
90年代半ばにメジャーデビュー、その後インディーズを経て00年代後半以降はメジャーに復帰、その後は再びインディーズレーベルからのリリースも交えつつ、地元熊本で持病と向き合いながら地道に活動を続けている樋口了一。そんな彼による約3年半ぶりとなる新曲は初の配信音源。役者初挑戦にして主演映画「いまダンスをするのは誰だ?」の主題歌として書き下ろされた作品。映画公開は今のところ来年の夏を予定とのことで、配信当日時点でもまだ撮影は続けられていた模様。なお、本作の配信元はメジャー復帰の際のレーベルであるテイチクからということで、メジャーレーベルでのオリジナル作品のリリースとしてはこのアルバム以来約10年ぶりとなるようです。
作曲は樋口本人、作詞は映画の原作・脚本・監督を務める古新舜、編曲は樋口の過去作を何作か手掛けている河野圭が担当。原作者自らの作詞ということで、映画公式サイトのストーリー紹介を見るに、ちょっと重ための内容の歌詞のシリアスな曲…と思いきや、聴いてみると意外にも(?)陽気なアップテンポナンバー。サウンドもここ十数年の樋口の作品で見せる癒しの要素を感じさせていた雰囲気から一転、00年代当初のザクザクとして刺激的な打ち込みの響きが結構懐かしかったり。ボーカルは終始朗々と歌っていますが、明るさの中にも達観が、シリアスの中にも開き直りが行ったりきたりをする歌詞で、ノリの良い曲なんですがちょっと切なさも感じてしまうような不思議な感覚の1曲という印象を受けました。
本作制作と主演映画に関してのインタビューはこちら。なぜか公式サイトではこの曲の話題に関して一切ノータッチになっており、近況は定期的に更新されているし映画の撮影にも触れているので稼働停止しているわけではなさそうなのですが謎です。まあそれはともかく、撮影期間に樋口本人がコロナに感染するなどのハプニングがあったものの、後にクランクアップを終えたという報告がSNS上であり、ファンとしてはひと安心。あとは映画が無事に公開されることを願います。
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