triopic 2022年1月1日発売、H ZETTRIOの通算6枚目となるオリジナルアルバム。全12曲収録+ボーナストラックがそれぞれ異なる「EXCITING FLIGHT盤」「DYNAMIC FLIGHT盤」の2形態での発売。本レビューは「DYNAMIC FLIGHT盤」となります。

 間にテレビ番組発祥の企画カバーアルバムを5作(!)挟み、前作よりピッタリ2年振りとなるオリジナルアルバムが本作。このインターバルはH ZETTRIO史上最長となったのですが、リリース発表時のインタビューで語られている通り、元々は「オリンピック」を捩ったタイトルということもあり、本来東京オリンピックが開催されるはずだった2020年に毎月1日付けで配信されたシングルを収めて2021年の元旦にリリース、という予定だったようなのですが、実際にはオリンピックはご承知の通り一年延期となり、それに伴いリリースも延びたとのこと。なお、配信シングル自体は2021年以降も現在に至るまで毎月リリースされ続けており、2021年に配信されたシングル曲はつい先日(2022年5月末)に発売された7枚目のオリジナルアルバムに収録されています。

 毎月1曲ずつ配信されるシングル曲をまとめ、曲順も考慮して1枚のオリジナル作として構成する…という彼らのオリジナルアルバムの方針は前作同様。前回も新曲はありませんでしたが今回はアルバム用にリミックスされた曲もない(「EXCITING FLIGHT盤」のボーナストラックは「Never Ending」のリミックスが収録されていますが)ようで、完全に「デジタルメディアでのリリース作品の初パッケージ化」を徹底。これをオリジナルアルバムと呼んでいいものかは賛否両論あると思いますが、本作は全曲シングル曲ながら、先述のインタビューによるといずれ1枚のアルバムに収録されることを前提としてバランスを考えながら制作されていった(大意)ようです。
 さて、楽曲的には基本的には彼ららしい勢いのあるアップテンポ〜ミディアムテンポのナンバーがギッシリ。「Tokyo」「負けるなチャンプ」「祭りじゃ」等、如何にもオリンピックを意識させるタイトルの曲が目につきますが、特にタイトルありきで曲を構想したというわけではなく、制作の最後に付けたものということで、聴いている分にはいつものメロディアスでエネルギッシュなピアノトリオが炸裂!という感想なのですが、ピアノパートをキーボードの音色で弾いている曲も数曲あるなどバリエーションも若干あり。また、今回はラップなどの飛び道具的なアプローチはなし(「Middle」で一瞬雄叫びがありますが)で、純粋に三人の演奏力で聴き手を捻じ伏せるナンバーが多く、改めてそのパワーに圧倒されてしまいました。まあ前にも書きましたが演奏の熱量が高すぎて作業中のBGMに向かない…というのは相変わらずでしたが…(笑)。

 なお、「DYNAMIC FLIGHT盤」のボーナストラックは、2020年12月20日に東京建物Brillia Hallにて開催されたライブから「Drum solo 〜 Workout」のメドレーを収録。演奏の最中でボソボソとつぶやき始め、客席からも笑いを誘う脱力的な箇所ありのライブテイクで、本編で火照った耳をクールダウンするには最適…なのかも(笑)。