
デビュー25周年記念・小松未歩全アルバムレビュー・中編
小松未歩 5 〜source〜
2002年9月25日発売、5thアルバム。全11曲収録。
「とどまることのない愛」「さいごの砦」「愛してる…」「dance」の4作のシングルを収録。これらのシングルも含めて9曲の編曲を大賀好修が担当。「約束の海」は池田大介、「style of my own」は久々に古井弘人がそれぞれ編曲を1曲ずつ担当しているが、基本的には大賀の持ち味(?)である薄味の打ち込みナンバーで構成され、池田・古井の両者もその路線に寄せた感があり、前作に引き続いてサウンド面での統一感は出ていると思う。
…ということで作風自体は前作の延長上なのだが、「gift」「足掻き」など、マイナー調のシリアスな楽曲以上に、朗らかな「commune with you」軽快なミディアム「style of my own」、勢いのある「愛の唄」など、明るさのあるメロディーの曲が前作よりも多め。アップテンポのシングル曲「とどまることのない愛」「さいごの砦」も上手く配置されており、1枚を通してバランスが良いという意味では秀逸な構成と言えると思う。個人的には彼女のオリジナルアルバムの中で1、2を争う好盤。
なお、本作の装丁は通常のCDプラケースに定型の歌詞ブックレットというスタンダードな形なのだが、ブックレットの中綴じ部分に透明素材のシートが挿入されているなど、妙なこだわりがある。
WONDERFUL WORLD 〜SINGLE REMIXIES & MORE〜
2002年11月27日発売、リミックスアルバム。全16曲収録。
楽曲も貯まってきてそろそろ…というタイミングで登場したベスト…ではなく、リミックス集。「謎」から「dance」までの全シングルタイトル16曲を複数のリミキサー陣によってリミックス・リアレンジして収録している。選曲はシングル曲のみなのだが、サブタイトルの「& MORE」が何を示すのかは不明。
プロデュース名義はkanonji rockakuであり、小松はall words,music and voiceというクレジットでのトップ表記。リミックスにあたってボーカルの歌い直しなどはしていないよう(機械でテンポを上げ下げしている曲はある模様)なので、完全な外部委託の企画物といったところである。なお、歌詞カードとは別に参加リミキサーの紹介紙が封入されている。
リミックスとしては基本的にはボーカルやメロディーラインを潰すことのない別解釈での完全オケ新規のリアレンジ、という方向性。ミディアムバラード風になった「願い事ひとつだけ」、男性ラッパーが新たに平メロを作って歌う「dance」、オリジナルよりもシングルらしいアレンジ(?)の「君の瞳には映らない」などが耳に残る。ただ、例外的にボーカルがほとんど出てこないような曲もあるなど、ベストアルバム代わりと思って手に取ると面食らう内容だと思うので、オリジナル楽曲を知っていての前提で、新アレンジでの変化を楽しむ、というのが適した聴き方かと思う。
小松未歩 6th 〜花野〜
2003年9月25日発売、6thアルバム。全13曲収録。
前作よりちょうど一年振りとなった新作オリジナル。装丁は折り畳んで収納する歌詞カードが封入されたデジパックジャケット仕様。デジパックジャケットは、以降のオリジナルアルバムにも引き継がれた。
「mysterious love」「私さがし」では徳永暁人、「ふたりの願い」は小林哲が編曲を担当と、シングル曲の時点で編曲体制が変化する兆しを見せていたが、前々作、前作とメインだった大賀は2曲のみ担当になり、前作に引き続いての参加となった池田大介、古井弘人に加え、岡本仁志、リミックスアレンジ(後述)としてクレジットされた麻井寛史が初参加して一気にアレンジャーが増員。また、90年代にFIELD OF VIEW(前年に解散)に提供した「大空へ」「渇いた叫び」、DEEN(同年にビーイング離脱)に提供した「君さえいれば」をセルフカバー、さらに自身のヒット曲「チャンス」をリミックスで収録するなど、過去作にスポットも当てたアルバムとなった。
アルバムの新曲は「楽園」「Last Letter」「僕にあずけて」等、佳曲が多い。久し振りにバンドを模したスタイルの打ち込みアレンジに回帰した曲もあるなど、アレンジャーを多彩にした効果が表れていると思う一方、中盤に4曲連続で配置されたセルフカバー+リミックスの前後でオリジナルアルバムとしての流れが分断されてしまうのが欠点。アルバムの構成で結構勿体ないことをしている1枚かもしれない。
Lyrics
2003年11月26日発売、セルフセレクションアルバム。全15曲収録。
初のエッセイ「ヘンな物さし。」、シングル「翼はなくても」と同日発売された「LOVE BALLADS 15 SONGS SELECTION」と銘打たれた自選ベスト。シングル曲は収録されず、アルバム曲・カップリング曲をセレクトして収録している。「One Side Love」「My destination...」「僕らの行方」「glass」はアルバム初収録。また、「My〜」と「As」は本作用に新たにリミックス(lyrics ver.mix)されて収められている。
選曲範囲はデビューから5thアルバムまでのようだが、90年代の作品(Amemura O-town Record期)はあまり選ばれず、3rd、4thからの選曲がメイン。すなわち地味なアレンジのミディアム〜バラードの楽曲が主軸となっており、70分以上緩急のあまりない楽曲が続くので集中して聴こうとすると正直キツい。後年のシングルベストから小松未歩作品に入ったリスナーが次に聴くベストとしてはあまりお薦めできずコアファン向け。ただ、アルバム初収録のカップリング曲(上述4曲)はハズレ無しの良曲なので、これらの楽曲を入手するために中古で廉価に購入する分にはお薦めである。
小松未歩 5 〜source〜

