tmintelligence8 昨年秋の「再起動」宣言と共に活動再開、無観客配信ライブ3部作を経て、約7年振りの全国有観客ライブツアー「TOUR 2022 FANKS! intelligence Day」全9公演(追加公演含む)を先ほど無事に開催完了したTM NETWORK。筆者は昨日9月3日に開催された、ぴあアリーナMMの2daysの初日公演を観ることができましたのでライブレポートを公開。ツアー終了後なのでネタバレ全開です。

TM NETWORK「TOUR 2022 FANKS! intelligence Day8」
2022年9月3日 ぴあアリーナMM(神奈川・みなとみらい)


 久々の有観客ライブとして、無観客ライブのBlu-ray発売と同時に開催告知された本ツアーは、当初は7〜8月にかけて埼玉・東京・大阪・愛知を全7公演で回るスケジュールで発表。
 長年TMファンの筆者も出来れば行きたかったのですが、東京公演は平日ということで二の足を踏む間もなく一般分のチケットは即日完売。その後、神奈川公演が9月の週末2daysとして追加で発表。これは行かねば…ということで、無事に初日分のチケットを確保。先日のクローズドサーキットのYouTube配信を観ながらテンションを徐々に高め、当日を迎えました。

 今回の会場は2年前に開館になった、みなとみらい駅が最寄りの「ぴあアリーナMM」
 神奈川公演だとだいたい横浜アリーナだったTMが当会場を使用するのは初。筆者も前回のTMライブの時は横浜アリーナだったのですが、広いロビースペースや大きい売店などがあった横浜アリーナと比べて、ぴあアリーナMMは会場内には自販機もなく、必要最小限の飲食スペース、無駄のないロビーなど、かなり機能的な会場だな、と思いました。ただ、開演直前の男性用トイレが長蛇の列だったのには驚きました(男性用トイレ少ないのかな?笑)

 そんなこんなで開演は18時。
 スタンドは4階席までありましたが、筆者は2階の左側のスタンド席で観戦。意外とステージが近く見えるな…?という座席でした。
 なお当日券が出ていたようですが、客席は見切れのない席はほぼ満席といったところでした。
 

1.Please Heal The World(2022)
 定刻きっかりに開演。ステージ最上部には畳まれた白いマスト、設置された巨大な横長のスクリーンからは30周年時の「TM NETWORK」の名前入りバトンが宙を舞う映像が…みたいな演出でスタート。
 1曲目はNFTで購入することができる(らしい)新曲のインスト。TMメンバーはまだ出てきませんが、オケに合わせて阿部薫(Dr)、小野かほり(Perc)の演奏が生で入るという形態。
 …実は若干Day7までのネタバレをネットで拾っていたのですが、これまではステージにはメンバー三人しかいないライブだったらしく、このドラム、パーカッション奏者が入るのはDay8が初めてのようです。

2.あの夏を忘れない(1991)
 サポートの位置がステージ両端に移動し、ここでようやくTM三人が登場。
 実質1曲目は8thアルバム「EXPO」から。「30th FINAL」でも演奏されていましたが、初っ端がこれ!というのは驚き。最初キーが下がっているんで何の曲が始まったのか分かりませんでした(苦笑)。季節のご挨拶といったところ?

3.BE TOGETHER(1987)
 5thアルバム「humansystem」収録曲にして現在では「Get Wild」に次ぐ知名度の楽曲。
 終盤の盛り上げゾーンに配置される傾向がある曲でしたが、この位置でというのはなかなかレアでは。なお、イントロや間奏は原曲と全く異なる新バージョン。ここで前述のサポートメンバーの名前がスクリーンに表示されていた…記憶が。

4.8月の長い夜(1985)
 2ndアルバム「CHILDHOOD'S END」収録曲。これも季節柄でしょうか。
 最初の1コーラスぐらいはボーカルの入らないインストでの演奏で、宇都宮隆は奥の椅子に座って小休憩。簡略バージョンか?と思いきや、尺はフルで演奏されていました。アレンジは木根尚登のアコギがだいぶ目立っていたかな、と。
 なお、各メンバーの衣装はウツが赤、木根が緑、小室哲哉が白(銀?)でした。

