
2019年8月に第1弾、2020年9月に第2弾を発表してきた本シリーズ、今回は特設サイトによれば「第3弾にして最終章」と銘打たれています。第1作はBSの特集番組での「ガンダムソングス人気投票」の結果から、第2作は「森口博子にカバーして欲しいガンダム楽曲」のネット投票での結果から、そして今回は投票ではなく「男性ボーカルの楽曲」の中からの選曲となっており、それぞれに選曲過程が異なる作品となっていますが、前2作同様にサウンドプロデューサーは時乗浩一郎が担当。サウンド面では第1作のアコースティック路線、第2作のバンド起用路線を折衷した構成になっており、連作を感じさせる内容になっています。
また今回はゲスト参加も多彩で、ギタリストの押尾コータローやバイオリニストの寺井尚子といった全作皆勤の面子に加え、和楽器バンドの神永大輔、前作でも参加のVOJA、ボーカリストのオーイシマサヨシ、さらにSALT&SUGARやTM NETWORKも招いて過去最多の楽曲数である7曲をコラボレーションするなど、最終章を飾るにあたってなかなか豪華な顔ぶれが揃いました。
さて選曲された楽曲は原曲が男性ボーカルというコンセプトもあり、初代の「翔べ!ガンダム」、Vガンダムの「STAND UP TO THE VICTORY」、∀ガンダムの「ターンAターン」と、この曲今まで選ばれてなかったんだ…という各オープニングテーマを筆頭に、劇中挿入歌、映画主題歌など、作品内で強く印象を残した楽曲を取り揃えてカバー。中でも1曲目としてビッグバンドスタイルのアレンジでスタートする「翔べ!ガンダム」の変わりっぷり、塩谷哲のピアノに合わせて森口博子と佐藤竹善が主旋律を入れ替えながら歌唱する「いくつもの愛をかさねて」、原曲のデジタルサウンドからアコースティックバンドにアレンジされメロディーの良さを再認識させられた「Meteor」辺りが個人的ベストトラック。前述の通り全体のサウンドバリエーションも第1作・第2作の良いところを抽出した感じで、構成的には全3作中一番聴きやすいかもしれません。
ラストに配置されたボーナストラックではZガンダムのオープニングメドレーを鮎川麻弥とのデュエットで実現させるなど、華々しいフィナーレで締め。まだまだカバーしていないガンダム楽曲も潤沢に残っているので、これでシリーズ完結というのは若干惜しい気もしますが、この辺りで一旦区切りを打っておくのは惜しまれつつ、という意味では良いのかも。本作…といいますか、全3作に渡って、ファーストガンダム開始から40年以上、連綿と作られ続けたガンダムソングのバリエーションの豊かさを森口博子のボーカルによって再確認することのできた、大変意義のあるシリーズだったと思います。毎回書いているような気がしますが、新旧ガンダムファンの方は是非。
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