
表題曲「世界が終るまでは…」は、自身のプロデビュー30周年を記念したプロジェクトの一環としてリリースされたベストアルバム「永劫回帰」シリーズの第2弾のトリを飾っていた、作曲者である織田哲郎自らの編曲によるWANDS時代の新録セルフカバーバージョン。シングルカットに際しては織田哲郎チームによる新たなミックス(クレジットによるとT's Corporation所属の鈴木誠)に加え、世界的なエンジニアであるTed Jensenがマスタリングを担当。ミックスに関しては新たな音を足したり引いたりということは特にないようで、冒頭のピアノの明度をやや落としたり、ボーカルのエフェクトを若干薄めにしたり、各演奏楽器の鳴りのバランスを変更するなど、作業的には微調整ながら全体的には永劫回帰バージョンよりもダイナミックとなり、各楽器の音の立ちも良くなった印象。元々「永劫回帰」バージョンに不満はありませんでしたが、このバージョンが出てきてしまうと完成度としてはこちらが上回るかな、という感じでした。
カップリング曲「PIECE OF MY SOUL」はWANDSの4枚目のオリジナルアルバムのタイトル曲の新録セルフカバー。こちらは織田哲郎チームの関与はなく、プロデュースは「永劫回帰」シリーズの各セルフカバーと同じく岡野ハジメが担当し、平田崇が岡野と共同名義でアレンジを担当。WANDS時代では数少ない上杉が作曲に名を連ねている(柴崎浩との共作)楽曲で、歌詞はサビの一節が新たに書き換えられています。こちらは生バンドだった「世界が〜」とは異なり、打ち込みによる疑似バンドアレンジとなっており、演奏自体は原曲の再演に近いのですが、気になるのはBメロ辺りから上杉の声に加工が加わっていき、サビでは完全にエフェクトまみれの奇妙な仕上がりになっていく点。これについては「永劫回帰」でも同じようなことをやった前例があるのでまたやってくれたな…という感想。まあ正直予感はあったのですが、この曲でこういう演出は必要だったのか?という疑念は聴いた後も拭えませんでした。
なお、リリース日より先行して12月4日には表題曲がデジタル配信。また同日にはオフィシャルMV公開も行われていますので、ご興味のある方はそちらを。
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