5.We Are Starting Over(2000)
 木根単独作曲名義による唯一のシングル曲。
 原曲に忠実なアレンジでしたが、原曲が2コーラス後にあっさりと終わるのに対し、今回はその後にやや長めの間奏、木根のハーモニカソロの後でサビの最後をもう一度歌って終了という形に変わっており、構成的にかなり良かったです。このバージョンでのCD音源欲しいかも。

6.木根尚登ソロコーナー
 ウツが「木根尚登!」と紹介して小室、阿部と共に退場。
 木根は足元のルーパーを使って「Love Train」(1991)のサビの部分を足踏み、ギターリフ、ストロークと次々と加えていき、小野のパーカッションとのコラボを展開。二人で「Love Train〜」とハモったり、ハーモニカを吹いたりと、終始見応えのある演奏でした。

7.BEYOND THE TIME(1988)
 メンバー+サポート全員復帰してのシングル曲。
 ほぼ原曲アレンジ。「30th FINAL」では演奏されなかったので聴けて嬉しかった1曲。そういえばウツがこの曲から確か上着を黒に変更。
 なお、スクリーンでは三角形の巨大立方体の回りを複数の光の粒が囲むようなCGが流れていたのですが、この曲が主題歌の「逆襲のシャア」のラストシーンを連想してしまったのは筆者だけ?我々はアクシズ・ショックを目撃しているのでしょうか

8.KISS YOU(1987)
 シングル曲。EDM成分強めのアレンジで演奏。
 この曲、「more rock」とか「KISS JAPAN」とかスタジオ音源の別バージョンだとあまり原曲から変わらない(変えられない?)曲なのかな…と思っていましたが、今回は結構変えてきましたね。ただ尺は若干削られていたような?

9.How Crash?(2021)
 現時点での歌入りの最新曲(Blu-ray初回盤にシングルとして付属)。
 ラスト辺りを予想していたのですが外れました。配信辺りでのリリースを切望します

10.小室哲哉ソロコーナー
 小室以外が全員退場して小室ソロコーナー。
 前半は完全にキーボードソロでおどろおどろしい曲(既存の曲だと思うのですが題名が思い出せない!)を演奏、後半は「Give You A Beat」(1986/3rdアルバム「GORILLA」収録)を元ネタにツマミを弄りながらオケも走らせてワイルドに演奏。
 「30th FINAL」の時と比べると時間が短かったこともあり、聴いてるほうも集中できるソロでした。なお最後に火薬ドーン

11.Get Wild(1987)
 「ジャージャージャージャー♪」のサンプリングから始まるお馴染み超代表曲。この曲からはウツは紫色、木根は水色っぽい衣装に着替えての演奏。
 ド定番過ぎてこの曲は本編以外がどう変わったかを楽しむ筆者なわけですが(笑)、今回は割とイントロも間奏もアウトロも体感的にそれほど長くなかった(あくまでTM基準)ような。先ほどの小室ソロ同様、「あ〜長いよ…」みたいな印象を持たせなかったのは結構良心的かも。

12.We Love The Earth(1991)
 シングル曲ですが、今回はかなりリアレンジされて、Aメロが始まるまで何の曲が分からないほど。サビも(多分)コードをマイナーに変更して不穏で暗いイメージ。「地球を愛すること〜♪」とか爽やかに歌っても演奏との乖離が…というある意味問題作?

13.Self Control(1987)
 シングル曲。ウツが一旦退場するほどイントロが長いのですが、初っ端で「アダムとイブ〜」「ボニー&クライド〜」と原曲のBメロのサンプリングが飛び出すのですぐに次の曲判明、という感じ。

14.TIME TO COUNT DOWN(1990)
 TMN名義での第1弾シングル曲。
 曲が始まる前に、ここで本日初の明確な実写映像シーンが登場(海外のデモの様子とか、廃墟と化した家屋でアップライトピアノを弾く人物とか)。それに合わせて世紀末な感じのイントロが…という流れ。
 この曲はDay8が初登場のようです(その代わりに中盤での「IT'S GONNA BE ALRIGHT」が削除された模様)。原曲のハードロック調からEDM調へ。スクリーンでは5ケタの数字が高速で0に向かってカウントダウンしていく様子が映し出されていました。あと2コーラス目のCメロがなかった記憶。

