの曲しかもうないだろうな…と思っていたのでアタリでした。終盤の大合唱もマスク越しとはいえついに復活。


 「このまま君だけを奪い去りたい」のBallads in Loveバージョンのインストをバックに、全出演者を一人ずつ紹介、そして3年振りのヤマネッチコール「蕎麦と音楽の二刀流、池森秀一」という名言も飛び出て(笑)無事に終演。客席をバックにした写真撮影が終わった後でスクリーンに流れた30周年を迎えてのDEENからのメッセージは、これまでよりも長く、感動的な内容でした。この部分はこの日来場できなかったファンの方々にも映像化された際に是非見て欲しいです。
 終演時刻は20時50分。DEENの武道館公演としては平均的な長さだったでしょうか。


全体の感想
 最新ベスト「DEEN The Best DX」からはショートサイズも含めてdisc 1の楽曲を全曲披露でこれは予想通り(もう1曲の新曲「ふたりだけのダンスフロア」はparis matchがいないと再現できなそうだから仕方なし?)。これに加えて武道館に至るまでの道程である47ツアーのテーマソング、00年代以降の準定番的なシングル曲を交えるなど、シングル曲に関しては全年代から万遍なく選曲されていた印象。一方でカップリングやアルバム曲に関しては90年代の楽曲からに偏っていたかな、という感じでした。これは30周年記念特設サイトで行われていた楽曲投票の結果が反映されているのかも。それにしても「逢いにゆくよ」には驚かされました。
 全33曲の披露でしたが、大半の曲はショートサイズで演奏され、完全フルサイズで演奏されたのは12曲と少な目。ただ、これまでの武道館シリーズ(2018年を除く)と比べてMCも少なく、その分2時間50分の中でできる限りの楽曲を演奏したという形だったので、結構な満足感は得られたライブでした。

 DEENの武道館公演については第1回目の2008年の時に凄く感動し、翌年から定期的な開催という形になってもしばらくは必ず参加していたわけですが、この「毎年開催」によって沢山の人達が集まる大会場だからヒット曲を毎回ほぼ全て演奏する、大MC、各メドレー、ソロコーナーの定番化が年々極まっており、それが2014年以降別の用事を優先してしまうようになった(=通常のLIVE JOYの方が色々な曲が聴けるのでそっち行けばいいやという)原因でもありました。そういう意味では今回のセットリストはある意味定番固めな部分が多分にあったのですが、年数を置いて開催されたということもあり、「30周年を迎えたDEENの記念ダイジェストライブ」として楽しめた、というのが素直な感想です。あとは、二人体制になってから以降の楽曲中心のストイックな構成を軸にしつつも、基本的には笑顔で楽しくという「LIVE JOY」本来の部分も注入された、バランスの良いライブだったと思います。

 最後のMCで「先のことはあまり考えず、良い楽曲を作ってライブをする、ということを目標にこれからも頑張ります」的な、地に足を着けた発言をしていた池森氏。デビューから30年、同時代の様々なアーティストが淘汰されていった中、メンバーは減りましたが地道な活動を続けて今日に至る、まさに「継続は力」を実践し続けるDEENの底力をこの発言に見たような気がしました。
 筆者も気づけばDEENファン歴30年。これからも彼らの作品と人生を共にしていければと思っております。
 改めまして、DEEN30周年、おめでとうございます。
 そして、これからもよろしくお願いいたします。


 ※セットリストはこちらのライブレポートを参考にしました。うろ覚えな曲順の記憶を補強してくれて大変助かりました!