twomixtribute 2022年7月27日発売、TWO-MIXの楽曲を外部アーティストの手でカバーした初のトリビュート・アルバム。全10曲収録。

 現在は活動休止中ながら、デビュー25周年を迎えた2020年にはリクエスト投票の結果を反映したオールタイムベストの制作を発表(リリースは翌年頭)するなど、近年でも存在を示していたTWO-MIX。本作はデビュー27年目当日にあたる2022年4月29日に25周年記念サイトにて制作が発表。参加アーティストや担当楽曲は徐々に明かしていくという流れで順を追って告知され、発売一ヶ月前に全貌が判明。CD発売と同時に全曲配信が、8月19日からはハイレゾ配信がそれぞれ行われています。なお、今回はTWO-MIXのメンバーは直接制作には関わっていないようですが、歌詞ブックレットのスタッフクレジットにはQuality Management Adviserとして、メンバーの一人である永野椎菜の名前がトップで掲載されています。

 本作に参加したのは全10組のアーティスト。90年代当時にTWO-MIXとレーベルメイトだった米倉千尋、00年代にデビューし声優と歌手を兼業する中島愛、10年代にメジャーデビューしたやなぎなぎ等、アニソン方面で活躍する面々が数多く参加。中にはアニソン界のレジェンド・影山ヒロノブや、TWO-MIXのヒット曲の多くのタイアップ元であった「新機動戦記ガンダムW」で主役を務めた声優・緑川光の名前もあるなどネームバリューも豪華絢爛。先輩・同期・後輩と年齢層も幅広く、参加アーティストがどのようにTWO-MIXの楽曲に触れてきたのかも前述の記念サイトでそれぞれ語られており、代表曲を中心に十人十色の解釈でのカバーで彩られた作品となりました。

 元々TWO-MIXの音楽性はテクノ、ユーロビート寄りのデジタルな作風。今回のトリビュートでは原曲を尊重したものから全く変えてしまったものまで様々。具体的に楽曲を挙げていくと、前者は原曲のイメージを保ちつつ現代的なデジタルサウンドやリフも加えたangela「JUST COMMUNICATION」、ほぼ原曲の完コピ状態で純粋にボーカリストの表現方法の違いが楽しめる米倉千尋の「LAST IMPRESSION」など。後者は高速メタルナンバーに変貌を遂げたナノ「TRUTH 〜A Great Detective Of Love〜」、バイオリンとピアノによる完全な室内楽編成に挑んだ南里侑香 with TSUKEMEN「WINTER LOVE EXPRESS」、影山ヒロノブの「TRUST ME」に至っては完全に影山ワールドに塗り替えられ、これは影山のオリジナル曲だよ、と言われてもそのまま信じてしまいそうな別世界アレンジと、曲ごとにかなりの振り幅があります。
 その間を取って良い意味で如何にも中島愛!というポップなアレンジとなった「T・R・Y -RETURN TO YOURSELF-」、同じくポップ寄りの歌声を王道ロック調のアレンジに乗せたMachico「LIVING DAYLIGHTS」辺りは安心して聴ける…というか、良い緩衝材として全体のバランスを取っているかなと。構成的には前半は原曲尊重、中盤は原曲と新解釈の折衷、終盤は個性派集結という流れで、後半に
行けば行くほど楽曲の変貌に驚かされる1枚
という印象。

 選曲はほぼ代表曲がメイン。コアなファンにはもっと多くの曲を!という意見もあるかもしれませんが、ライトリスナーの筆者には適度な楽曲数で充分満足。TWO-MIXの楽曲を素材とし、各アーティスト色に色付けを行ったという試みは、常に原曲はデジタルサウンドが基調だっただけにかなり新鮮でしたし、オリジナルの高山みなみの歌唱力に正面から相対したアニソン系ボーカリスト達の表現力も見せつけられた良トリビュートでした。