15.I am(2013)
 30周年時のテーマソング的なシングル曲でしたが今回も披露。小室は懐かしのショルダーキーボード装備で登場!
 途中で止まる箇所があるものの、ほぼ原曲アレンジ。30周年とは異なり観客は声を出せないので合唱はなしでしたが、会場の無数のペンライトが曲への想いを伝えていたかな、と。
 アウトロ部分に差し掛かるとスクリーンによみうりランド、初武道館、CAMP FANKS!!、RHYTHM RED TOUR、東京ドームの「終了」ライブ、そして活動再開以降の各ライブのハイライト映像がランダムで次々と映し出されて感動しました。

16.Fool On The Planet(1987)
 ラスト曲。4thアルバム「Self Control」収録のキネバラ。
 ほぼ原曲に忠実。「30th FINAL」もこれが最後の曲だったんだよなぁ〜と思いながらしみじみ。結構、活動再開後に重要箇所で演奏される曲になりましたね。

写メタイム
 ここでスクリーンに「会場の画像を自由に撮ってSNS等に拡散してください」みたいな英文が登場。ということで会場は撮影現場に一変。
 せっかくなので筆者も何枚か撮影しました(画像クリックで拡大)。
TMPHOTO

 メンバー退場、スタッフロールがスクリーンに流れ、テーブルの前の外国人によって「Day9 Pia Arena MM」と紙に書いたものが映し出され、最後に爆発音(これビビった)で本編終了。
 アンコールは30周年時同様なし。時計を見ると19時55分。2時間弱のライブでした。


全体の感想
 30周年時同様、フィクションプロジェクトとしてのSF設定(潜伏者云々)を前面に出してくるのかな…と思いきや、例のバトンぐらいに留めて、今回はナレーションや役者による寸劇(?)なども無しで、音楽が完全に途切れることはない約2時間のステージでした(MCもなし)。一応、ストーリー設定としては根底にあると思われるのですが、具体的にどうこうという演出はなく、単独のライブとして事前知識無しで観に来た観客も楽しめるライブになっていたと思います。
 選曲は最新曲も披露しつつ、7年振りということで序盤にレア曲少々、後は定番曲連打といったベスト的な傾向。この曲はやるよね、と予想がつく曲はほぼ聴けたかな、という感じでした。TMの真夏の代表曲「DIVE INTO YOUR BODY」や、このご時世だから「Alive」なんかも聴ければ良かったな…とは思いましたが。
 あとはドラム、パーカッションのサポートミュージシャンがいる、というのは大きかったかと。以前にも書きましたが筆者はオケ主体のライブだとどこを観たらいいのか…という感覚に陥るのですが、打楽器系のプレイヤーがいると「生でこう叩いている!こういう音出してる!」というのが視覚的に分かりやすくて、こういうのを眺めるのがライブの醍醐味だよな〜、と思いながら鑑賞しておりました。

 なお、WOWOWにて10月に最終日(9月4日)の公演の模様がオンエアされるとのこと。予想ではその後で映像作品として商品化という流れでしょうか。ちなみにこの日もワイヤーで客席全体を映すカメラが回っていました。
 さて、TM関連では9月21日に歴代ライブのベスト映像集的な「LIVE HISTORIA VISUALIZED」がSONY、avexよりそれぞれBlu-rayで同時発売。これはTMの映像作品をあまり持っていないリスナー向けの入門編かな、といったところ。本体の今後の活動についてはまだ未公表のようですが、新たなURLも出現し、内容不明ながら「Day10」の告知も今日のライブ会場でされたようなので、続報を楽しみに待ちたいと思います。

 TMの三人も既に還暦を過ぎていますがまだまだ元気そうで。特にウツは大病を患った30周年の時よりも積極的に客席を盛り上げていたり、スタンドマイクを持って雄々しく歌う姿は「TMのウツ」していて安心しました。これからも無理のない範囲でこの三人のライブを含めた活動が続くことを願って、7年振りのTMライブレポートを締めさせていただきます。