deenthelive2022 2022年10月5日発売、同年開催のDEENの2本のライブ公演をカップリングした映像作品。初回生産限定盤はBlu-ray2枚組+ライブCD2枚組のスペシャルパッケージ仕様、通常盤はDVD2枚組(映像内容は同一)。本レビューは通常盤となります。

 DISC 1は2022年4月から5月にかけて五都市で開催されたライブハウスツアー「DEEN LIVE JOY-Break24 〜mirror ball〜」の最終日、5月13日Zepp DiverCity Tokyoでの公演を収録。筆者は前日の12日のセミファイナルに参加しており当時のライブレポートはこちら。なお、両日共にアンコールの際に池森秀一プロデュースユニット・OZZのお披露目が1曲あったようなのですが、本作品ではそのブロックはカットされ、DEEN名義での演奏曲全22曲を収めています。
 前年のBreak23に続いて客席使用にも制限がかかり、観客は声を出せない、という、従来のライブとは異なるコロナ影響下での開催でしたが、それを逆手に取ったかのように、セットリストは直前リリースの配信シングル「mirror ball」を筆頭に「STRONG SOUL」「Brand New Wing」「千回恋心!」等、振付の存在するシングル曲や、歴代LIVE JOYでの振付盛り上げ系アルバム収録曲などを中心に構成。これによって観客には声を出さずとも熱気を出してもらう、という発想はなかなかに慧眼だったと思います。実際会場はかなり盛り上がっていましたが、映像作品として客観的に観ると、観客が振付して踊っているシーンがあまり映ってなかったこともあり、完全に会場の熱気部分をパッケージするのは難しかったのかな、という印象。ただ、トータル演奏時間はMCやグッズ紹介コーナーをカットしても109分と、あっという間に終わってしまったBreak23の収録時間に比べればコロナ前までの演奏時間に戻りつつあり、今後のLIVE JOYは少なくとも今回の長さをベーシックとした構成での開催にしてもらいたいと切に思いました。

 DISC 2は2022年初頭に軽井沢大賀ホールにて開催された2daysライブ「DEEN Premium Winter Live 2022 〜シュプール〜」の2日目、1月10日の公演を収録。なお1日目は夜1公演、2日目は昼夜2公演という変則的なスケジュールになっており、収録された10日の公演が昼夜どちらのものであるのかの表記はなし。また、同ディスクには特典映像として同会場演奏での「星の雫」、加えて「シュプール」のMVが収められています。
 前年末にリリースされたばかりのウィンターアルバム「シュプール」を引っ提げての企画ライブということで、演奏された全15曲のうち、「シュプール」収録曲は全曲披露。加えて「永遠をあずけてくれ」「白い記憶」「さよなら」といった冬を舞台にした楽曲をピックアップした、完全冬仕様のセットリスト。定期的に開催され楽曲も増えていったサマーリゾートライブが恒例化していく中、冬をコンセプトにしたライブはこれまでほとんど開催されていなかったので今回の選曲はかなり新鮮に感じられます。基本的に新曲の演奏はスタジオ録音通りですが、アルバムではリズム隊が打ち込みだった曲も生楽器に置き換えられライブの醍醐味を感じられる演奏に。また、サポート演奏陣の中に近年継続的な参加になりつつあるサックスプレーヤーを配置し、ソロと言えばほぼギター、という三人時代の鉄則から外れて新生DEENバンドらしくなってきたかな、と。アルバム用の新曲はここだけの披露になってしまうのは勿体ないので、また冬コンセプトのライブが開催される機会があれば、再登場を願いたいところです。

 両公演とも、二人体制になってから本格的に移行したオリジナルキーでの披露を原則貫いていて、池森のボーカルもムラなく安定。来年のデビュー30周年に向けても期待が膨らむ映像作品でした。