「とどまることのない愛」「さいごの砦」「愛してる…」「dance」の4作のシングルを収録。これらのシングルも含めて9曲の編曲を大賀好修が担当。「約束の海」は池田大介、「style of my own」は久々に古井弘人がそれぞれ編曲を1曲ずつ担当しているが、基本的には大賀の持ち味(?)である薄味の打ち込みナンバーで構成され、池田・古井の両者もその路線に寄せた感があり、前作に引き続いてサウンド面での統一感は出ていると思う。
…ということで作風自体は前作の延長上なのだが、「gift」「足掻き」など、マイナー調のシリアスな楽曲以上に、朗らかな「commune with you」軽快なミディアム「style of my own」、勢いのある「愛の唄」など、明るさのあるメロディーの曲が前作よりも多め。アップテンポのシングル曲「とどまることのない愛」「さいごの砦」も上手く配置されており、1枚を通してバランスが良いという意味では秀逸な構成と言えると思う。個人的には彼女のオリジナルアルバムの中で1、2を争う好盤。
なお、本作の装丁は通常のCDプラケースに定型の歌詞ブックレットというスタンダードな形なのだが、ブックレットの中綴じ部分に透明素材のシートが挿入されているなど、妙なこだわりがある。
WONDERFUL WORLD 〜SINGLE REMIXIES & MORE〜

楽曲も貯まってきてそろそろ…というタイミングで登場したベスト…ではなく、リミックス集。「謎」から「dance」までの全シングルタイトル16曲を複数のリミキサー陣によってリミックス・リアレンジして収録している。選曲はシングル曲のみなのだが、サブタイトルの「& MORE」が何を示すのかは不明。
プロデュース名義はkanonji rockakuであり、小松はall words,music and voiceというクレジットでのトップ表記。リミックスにあたってボーカルの歌い直しなどはしていないよう(機械でテンポを上げ下げしている曲はある模様)なので、完全な外部委託の企画物といったところである。なお、歌詞カードとは別に参加リミキサーの紹介紙が封入されている。
リミックスとしては基本的にはボーカルやメロディーラインを潰すことのない別解釈での完全オケ新規のリアレンジ、という方向性。ミディアムバラード風になった「願い事ひとつだけ」、男性ラッパーが新たに平メロを作って歌う「dance」、オリジナルよりもシングルらしいアレンジ(?)の「君の瞳には映らない」などが耳に残る。ただ、例外的にボーカルがほとんど出てこないような曲もあるなど、ベストアルバム代わりと思って手に取ると面食らう内容だと思うので、オリジナル楽曲を知っていての前提で、新アレンジでの変化を楽しむ、というのが適した聴き方かと思う。
小松未歩 6th 〜花野〜

前作よりちょうど一年振りとなった新作オリジナル。装丁は折り畳んで収納する歌詞カードが封入されたデジパックジャケット仕様。デジパックジャケットは、以降のオリジナルアルバムにも引き継がれた。
「mysterious love」「私さがし」では徳永暁人、「ふたりの願い」は小林哲が編曲を担当と、シングル曲の時点で編曲体制が変化する兆しを見せていたが、前々作、前作とメインだった大賀は2曲のみ担当になり、前作に引き続いての参加となった池田大介、古井弘人に加え、岡本仁志、リミックスアレンジ(後述)としてクレジットされた麻井寛史が初参加して一気にアレンジャーが増員。また、90年代にFIELD OF VIEW(前年に解散)に提供した「大空へ」「渇いた叫び」、DEEN(同年にビーイング離脱)に提供した「君さえいれば」をセルフカバー、さらに自身のヒット曲「チャンス」をリミックスで収録するなど、過去作にスポットも当てたアルバムとなった。
アルバムの新曲は「楽園」「Last Letter」「僕にあずけて」等、佳曲が多い。久し振りにバンドを模したスタイルの打ち込みアレンジに回帰した曲もあるなど、アレンジャーを多彩にした効果が表れていると思う一方、中盤に4曲連続で配置されたセルフカバー+リミックスの前後でオリジナルアルバムとしての流れが分断されてしまうのが欠点。アルバムの構成で結構勿体ないことをしている1枚かもしれない。
Lyrics

初のエッセイ「ヘンな物さし。」、シングル「翼はなくても」と同日発売された「LOVE BALLADS 15 SONGS SELECTION」と銘打たれた自選ベスト。シングル曲は収録されず、アルバム曲・カップリング曲をセレクトして収録している。「One Side Love」「My destination...」「僕らの行方」「glass」はアルバム初収録。また、「My〜」と「As」は本作用に新たにリミックス(lyrics ver.mix)されて収められている。
選曲範囲はデビューから5thアルバムまでのようだが、90年代の作品(Amemura O-town Record期)はあまり選ばれず、3rd、4thからの選曲がメイン。すなわち地味なアレンジのミディアム〜バラードの楽曲が主軸となっており、70分以上緩急のあまりない楽曲が続くので集中して聴こうとすると正直キツい。後年のシングルベストから小松未歩作品に入ったリスナーが次に聴くベストとしてはあまりお薦めできずコアファン向け。ただ、アルバム初収録のカップリング曲(上述4曲)はハズレ無しの良曲なので、これらの楽曲を入手するために中古で廉価に購入する分にはお薦めである。
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