hzettriokazemachizuki 2022年5月25日発売、H ZETTRIO通算7枚目のオリジナルアルバム。全12曲+異なるボーナストラックをそれぞれ1曲ずつ収録した「EXCITING FLIGHT盤」「DYNAMIC FLIGHT盤」の2形態での発売。本レビューは「EXCITING FLIGHT盤」となります。

 2022年元旦に前作「トリオピック」、4月末にはカバーCD企画第6弾、そして本作と、半年のうちに3枚のCDアルバムを矢継ぎ早にリリースしたH ZETTRIO。2020年の配信シングルを一気に収録した「トリオピック」は、オリンピックの延期に伴って発売を1年を延ばしたという特殊な経緯で遅れていたので、従来の彼らのオリジナルアルバムのリリースターム(1年〜1年半程度)で考えると本作は順当なスケジュールでリリースされたのではないかと思います。そんな本作は2021年1月の「KARATE FUNK」から、12月の「Make Some Noise!」までの月イチリリースの配信シングル全12作をアルバム用にリマスタリング、曲順は発売順ではなくアルバムの全体の流れを考慮して収録という、前作をそのまま踏襲した構成になっています。

 本作もこれまで同様、ピアノ、ダブルベース、ドラムスのスリーピースのトリオ編成で、エネルギッシュでパワフル、テクニカルな演奏、メインはピアノですがリズム隊にもソロ回しが用意されているなど、ジャズ的な様式で展開されるインストゥルメンタルがぎっしり。曲によってはロック調、ファンク寄りなどある程度幅があるものの、トータル1枚を通して相変わらず熱いな…という感想になる一方、さすがに7枚目ともなるとこのパターンが定型化してきて、もう曲が流れてきても曲のタイトルがパッと浮かばない…という弊害(?)もあり。むしろ5曲目に登場するムードのあるミディアム「Magic Hour」や、彼らの遊び心が色濃く反映された「タイガーインド」のような変化球的ナンバーが耳に残るようになったかなぁ、と。以前にも別アーティストのレビューでギターレスのユニットやバンド形態は枚数を重ねる度にサウンド面で変化をつけるのが難しくなってくる云々…といったことを書いた記憶がありますが、「今夜はトリオ・イット!」のように、ピアノだけではなくキーボードの音もキメで使ってインパクトを出すなどの工夫を施してもいるようなので、今後はサウンドの味付け面にも期待したいと思います。

 「EXCITING FLIGHT盤」のボーナストラックは、神奈川のローカル局・TVKでの彼らの持ち音楽番組「SPEED MUSIC ソクドノオンガク」のテーマ曲「Go! Sokudo-kun(Inst.Ver.)」(インストバージョンってことは他のバージョンもあるのでしょうか?)。約2分半の中で彼らの美味しいところどりの演奏が味わえる良作。なお「DYNAMIC FLIGHT盤」には本作のタイトル曲にも採用された「風待月」のライブバージョンが収録とのことなので、お好みでお好きなほうを。