
前回のエントリーでご紹介した「2011-2015」と同時発売された本作。DISC-1はタイトル通りの2015年の途中から2021年まで(正確には2021年には音源発表がなかったので2020年まで)に発表された曲の中からの選曲に加え、2022年に新たに配信リリースされた「永遠」、そして本ベストの新曲である「生きろ」を収録した全14曲の「Mr.Children 2015-2021 & NOW」。シングル「ヒカリノアトリエ」は長らくアルバム未収録でしたが、ここでようやくアルバムに初収録されました。
前作に引き続き「REFLECTION」からの選曲を冒頭に配置した後は、完全なるセルフプロデュース体制で制作された「重力と呼吸」、海外の著名エンジニア達とタッグを組んだ「SOUNDTRACKS」と、対外的にはバンドの独立や、脱・小林武史的なコンセプトを感じる時期からのセレクト。それらがこうして1枚のアルバムに収まっているのを一気に通して聴くと、まだ小林色の残滓が感じられる序盤、「himawari」や「here comes my love」等、ピアノやストリングスは健在ながら明らかに小林時代(?)とは異なる使い方になり、エレキギターの存在感も出てくる「重力〜」期、そして「Birthday」から始まる「SOUNDTRACKS」期からは新しい音の質感が出ていることを改めて感じることができます。まあ「2011-2015」同様、少ない曲数から選び過ぎという印象は受けましたが…。
そしてラストに収録されたタイトルの「& NOW」の部分、2022年発表の「永遠」は7年振りの小林武史との再タッグが実現。予想通りの壮大ストリングスバラードで良くも悪くも納得の出来。一方の新曲「生きろ」は「SOUNDTRACKS」の延長線上の海外組とのナンバーで、新旧のミスチルサウンドを並べて締め、という構成になっており、今後彼らがどちらの指標のサウンドを選ぶのか、気になるところです。
DISC-2はライブレコーディング盤「Mr.Children 30th giving 2」。過去のベストアルバム「2001-2005 <mirco>」「2005-2010 <macro>」に収録された楽曲のライブバージョンを各映像作品から抜粋した全12曲収録。2010年代の演奏を中心に選曲され、ラストの「タガタメ」以外はほぼオリジナルの時系列に沿って並べられています。バンドとしてのアンサンブルも成熟してきた時期なのか、「2011-2015」に収録されていたライブ音源に比べると安定した演奏でヒット曲の数々を楽しめるという内容。この時期はプロデューサーのみならずキーボーディストとしてもライブに関わり出した小林の影響なのか、やたらピアノで始まってバンドが途中まで出てこない…という曲の構成が多いかなぁ、と。まあ原曲からしてそういう編曲なのでそれに準じているのだとは思いますが、若干ワンパターンにも感じました(苦笑)。
…以上、「2011-2015」「2015-2021 & NOW」と二週に分けてレビューしました。フロントマンである桜井和寿が単独で膨大な数の曲を書き続けているが故に「このメロディーは前にも聴いたことがあったな…」というような既視感もチラホラあり、個人的には多感な時代にリアルタイムで聴いた今回の収録時期以前の楽曲のほうが強い思い入れがあるし、今回のベストで数年振りに聴いた曲もあったりして、この時期のミスチルは正直ご無沙汰でしたが、久々に聴くとミスチルはやっぱり良いなぁ、と。他の大御所ベテランにも言えることですが、何十年も日本の音楽シーンのトップを走り続けるだけのことはあるな、と思える各楽曲のクオリティの安定・安心感を改めて感じた、2枚のベストアルバムでした。
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